オーバーロード 最強の拒絶タイプ   作:なと〜

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また間が空いてしまった。
本当に申し訳ありません!
言い訳すると、予定が増えて隙間時間で執筆しようとするも、あまりの寒さで指が動かず、なかなか進みませんでした。

とりあえず、本格的な活動の前兆って事で。

ではどうぞ。


使徒、前兆

 ナザリック・第五階層

 

 ナザリックにおける守護階層の一つ、氷河の階層。ここに足を踏み入れた侵入者は冷気によるダメージと行動阻害のデバフにより、まともに進む事も出来ないだろう。

 しかし、現在は経費削減のため、エフェクトがカットされている。

 

「邪魔するよ。」

 

 プレアデス三人を連れたゼルエルが大雪球(スノーボールアース)を訪れる。目的は勿論、ここの住人であり、この階層の守護者のコキュートスだ。

 

「コレハゼルエル様。コノヨウナ所マデ、ワザワザ。感謝ノ極ミニゴザイマス。」

 

 コキュートスは自分の鍛錬を中止し、ゼルエルに深く礼をする。部屋にはコキュートスのお付きの雪女郎(フロストヴァージン)がいそいそと椅子と机を用意してきた。プレアデス達も手伝いに行った。

「コキュートス。最近はどうだ?」

「変ワラズニ。タダ、満足ノイク鍛錬ノ相手ガオリマセン故…」

「なるほどなぁ…」

 

 コキュートスは設定上、武人であり、満足のいく闘いを望んでいる。だが、ナザリックに侵入者が来て欲しいと言うのは守護者としてあるまじき思想だ。故に、コキュートスは困っているのだ。

 

「まぁ、しばらく我慢してくれ。この世界で異形種絡みの作戦があったら、お前を使えるからな。」

「オオ!有難キ幸セ!」

 

 コキュートスは見た目が異形種独特の見た目なので、人間絡みの作戦に出られない。だが、異形種絡みならばコキュートスを使うのに何の問題も無い。

 

「そうだ。しばらくの間、別の趣味を見つけるのもありだぞ。」

「別ノ趣味?」

「ああ。スキル等を使用しないものなら誰でもできるからな。それが何処かで役に立つかもしれんぞ。」

「ナルホド…」

 

 この世界では料理等のスキルが必要なものは、それを習得しなければ誰でも使えない。だが、裁縫等のスキルが無いものならば、知識さえあれば誰でもできる。事実、アルベドは裁縫ができるらしい。

 

「シカシ、私ニデキル趣味トイウノハ…」

「それは私にもわからん。お前の事はお前が一番良く知ってるだろ?」

「…」

「まぁ、ゆっくり考えな。それでも時間は潰れるだろ。」

「ハッ!アリガトウゴザイマス。」

「うん。あぁ、そうだ。何か欲しい物とかあるか?」

「欲シイモノ?」

「なんでもいいぞ。多少、不敬でも構わん。」

「…では、不敬ですが一つ。」

「なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アインズ様トゼルエル様ノゴ子息ガ「ストーップ!」

「お前もか⁉︎お前もなのか⁉︎デミウルゴスと同じなのか⁉︎」

「ハァ?御二方ノゴ子息ナラバ我々ハ忠ヲ尽クスノニ何ノ問題モ無イカト。是非、ソノ際ハ私ヲ爺ノ役ニ!」

「お、おう。その話はすでにアインズさんと結論が出ている。『まだそんな時では無い』とな」

「オオ!カシコマリマシタ。」

「うん。では私は帰るからな。」

「ハッ!アリガトウゴザイマス。」

 

 ゼルエルはそそくさと大雪球(スノーボールアース)を後にして、第五階層から出て行った。

 

(まさかコキュートスまで話に乗り気だとは。これは後でモモンガさんと相談だな。)

「ゼルエル様、この後のご予定は?」

 

 付き添いのプレアデスの三人の代表のユリが尋ねる。

 

「宝物殿に行こうと思う。すまんが付き添いはシズだけにしてくれないか?」

「…かしこまりました。」

「すまんな。」

 

 シズにリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを渡して、宝物殿に転移する。一人で行ってもいいのだが、今回はある確認(・・・・)のためにシズを同行させた。

 

「まずはパンドラに会わないとな。」

 

 ここの守護者に会おうと、宝物殿の奥に行こうとした時…

 

「これは!これは!ゼルエル様。いかぁが!なさいましたか!」

「…何でこんな最初の方にいるんだ?パンドラズ・アクター」

「はっ!過去、不要となったアイテムの中には、この世界にて使える物もあるのではと思い、捜索しておりました。」

「なるほどな…」

 

