人の名前もマトモに呼ばない。
なのにゆかりは、誰よりも仲間を大切に思う。
優先順位に、自分の命を下に置くほどに。
生まれ落ちた命には宿命が付きまとう。
ただ一つの例外も無く、悉くに振りまかれる運命。
ソレを、私は才能と呼んだ。
ただ一言に才能と呼ぶと、それを常に良い方向にのみ捕らえる無才の愚か者がいる。
“才能を持つことは良いことだ“
寝ぼけるなクソが……。
物事には裏と表があって、『報酬』の裏には『対価』の支払いが生じる。
当たり前の等価交換の原則を、無才の愚者は、才能を振るう機会が無いが故に知らない。
才能とは、自身の人生と命を注いだ先に磨き上げられた宝石で、研磨されなければ輝かない原石だ。
自分という果てしない砂漠の中に、有るか無いかすらも確認できない宝を探し当てた者のみが振るえる力。
才能の原石を探し当てられなかったものは、研磨する権利すら存在しないだけ。
なら、才能の原石。
それが研磨すればすり切れてしまう程の小さな物だったら?
ソレをもし
答えは……
ゆかり「…………砕けて砂になる……。」
ああ、どうやら私は夢を視ていたらしい。
きりたん「ーーゆかり!?ゆかり!!!目が覚めましたか!!私が誰だか分かりますか!?」
微かに視覚出来るだけだが、誰かが私を見つめている。
コイツは……
ゆかり「……………ガ…キ……」
きりたん「きりたんです。ゆかり……。
良かった……こんなに血を流して、死んでしまったかと思って……っっ!!」
茜「ゆかりさん。大丈夫か?何が合ったかわかっとるんか?」
ゆかり「…………あ…か……」
茜「ああ、もう、しゃべらんで良いわ。兎に角、すぐに病院へ連れて行きたいんやけど、中々難しいんや。
今、何でかヤマブキジムのナツメって人が出て来て、マキさんを倒すって……」
ゆかり「………………」
やっぱり、出て来た。
来ると思った。
アイツは、私とずんだを同士討ち、或いは消耗させたところで、マキさんを討つつもりだったんだ。
だから私はーー敢えてこうなる事を選んだ。
私、結月ゆかりはーーZワザを使う才能が無かったから。
ソレを無理矢理発動させると、身体が過剰反応を起こして、筋肉組織や血管系が千切れて身体中からウイルス感染かってくらいに流血し、更にZパワーに生命力を根こそぎ持って行かれる。
つまり、カラダが動かなくなるほど消耗し、命を削り、瀕死寸前の死に体に変わる。
全部、知っていた事だ…。
ゆかり(そう、でも、しないと、アイツは……出て来ない。
アイツが………出て……来ない………と………。
ああ、もう……ダメ、だ。時…間切、れ)
ゆかり「……………ふ………に……」
きりたん「え?」
茜「ゆかりさん?」
ゆかり「………ふ……………ぅ…………………ど…………に…」
ゆかり(伝わったかな?
これから、貴女た、ちにも………頑張って………貰わないと……………伝えなきゃ、………)
ゆかり「フーー……ど……の…………な、か。」
茜「フードの…なか?」
きりたん「まさか薬でもあるんじゃ!?」
ゆかり(がんばれ…………………
きりたんが、ゆかりの生存を期待して探ったフードの中に有ったのは、戦闘不能ポケモンを全快にするレアアイテム。二つの『げんきのかたまり』だった。
誰にも明かさない心の中では、ちゃんときりたんのことを『きりたん』として認識していたゆかりなのでした。
ポケモンバトルに出血や打撲やら、リアルな描写を入れることで緊迫感を出したいと思っていますが、読んでみてどう思いましたか?
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緊迫感が出ている
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かえってバトルに集中できない
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その他(コメントで教えて下さい)