東方交換録   作:シンP@ナターリア担当

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第30章 終わらない宴を共に~そして鬼は今日も笑う~

~永琳Side~

 

「今日こそぶっ殺してやるこのクソニート!」

「やれるもんならやってみなさいよ浮浪者!」

「家はあるって言ってんだろうがこのばーか!」

「あれが家?物置か家畜小屋だと思ってたわ」

「お前の生活スペースはあれの半分だろうが」

「私はエコなだけよ」

「ザコの間違いだろ」

「それはアンタでしょ」

「あぁん?」

「なによ?」

「いい加減にしなさいっての」

 

 今日もあいも変わらず喧嘩を繰り返す二人。ほんっとこの二人と来たら・・・喧嘩以外に一緒に何かを出来ないのかしら・・・。・・・無理でしょうね・・・この二人が助け合ってる姿なんて想像出来ないもの・・・。それに今頭を抱えてる問題はそれだけじゃないしね・・・。

 

「てゐ~?いい加減何に使ったのか白状しなさいったら」

「だ~か~ら~!!私は今回何もしてないってば!前までの前科はあれどほんとだって!!」

「でもアンタ以外他に誰が師匠の薬を勝手に持ち出すのよ!!」

「知らないってば~~!!」

「あ、こら!逃げるんじゃないわよ!!てゐ~~!!」

 

 普通に生活をしていただけなのに、患者に使ったり、渡した記録以上に薬が減ってるのよね・・・。しかも、規則性が何にも無くて、中には服用を間違えると毒にもなりかねない物まであるし・・・。こんなことするのはてゐくらいのものなんだけど、あの感じを見ると違う気もするのよね・・・はぁ・・・ほんと手が回らないわよ・・・。

 

「ほら!あんた達!もうそろそろ準備して出かけるわよ!」

「ちっ、しゃあねぇ、今日のところはここまでだな」

「ふんっ、恥かく前に終わってよかったじゃない」

「やめなさいったら。ったく・・・ほら!あんた達も鬼ごっこしてないでさっさと準備なさい!」

「あっ!は~い!!すぐに~!!」

「よし・・・逃げ切った・・・」

「てゐ。後でしっかり聞くからね」

「げっ!」

「ほらほら。久しぶりの宴会なんだから、そんなの後よ。置いてくわよ?」

「あぁ~!!すぐ準備しますから待ってくださいよ~!」

 

 もう・・・さて、そういう私もさっさと準備しなくちゃね・・・って言っても特に持って行く物もないんだけど・・・たまには酒の一つでも持っていってあげようかしら?

 

「さ、皆準備できたわね。それじゃ行くわよ!博霊神社へ」

 

~レミリアSide~

 

「いった~~~~~!!」

「美鈴、これで何度目の注意だったかしら・・・?」

「えぇっと・・・今日で3度目・・・です・・・」

「そうね。門番のルールはなんだったかしら?」

「1度目は注意・・・2度目は厳重注意・・・3度目は罰則・・・です・・・」

「よく出来ました。それじゃあ、今日の罰則はこれからある宴会に参加できないってことでいいかしら?」

「そ、そんな~!!嫌ですよ~!!お願いしますよ咲夜さ~ん!!!」

「はぁ・・・」

 

 今日もいつもと変わらない風景ね。咲夜も、どうせ今日は誰かが尋ねてくる運命も無いんだから、少し放っておいてもいいのに、何かのあてつけかしら?まぁ、門番が仕事しないってのはいい話ではないのだけどね。

 

「ねぇねぇお姉様!!今日はどんなすごい人が来るかな!?」

「そうね、かなり大きな規模だって言ってたけど、どうせいつもと変わらないんじゃないかしら?」

「楽しみだな~!!い~っぱい遊ばなくっちゃ!!」

「フラン。弾幕ごっこするのはいいけど、神社は壊しちゃだめよ?霊夢が切れたら大変なんだから・・・」

「は~い!」

「ほんとに分かったのかしら・・・」

「いいじゃないレミィ。久しぶりの外出なんだから、少しは好きにさせてあげれば?」

「私はいらない被害が出るのを防ぎたいだけよ。あの子はあの子なりに分かってくれてるはずよ」

「あら、今日はやけに素直ね。どうしたのかしら?」

「別にどうもしないわよ。さぁ、そろそろ準備をしましょうか?」

 

 今日の運命もいつもと変わらない。昨日も、その前だって・・・でも、何故か分からないけど、そのどこかに違和感があるように思えてしまう・・・変な気分ね・・・。まぁいいわ。考えても分からなければ、大体あの胡散臭いやつのせいなんだから。

 

