「デス」「DEATH」「「デース(DEEAATH)!」」   作:こそ泥

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「司令、先日の襲撃で盗まれたものが判明しました」

 

S.O.N.G本部にある司令室。いつもなら奏者やオペレーターで賑わうその場所にいまは二人だけがいた

 

「そうか。それで一体何を盗まれたんだ?」

「どうやら奴らはナスターシャ教授の残したフォトスフィアのデータを持ち出したようです。幸い、発見が早かったことと元データが残っていたためにデータの復旧はできたのですが・・・」

「奴ら一体何を企んでやがる・・・」

 

男達の名前は風鳴弦十郎と緒川慎次。S.O.N.Gの司令とその頼れる右腕と言える存在だった

 

「現在、防犯システムの見直しとエルフナインさんに頼んでレーダーの改良を行ってもらってます。これで前回のように侵入されて気がつかないなんて事はありません」

「わかった。引き続き作業を進めてくれ。それと、奏者達の診断の結果はどうだ?」

「全員分終了してます。結果は・・・」

「ふむ・・・」

 

緒川から手渡された書類を確認していく弦十郎。その内容は・・・

 

「早苗くんと響くんの様子が芳しくないようだが・・・」

「ええ。どうやら響さんは先日出会ったお父上の影響。早苗さんは先日の一件が原因だと考えられます」

「他の皆はおおむね変わらずか・・・」

 

シンフォギアはメンタル面に大きく左右される。だからこそ診断などを通して常日頃から調子の良し悪しをチェックしていた

 

「・・・悔しいですね」

「・・・ああ」

 

戦う力が無いがために大人になっていない少女達に託すしか出来ない現状が歯がゆく感じる。響の過去や凸守の心情がわかってしまうがために自分たちが代わることができないのが悔しく思う

 

「だからこそ、こういうときは俺たちの仕事だ」

「皆さんに万全の状態になってもらうようサポートすること」

「少しでも彼女たちの負担を減らせるように働く。こんなことしかできねぇが子供に働かせてる分俺たちも頑張らねぇとな!」

「はい!」

 

そう言うと二人は自分の出来ることをしに行く。根回しや目撃者への口止め。お偉いさんの説得など自分たちのこなすべき仕事を進めていく

戦う奏者達の手助けをする。現場に出て戦う事が出来ないが故に他の面で彼女たちの助けになるよう働く。彼女たちはこうして大人に裏から支えられながら戦っていた

 

 

 

 

ところ変わって同時刻、とある公園

 

「今朝の検査結果だとイグナイトモジュールを使えるかもしれないデス!」

「あとはダインスレイフの衝動に抗うだけの強さがあるかだけど・・・」

「何言ってるDEATHか?そんなもの凸守に任せるDEATH」

 

三人の少女達がいた。検査の終わりに気晴らしに出かけた公園で今日の検査について話している

 

「何言ってるデスか!私達だって戦えるデス!」

「ハァ?わざわざ不確定なものに頼る必要なんてないDEATH!

「二人とも落ち着いて」

「「フンッ!!」」

 

調が仲裁に入るも聞く耳を持たずに二人はそっぽを向く

 

「・・・だいたい、切歌に任せてたら危なっかしくて見てられないんDEATHよ」

「なっ!?それを言ったら早苗だって似たようなものじゃないデスか!」

「なんDEATHと!?」

「なんデスか!?」

 

グヌヌヌヌ、とにらみ合う二人。調は既に溜め息を吐きながら二人を見ている。というよりも・・・

 

「ふふっ」

「「何がおかしいDEATH(デス)か!?」」

「だって、昔みたいで」

「「!」」

 

思わず顔を見合わせる二人。その顔はキョトンと見合わせている

このぐらいの喧嘩はF.I.Sに居た頃は三度顔を合わせれば起こっていた。再開した直後はそんな余裕もなくどこかぎこちなかったが段々と昔のような関係に戻ってきている。それが調には凄く嬉しかった

 

「・・・わ、悪かったDEATH」

「こ!こっちこそ悪かったデスよ!」

「クスッ」

「「笑うんじゃないデス!!」」

 

