「デス」「DEATH」「「デース(DEEAATH)!」」 作:こそ泥
自分は10連3回で星54枚だったのですが皆さんは如何でした?(自慢)
『今日は早く帰ってくるからな』
『イイ子にしてるのよ?』
『わかってるDE―ATH!』
夢だ。眼前に浮かぶ懐かしい顔を見て凸守は気がつく。まだ、世界が優しく温かかった頃
『帰ってきたら一緒に遊ぼうな』
『それじゃあ、行ってきます』
『パパ、ママ、いってらっしゃーい!』
最後に見た両親の記憶。なぜ、今こんなものを・・・
「・・・」
目を開けて見えてくるのは知らない天井。一体なぜ、こんなところに・・・
「っ!!」
ガバッと飛び起きる。辺りを見渡すとそこは病室のように感じる。様々な薬品の置かれた棚。真っ白なベッドに自分の来ている薄緑の患者服が映える。備え付けの窓からすぐ側に海が見え凸守はここがどこなのかを察する
「ここは・・・」
「二課の保有する医務室だ」
ガー、と無機質な音を立ててドアが開く。入ってきたのは赤いシャツにピンクのネクタイをした熊のような大男。凸守は写真を見たこともあるし直にあったこともある。だが、ベッドの横の椅子、手を伸ばせば届く距離にいるというのに威圧感はない
「風鳴、弦十郎・・・」
「なんだ、俺のことを知ってるのか?」
「・・・マスターから話は聞いてるし一度会ってるDEATH」
「コイツとは戦闘をするな。するならばノイズをけしかけるだけにしておけ」あのマスターにそこまで言わしめる程の人間を、それもこんな目立つ相手を忘れるはずがない
「・・・そうか。早苗くん。君がマスターと呼ぶキャロルくんのことだが・・・」
「・・・・・・」
フルフルと凸守が頭を振る
その様子を目で確かめた訳ではない。だが、なんとなしに彼女ならそうするだろうという確証が凸守にはあった
「すまなかった」
「・・・」
スッと弦十郎が頭を下げる
「俺たちが迅速な対応をしていればあるいは――」
「いいDEATH。・・・きっと変わらなかったDEATH」
「・・・すまない」
二度、弦十郎が頭を下げる。ベッドに座っている凸守からも見えるぐらいにその握り拳は震えている
「・・・なら、一つだけ、お願いDEATH」
少しでいいから、席を外して欲しい。自分は重要参考人であるだろうに二つ返事でそれに答えてくれた彼が部屋を出る。嗚咽混じりの声を背で受け止めながら弦十郎は司令室へと戻った
―――あれから三日
「というわけで新しく仲間になった凸守早苗くんだ!」
「よろしくDEATH!」
司令室に呼び出された奏者が見たのはいつか見たシルクハット姿の弦十郎に薄ピンクの半袖に水色のスカート。クリーム色のスカーフを首に巻いた私服姿の凸守だった
「さ、早苗ーーーっ!」
「うおっ!?切歌!一体何するDEATHか!?」
「早苗が倒れた時からずっと心配してたから・・・」
「ちょ!?だからってコレは・・・!お、お前らも笑ってないで助けるDEATH!!」
「早苗早苗早苗ーーっ!」
(・・・羨ましい)
飛びついた切歌に押し倒されもがく凸守。筋力は見た目相応なのか頭をグリグリと押しつけてくる切歌を引きはがすことを早々に諦め周りを見るも全員が笑うだけで助けの手は伸びない
だが、心地いい居場所だと凸守は思う。その様子は口では嫌がりながらも困ったように笑う顔を見れば誰もがわかった
「い、いやぁそれにしてもまたこうして一緒に入れて良かったデスよ」
話が進まないとクリスからカミナリの跡を撫でながら切歌が凸守から離れる。・・・ちなみにその背中側の服を誰かがつまんでいるのだが本人の名誉のために言わないでおく
「てっきり、その・・・消息不明なんて言われたから、てっきり・・・」
「キリちゃん!」
「・・・ごめんなさいデス」
「・・いや、しょうが無いDEATH。凸守だって無事で居られると思ってなかったDEATHから」
