目が覚めると身体が縮んでいた。という某メガネの名探偵の様なことは起こってはおらず、身体はそのままだった。
実際、転生して赤ちゃんからやり直すのは少し、いやかなり気が引ける。だって良い年に成って赤ちゃんプレイはさすがに嫌気が指すし、相手は良かれと思ってやっているのにその厚意を受け取らないのは違う。何より受け取らないとこちらが死んでしまう。
だがしかし、成長してから強くてニューゲームもやってみたかったから、それが出来るのなら赤ちゃんプレイも甘んじて受け入れる気持ちはあった。
理想をいうなら中流家庭の息子に転生、5歳頃に前世の記憶が甦り反動で高熱を出す。その日を境に徐々にチートの片鱗を表し始める。っていう具合にスッカスカの人生設計、いや転生設計は立てていたのだ。
とまあ、もしもの話をして現実逃避をしたところで今の状況が変わる訳でも無い。仕方なく、本当に仕方なく目の前の現実に目を向けることにする。
僕の眼前というか周りには鬱蒼と生い茂る木々が、耳を澄ますと近くには川でも有るのか水が流れる音が聞こえる。
えっこれどういうこと?シティボーイでコミュ障で引きこもりな僕にサバイバル生活をしろと?
すうーーーーー
「ふざけんなー」
僕は怒りを込めてそう言った。
サバイバルとか無理。辛うじて料理は出来るけれどもそれは準備の段階で材料が揃っているからだ。それを一から自分で準備するとかいくら何でも無理ゲー過ぎる。キノコって何が可食で不可食なのか素人目からしたら分からないし、キノコに限らずとも植物なんて詳しくないからさっぱり分からん。
くそっこんなことになるのなら。最高の肉体も特典に加えておけば良かった。最高の肉体なら毒なんか無効果出来たかも知れないのに。霊圧だけ最高って...
いや前向きに考えるんだ、斬挙走鬼学に才能が有るということは身体もそれなりに強化はされるはず!んっ?でも待てよ。十三番隊の浮竹隊長って才能有ったのに身体弱かったんだよな。あ~前途多難だ。
しかーし、幸いにも近くには水場がある。なら必然そこには魚がいるはず。まずは魚を捕るところから始めよう。不幸にして僕は釣り竿の作り方すらも知らないけれど、幸運に鬼道や縛道なら何個か知っている。そして霊圧は最高クラスだ。これはやるっきゃないでしょ。
「"君臨者よ 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ 焦熱と争乱 海隔て逆巻き南へと歩を進めよ"
破道の三十一赤火砲」
この時、僕はもう少し考えてから動けば良かったのだと思ってる。なぜなら僕の霊圧は最高クラス三十番台の鬼道でも威力が有る、加えて完全詠唱だ。そんなものの威力が低い訳が無い。当初の思惑としては赤火砲を魚に当てて、良い感じに焼き魚と成って僕の手元に落ちて来る。そんな幻想を抱いていた。現実は川は一瞬で蒸発し、赤火砲が当たった場所とその周辺は石が赤々としており所々溶けている。
僕は大切な食料源を一つ潰してしまったのだ。
すうーーーーー
「ふざけんなー」
僕は哀しみを込めてそう言った。
一応なんと無くで2話目を投稿。
未だにオリ主をどう動かすか決めあぐねています。
文才無いんでそこは目を瞑って下さい。