オーバーロード 最強の拒絶タイプ   作:なと〜

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間が空いて申し訳ありません!
時間が取れず、少ない合間で執筆しておりました。これからは執筆ペースを上げていきます。
今回はアインズ→冒険者に、ゼルエル→捕食実験です。
それではどうぞ!



使徒、捕食

 リエスティーゼ王国

 城塞都市エ・ランテル

 

 

 冒険者組合のあるこの都市に、ある一組の冒険者が新たに冒険者登録してきた。

 一見、代わり映えのない日常に思えるだろう。しかし、その冒険者の一団は非常に変わっていた。

 先頭を歩く黒一色のフルプレートの鎧を纏う戦士は背に大振りのバスターソードを持ち、まるでそんな物ないかの様に悠々と歩いていた。更に、後ろに控える二人の美女達が注目の目を一身に集める。一人は黒髪を後ろでまとめ、どこか嫌そうな表情をしており、もう一人は同じ黒髪だがこちらは肩にかかるかどうかの長さであり、無表情である。

 周りの男達は二人の女性に恍惚とした目を向け、あわよくばと思うも、二人は前を歩く男に信頼の眼差しを向けているのがわかると、女性に向けた目を男に嫉妬の意志を込めて向け直した。

 

 

 〜とある宿屋〜

 ここは低い階級の冒険者御用達の宿屋。新人の冒険者達が安い金で泊まれ、ここで仲間と出会う事もあるという宿屋だ。

 一階の酒場には仕事帰りの冒険者達が酒を飲んだり、自分の自慢話をしたりと、賑やかな場所だがある三人によって、その賑やかさは静まり返る。

 

「宿か?相部屋なら…」

「できれば三人部屋を希望したい。出来ないなら四人部屋で頼む。」

「…三人共、(カッパー)のプレートか。なるほど、見た所あんたは戦士だろ。後ろの二人は?」

「…魔法詠唱者(マジックキャスター)野伏(レンジャー)だ。」

「ならせめてあんたは相部屋になりな。そうすれば、他のパーティと関係ができるだろ。」

「なるほど。だが、三人共一緒の部屋がいいんだ。すまないな。」

「ふん。生憎、三人部屋は無いんだ。四人部屋ならあるが?」

「それで構わない。いくらだ?」

「…一日十二銅貨。前払いだ。」

 

 男はカウンターに十二枚の銅貨を払う。

 この時の周りの人間は、この男は貴族のボンボンで後ろの二人はお付きの女だろうという考えだ。

 三人が上の階に行こうとした時、冒険者風の男が脚を出して一団の行く手を阻む。

 

(やれやれ)

 

 男は脚を出してきた男の脚を蹴りながら前に進む。

 

「いってーなー。何するんだよ。こりゃ、そこの姉ちゃん達に介抱してもらうしかねえな〜。」

 

 明らかな言いがかりをつけ、共の女達を貰おうと画策する冒険者風の男。すると…

 

「ふははは。いや失敬、あまりに雑魚に相応しいセリフに笑いを堪えきれなかった。」

「あぁ!」

 

 鎧の男は絡んできた男に挑発するようなセリフを言う。貴族のボンボンと思ったのに、萎縮するどころか挑発してきた男に怒りを覚える冒険者風の男。

 しかし次の瞬間、男の胸ぐらを鎧の男が掴んで持ち上げる。

 

「お前となら、遊ぶ力も出さなくて良さそうだ。」

 

 そう言うと、鎧の男は掴んだ男を奥のテーブルにぶん投げる。

 

「さて、次はどうする?」

 

 貴族のボンボンと思っていた男が大の男一人をぶん投げたのだ。周りの人間はこの鎧の男を貴族のボンボンから手強い商売敵に考えを改めた。

 

「ちょっとあんた!」

 

 そんな中、一人の女性が大声をあげながらやってきた。

 

「あんたのせいで私のポーションが割れちゃったじゃない!」

 

 ふとさっき投げた男の方を見ると、机を破壊してその上にあったであろう青いポーションの瓶が割れ、中の液体が床にぶちまけられている。

 