ポツリポツリと凸守はその過去を語り出す
「幽閉、されてたDEATHよ」
「幽閉!?」
「そんなことが・・・」
((ユーヘイってなんだろう・・・))
「幽閉っていうのは監禁とか閉じ込められるって意味だよ、響」
「ウエッ!?そ、そのぐらい・・・」
思わず声を上げた響を静かにして話は進む
「凸守のシンフォギアはミョルニル。雷神の使ってたとされる武器DEATH。その能力は、増幅。ミョルニルは小さな静電気を増幅して電気を纏ってるDEATH」
「!それで・・・」
その力の汎用性に驚愕する。もしも静電気を雷へと変えられるのであれば電力事情は大きく変わるだろう。それこそたった一つの発電施設で米国にある全ての都市の電力を賄うことも夢ではない
「だからミョルニルの力を使うように色々と脅されたりもしたDEATH」
「それは・・・」
二の句が継げない。だがそんな様子を見た凸守は悪戯が成功したかのように笑みを見せる
「とは言っても、すぐにマスターに助け出されたからあんまり酷い目には遭ってないんDEATHけどね」
「「「・・・へ?」」」
ポカンとした顔が面白いのかケラケラと笑う
「何間抜けな顔してるDEATHか?凸守が危険な目にあったと本気で思ったんDEATHか〜?」
「さ、早苗〜〜!!」
「ビックリさせないでよ〜!」
今この場にいる中でも特に騙されやすい切歌と響は自分が騙されたと気付くと安堵した顔で凸守を囲む。クリスや調などもホッと胸を撫で下ろし安心した顔で凸守を見つめる
「・・・・・・」
だが幾人かは形相が更に険しくなる
マリアはF.I.Sという組織の闇をよく知るから
弦十郎はその観察眼で凸守の腕が一瞬反応したのを見分けたから
それぞれの理由で彼女の嘘を、それが意味することを察し自然と顔が歪む
「さて、これからの話だ」
だからこそ弦十郎は話題を変える。今、自分に出来るのはそれぐらいしかないとわかっているから
「早苗くんが敵に加担していたのは事実だがーー」
「ま、待って欲しいデス!早苗だって進んでやった訳ではーー!」
慌てて切歌が弁明に入る。他の奏者も切歌ではなく弦十郎を見ているあたりその意思が伺える
「わかっている。その点には情状酌量の余地があると俺たちは考えている」
ブゥンと音を立てて画面に表示されたのは様々な写真。共通しているのはどの写真にも凸守の姿が映っていること
「先日の発電所襲撃の様子なども記録されているがあの場所のみ重傷者や死者が出ていないのが幸いだった」
その言葉と同時に数枚の写真がピックアップされる。その写真には手に持つ鎚ではなく握った拳で従業員を攻撃する様子や意識を失った従業員を移動させる様子が映っている
「それに加えて要救助者の避難誘導や離反してこちら側についたこと、置かれていた状況から・・・」
ゴクリ、と唾を飲む音がする。誰もが真剣に弦十郎を見つめているのを確認すると今までの真剣な顔から一転、朗らかに笑うと
「これから早苗くんの身柄は二課預かりとなる!」
「やったーー!」「デース!」
「よかった・・・」
「フゥ・・・」
「はっ、勿体ぶらずにさっさと教えろってんだ」
「そう言うな、雪音」
「・・・・・・・へ?」
喜びに沸く一同。唯一ついていけてないのは当の本人のみ
「・・・え?」
「良かったデスね!早苗!」
「いやいやいや、おかしいDEATH!凸守はあんなに酷いことしたんDEATHよ!?それを・・・!」
「もちろん、君がやったことは悪いことではある」
「だったら・・・!」
凸守は確かに人を傷つけ、物を破壊し、罪を抱えた
「だが、それは君を救えずそんな状況に追い込んでしまった俺たち大人の責任でもある」
「なっ!?」
「だから、俺たちにも償わせてはくれないか」
「私達も早苗と同じようなものデスし」
「今度は私達も一緒だから」
その罪を、今度は一緒に背負わせて
