勘違いもの。(筋肉)
とても短いです。マッスル。
パチュリー・ノーレッジ。「知識」の名を持つ高名な魔女。・・・・・・唯一残された魔女である。
過去にあった魔女狩りの生存者にして、精霊魔法を発展させ続ける天才。
動かない大図書館と揶揄される程に図書館から出てこない本の虫なパチュリーだが、その実力は計り知れない。
この館の魔法的処置の全てはパチュリー1人の功績だ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そんな彼女の前では凄まじい光景が繰り広げられていた。
「ねぇねぇ!スパルタクスっ!!見てみて!コレ見てよ!」
「うん?なんだね?おぉ、これはっ!!猛獣かっ!!」
「違うよチワワだよ!」
「チワワが猛獣って・・・・・・まぁ、一応獣ではあるけど・・・。猛って言うか、萌?」
幽閉されているはずの親友の妹と、親友が見たこともない筋肉の塊と仲睦まじく話しているのだ。
随分と印象変わったなスカーレット卿は。パチュリーがそう考え、本に視点を戻す。
そう言えば私はレミィの妹を見たことがあっただろうか。パチュリーはそう考える。しかし、見たことは無いと結論付た。近づいたことも無い、あるとして、扉に魔法を掛けた程度だ。
「(むきゅ?・・・・・・扉にかけた魔法が壊れている?)」
本読んでて気が付かなかった。パチュリーは天才だが、割と抜けている。と言うか、結界壊されても本を読むことの方が優先度が高かったから忘れていた。
「見てみて!ほら、これよ!」
「ほぅ?」
「ほら、吸血鬼の弱点よ!」
「おぉ!素晴らしい!どれどれ・・・・・・?」
「あら?読めないかしら・・・・・・えっと、パチェ、この文字ってなんて言うんだっけ?」
いきなり話しかけられたパチュリーはえぇ、という顔(無表情)をしながらそれに応える。
「むきゅう」
「そう、ありがとう」
「ちょっと、冗談だからもう1回聞いて」
「何の文字だったかしら?」
「それは魔法的な言語で書かれているわ。魔法が使える人しか読めないのよ。・・・・・・貴女知ってるわよね?」
「話に入りやすいと思ってね」
「余計なお世話は要らないわ。」
パチュリーはそう言って本に顔を戻すが、レミリアがその隣にやってくる。なんだよ、と思っていると口を耳に近づけてコソコソとこう言った。
「あの人が運命の人なのよ」
「え・・・・・・?」
マジかよ。私の友人、自分のお父さんと結婚するつもりなの?
パチュリーはそう思った。
「そ、そう。頑張りなさい。応援してあげるわ、ええ。たぶん」
「?」
「いえ、いいのよ?私には口を出す権利は無いわ。親友だものの、応援する。」
「あのパチェ?なんか勘違いしてない?」
まじかー、親子同士かー。とパチュリーは思う。しかし、パチュリーは博識だ。昔の貴族や王族は「血を薄めないために」親子で子を成すことがあったのだ。
吸血鬼には貴族思考があるので、そういったことも珍しくはないだろう。
それに目の前のレミリアは真祖。とても良い血筋だ。残しておきたいのは分からなくはない。と、パチュリーは考えている。
「で、何か用なの?」
「そうね、用があるわ。──────私、お父様を殺そうと思うの」
「ブフゥゥゥゥ!!!!!!!」
「パチェ!?大丈夫!?」
うっはマジかよ!この子、父親に抱かれた後心臓に杭打ち込む気なんですけどぉ!パチュリーがそう認識して吹き出す。
「あ、貴女、本気なの?」
「えぇ、本気よ」
「えぇ・・・・・・」
「?」
パチュリーは
パチュリーはフランドールを見る。可愛い。
パチュリーは思った。なんでレミィは本人の前でそういうこと言っちゃうのかしら。と。何だかんだ抜けてるのよね、とも思っている。
「はぁ、仕方ないわ。私も全面的に協力するわ。まずは式場の手配ね」
「式場・・・・・・なるほど」
「?」
パチュリーの言った式場は結婚式に使うもの、レミリアは「戦闘する場所」の遠回しな表現としてパチュリーが用いたと考えた。
パチュリーからすれば「え、お前結婚するつもりなのに式場しらないの?」みたいなものだ。
「なら、この場所でいいわ」
「はい?」
「この場所に全力で結界とか魔法とかとにかく仕掛けて。ここに誘い込むわ」
パチュリーは無表情のまま思う。「え、何この子。頭悪いの?誘い込むどころか真後ろにいますよ君のお父様。え、何この子目悪いの?頭が悪いの?」
「・・・・・・そう、分かったわ」
「で、紹介するわね」
「いや、それには及ばないわ。知っているもの」
「・・・・・・!流石はパチェね。」
「ぇ?」
パチュリーは首を捻る。もしかしてすれ違いが発生してるのでは?・・・・・・そう言えばスカーレット卿ってもっとスリムじゃなかったか?
パチュリーは疑う。しかしだ。スカーレット卿と最後に顔を合わせたのは30年ほど前、姿が変わっていてもおかしくは無い。
「・・・・・・っ!!」
そしてパチュリーは気が付いた。「もしかして馬鹿にされてるんじゃないか」と。30年も経ってればスカーレット卿を忘れてても可笑しく無いなんて思われているのでは?と。
そして忘れていなかったから「流石パチェ」なのではないか。
フツフツとパチュリーの中で怒りが湧いてくる。私を誰だと思っている。『知識』だぞ。
パチュリーは決意した。それこそこの館が崩れ去るほどの魔法を掛けてやろうと。だがその前に本に対して全力で保護魔法を掛けなければ。
「決行する日は何時?」
「二日後よ。と言うか3日後に妖怪の賢者が来てしまうから、その前に仕留めるわ。じゃないと邪魔されて戦えなくなる」
「なら妖怪の賢者に任せればいいじゃない」
「負けちゃうのよ、それだと」
「わぁお」
全力でありったけ仕掛けろと言いつつ、2日間しか時間を与えないなんてこの子鬼畜。
パチュリーは過酷な労働が始まる事に目を虚ろにしつつ、本を閉じる。
「任せるわね」
「あ、うん」
さて、と。とパチュリーは伸びをする。ポキポキと30年ぶりに動いたからだが悲鳴をあげる。
「ッ!!」
パチュリーは声が形を保てない程の悲鳴をあげた。なお、無音である。
「さて、スパルタクス。お父様にバレないように隠れるわよ」
「うむ」
まって、助けて。そんな声は届かない。この後、小悪魔に助けられるまでパチュリーは苦しんだ。
褒美だ、人類最高の筋肉を見せてやる…‼︎(嘘)
こんな事言ったら次の話でかっこいい事が起きそう。(考えてはいない)