「ほら、咲夜すぐに準備なさい。美鈴も、留守番が嫌なら早くなさい」

「失礼しました。準備の方はすでに仕上がっております」

「そう、それならいいわ。パチェ、貴女も来るのよね?」

「えぇ、今日は全員参加らしいからね。こあ。留守番は任せたわよ」

「はい!おまかせください!」

「めいり~ん!早くしないと置いてくよ~?」

「わぁぁ!!ちょ、ちょっと待ってくださ~~い!!」

「相変わらずね・・・ほんと、実力だけはあるのが悔やまれるわ・・・」

「酷いですよお嬢様!!」

「ほんとのことよ。さ、準備も出来たみたいだし行きましょうか。博霊神社に」

 

~さとりSide~

 

「ほんっと、相変わらずジメジメしてるわね、ここは」

「地下ですからね。それも仕方ないですよ」

「嫌なら来なけりゃ良いじゃない・・・」

「おいおい、そんなつれないこと言うなよパルスィ!せっかく来てくれた客人なんだぜ?」

「あんた達もアタイたちから見れば客人なんだけどね」

「うにゅ?じゃあ私もお客人?」

「お空は違うよ。はぁ・・・こんなに集まったら疲れるねぇ・・・」

「ふふ・・・いいじゃないですか。私はにぎやかなのも好きですよ?」

「アタシも好きだねぇ。どうだい天子。にぎやかついでに一勝負するかい?」

「馬鹿言ってんじゃ無いわよ。誰がアンタとなんか戦うもんですか」

「これから宴会だってのに元気ね・・・その元気さが妬ましいわ・・・」

 

 いつもと変わらない風景に、最近増えた新しい姿。天子さんも、ここの皆にずいぶんとなじんだみたいですね。最初は危うく喧嘩になるところでしたけど、本当に良かった・・・。天と地・・・かけ離れている二つですが、こうして手を取り合い仲良くできる・・・本当に素晴らしいですね。

 

「それより、こいしはどうしたのよ。そろそろ準備もしないとでしょ?」

「あぁ、こいしでしたら・・・」

「ここにいるよ?天子お姉ちゃん」

「へ?きゃあああ!!いつの間にいたのよ!?」

「さっきからずっといたよ~?」

「ハッハッハッ!!天子も何回やってもビックリしてるよなぁ!!見てて飽きないよ!」

「う、うっさいわね!!仕方ないでしょ!!」

「あはは~!天子お姉ちゃん顔真っ赤~!!」

「くっ・・・ふふっ・・・」

「あら、パルスィ?笑いたければ笑えばいいんですよ?」

「んな!!だ、誰が!!!うう~・・・もう!!さっさと準備するわよ!!」

「素直じゃないなぁ・・・さて、お空、アタイたちも準備するよ~」

「うにゅ?どこ行くの~?」

「だから、今日は宴会があるんだってば!」

 

 私、こいし、お燐、お空がいて、勇儀やパルスィ、それに他の地底の皆もいて、そして天子さんもいる・・・昔じゃあこんなこと考えられなかった・・・。忌み嫌われ、地下に追いやられた私たちを、改めて受け入れてくれた幻想卿の皆さん。本当に感謝してもしきれませんね・・・。・・・なん・・・でしょうか・・・。何もおかしくない・・・。何も足りないものなんて無いはずなのに・・・この喪失感は・・・。

 

「・・・り。さとり!!」

「へ?」

「ちょっとちょっと!急にぼーっとしてどうしちゃったのよ」

「いえ、なんでもないんです・・・ただ・・・私、何か大事なことを・・・忘れてるんじゃないかなって・・・」

「大事なこと?」

「はい・・・とても・・・とても大事なことを・・・」

「そう・・・いいじゃない。今は忘れたままで」

「天子さん?」

「考えることなんて後でも出来るわ。今から楽しい宴会なんだもの、そんな暗い顔じゃあ料理も美味しくないわよ」

「そう・・・ですね・・・」

「それに・・・その忘れたことが、もし思い出せなかったとしても・・・」

「しても?」

「私やこいつらが、それ以上のアンタの大切なものになってやるわよ。だから、安心しなさい」

「天子さん・・・はい!」

「ヒュー!お二人さんお熱いねぇ!」

「綺麗な友情・・・なんて妬ましいのかしら・・・」

「・・・ああああああもう!!!さっさと行くわよ!!」

「あ!天子お姉ちゃん逃げた~~!」

「アタイたち・・・これからも仲良くやっていきたいねぇ」

「うん!!わたしたちはずっと仲良しだよ!!」

「ふふっ・・・ありがとう。皆・・・。さて、それじゃあ皆準備できたみたいですし、行きましょうか。博霊神社まで」

 