「・・・ふ、ふん!勝手にすればいいですよ」
「わかってるデ~ス!」
「うん。勝手に一緒にいるよ」
「・・なんでこんなに小っ恥ずかしいことがいえるんDEATHか?」
「何か言ったデスか?」
「なんでもないDEATH!」
はしゃぐ三人をまるで母親のような目で見つめるマリア
「・・・いいのか?マリアは混ざらなくて?」
「あの二人は早苗と本当に仲良くしていたもの。今は遠慮しておくわ」
「マリア!なにしてるデスか?」
「お呼びみたいだぞ?」
「・・・ハア、しょうが無いから呼ばれてあげるわ」
マリアも加わり和気藹々とし始めた司令室にその部屋の主が声を上げる
「シンフォギアの改修も終わり、新しく早苗くんも加わった。新しい戦力の確認のためにも、ここらで一つ特訓だ!」
「「「特訓?」」」
特訓当日―――
「イヤッホオォォーーー!」
「デスデスデース!」
「「待ってよ響!(キリちゃん!)」」
響と切歌が砂浜をかけ、その後を未来と調が追う
燦然と輝く太陽が地を焼き、押し寄せる波が涼を呼ぶ。雲一つ無い晴天に湿り気と磯の独特の香りが混ざった風が頬を撫でる
彼女たちの姿は政府の保有する海水浴場にあった
「煩わしい愚民もなく実に爽快DEATH!」
「早苗、あんまり愚民とか言ってはダメよ?」
「わかってるDEATH!マリアに言われなくても時と場所ぐらい選ぶDEATH!!」
「そう。・・・それはそうと他の水着はなかったのかしら?」
「コレは凸守家に代々伝わる伝統的な水着DEATH!・・・そういうマリアこそその水着はどうなんDEATHか?」
「アハハハハ・・・」
少し遅れてきたのはマリアと凸守にエルフナイン。エルフナインはトランクスタイプ。マリアの水着は赤と黒のクロスホルターにサングラス。凸守は・・・
「だからといってスクール水着はどうかと思うのだけれど・・・」
「身体にフィットすることで水の抵抗をなくし被覆面積の大きさは他の水着と比べて圧倒的に優れ何より安価であるという三拍子揃ったこの水着のどこがいけないというのDEATHか!?」
(・・・小学生にしか見えない)
ちなみに、凸守は今15歳であり、あと一月ほどで16になる。世間一般では高校生と言われる年頃だ
「いやぁ、今回はマシな特訓になりそうだな!」
「ふむ、私としては前回と同じ内容でもよかったのだが・・・」
「丁度いいところに来たDEATH!」
最後に来た翼とクリスを見つけた凸守が目を光らせる
「どうしたというのだ?」
「にしてもその格好・・・」
「ちょっと、お二人に聞きたいんDEATHけど、凸守のこの水着、どう思うDEATHか?」
凸守が自分の水着をつまみながら二人に問う。その答えは・・・
「いいんじゃないか?」
「ちょっとなぁ・・・」
「「ん?」」
見事に反対の意見を出す二人。顔を見合わせる
「機能性もあるし似合っている。別に問題ないと思うが・・・」
「ハア!?イヤイヤ、流石にスク水はないだろ?もっと、その、カ、カワイイ奴とか選んだ方がいいんじゃないか?」
「・・・雪音」
顔を真っ赤にしながら照れる雪音もカワイイなあと翼が思っていると
「だ、だいたい!機能性って言う割には胸の辺りが苦しくなるから好きじゃないんだよな」
「なっ!?」
「そうね。少し胸の辺りが苦しそうね」
「DEATH!?」
続いて
「ふ、フフフ」
「・・・DE―ATH」
「な、なんだよ」
「二人ともどうしたの?」
ユラリと立ち上がる
「「決闘だ!(DEEAATH!)」」
「・・・それでなんでビーチバレーになったの?」
「よくわかんないんだけどどうも早苗ちゃんと翼さんがマリアさんとクリスちゃんに挑んだらしいよ?エルフナインちゃんは何か知ってる?」
「すみません。ボクもよくわからないです」
未来、響、エルフナインの三名の前には疲れ切った四名の姿がある。炎天下の中で行われた激闘の勝者は言わないでおくが拳を握りしめながら突っ伏している凸守とどこか満足げな翼の姿が印象的だ