ピリリリリ

「「「!!」」」

 

賑やかな三人。話も盛り上がり始めたところで全員の端末が鳴る

 

「なんデスかいきなり・・・」

『アルカ・ノイズの反応を検知した!』

「!」

 

単刀直入に告げられた要件。そのたった一言で三人の顔つきが変わる

 

『現れたのは地下の共同溝だ』

「きょうどうこう?」

「共同溝DEATHよ」

「し、知ってるデスよ!凶童孔ぐらい!」

「・・・キリちゃん、たぶん違う」

『今響くんがそちらに向かっている。合流次第任務に当たってくれ』

 

ピッと音を立てて通話が切れる。三人は急ぎ共同溝入り口まで向かう

 

三人が到着し少し立つと通りの向こうから走ってくる人影が見える

 

「来たみたいDEATHね」

「ようやくデス!・・・おりょ?」

「・・・なにか様子が変」

 

走ってきた響は三人に話しかけるでもなく中へ向かおうとする。凸守はともかくそこそこ付き合いの長い切歌と調はその様子がいつもと違うことに気がつく

 

「なにかあったの?」

「・・・なんでもない」

「とてもそうは見えないデス!」

「二人には関係ないことだから!!」

「「!!」」

「・・・?」

 

いつもの響からは考えられない強い剣幕に驚く二人。付き合いの短い凸守ですらいつもと様子が違うということがわかる

 

「・・・ごめん。言い過ぎた」

「何があったか知らないDEATHけど戦場に市場は持ち込まないほしいDEATHね」

「ちょ、早苗!」

「・・・・・・ごめん」

「早苗も少し言い過ぎデス!」

「なに言ってるDEATHか?これからあるのは本当の命懸けDEATH。・・・とは言え、少し言い過ぎたみたいDEATHね」

「もう・・・」

 

口論が終わると皆黙って進み始める。いつ襲われるのかわからず広大な敷地を誇るためにシンフォギアを纏い進む四人だが、いつもと比べてみんなの様子は少し不安定だ

 

が、仕方の無い事なのかもしれない。響は失踪していた父との再会、凸守は先日のファラとの一件。そんな二人に当てられた切歌と調。自覚していないぐらい僅かだが確実にいつもの調子ではなかった

 

「見つけたっ!」

 

だからだろうか

 

「・・・来たナ。でも、今日はお前たちの相手をしている場合じゃ――!!」

「ハアアアアァッ!」「DEEEAAATH!」

 

話し合いもなく、合図もなしに響と凸守が突っ込む。会話すら遮って攻撃する二人に切歌と調は元より敵であるミカすらも想定外だと顔を丸くする

 

「まだ全部言い終わってないんダゾ!」

 

ジャラリと投げた結晶から数多のノイズが放たれる。そんなノイズに食らい付くように突撃する二人。だがそんな攻撃が当たるべくもなく外した攻撃や攻撃の余波で床や壁、天井に亀裂が走る

 

「二人とも!何してるデスか!?」

「二人とも落ち着いて!!」

「ウアアアァァァァッ!!」「凸守は落ち着いてるっ、DEATH!!」

「どうみてもそうは見えないデス!」

「とにかく、ここは一旦体勢を・・・!」

 

必死に二人が呼びかけるも響は止まらない。凸守も言葉に答えこそすれ攻撃の手は緩まない。だが手数こそ減らないものの散漫な攻撃では二人がかりでもミカに攻撃を当てることすらできない。見る間に凸守の額に青筋が浮かび

 

「まだるっこしいDEATH!!」

「早苗!?」

「イグナイトを!?」

「・・・ムウ」

 

ガシッと胸のペンダントを掴みイグナイトを作動させる凸守。その様子を見たミカが一瞬嬉しそうに顔を輝かせるがすぐに仏頂面になる。さらにその顔は面倒くさそうに変化する

 

 

ガアアアアァァァァァアアアアアァア!!?