 ユグドラシルでは基本、LV.100との戦いばかりだ。当然、こちらもLV.100であり、それに準じた装備とアイテムを身に付ける。

 そうなれば、初期の頃にお世話になったアイテムは使わないか、使えない。普通は売却したり、捨てる物だが貧乏性のギルドメンバーはほとんど残して、この宝物殿に放り込んでいく。

 しかし、この世界はほとんどが低レベルの存在で、それに準じた生活になっている。ならば、初期のアイテムも使えるだろうという考えだ。

 

「いいぞ。そのまま作業を続けてくれ。」

「はっ!了解いたしました。それで、ゼルエル様がシズ殿とご一緒という事は…」

「…やはりお前も知ってるか?」

「宝物殿の一角であるあの場所(・・・・)ですね。存在は知っております。」

「やはりか。シズはギミックは知っているのか?」

「はい。ギミックだけ(・・)は、知ってる。」

 

 プレアデスの一人、シズは設定上、ナザリックのギミックの全て(・・)を熟知している。当然、極秘扱いの場所のギミックもだ。

 

「やはり…シズ、この事は極秘だ。アインズさん以外には絶対に他言するな。」

「かしこまりました。」

 

 シズはこの設定故、ナザリックから出せない。だからゼルエルの護衛兼補佐としてナザリックにいてもらっている。

 

「さて、あいつ(・・・)に会ってくるか。シズ、パンドラ、ついてこい。」

「「はっ!」」

 

 

 宝物殿の最初の転移場所。ここには文字通り、山の様に積まれたユグドラシル金貨と、ゴミ同然のアイテムの置き場所になっている。

 ユグドラシル金貨の山の向こうに、宝物殿の壁があるのだが、ゼルエルはこの壁の一部を押す。何の変哲も無い壁は、三つ(・・)のくぼみがある壁に変化する。

 

「では、お前達のリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンをここへ」

 

 シズとパンドラの指輪をくぼみの端にそれぞれはめ込む。真ん中にゼルエルの指輪を入れると、壁は消え真っ暗な部屋の入り口が現れる。

 

「お前達はここで待っていなさい。」

「かしこまりました。行ってらっしゃいませ。」

「わかった。お気をつけて。」

 

 ゼルエルが入ると入り口は壁に戻り、暗い部屋は僅かに明るくなる。

 すると、どこからともなく、三つの台が現れ、その上には三つのアイテムが置かれている。

 

 もし、ユグドラシルのプレイヤーがいれば、絶叫しただろう。このアイテムは神器級(ゴッズ)アイテムの中でも指折りの性能を持つアイテムであり、ギルドでは『三種の神器』にあやかり、『三種の神器(ゴッズ)』と呼んでいる。

 

 しかし、ゼルエルはこのアイテムに目もくれず、奥の方に行く。

 そこには三体のゴーレムが設置されている。

 左側には山吹色と白色の二色を基調としており、頭部には目の様な赤いものが一つあり、大型の鎌を持っている。右側には青色を基調として、頭部には大きな一本の角があり、目の部分には赤いバイザーが装着されている。真ん中には紫色を基調とし、四つの目と四つの腕を持ち、腕には螺旋状の赤い槍を二本、二つの腕で持っている。

 ゼルエルは左のゴーレムを操作し、右のゴーレムの首を切り落とさせる。

 すると、右のゴーレムの胴体から赤いモノ(・・)が飛び出し、大きな赤い球を作る。しばらくすると、赤い球は手のひらに乗る程度まで小さくなり、ゼルエルの手に収まる。

 そして、ゼルエルは真ん中のゴーレムの口を無理矢理(・・・・)開けさせ、その口に赤い球を押し込む。

 すると、ゴーレムは赤い球を噛み砕き(・・・・)、身体の色を神々しい白色に変え、後ろに二つの光輪を出現される。同時に右側のゴーレムは体色を黒に変え、別の頭部が出現する。

 

(なんじ)、何なる者か?』

 

 真ん中のゴーレムの光輪に、文字が浮かび上がる。

 

「我が名はゼルエル。アインズ・ウール・ゴウンの使徒にして、災厄の創造主なり。」

 

 そうゼルエルが言うと、真ん中のゴーレムは上に移動し、一人だけが通過できる道が開ける。

 

 

 この先のエリアは名を『辺獄エリア』といい、あるNPCの封印(・・)場所である。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 エ・ランテル、冒険者組合

 