「冷たいお水持ってきたデース!」
「それと冷たいタオルも!」
パタパタパタ、と足音を立てながら切歌と調が施設の中から冷たい飲み物とぬれタオルを手にやってくる
「す、すまない・・・」
「ありがとな・・・」
翼とクリスがタオルを手に汗を拭きながら礼を言う。マリアと凸守は切歌から受け取ったドリンクを喉を鳴らしながら一息に飲み干している
「あ゛~、生き返るわ」
「まったくDE~ATH」
おじさんのように腰に手を当てながらペットボトルを呷りタオルで汗を拭う二人の姿は身長差も相まって父親とそのマネをする子供のよう
「プッ、クククククク」
「ちょっと響、笑ったらダメじゃない」
「だ、だってぇ~」
「・・・ゴホン。そういえばお昼ってどうするのかしら?」
「凸守はよく知らないDEATH」
顔を見合わせる全員。一般の使用者が居ない都合上、施設の内での食品販売はしていない。つまり・・・
「誰かが買いに行くしかないデスね・・・」
「こういうときはジャンケンだな」
「正々堂々、押して参る!」
血気盛んな数人が名乗りを上げる。すると、
「凸守はグーを出すDEATH」
「なんデスと・・・!?」
「小賢しい駆け引きか・・・!」
「何とでもいうDEATH。凸守は買い出しなんて行きたくないんDEATH」
(でもジャンケンはするんだ・・・)
迷走する場。頭を抱えながら他の人の手を予想するもの、心を落ち着かせようと目を閉じるもの。それぞれの思惑を胸に振りかぶる
「「「「ジャン、ケン、ポン!!」」」」
「まさか裏の裏をかいたのが徒になるとは・・・」
「凸守の計算だとチョキだったら勝てるはずが・・・」
「二人とも、いつまで引きずってんだ?たかがジャンケンだろ?」
「そうデスよ。それに好きなの買ってたじゃないデスか」
ガー、という音を背にコンビニから出てきた四人。翼と凸守は悔しそうな顔をしているがコンビニの中で特にはしゃいでいたのを見ていた切歌とクリスは白い目で二人を見ている
「ほら、さっさと戻るぞ!」
「仕方ないDEATH・・・?」
「どうしたデスか?いきなり・・・」
戻ろうと歩き始めた四人。しかし、歩き始めてすぐに凸守が立ち止まりすぐ側にあった裏道の先へ視線を向ける。釣られて三人がそちらへ目を向けると人だかりが出来ている。そしてその先には石段が神社へと続いている
「・・・・・・・」
「早苗?なに怖い顔してるデスか?」
「ただの神社だろ?なんでそんな・・・」
「待て、様子がおかしい」
視線の先。人だかりの先に見えるのは大きな氷がアチコチに刺さった石畳。石段の上の鳥居は半分ほどしかなく残ったものにも大きな氷が刺さっている
「!!」
「早苗!?」
「おいどうしたってんだ!?」
ダッ、突然来た道を走り始める凸守と慌てて追う切歌とクリス。話を聞いていた翼が緊急事態に思わず追いかけようとすると
ズゥゥゥン
軽い振動が伝わる。地震にしては揺れ幅が小さく、それにしては重く響く音が凸守達の行き先・・・先程まで遊んでいたビーチの方から聞こえてくる
「な、なんだぁ!?」
「地震!?」
(クッ、まさか襲撃!?・・・だがもしそうならココを離れるわけにも行かない・・・)
祈るような気持ちで翼はかけていく三人の背を見つめる
「まさか、襲撃デスか!?」
「こんな真っ昼間から無茶しやがる!!」
「おそらく相手はガリィDEATH!急ぐDEATH!!」
駆ける三人。すぐさまビーチまで着くとそこでは響と調の二人が未だ多くのノイズを相手に善戦していた
だがそこに未来やエルフナインなどの姿が、ない
「そんなまさか!?」
「落ち着くDEATH!マリアも居ないからきっとどこかに避難させてるはずDEATH!」
「ご託は後だ!さっさとかたづけるぞ!!」