 

凸守の叫びが地下の溝内に響く。それはまるで獣の咆哮のよう

 

「早苗ちゃん!?」

「これでいけるデス!」

「まって!様子が変!!」

 

GAAAAAAAAAAA!!!

 

いや、まさしく獣の咆哮だった。その目からは理知的な光が消え身体は黒に包まれる。漏れる呼気は野獣のごとく原始的な恐怖を呼び覚ます

 

「まさか、暴走!?」

「なんでデスか!早苗は元々暴走しなかったはずデス!!」

「・・・もしかして」

 

初めて再開した日、確かに凸守はイグナイトを使用して戦っている。その時はちゃんと制御出来ていたのが今では制御出来なくなった理由に心当たりはない。だが、前兆はあったのだろう

 

『必要ないDEATH』

『何言ってるDEATHか?』

 

いつもよりも少しだけ強い当たり。聞いたときは少ししか違和感がなかったが今思えばあの時既に不安定になっていたのかもしれない

 

「ただの獣に用はないゾ!」

「GAAAAA!?」

「私が相手だっ!」

「今のうちに早く止めるデス!」

「うん!」

「GYAROU!」

 

ミカに暴走した凸守が突撃するも力尽くで吹き飛ばされる。追おうとするミカの前に響が立ちふさがり阻止すると同時に吹き飛ばされた凸守へと近づいた二人に獣が牙をむく

凄まじい膂力で繰り出される拳を己の武器で逸らし、弾き、あるいは盾とする。リーチの短い拳で突き出される単調な攻撃は切歌や調といった奏者の中でも比較的戦闘力の低い二人でもギリギリで対応できた

・・・逆に言うと二人は凸守しか気にかける余裕がなかった

 

「がら空きダゾ!」

「「キャアアァァ!?」」

「切歌ちゃん!調ちゃん!!」

「お前も隙だらけダゾ!」

「ウワアッ!?」

 

横から突き出されるカーボンロッド。完全にミカの行動を認識できていなかった二人に響との戦闘の合間、僅かな隙をついて放たれた攻撃が直撃する。その様子を見て思わず意識を取られた響にもミカの攻撃が刺さる

 

「GUAAAAA!!」

「お前もいい加減うるさいゾ!!」

「UGAA!?、ッグ!」

 

ミカの死角から獲物を横取りされた獣が跳躍し襲いかかる。だが先よりもさらに単調になった攻撃がたとえ死角と言えどミカに通じるはずもなく、その手のカーボンロッドで切歌達の元へと吹き飛ばされる

それまでの蓄積ダメージか吹き飛ばされた凸守のシンフォギアが解除される。だが既に傷だらけの三人に足手まといがいるからとミカが攻撃を休めるはずもない

 

「歌わないと死んじゃうゾ!」

「「「!!」」」

 

一塊になった切歌、調、凸守の三人にミカの手から炎が迫る。意識を失った凸守を抱えて逃げるにはあまりにも時間が足らず、逆方向に飛ばされた響に向けても反対の手から炎が飛ばされ助けの手はない。だからこそ、調は自分の考える最善を取った

 

「グウッ!?」

「調!!」

 

調の纏うシュルシャガナは鋸のシンフォギア。円盤状に変形、高速回転をすることでミカの炎への盾とする

 

「大丈夫、キリちゃん?」

 

多少の漏れ出た炎が調に襲いかかるが自分はどうなっても構わない。それで大好きなキリちゃんを守れるのであれば

 

「・・・いデス

「えっ・・・?」

 

だが、守りたいのは切歌も同じ

 

「大丈夫なわけ、ないデス」

 

守りたい大切な人が自分を守るためにその身を犠牲にする。大切な親友に前回助けられた自分は今度は最愛の親友に助けられている。その事実がどうしてもいやだった

 

「こうなったら、イグナイトで・・・!」

「ダメ!もしも暴走したら――」

「じゃあどうしろっていうんデスか!?」

 

守りたいから身を削り、守りたいから拒絶する。二人の擦れ違いは大きな摩擦となる。ただでさえ力を合わせないと戦えない相手を前にその摩擦は致命的だった

 

ゴウッ!!