 ここは冒険者組合。日々、多くの冒険者に仕事を斡旋して、そのサポートを行う場所である。

 この場所ではいつも会話が絶えないのだが、今日は一つのチームの会話でいっぱいだった。

 

「すげえフルプレートだな。」

「あの女、可愛いな。」

「姉妹か?」

「どっかのボンボンだろ。」

 

 主にフルプレートの男に向けられる嫉妬と小馬鹿にした声が上がるも、男はそれを無視、否…

 

(読めん…)

 

 聞いてさえいなかった。モモンは仕事を張っているボードを凝視していた。

 

(ナーベとユイも字は読めないしな…)

 

 モモンは一つの紙を剥ぎ取り、カウンターに置く。

 

「これを受けたい。」

「申し訳ありません。こちらはミスリルプレートの依頼でして」

「知っている。だから持って来た。」

「規則ですので」

「くだらん規則だ。」

「失敗した場合、多くの方の命が危険に晒されます。」

「ふん。私の連れの一人は第三位階魔法の使い手だ。」

「第三位階⁉︎」

 

 第三位階魔法は(この世界では)才能のある者が努力して辿り着ける位階魔法であり、若いナーベが習得していると言うのは、非常に珍しいのだ。

 

「そして、私は彼女に匹敵する戦士で、彼女の野伏(レンジャー)の才能はここにいる者の中で最高だろう。」

「!?」

 

 第三位階の魔法詠唱者(マジックキャスター)に匹敵する戦士と、その彼が言う最高の野伏(レンジャー)。この一団を見る目は豹変する。

 

「私達はレベルに見合った仕事を望んでいる。」

「申し訳ありませんが、規則ですので。」

「そうか…我儘を言ってすまなかったな。なら、(カッパー)のプレートで最も難しい仕事を見繕ってくれ。」

「かしこまりました。」

(よし!作戦成功!)

 

 モモンは内心ガッツポーズをしながら、仕事を待っていると、ある一団から声をかけられる。

 

「ならば、私達の仕事を手伝いませんか?」

「うん?」

 

 

 

 声をかけたのは、『漆黒の剣』と言う冒険者チームであった。

 

「ではまず私から。『漆黒の剣』のリーダーであるペテル・モークです。そしてこちらがチームの目と耳である、野伏(レンジャー)のルクルット・ボルブ。」

 

 ルクルットと呼ばれる男がナーベとユイに手を振るが、華麗にスルーされる。

 

「あちらが治癒魔法や自然を操る魔法を使う、森祭司(ドルイド)のダイン・ウッドワンダー。そして最後に魔法詠唱者(マジックキャスター)であり、チームの頭脳、ニニャ・ザスペルキャスター。」

「ペテル、その二つ名やめません?」

「え?どうして?かっこいいじゃないですか?」

「こいつ、生れながらの異能(タレント)持ちなんだぜ。」

「ほう。タレント。」

 

 話によると、魔法の習得期間を半分にするタレント、つまり、魔法のみの経験値を倍にするタレントだ。

 

「まぁ、この街にはもっとすごいタレント持ちがいますから。」

「ンフィーレア・バレアレ殿であるな。」

「というと?」

「なるほど、彼の事を知らないということは、この街の人ではありませんね。」

「えぇ、最近来たばかりでして。」

「わかりました。彼のタレントは『ありとあらゆるマジックアイテムを使用可能』というタレントなんです。」

「それは…すごいですね。」

 

 マジックアイテムの中には、人間種のみが使用可能や異形種のみが使用可能といった物や、職業レベルを一定以上取得しなければ使用できないといった物も多い。それをすべて無効化するとしたら、敵なら厄介、味方ならば心強い能力だろう。

 

「その人間、危険かと。」

「ああ。ポーションの事もあるだろうしな。」

 

 モモンは昨日の情報で、バレアレという店に例のポーションが持ち込まれた事を知っており、それなりに警戒していたが、そのバレアレの人間にそんな希少なタレントを持っている人物がいる事は知らなかった。

 

(接触してきた時には警戒するだけにしようと思ったが、これは厳重警戒だな。できれば取り込みたいが…)

 

 アインズはアンデット故、ゼルエルは使徒故に、ポーションは必要無いが、消耗品であるポーションの補給は欲しい所であり、さらにおまけで希少なタレント持ちまで付いて来るのなら、極力傘下に加えたいと思っていた。

 

(後でゼルエルさんに報告しとくか。)