「あたしが食事を抜き、酒を断ち、倹約に倹約を重ねて今日買ったポーションを壊したのよ!」

「ならばこいつらに請求したらどうだ?」

「金貨一枚と銀貨十枚よ。いつも呑んだくれてるんだから、金なんか持ってないでしょ。あんたご立派な鎧着てるんだから払えるわよね。現物でもいいわよ。」

 

 彼女の言い分は正論だ。少なくとも無理矢理絡んできたさっきの男よりかはマシだ。

 彼女が怒りに我を忘れていなければ気付いただろう。彼女の後ろの女性二人の変化に。長髪の女性は今にも斬りかかりそうな形相をしており、短髪の女性は一見無表情だが、その目にはまるで機械(・・)のように冷たく、人間には無い無機質さを出していた。

 幸運なのはこの変化に誰も気付かなかったことだろう。

 

「わかったわかった!これでいいだろ?」

 

 男が慌てて懐から赤い液体のポーションを取り出し、女はもぎ取るようにそれを取った。

 

「…まぁ、いいわよ。」

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 宿屋・二階

 

 四人部屋でそこそこの広さの部屋に三人の男女がいる。一人分多いがそれだけ高く払ってでもこの一団は三人一緒が良かったのだ。

 

「このような場所に至高の御身が滞在されるなど…」

「全くです。せめて清掃要員をナザリックから頼む必要があるかと。」

「そう言うな二人共。あまりは変な事で目立ちたく無い。」

 

 そう言うと鎧の男、アインズはヘルムを解除し、骸骨の素顔をさらす。

 

「あの不快な女はどういたしましょう。」

「彼女は一応、我々より格上の(アイアン)のプレートだ。後輩たる者、少しくらい顔を立ててやろう。」

「しかし、彼女にユグドラシルのポーションを渡したのは危険では?」

「・・・なるほど、確かにな。ならば隠密能力の高いシモベに監視させておくか。手配してくれ。」

「かしこまりました。」

「時に質問なのだが、人間をどう思っている?」

「ゴミです。」「取るに足らない存在かと」

(やっぱりか~!)

 

 アインズが人間の冒険者になるにあたって、選ばれたナーベラルとラミエルの二人。

 二人の内の一人であるラミエルは自分の創造主であるゼルエルから一通りの処世術を教えられ、ついでにゼルエルの慎重な考えを伝え、極力注意するよう伝えられた。

 ナーベラルを含むナザリックのシモベははっきり言って傲慢な考えを持っている。『至高の御方最強!至高の御方に創造された私達が人間の雑魚に負けるはずが無い!』的な考え方がほとんどであり、それを否定することは彼らの存在意義を否定するのと同じである。しかし、それでは油断から予期せぬ事態を招く可能性がある。そのためゼルエルに直接創造されたラミエルにゼルエルが直接、慎重さを教えた。親同然のゼルエルの考えを一切違わず理解したラミエルはまさしく、ゼルエルと同じような考えを持っているシモベであり、アインズとしてもありがたい存在となった。

 

「二人共、その考えをやめよとはいわぬが、敵対的行動を誘発する言動は慎め。」

「「かしこまりました、アインズ様。」」

「この街にいる時は私の事はモモンと呼べと言っただろ。」

「モモン様、その件についてゼルエル様から伝言を預かっております。」

「なんだと?」

「ゼルエル様が『いきなり様から呼び捨てはきついだろうからさん付けにしとけ』とのことです。」

「なるほど・・・」

「さすがは至高の御身!」

 

 ゼルエルの用意周到さに素直に感心しているアインズことモモンはふと、二人の設定を思い出す。

 

「お前たちの設定はわかっているな?二人は姉妹で、姉のナーベは魔法詠唱者(マジックキャスター)で、妹のユイは野伏(レンジャー)という設定だぞ。」

「それなのですが、私が姉で良かったのでしょうか。」

 

 この設定を作るにあたって、ラミエルをナーベラルの姿に似せるためラミエルをエヴァンゲリオンのある人物の若い姿にさせた。黒髪で黒い瞳の姿はこの世界では珍しいため、姉妹と言っても信じるだろうという算段だ。