「「キャアアァァ!?」」

「ウワアアァァッ!?」

 

ミカから発せられる炎が大きくなる。ただでさえぎりぎりで耐えていた上に話に意識が行き反応が遅れた調に耐えられる道理もなく背後の切歌と抱えられた凸守と共に吹き飛ばされる。ミカの背後から聞こえる響の悲鳴は響も同じようになったのだろう

 

「次はちゃんと歌うんダゾ」

「・・・ま、待つ、デス」

「キリちゃん・・・」

 

ヒュン、とミカが撤退したあとに残されていたのは壁や天井に残された傷と傷つき倒れ伏す四人の奏者の姿だった

 

 

 

 

 

 

 

深い深い闇の中、凸守はいた

 

「ここは・・・」

 

辺りを見回すも何もなく、左右も前後もわからない。手を伸ばすも肘の辺りから闇に包まれ手首の辺りまでしか見えない

 

『早苗』

「!?」

 

突然、正面から声が聞こえる。聞いたことのある声に思わず顔を上げると目に映るのは昔よく見たパパの後ろ姿

 

「パパ!」

『いい子にしてるんだぞ』

『そうよ、いい子にしてるのよ』

「ママ!!」

 

そう言うとパパは歩き出す。途中で現れたママと共に先まで歩いて行く。思わず一歩を踏み出そうとするがその脚はどれだけ力を込めても動かない

 

「どうしてDEATHか!?動け、動くDEATH!!」

『踏み出せるものか』

「!」

 

背後からの声。思わず振り返るとそこにいたのはキャロル

 

『貴様に前に進む力はない』

「そんなこと無いDEATH!凸守だって前に進むぐらい」

『そうしてまた裏切るのか?』

「!!それ、は・・・」

 

違わない。凸守は裏切った。裏切ることで前へ進んだ

 

『まさか、早苗がそんな人だったなんて・・・』

『ガッカリデス』

「ち、ちが・・・!」

『行きましょう切歌、調』

「ちがうDEATH!凸守は、凸守は!!」

「・・・ぇ」

 

去って行く。親友の三人が背を向けて歩き出す。あとに残されたのは一歩を踏み出せない凸守

 

「凸守は・・・」

「・・なえ

「早苗!」

 

「!!」

「うわっ!?」

 

ガバッと飛び跳ねるように目覚める。荒れる息を整えもせずに見回すと自分を見守るように見つめる響、未来、エルフナインの三人と尻餅をついている切歌と手を伸ばしかけて途中で止まっている調の姿があった

 

「・・・ゆ、め・・・?」

「良かった~、酷くうなされてたから大丈夫かなって」

「イタタタタタ、ビックリしたデスよ」

(・・・?)

 

調の手を取らずに起き上がる切歌を見て少しだけ違和感があるが今の凸守にはそれ以上に先の悪夢が現実でなかった安堵の方が強い

 

「・・・凸守は、どのくらい寝てたDEATHか?」

「大体4時間程です。怪我の方は大きいものもなく安静にしていれば明後日にはいつも通りになると思います」

「・・・そうDEATHか」

「早苗ちゃん・・・」

 

ポス、と再び寝転がったベッドから軽い音がする

 

「・・・悪かったDEATH」

「え?」

「凸守がイグナイトをキチンと制御できてればこんなことには・・・」

「それは違うよ!・・・私の方こそ一人で突っ走っちゃって」

「二人とも、何があったんデスか?」

 

凸守は響の顔を、響は凸守の顔を見る。目が合った二人はどちらともなく話し始める

 

「この間の特訓の時に言われたDEATH。凸守は裏切り者だって」

「私は、お父さんと話をして、それで・・・」

 

凸守は語る。裏切り者だと言われた自分がまた誰かを裏切るのではないかと。大切な人が裏切られる前にと自分の前から去ってしまうのではないかと

響は話す。昔格好良かった父の情けない姿を見たと。そんな姿を見るぐらいなら出会わない方が良かったと

 

「・・・そうだったデスか」

「そんなことが・・・」

 