銃やミサイルなど、遠距離に有利な攻撃を持っているクリスが響と調の周囲にいたノイズを一掃する
「私達はマリアさんを追います!」
「あとをお願い!」
「わかったデス!」
「任せろ!」
「了解DEATH!」
調のギアが車輪のような形状に変化し響を伴って離脱をはかる。その周囲へ群がるノイズをクリスが撃ち、切歌が裂き、凸守が打つ。ただでさえ減っていたノイズを三人がかりならば駆逐するのにそこまで時間はかからなかった
すぐさま調達の後を追った三人。林の中を通る道の中程で抱きかかえられているマリアと必死に声をかける調がいた
「「マリア!!」」
「おい、大丈夫か!?」
「・・・大丈夫。怪我はないみたい」
状況を聞くとガリィが響達の救援に気づくとイグナイトの使用に失敗したマリアを放置して撤退したらしい。非戦闘員の未来やエルフナインに危害を加えずいたことが不気味さを増す。既に主たるキャロルは居ないというのに・・・
「どうなってるDEATHか・・・」
凸守のその言葉はこの場にいる全員の代弁でもあった
「ねえ。早苗ちゃんはキャロルちゃんの目的がなんだったのかって知らない?」
「・・・へ?」
「ちょっと響!」
施設内、応接室。他の人が居ないのをいいことに一番快適な部屋を占領したあと、様々な話し合いをしている際にその言葉は放たれた
「いや、ほら!もしかしたら知ってたりしないかな~って・・・思ったり・・・」
「だからって・・・」
「いや、丁度いい機会だろう。聞いても構わないか?」
「・・・すまないDEATHけど、凸守はあんまり詳しく聞いてないんDEATHよね」
「そうなの?」
コクリとうなずくと凸守は話す
「凸守も前に聞いたことはあるDEATHけどその時は『パパの命題を解く』って言ってたDEATH。エルフナインは何か聞いたDEATHか?」
「すみません。ボクもキャロルのパパの記憶はあるのですが目的まではさっぱり・・・」
エルフナインと凸守はそれぞれ首を振る。その様子を見てふと気がついたように切歌が声を上げる
「そういえば聞いてなかったデスけど早苗は向こうにいるときは何をしてたんデスか?」
「凸守はマスターに助けられたあとはミョルニルの改修が終わるまでは偵察ぐらいしかやってなかったDEATH。そのあとは戦闘の訓練ぐらいDEATHね」
「偵察ってお前潜入とかでもしてたのか?」
「スパイとかニンジャじゃないんDEATHから潜入なんてしてないDEATH。使ってたのは小っちゃな虫みたいなやつDEATHよ」
これぐらい、と言いながら凸守が親指と人差し指で小さな隙間を作る。その大きさは綿棒の先程の大きさだ
「そんなに小せぇってこの場にもいたりしねぇだろうな?」
クリスの一言に思わずキョロキョロと周囲を見回す全員。どこから見られているかわからないという不安に顔がこわばるが
「大丈夫DEATHよ。そこの対策はあのおっさんとエルフナインとで対策済みDEATH」
「既に錬金術特有の波形を検出するプログラムを作成してあります。監視の目は今はありません」
「さっすがエルフナインちゃん!」
「ただ精度があんまり高くないですし誤動作も起きるのであんまり信じ切らないでください」
「いや。それがあるだけでも状況はかなり変わるだろう」
「だな。あるとないとじゃずいぶんと違うだろ」
「さすがはエルフナインちゃん!」
安心した顔でエルフナインを褒める奏者達。マリアさんの様子を見てきます!そそくさと顔を赤くしたエルフナインが走り去る
マリアの話に自然と盛り上がった空気も霧散する
「マリア・・・」
「マリアならきっと大丈夫デス!」
「だといいけど」
「マリアならきっとイグナイトぐらい使いこなせるデスよ」
「うん。・・・早苗はどうやってイグナイトを使いこなしてるの?」
「DEATH?」
不意に凸守へと視線が集まる。翼やクリスも一度経験した辛さを目の前にいる自分たちより小さい少女が乗り越えていることにそういえば、と真剣な面持ちで見つめる