「ではこちらの自己紹介を。私がモモン。こちらの長髪の方がナーベで、短髪がユイです。一応、二人は姉妹で、ナーベが姉です。以後、お見知りおきを。」

「なるほど。こちらもよろしくお願いします。」

 

 一通りの自己紹介を終えた一団は仕事の話に入る。なんでも、モンスター討伐で報奨金をもらうという仕事らしい。モモンがそれに同意し、顔合わせ(モモンだけ)を行った。

 

「南方にモモンさん達のような顔立ちが一般的な国があると聞きましたが…」

「ナーベとユイも異邦人なので、厄介事に巻き込まれないよう、顔を隠しているんです。」

 

 実際はモモンの顔は幻術で作っており、視覚だけを誤魔化すものなので、触られないようヘルムを装着しているだけである。

 ラミエルは色だけなので、隠す必要が無い。

 

「ところでモモンさんと姉妹の御二方はどのような関係なんでしょうか?」

「…仲間ですが?」

「ナーベさん!惚れました!一目惚れです!付き合ってください!」

「だまれナメクジ。身の程をわきまえてから声を掛けなさい。舌を引き抜きますよ。」

「…姉さん、言いすぎです。」

「厳しいお言葉ありがとうございます!ではお友達から始めてください!」

「ウジ虫が。目玉をスプーンで「姉さん、もう少し穏やかに。」…魔法で吹き飛ばしますよ。」

「くう~!その冷たい眼差しがまた「仲間がご迷惑を」

 

 ぺテルがルクルットを押さえつけて、この話は終わった。

 

 

「お互い、用意も揃ってますし、すぐ出立しましょうか?」

「はい。」

「モモンさん?」

 

 先程の受付嬢がモモンに声を掛ける。

 

「ご指名に依頼が入っております。」

「一体、どなたが?」

「ンフィーレア・バレアレさんです。」

「え?」

 

 あたりが騒然とするも、一人近づいてくる人間に、ナーベがモモンの前に出て、剣を抜こうとするも…

 

「待って下さい。」

「ユイ!?」

 

 ユイがナーベの隣に移動し、剣の柄を抑える。もちろん、マントの中でだ。

 

「いくらなんでも無謀です。モモンさんの安全が第一ですが、自重して下さい。」

「そうだな、いきなり剣を抜くのは危険だぞ。」

「も、申し訳ありません。」

 

 ユイはゼルエル直伝の処世術でそれなりに冷静に対処できるようになった。

 

「初めまして、僕が依頼させていただきました。」

「すまないが、私はすでに依頼を受けた身。光栄なお話ですが…」

「モモンさん!名指しの依頼ですよ!」

「それでも先に依頼受けた方を優先するのが当然でしょう。」

「しかし、折角の指名を…」

「であれば、お話だけでも聞いてみるというのはどうでしょうか?」

 

 アインズはいきなり接触してくるとは思っておらず、しかも向こうから来るとは願っても無いことだったが、ここで釣られては危険と考え、あえて興味が無いふりをしていたのだ。

 

 

 ンフィーレア・バレアレの仕事は薬草採取のためにカルネ村近くまで行くので、その護衛を依頼したいというものだった。

 

(ポーションのことは知らないふりか…)

「ぺテルさん。私に雇われる気はありませんか?」

「というと?」

「私達はこの周辺の土地勘が無いので、あなた方のサポートが欲しいんです。」

「なるほど。ありがたい申し出です。」

「こちらも問題ありません。」

「最後にンフィーレアさんにお聞きしたいのですが?」

「何です?」

「なぜ私なのでしょうか?」

 

 アインズは核心にせまる。

 

「お客さんが話していたんです。あっという間に上のランクの冒険者を吹っ飛ばしたと。それなら十分な実力ですし、ちょうど今まで頼んでいた冒険者さんが他の街に行ってしまいましたし。それに(カッパー)のプレートならお安いと思いまして。」

(あくまでポーションのことを知らず、かわりの冒険者としてちょうどいい存在か…)

 

モモンが事情を把握しようとしている隣では、すごい形相で睨んでるナーベと机の下で抑えているユイがいた。

 

「あの下等生物が…モモン様に虚偽を…」

「抑えてください。モモンさんの手の上で踊らされていると考えて。」

(ほんと助かるなー)

 

ゼルエルの気配りに感謝しつつ、これからの計画を考える冒険者モモンであった。

 

 

 




いかがでしたか?

ゼルエルのナザリック生活とモモンの冒険者生活の二つでわけています。モモンの方はこの先大きく変わるでしょう。ゼルエルの出番はもうちょっと先ですかね。

では、ありがとうございました。
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