話の内容に一時喧嘩すらも忘れて顔を見合わせる二人。すぐにまた顔を逸らしていたがそれだけ彼女たちにとって二人の弱音は衝撃的だった

 

いつも前を向き朗らかに笑い、時には迷いながらも一歩ずつ前へ進み壁を破ってきた響

頼りになる力強さと芯の揺るがない心の強さで恐怖とは無縁の凸守

 

その衝撃は検査のため部屋を出たあとでも続く。念のためにとエルフナインから渡されたLiNKERを見つめながら二人にしては珍しく会話のない帰路につく

 

(私は、調にあんな風に怪我をしてもらいたくないデス)

 

切歌が思い出すのは二人の容態。怪我こそ軽傷で済んでいたが一歩間違えれば取り返しのつかない傷など簡単につく。そんな危険な目に遭って欲しくない

 

(私は自分が弱いのが嫌。他の人の足手まといにはなりたくない)

 

調が思い返すのはいつも自分より前で戦う友達や仲間のこと。いつも自分の弱さが仲間を傷つける。そのためにも強さが欲しい。前に出て仲間を守れるだけの強さが

 

 

 

葛藤する二人。いつもならば話し合って解決してきたが今は出来ない。互いを大切に思うが故の擦れ違いは理由が理由だけに話し合うことが出来ずに加速する。普通ならば解決にはかなりの時間がかかるデリケートな問題

 

だが、もしすぐに解決できるならば

 

ドドドドドオォォン

 

「なっ!?」

「襲撃!?」

 

非常時だけなのかもしれない

 

空から真っ赤に熱されたカーボンロッドが降り注ぐ。それは建物に、車に、あるいは生き物に突き刺さる。辛うじて避けても次々刺さるロッドから放たれる熱が周囲の温度を瞬間で上げる

 

「見つけたデス!」

「今度こそ戦うゾ!」

「馬鹿にして・・・!」

 

聖詠を唱えシンフォギアを身に纏う。ミカもイタズラにロッドを放つのをやめ爛々とした目で二人を見据える

 

「ハアッ!」

「デースッ!」

 

調から放たれる無数の丸鋸。狙いを違わず殺到した背後から切歌が迫り鎌を振るう。仲違いをしていながらここまで息の合った攻撃を合図一つ無く行う時点で連携としては合格点

 

「フンッ!」

 

だが、生半可な相手ならばその程度の連携でも十分な武器だがミカ相手では劣る。ロッドを回転させ丸鋸を片手のロッドで防ぎ直後に襲いかかる切歌へと空いた手からロッドを射出し牽制する

 

「ハアアア!」

「危ないっ!」

「!」

「キャアア!?」

「なっ!?――グウッ!?」

 

いや、牽制ではなく攻勢。射出されたロッドを弾いた切歌の目に映るのは振りかぶったポーズのミカ。背後からの声に鎌を盾に構える思わず目を瞑る。しかし、予想に反して聞こえる背後からの悲鳴に構えが緩み直後に衝撃が襲いかかる

目の前の切歌が目を瞑っていることに気づいたミカが切歌ではなくその直線上にいた調へとその手のロッドを投擲。切歌の緩んだ防御を新たなロッドで打ち崩したのだ

 

「これっぽっちイ?これなら前の方がマシだったゾ」

「そんなこと、あるもんかデス!」

「キリちゃん!」

 

切歌が鎌を振るう。ワザと横に振るわれた鎌を回避するために宙へ跳んだミカへと切歌の鎌から小さな刃が放たれる

 

「どんなもんデス!」

「――こんなもんダゾ!」

「なっ!?」

 

直撃した爆発から現れたのは宙に浮かぶ無数のロッドと無傷のミカ。ミカの目の前で崩れる陣は防御が間に合っていた証拠

 

「くっ!?」

「連携しないと無理ダゾ!」

 

宙を飛ぶロッドが全面に攻撃する。切歌も上手く避けているが突き刺さり数を増すロッドに逃げ場を段々と潰される

 