~諏訪子Side~

 

「お二人とも!!いつまでダラダラしてるんですか!!そろそろ仕度してください!!」

「えぇ~もうちょっとくらいいいじゃ~ん」

「そうだぞ早苗。私達は偉いんだから。少し遅れていくくらいがちょうどいいんだ」

「そうですか・・・分かりました。お二人は放って私だけで行きます。お二人は遅れるからお二人の分の料理は必要ないと伝えておきますので!」

「「待った~~~!!!!!」」

「わ、悪かったって早苗~!ほんの冗談だから!!」

「諏訪子!急いで準備するぞ!!」

「オッケイ!!」

「はぁ・・・最初からそうしてくださいよ・・・」

 

 今日は幻想卿で定期的に行われる宴会の日・・・なんだけども、ダラダラしすぎてたら早苗に怒られちゃったよ。でもさ?最近何もなくて退屈なばっかりだし、いざ宴会ってなってもなんかこう・・・いまいちなんだよねぇ~。誰かなんかでかいことやってくんないかなぁ。

 

「あ!!早苗さん!!一大事ですよ一大事!!!」

「きゃっ!文さん!どうしたんですか?」

「それがですね!!私の取材用メモ帳の一つがなくなってしまったんですよ!!まだほとんど使ってなかったのに!!これは誰かが秘密を闇に葬るためにしたんですよ!!異変ですよ異変!!」

「ちょ、ちょっと落ち着いてくださいって」

「これが落ちついてられるもんですか!!よりにもよって記者の命の情報を奪って行くだなんて絶対に許せません!!こうなったら何がなんでも犯人を捕まえて・・・」

「あ、文様~!!!はぁ、はぁ・・・は、早すぎますって~!!」

「椛!遅いですよ!!貴女も天狗の名を冠するならそれくらいで音を上げない!!」

「いやいや・・・明らかに・・・文が・・・早すぎるんだって・・・ゲホッ」

「椛さん、にとりさんまで・・・とりあえず、お茶をどうぞ」

「あぁ、ありがとうございます・・・」

「でもさぁ、メモ帳一つくらいだったら、普通に落としたりしただけってこともあるんじゃないの?」

「私がそんなヘマをするとお思いですか?」

「アンタならやりかねないけどねぇ・・・」

「落としたメモ帳の最初のページの日付は今からちょうど2週間前です。たしか内容は・・・」

「いやぁ!メモ帳を盗むなんて酷いやつがいたもんだなぁ諏訪子!!」

「そうだねぇ!!しっかり捕まえてとっちめてやらないとねぇ神奈子!!」

「お二人とも・・・どうしたんですか・・・?」

 

 まずい・・・その日付ってことは間違いない・・・私と神奈子が黙って早苗の取っておいたお菓子を食べた事だ!!こ、これはばれるわけにはいかない・・・なんとか軌道修正をしないと・・・。

 

「あぁ、そうだ。山の妖怪連中も宴会には誘われてるんだろう?準備は大丈夫なのかい?」

「そうそう。私たちもそろそろ出発するよ~」

「今はそれどころでは・・・いや、これはチャンスかもしれませんね。人が集まればそれだけ情報も入りやすい・・・そうなれば何か分かるかも・・・よし!!椛!!にとりさん!!さっさと準備して我々も行きますよ!!」

「あぁ!ちょっと待ってくださいよ!!」

「もぅ~・・・。あ、お茶ありがとね~!!」

「あ、気をつけてくださいね~!!」

「ふぅ・・・さて、それじゃあ私たちもそろそろ出ようか」

「あ、はい!ところで、さっきずいぶん慌ててらっしゃいましたけどあれは・・・」

「さぁ!!博霊神社にレッツゴー!!」

 

~霊夢Side~

「はぁ・・・」

「おいおい霊夢~。これで今日10回目のため息だぜ~。そんなんじゃ幸せどころか金もどっか行くぞ~?」

「うっさいわね・・・。またいつもの面倒なことが始まると思うとやってらんないのよ・・・」

「なんだよ~宴会は楽しいし料理も美味いし、いいこと尽くめじゃないか」

「その楽しい宴会を・・・誰が片付けると思ってんのよ!!あいつら勝手に集まってさんざ遊びほうけた挙げ句!!毎度毎度片付けの一つもせず帰って!!何様よあいつら!」

「まぁ~皆マナーがなっていないですのね~」

「あんたも・・・その一人でしょうが!!」

「いやん!紫こわ~い」

「流石に今のはキツイぜ・・・」

「何か言ったかしら魔理紗?」

「い~や、なんにも?」

「とにかく!!私は今日は絶対片付けやらないから!」

「私に言ってくれたらゴミを集めるくらいするのに」

「アンタはいっつも宴会終わったら酔っ払って動かないんでしょうが!!」

「あれ~?そうだっけ?」

 

