fate+DM+オリ主=大惨事   作:ヤマアラシ齋藤

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次回から戦闘開始
ブリテン君の寿命が伸びた


転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし! 恐怖vs悪童 1

 

グラディアンレッドドラゴン。この名は超獣世界、火文明において知らぬものなどいないだろう。

太古の昔より生き抜いた実力、山すら遥かに凌駕する巨体、放出するマナは火山を噴火させる超常の獣。

嘗て火文明最強と謳われその称号に恥じぬ強さを持って他文明を蹂躙した怪物、それは闘匠メサイアとの戦いで命を落とした筈だった。

だが、1人の馬鹿の存在により再び生を受けこの異世界に蘇った。

ゲットを排除する為に惜しみなく与えられた抑止力によるバックアップ、それは超獣世界で奮っていた力をこの世界で奮う事が出来るという事。人々が生きるこの世界の理にはあまりに巨大すぎる存在

 

それが息を吐けば雲は割れ

それが翼を翻せば巨大な鎌鼬が空と大地を襲い

それがマナを放出すれば大地は灼熱の地獄となり

それが咆哮すれば人はその圧倒的な存在感に震え上がる。

全力でなくとも力を解き放てばこの星は滅ぶだろう。

 

それは力の体現者。火文明最強、故に抑止力は間違えた。確かにこの存在が己の力を思うがままに奮えば今のゲットに勝てるだろう。何故なら星ごと滅ぼしてしまえばゲットは何も出来ないのだから。

 

そしてこの存在は非力な者達が生きる星に何一つ興味を湧いていないのだから

 

「龍よ!今、貴方は誰かに会いに来たと言った!だが、この場に貴方の後輩と呼ばれる者はいない!」

 

「貴方の存在は民の者達に混乱を与えるだけだ!」

 

声が聞こえてきた。恐らく下で剣を奮って遊んでいた者達だろう。その言葉にそれは首を傾げた。

この塵芥共は何を言っているだろうか?力のない癖に俺に指図してきたのか?火文明最強と恐れられたこの俺に?

全く理解が出来ない。今身じろぎすれば飛んで消えていく塵のような存在が俺に命令をする?

 

「聞こえているのか!立ち退かないならばこの生命に賭けて貴様を倒す!」

 

俺を倒す…?どうやらコイツらは勘違いしているらしい。俺を倒せるのは俺と同じ時を生き、共に凌ぎを削りあった強敵のみ。

こんな有象無象の塵が俺と同じ台に立てるとでも思っているのか?

 

…一つ試してやるか

 

そう思い口から小さな火球を塵芥共向かって放とうとする。その瞬間、己と同格とまではいかないがそれでも中々に強い力を持った存在が近付いてくる事が分かる

 

「…そうか。お前か、お前が俺の後釜を継いだ奴なんだな」

 

見た事のある顔だった。悪魔神と聖霊王のガキと戦う前の作戦会議。その時にあのヴァルボーグの奴が連れてきた赤子。

どうやら俺が死んでそこそこの時が経ったらしい。あの赤子は少年となり、その身に自然のマナとバジュラの野郎とフィオナの森の加護を受け機神装甲を纏い、こちらを見ていた。

 

ずっと昔、忘れもしない。俺ですら挑まなかった仙界王達と同じ、二つのマナをその身に宿して。

 

「ハハッ…ハハハッ…ハーハッハッハッハッ!なんだそれは!?あの時の餓鬼がそんな事になってるなんて何で俺はあの時死んでしまったんだ!?」

 

勿体ない!生きている間にコイツと戦いたかった!出来るならば火文明最強の看板を賭けて死力を尽くして殺し合いたかった!

 

「俺が死んで火文明はどうなったかと思っていたがお前みたいな奴が台頭していたとは!」

 

なんという事だ。この場は戦うに小さ過ぎる。俺達が生きていた星ならばいくらでも地面があったというのに、この星は俺達が戦うに余りにも脆弱!