「なら、受け止めるだけデス!」

―――――バッ

「!!」

 

跳んでくるロッドを見据えていると横から影が現れる。その影から伸びる丸鋸によってロッドは全て受け止められる

その影は最愛のパートナー。一番傷ついて欲しくない人

 

「なんで、後先考えずに庇うデスか!?」

 

自分を庇って傷を負ったらどうするつもりなのか

 

「・・・やっぱり、私を足手まといと!」

 

自分は肩を並べて戦うことすら許されないのか

 

相手を想う故の言葉。相手と共にいたい故の行動。だが、相手は自分の気持ちをわかってくれない

 

だから

 

「違うデス!!」

「えっ?」

「調が大好きだからデス!」

 

胸の想いを伝えるしかない。切歌がミカへと斬りかかる。ミカと調の間に割り込ませるように入れた身体が切歌の意思を語る

 

「大好きな調に傷ついて欲しくないから!だから、調が傷だらけになることが許せなかったんデス!!」

「じゃあ、私は・・・」

 

勘違いをしていた。自分の力なんて必要ない、そういう意味だと思っていた

 

「私がそう思えるのはあの時調に助けられたからデス!」

「わたしが・・・」

「早苗にも、調にも命を救われて。だから!今度こそ私が二人を助けるんデス!!」

「キリちゃん・・・」

 

切歌の想いに調の胸が熱くなる。切歌は決して足手まといになんて思ってない。逆に自分が今度こそ助けるために前に出ていただけだった

 

「グッ、うわあああ!?」

「キリちゃん!」

「そんな悠長に喋ってて勝てる相手じゃないゾ!」

 

ミカの攻撃に負けじと切歌が踏ん張る。しかし、踏ん張り切れずに吹き飛ばされ壁に激突するかと思ったところで背を押す力がある

 

「マムが残したこの優しい世界で格好悪いまま終わりたくない!」

 

それは響の語った父の話

 

「私の前から誰一人も居なくならせやしないデス!」

 

それは凸守の語った悪夢

 

二人の想いが高まる。足掻く覚悟が共鳴しフォニックゲインが増大する!

 

「行こう、キリちゃん!」

「デス!」

「「イグナイトモジュール、抜剣!!」

 

初めてその針を見たときは怖かった。身体に悪いものが入り込んでいるようで自分たちが耐えられるかが不安だった

 

でも、今ならばきっと耐えられる。固く繋いだこの手がそう言っている

 

「ああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁ!!」

「デエエエェェェェェェエエェェェェス!!」

「アハッ!天井知らずに高まる力ッ!!」

 

調と切歌が黒く包まれる。鋭利な光沢、力強いフォルム、より凶暴に、物騒になった己が力

対するミカは身体が赤く包まれる。衝撃で服は弾け飛び、その髪は燃えさかる炎に包まれる

 

「「はああああぁぁ!」」

「アハッ!」

 

黒と赤が交差する。先までと比べるまでもなく速く息の合った連携。前に出た切歌の背後から跳んでくる調のヨーヨー。先程と攻撃方法は似ているものの切歌の繰り出す攻撃の速さも調のヨーヨーの強さも同じ連携とは思えない

だが、切歌の鎌を事も無げに白羽取りして投げ飛ばし直後のヨーヨーも刃のついてない横を掴み投げ飛ばす

 

パワーアップしたのは二人だけでない。ミカも残る全ての思い出を燃やし莫大な戦闘力を獲得している

 

「調っ!」

「もっと強く激しく歌うんダゾ!!」

 

次はミカが飛びかかりながら両の手からロッドを射出する。その速度も太さも先程より速く、太くなっている

 

「くっ!?」

「アハハハハ!」

「キャア!?」

 

太くなったロッドに気を取られた隙にミカの蹴りが切歌を襲う。そして吹き飛ばした切歌にロッドが迫る

 

「ぐうっ!?」

 

ズガガガガン!