 しかし、ラミエルは仮にも領域守護者。戦闘メイドたるナーベラルが姉というのはおこがましいと考えているのだろう。

 

「構わん。一応ラミエルより前線に出るナーベが姉の方が自然と考えているんだろう。」

「なるほど、さすがでございます。」

「うむ、だがすでに問題が発生している。」

「「?」」

「金が無い!ユグドラシルの金貨は使えば、プレイヤーがここにいると宣伝するようなものだ。」

「仕事を見つけるぞ!!」

「「はっ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モモンさん。」

「…なんだユイ?」

 

 格好つけてこれからの意気込みを付けたのに、ラミエルの言葉で格好が付かなくなった。

 

「先程のポーションを渡した女ですが、街で一番というポーション屋に行き、そこの店員の鑑定によればあのポーションはこの世界の物より良質であり、店員が異常な執着を見せていたようです。」

「…本当か?」

「更に追加の情報です。店員はポーションを要求しましたが、女はポーションの代わりとしてモモンさんの情報を渡しました。」

「その女、殺しますか?」

 

 モモンは予想だにしない情報に驚き、ゼルエルの存在に感謝した。モモンガ一人なら、ここまで情報を出せなかっただろう。三人寄れば文殊の知恵というが、二人でもかなり変わるものである。

 

「女は放置だ。監視は続行し、ポーションの事を言いふらす様なら拘束しろ。間違っても殺すな。会ったその日に死んだらよからぬ噂が流れかねんからな。」

「かしこまりました。そのように伝えます。」

「ついでだ。その街で一番のポーション屋とやらの名前はなんだ?」

「少々お待ちを、確認いたします。」

 

 

 

 

 _______________

 

 ナザリック

 第九階層・執務室

 

「わかった。ではそのようにしろ。」

 

 アインズがいないナザリックでは主な執務はゼルエルが取り仕切っている。と言ってもメインはアルベドとパンドラが担当し、ゼルエルは最終の確認をしているだけなのだが。

 

「なるほどな…この世界では下級のポーションでも伝説の品か。しかもこの世界のポーションは青いのか。」

 

 アインズから頼まれたポーションの調査について派遣したシモベから一通りの報告を聞いて、改めてこの世界の違いさを感じていた。

 

「念のため、外で活動する者達にユグドラシルのアイテムを使用する際には注意するように呼びかけろ。」

「かしこまりました。ではそのように。」

 

 今回執務の補佐にはアルベドが従っている。だが長い間一緒にいるゼルエルは気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルベドに覇気が無いことを。

 

 正確には時折、疲れた様な表情を垣間見せるのだ。こちらが注意を向ければすぐにやる気のある表情を見せる。

 

(これはあれだな。)

 会社員だったゼルエルは気づいた。アルベドのは上司の前では仕事を休めず仕事を続ける哀れな者と同じだと。

 

(やっぱ休ませるか。働かせてもいいんだけど、モモンガさんは嫌がるだろうし、急ぎの仕事も無いし。)

 

「アルベド、私は少しナザリックを散歩する。急ぎの仕事も無いし、しばらく休め。これは命令だ。何かあったら伝言をよこせ。」

「かしこまりました。」

 

 普段、アインズを相手にしているような笑みを浮かべるアルベドを見たゼルエルは自分の良い上司の対応に内心、ガッツポーズをしながら部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 ゼルエルがそういうこと(・・・・・・)に敏感な人間なら気付いただろう。

 アルベドの疲れの表情は愛する夫を待つ妻の昼間のそれであり、笑みの表情の原因は自分がいなくなる事だと。

 

 

 

 

 _______________

 

 ゼルエルは共のメイドにいつものユリとシズを伴い、ナザリック第九階層を闊歩していた。

 ゼルエルの共のプレアデスはユリとシズ、エントマの三人なのだが、エントマには第九階層の大食堂に行ってもらっている。そしてゼルエル一行の目的地も大食堂だ。

 

「エントマの準備はできているか?」

「はい。三十分ほど前から食堂を立ち入り禁止にし、料理長らに申し付けられた料理を作らせております。」

 