 あああもう!!どいつもこいつも!!ほんっと最近イライラすることばっかりね!!暇があったら勝手に人の家の周りで集まるし、それでいて散らかしても片付けないんだから性質が悪いのよ!!ったく。異変の一つでも起きてくれたら暇つぶしにもなるし、信仰も集められるから一石二鳥なのに・・・。

 

「はぁ・・・考えてても仕方ないわね・・・。ほら、早く準備するわよ。もうそろそろ集まってくる時間なんだから」

「お?もうそんな時間か~。いや~今日はどんなもんが食えるのか楽しみだぜ」

「それじゃ、私は幽々子と妖夢、それに藍と橙も迎えに行ってあげようかしら」

「アンタも手伝いなさいよ!!」

「それじゃ、準備よろしくね~」

「あ!こら!!待ちなさいったら!!!っっっっの馬鹿ーーーーーー!!!!」

「まぁまぁ霊夢、その分私も準備手伝うからさ」

「当たり前でしょ!!アンタまでいなくなったら準備なんか絶対間に合わないわよ!!ほら!さっさと始めるわよ!」

 

 あいつは本当に勝手なんだから!いっつもどこにいるのかも分からないし、大事な時にはいないし、こないだだって・・・あれ・・・?

 

「ねぇ・・・私たちこの1週間ほど何してた・・・?」

「あ?急にどうしたんだよ。いつもと変わらず縁側でお茶すすったり、弾幕ごっこしたりくらいだろ?参拝客だって一人も来てやしないし」

「うっさいわね!!最後のは別に言わなくていいでしょ!」

「で、それがどうしたのさ」

「いや・・・別になんでもないんだけど・・・ん~・・・?」

「変な霊夢。ほら、さっさと準備しないと間に合わないんじゃないの?私の分身だって頑張ってるんだから!」

「そうね・・・まぁいいわ。考えるのなんて後でも出来るし。今はさっさと準備しないとね」

「お?もうあっちこっちから来てるんじゃないか?」

「それなら都合が良いわ。あいつらにも手伝わせましょ。これからでっかい宴会なんだもの」

 

~OUT Side~

 

 その宴会は昼から始まり、夜遅くまで続いた。幻想卿のたくさんの妖怪、人間、妖精なんかも集まり、それはとてもとても賑やかなものとなった。

 

 ある者は他の者と親睦を深め、ある者は弾幕ごっこに興じ、またある者は、飲めや歌えと大騒ぎをした。人と妖怪。それが分け隔てること無く入り混じり、飲み、騒ぎ、歌い、遊ぶ。そんな幻想卿のいつもの風景。

 

 そんな風景を、神社の屋根の上から見下ろす一人の少女の姿があった。その少女には、その姿には似つかわしくない大きな角が。手に瓢箪を持ち、静かに屋根の縁に座り、その光景を眺めている。

 

「今日も本当に楽しい宴会だったねぇ・・・宴会ってのは、何度やっても飽きないもんだよ」

 

 誰に話すでもなく、その言葉は夜と宴会の喧騒の中へと消えていく。その瞳はとても優しく。まるで何かを慈しむかのようにも思えた。

 

「この世界は、本当に平和だね・・・。確かに、ここにはいないような乱暴者だっている。でも、こんな風に、人間と妖怪が一緒に騒げるんだからね・・・」

 

 応えの無い言葉は静かに紡がれる。何かを想うように・・・その少女は大きく空を見上げる。

 

「ったく・・・最後の最後で力の調整を失敗するんじゃないよ・・・寂しいったら無いじゃないか・・・」

 

 月を見上げる少女は一人何を想うのか。静かな独り言の後、少女の目から、一筋の雫が頬を伝う・・・。

 

「鬼は嘘が嫌いだって・・・言っただろう・・・?今度会ったら、もう一回教えなきゃね・・・。いつまでも待ってるから・・・ちゃんと帰ってきてね・・・ミクス・・・」

 

 その呟きは、誰に聞こえることもなく、長く永く続く祭りの中へと吸い込まれていく・・・。そして少女は再び笑う。その約束を胸の奥に秘め、いつものようにケラケラと。約束が果たされるその日まで、彼女はきっと・・・笑い続けるのだろう・・・。

 

 どこかで誰かが。ごめんと一言呟いた。

 

~東方交換録 Fin~

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