マナを放出しようとすれば大地は火を吹き崩れ落ち星は割れる。かといって力を抜いて勝てる相手では決してない!

あの仙界王と同じ力を持っている存在、そんな者に手を抜くなんて言語同断!

 

「なぁ後輩。名前を教えてくれ」

 

「…俺の名前はゲット。小さな勇者ゲットだ」

 

「ゲット…そうかゲットか。覚えたぞお前の名前を」

名前を噛み締めるように呟く。感慨深かった、死ぬ迄俺のような存在は生まれないものだと思っていたのに、俺と同等、自然文明の力を借りれば俺すら凌駕する存在が火文明から生まれたなんて

 

「おいゲット。お前二つのマナを宿しているみたいだが、一体何があったんだ?」

 

「…貴方が死んで色々あったんだ。サバイバーとかでてきたり光文明と水文明に侵攻したり仙界王が復活したりで大変だったんだ」

 

「…ハハッ。おいおい、お前最高かよ」

 

俺が出来なかった事。あの仙界王に喧嘩をコイツは売ったと言った。そしてそれに勝利したと。

そこまで聞くともう我慢出来なかった。抑止力とやらが何故ゲットを危険視するのか、何故この俺は何の為に呼び出されたのか。そんな事は全て頭から吹き飛んだ。

 

「少年!この場は危険だ!下がれ!」

 

「ここは私達に任せて君は逃げるんだ!」

 

今まで凄く気分が良かったのに一気に不快な気分になった。有象無象共の塵がゲットに対して何かを言っていた

 

危険だから下がれ?

君は逃げるんだ?

 

何を言っているんだコイツら?火文明に退却なんて言葉はない。俺ですら成し遂げられなかった偉業を成し遂げたゲットにコイツらは何を言っているんだ?

実力のない奴が実力のある奴を心配するなんて無礼以外の何者でもない

 

「君はまだ子どもだろう!こんな場所に来てはならな」

 

「黙れ塵芥!俺達火文明を…ゲットを侮辱するならばこの星ごと消し去ってやろう!」

 

全身から炎が溢れ出す。その炎をみて眼下の有象無象の塵芥共が逃げ出すが知った事ではない。これは侮辱だ。塵芥が俺達火文明への、その頂点に立つ存在にそのような言葉をかけるなんて許されない

 

俺の言葉にゲットがピクリと反応する。そう言えばゲットが王になるのを防ぐ為に俺は呼び出されたんだったな

ならば…一つ良い事を思い付いた。

 

「ゲット!話は知っている!お前はこの国の王になるのだろう?お前は超獣世界に帰るべきだ!こんな小さな世界ではお前は輝けない!退屈するだけだ!」

 

俺には対等な強敵がいた。だからこそ生きるのに飽きはなかった。強敵との戦いに胸を膨らませ、命を賭けた戦いの中で満足していた。

退屈は生きるということすらも飽きさせる。この世界にゲットと対等な存在はいない。もしかしたらいるかもしれないが、もしもいなければゲットはモンスターの宿命である闘争を求める性を処理出来ず自ら死を選んでいくだろう

 

それは駄目だ!そうならない為にもゲットは帰るべきだ!俺達の故郷、超獣世界へ!

 

「俺がこの星を滅ぼすのが早いか、お前がこの俺を倒すのが早いか。単純な力比べといこう!」

 

その言葉に目の色を変えたゲットが機神装甲に装着してある重火器の照準をこちらに向ける。

 

「スマンが先輩。ここにはアルトリアとケイがいる。この国に危害を加える前に元の世界に帰ってもらうぞ!」

 

「やってみろ後輩がァァァァッ!!」

 

人知を超えた戦い、世界観ガン無視の戦い。後にゲットはこう語っている。

 

 

「…正直アレが一番辛かった。あのドラゴン本気でこの星ぶっ潰すつもりだったんだし」

 





後輩の事を案じる優しい先輩
※他の有象無象は星ごと消え去っても良いとの事

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