「・・・凸守は耐えてるだけDEATH」
「耐えてる?」
「そうDEATH。イグナイトを使うとまるで暗い部屋の中で縛られてるみたいになって、胸の奥が締め付けられて凄く苦しいんDEATH」
「そ、そんなに辛いものなんデスか?」
「それに耐えてるの?」
思わずこの中で唯一イグナイトを使っていない二人が冷や汗をながしながら他の奏者の顔を見る。ただ、どの顔も深刻そうな表情をするばかりで、逆にそれが間違っていないと物語っている
「でも、問題ないDEATH」
ハッと知らず知らずに下がっていた顔が上がる。声の方を向くと声の主は悲しげに笑っていた
「どんな時、どんな場所だって助けは来るDEATH。どこかの誰かさんじゃないDEATHけど信じて待つだけDEATH」
「信じて待つ、か・・・」
それぞれが思いを馳せる。それは自分の大切に思う人だったり、記憶だったり想いだったり。シンフォギアを握ってそれぞれが想うのは一体何か
だが、否応にも場面は変化する。彼女たちの居る応接間にノイズ出現のアラートが鳴り響く
「アルカ・ノイズの反応を検知っ!!」
「「!!」」
その知らせは今日二度目の襲撃の知らせ。即移動できるように腰を浮かせる奏者達へ出現ポイントが明かされる
「この場所・・・!マリアさんとエルフナインちゃんが襲われています!」
「!マリア達がピンチデス!!」
扉の側に居た切歌を筆頭に全員が駆け出す。一番奥にいた凸守も後に続こうと走り出す
「!!」
・・・直前、視界の端がレーダーをとらえる。思わず足を止めた凸守が呼びかけようにも他の奏者は既に走り去り残っているのは凸守と奏者でない未来や緒川さんだけ
「早苗さん?どうかしましたか?」
「~~~!!こっちDEATH!」
「早苗ちゃん!?」
突如入り口と反対方向に走り始める凸守とその後に続く緒川。凸守は施設の奥、機密文書や極秘ファイルなどを保管する保管庫へと向かう
「早苗さん!何が」
「コレを見るDEATH!」
「コレは・・・!」
凸守の差し出した錬金術の反応を追うレーダー。画面には数秒に一度のペースで錬金術の反応が向かう先で発生していることを示している
「まさか、襲撃は囮!?」
「コソコソ卑怯なまねするなDEATH!!」
緒川が襲撃の本当の目的に気がつくのと凸守が筆頭のドアを蹴破るのはほぼ同時だった
「あら、気がつかれてしまったの」
様々な機械が所狭しと置かれている一角、とあるコンソールの前にファラがいた。背後のコンソールは電源がつきブウンと音を立てている
「こんなところで奇遇DEATHね。・・・一体何を企んでるんDEATHか?」
「あら、私達を裏切ったあなたに私がわざわざ教える理由はあるのかしら?」
「それは!」
「そもそも。マスターのために働くと言いながら裏切ってのうのうと生きてるあなたがどの顔で私達の前にいるのかしら?」
「・・・・・・」
口から言葉にならない息が漏れる。脳裏に浮かぶのはキャロルに誓った言葉。その身を賭すと誓った言葉
動かない凸守を尻目にファラは動く
「私も忙しいの。今日はコレで失礼させてもらうわね」
「させませんっ!」
素早くコンソールから何かを抜き取るファラ。そこに隙をうかがっていた緒川が懐から銃を抜き取ると同時に発砲する
だが、周囲に精密機器のある状態での抜撃ちに慎重になりすぎたのか、弾丸は惜しくもファラのすぐ横を通り抜け攻撃が外れた。・・・かに思えた
「では・・・なっ!?身体が!?」
「このまま拘束させてもらいます」
攻撃の失敗を見てファラが動き出そうとし、不自然に動きを止める。ふと先程の銃弾の行き先を見ると銃弾はファラの影を打ち抜いていた
忍法、影縫い
対象の影を銃や剣で打ち抜くことで対象の行動を阻害する。科学でも、錬金術でもない古の技術がファラの自由を奪う。未知の技術に面食らったがファラとて一介の武人