 ゼルエルの密かな目的。それはゼルエルの飲食のやり方(・・・)の確認である。

 ゼルエルこと第10の使徒は捕食を可能としている。これは新劇場版で追加された設定だが、第10の使徒をモデルとしているゼルエルができない道理は無い。

 だが、その方法を知っているゼルエルは今までこの方法を行えずにいた。

 

(行儀悪いよな~)

 

 捕食の際には顔から口の部分が出てきて、直接食べるのだ。

 よく考えて欲しい。人間のように手で食べ物を口に運べず、犬のように食べるのだ。汚くならないわけがない。それにキモイ。そんな姿をメイド達がいるいつもの大食堂でできるだろうか?

 

 そんな支配者の威厳の欠片も無い行動ができないゼルエルは大食堂を封鎖し、さらに使徒の味覚の確認のため、料理長に味の濃い料理を作らせた。

 

「来たぞ。」

 

 大食堂に来たゼルエルは誰もいないだだっ広い食堂に少し罪悪感を覚えつつ、用意されたテーブルに着く。

 

「どうぞ。」

 

 出された料理は一言でいえば『骨付き肉を縦にした』といった感じだ。現実(リアル)では決してお目にかかることもできない純粋な肉。それを豪華に丸焼きにしたもの。肉汁が光っているという表現がふさわしく、つけられたスパイスの香りは強く、それでいてしつこく無いものだ。

 

「素晴らしい!感激したぞ!」

 

 料理長はゼルエルの歓喜の声に感激する。このナザリックの支配者である二人はどちらも飲食不要の体であるため、この食堂には訪れる必要が無い。至高の御方から最も縁遠い場所と言われても反論できないだろう。それが今、至高の御方直々にここにきて、自分の料理を褒めてくれる。これほど感動的な出来事は決して無いだろう。

 

「あー、すまないが、少し席を外してくれないか?」

 

ゼルエルの言葉に全員が従い、食堂から出る。ゼルエルはわざわざ食堂を封鎖したのだ。何か目的があるのだろうと思い、みんなそそくさと出て行った。

誰もいない食堂で一人のゼルエルは食事を開始する。

 

「確かこうだったな。いただきます。」

 

 

 

 

 

~使徒、食事中~

 

 

 

 

 

食事を終えたゼルエルは外に待機しているユリ達を呼ぶ。

食堂に入ったユリ達は戦慄する。理由はゼルエルの周りの空気のせいだ。

 

「な、なにか味が悪かったのでしょうか?」

 

料理長が思わずゼルエルに問う。彼(彼女?)の作った今回の料理は過去最高傑作といっても過言ではないものだ。それでも至高の御方の口にあわなければ意味が無い。

 

「なに、料理の問題では無い。」

 

料理長はほっとするも、料理を食べる前のゼルエルと今のゼルエルは纏う空気が全く違う。

 

「味がしないんだよ。いやほとんど(・・・・)無いといった方がいいのか。」

 

使徒は完成した生命のため、永久に尽きないエネルギー機関を持つ。そのため、食事の必要は無く、味も感じる必要が無い否、いらない。

味といっても美味しい以外の刺激の味も味であり、味覚だ。味覚は生命維持には必要な物では無い。故に味覚は進化の過程で排除された。

 

「こんなに美味しそうなものを食べても味が感じられないんだ。不機嫌になっても仕方ないだろ?」

 

ユリ達は納得し、恐怖の感情を抑える。ちなみに料理長達は料理を褒められたことで感動の絶頂にいた。

 

「まあ、何とかアインズさんに味覚を伝えられれば、ここの料理を味わえるだろうな。料理長、すまんが今は利用できないが、いつか来れるよう努力しよう。」

「もったいなきお言葉!!感謝の極みでございます!」

「うむ、その時は頼むぞ。」

 

ゼルエルはそう言うと、メイドを連れ、散歩を再開した。

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
使徒の設定は妄想の塊です。
ラミエルの姿はもうわかってると思いますが、碇ユイの若い格好です。少なくとも、ナーベラルよりかは見た目若い位です。背格好もそれに合わせてます。
次回は早めの投稿を心がけます。
それではありがとうございました。
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