 

辛うじて身を捻り直撃を避けたもののロッドが身体の周りに刺さり切歌は身動きがとれない。そして、

 

「エハハハハ!」

「はっ!?」

 

目の前には手をコチラへと向けるミカの姿

 

「ハアアアァッ!!」

「ッ!」

 

間一髪、調がミカの背後から大量の丸鋸を放ちミカの気を引く。その隙に脱出する切歌

攻防を通してわかる。ただ力を足し合わせるだけではミカには勝てない

 

「逃げ回るだけだとジリ貧ダゾ!!」

「知ってるデス!だから――!」

「なっ!?」

 

逃げる切歌を追ってロッドを放つミカ。宙を飛びつつ逃げ場を塞ぎにかかるミカだが急に立ち止まり武器をコチラへ構える切歌に一瞬だけ面食らう

 

「相打ち狙いカ!?」

「そんなわけないデス!!」

「ハアアァッ!!」

 

一瞬の油断をついて背後から跳び上がった調がヨーヨーを振り下ろす。完全に虚を突いた攻撃。それでも

 

「そんなもの通じないゾ!」

 

ミカは回避する。飛行ではなく跳躍だったならば今ので終わっただろう。だが、ミカは足下のブースターで飛行している。だからこそ、体を捻りながら一瞬だけブースターをふかして避ける

 

「わかってたデス!!」

「まさかっ!?」

「行って!キリちゃん!!」

 

躱したヨーヨーの先には切歌がいた。武器を構えた(バッティングポーズの)切歌へと飛んでくる巨大なヨーヨー(絶好球)。地に足がついておらず移動するブースターもふかした直後で移動に足る勢いが出ない

 

「そんな方法でっ!!!?」

「デエエエエェェェェス!!」

 

打ち返したヨーヨーがミカの身体を捉える。調が放ったときよりも速いヨーヨーはその刃をミカの身体へと食い込ませ、そのまま切り裂く

回避すらままならなくなったミカが最期に見たのは(調)(切歌)、それぞれの武器を構えながら向かってくる二人の姿だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、S.O.N.Gにて

 

「酷い目にあったデス・・・」

「仕方ないよキリちゃん。心配をかけたのは私たちだもの」

「そうデスけど・・・」

 

ミカを倒した二人を出迎えたのは弦十郎とクリスからのありがたいお言葉(説教)だった。しかし、心配だから怒っているというのを素直に受け止めた二人に戸惑いながらも収束を見せた

 

・・・もしも心配をかけたことを反省していなかった場合今でもお小言が続いていると考えれば安いものだったろう

 

「でも、私たちまで怪我しなくて良かったデス」

「早苗も響さんも大丈夫かな?」

 

二人の目的地は医務室。検査ですぐ近くまで来たのでついでに療養中の二人のお見舞いに来ていた

 

「おっ邪魔するデ~ス!」

「キリちゃん、もう少し静か、に・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

 

二人が医務室に入ると中の空気は冷え切っていた。響はムスッとした顔でベッドの上で体育座りをしながら窓の外を見つめ、凸守はベッドを横切る形で壁に向かいながら寝そべっていた

いつもならコチラから話しかけなくても話しかけてくるような二人が部屋へ入ってきた二人に気づきながらも挨拶すらしない。そんな異常事態に困惑する二人

 

「な、何があったデスか!?」ヒソヒソ

「わからない。二人とも行く前はあんなに仲よさそうだったのに・・・」ヒソヒソ

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

二人が出ている間に何があったというのだろうか・・・

 

 




運び込まれた直後
未「響が運び込まれたって本当なの!?」
切「い、命に別状はないデス!」
調「検査入院らしいけど・・・」
未「そっか・・・。それなら一緒のベッドで暖まればすぐ直るかなぁ?」
二人「そんなわけない」デス」





ミカとの戦闘ビデオ
藤「それにしてもシンフォギアをあんな風に使うなんて」
友「でも意表を突けたんだし結果オーライじゃない」
弦「見事な二段構えだったな!」
エ「・・・・・・」
友「どうしたのエルフナインちゃん?」
エ「・・・早苗さんがよくツインテールの先で髪をまとめたお団子を使ってバッティングをしていたな、と」
三人「・・・」

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