「中々やるようですね。ですが・・・!」
「なっ!?」
ユラリとファラが
「やはり、影を媒介にしているようですね」
「くっ!?・・早苗さん、意識を強く持ってください!!」
「・・・」
コツ、コツと足音だけが鳴り響く。その音は既に拘束からの脱出を成している証
受けた技の特性を瞬時に見抜くのはその洞察力の高さ故か
反響する足音に周囲を警戒する緒川と言葉にも反応せず動かない凸守。いつ襲いかかってくるかと緒川が緊張していると
「では、今日のところはこれで」
「まっ、待てっ!!」
「・・・」
不意に先まで聞こえていた足音がしなくなる。同時に気配も消えていき残されたのは緒川と未だに呆然とする凸守
「・・・でこもり、は」
「早苗さん・・・」
「ただいまDEATH「流石はマリアデス!!」――?」
ファラが保管庫から奪っていったデータを探るため緒川を残して戻った凸守が見たのは他の奏者に囲まれたたえられているマリアの姿だった
「あ、早苗ちゃん!どうしたの?いきなり走って行ったって聞いたけど?」
「ちょっと、色々あったDEATH・・・。それより、一体何のお祭りDEATHか?」
「おお!よくぞ聞いてくれたデス!」
部屋に入ってきた凸守に響が気づく。お茶を濁す凸守に嬉しくて仕方ないといった様子で切歌が近づいてくると宣言する
「なんと、マリアがイグナイトを使って一人でオートスコアラーを倒したんデスよ!!」
「!!」
「とは言っても一体だけだったけど」
「早苗ちゃんも覚えてるよね?私と初めて会ったときに一緒に居た」
「ガリィ、DEATHか」
「そうデス、そいつデス!」
ガリィを倒した。自分はイグナイトを用いて戦った事は無いが彼女の戦い方は搦め手を得意とするもの。自分ではイグナイトを使用しても一筋縄ではいかないだろう
(みんな、前に進んでるんDEATHね・・・。それに比べて凸守は・・・)
「よ~し、それなら今夜もパーッと行きましょう!!」
「ま、たまには一日遊びほうけるってのも悪くねぇか!」
「デース!!」
胸の内を明かせぬまま夜は過ぎていく。花火やBBQなど楽しいイベントの中でも、いや、楽しいからこそ秘めた想いがチクチクと凸守の心を刺激し続けた
特訓前の様子
ク「特訓かぁ・・・」
凸「どうしたDEATHか?そんな暗い顔して」
ク「いや、前回の特訓がなぁ・・・」
切「そんなに凄かったんデスか・・・?」
ク「・・・前は『酔拳』だった」
三人「?」
ク「・・・お前らも見ればわかる」
スッ←クリスが一本のDVDを置く音
切「・・・嫌な予感がするデス」
調「一応、見てみよう」
凸「これって確か・・・」
〜〜〜〜〜少女視聴中〜〜〜〜〜
切「なかなか面白かったデース!」
調「それにしてもこれがどうしたというのだろう・・・」
凸「」ガクガクブルブル
切「どうしたデスか早苗?」
凸「本気DEATHか・・・?」
調「本気?」
凸「・・・本気でこの特訓するつもりDEATHか・・・?」
二人「「!!」」
それ以降、本部内にて特訓の内容が明かされるまで震える三人がよく目撃された
特訓中
切「思ってたよりもマトモでよかったデース・・・」
調「普通に考えたらあんな特訓できるはずないもの」
凸「凸守たちの考えすぎだったDEATHね・・・」
響「イヤァ〜、それにしても今回は前みたいにしないんですね」
翼「うむ。どうも司令曰くいい映画が見つからなかったらしい」
響「う〜ん、それなら前みたいに司令の家でブルース・リーの真似でも良かったと思うんですけど」
翼「まあ、流石にこの人数だしな。仕方あるまい」
響「それもそうですね」
切「もしかしてアタシたちって・・・」
調「凄く危なかったのかもしれない・・・」
凸「人間ヤメてるDEATH・・・」
それ以降、妙に後輩三人組が挙動不審だったと語る翼と響であった