次回、ボイスポケットつーぎ(かめい)をヨロシクお願いします。
タマムシ学園校門前、燃え盛る炎が一つの命を焼き尽くしたのを見届けて、東北きりたんは膝を折った。
きりたん「ハァ・・・結構シャレにならない疲れが来ますね、Zワザってのは」
ハンバーグ「大きな力には常に相応の対価が必要な物だ。などと、わざわざ言う必要も無さそうだな。」
きりたん「ええ。ずん姉様がゆかりに勝ちたくてマキ先輩のフリーザーを使ったのと同じ道を歩むつもりはありませんよ。」
腰に付けたモンスターボールを手に取りながら、きりたんは改めて誓う。
ハンバーグ「うむ。その心意気を感じ取ればこそ、私も指示に従うことにしたのだ。
そして、茜もな・・・・・・。」
きりたん「ま、それでもいつかアンタ達もぶっ倒してやりますよ。
ゆかりに勝つことを考えたら、負けてられませんからね。」
ハンバーグ「構わぬさ。正々堂々、ポケモンと心を通わせ挑み来るトレーナーを、私は拒まない。
その時をただ待とう。東北きりたん。」
きりたん「・・・・・・。」
無言で肯き微笑むと、きりたんはモンスターボールにハンバーグを戻した。
オムレツ「ふいいいいいーー!!つっかれたあああああーー!!!
ってか今日一日でどんだけハードスケジュールだったよ?明日から週休8日くれ!!」
茜「オムレツ、1週間ってな、7日しかないんやで?」
オムレツ「知ってますよ?バカにしてない?茜ちゃんオレのこと馬鹿にしてない!?あかちゃんよぉ!?
そんだけ休みたいってことだよ!!」
茜「それじゃあ、しばらくホウオウのところに里帰りする?連絡しとくよ~。
きっとホウオウも久しぶりにオムレツが帰ってきて喜んでくれるやに。」
オムレツ「 い や で す 。 」
茜「なんでみんなすぐホウオウに会うん嫌がってしまうん??」
オムレツ「もういいからボール戻して・・・週休8日要らないから・・・」
茜「??うん・・・でもたまには顔見せてあげてな?」
腑に落ちない顔をしながら、茜はオムレツをボールに戻した。
そして、差し出された手からモンスターボールがひとつ。
きりたん「返却します。茜さん」
茜「うん。お疲れや、
きりたん「きりちゃん?」
茜「うん。こんだけ一緒に戦ったんやし、ウチらもう友だちやろ?
せやからきりちゃん。」
茜はもじもじとしながら、意を決して息をすぅと吸い・・・・・・
茜「ウチ、ずっと友だちおらんかったから、本とかマンガばっかりやって、憧れやってん。
せやから・・・・・・」
バッと手を前に出し頭を下げながら
茜「一緒に海行ったり山行ったりするような、親友を前提に友だちになってください!!」
まるで交際を申し込む乙女のように顔を赤らめ、恐る恐きりたんを見上げると。
きりたん「嫌です」
茜「ガーン!!!?」
ふいとそっぽを向き、モンスターボールを手に持たせる。
きりたん「海も山もクソ飽きてんです。一緒に連れて行くんなら、もっと面白みのあるところにして下さい。」
そう口にすると、きりたんはずん子が寝ている方向へ歩いて行く。
きりたん「さて・・・ずん姉様を起こして、フリーザーをマキ先輩に返して、ああ、あと校門前の汚いマグロ共の清掃をポリに依頼しないと。取り敢えず手伝って貰っていいですか?
ーー茜。」
茜「ーーうん!行こうきりちゃん!!」
先んじるきりたんの後を追うように、茜は走り出す。
葵「・・・・・・・・・・・・。」
その後、回復を終えたポケモン達を連れて戻ってきた音街ウナ、人知れずセキチクシティの沈没という大災害を命がけで防いで帰ってきた弦巻マキが合流し、到着した警察からの事情聴取を終えた少女達を迎えに来たオーキド博士と共に、ゲッコウガがゆかりを運び込んだ病院へ向かっていくのだった。
入学式当日
マキ「それじゃあ、葵ちゃん、茜ちゃん、きりたんちゃん。
入学おめでとう!!折角だから写真撮ろうよ!」
ウナ「マキパイセン!ウナも入れて!!」
マキ「うん!もちろん良いよ。さあ入って。」
ゆかり「・・・・・・・・・・・・(確かこいつアイドルやってるとか言ってましたね。売ったら金になるんでしょうか?)」
ずん子「それなら、みんなモンスターボールを持って撮るのはどうでしょう?
折角タマムシ学園の入学記念ですし」
茜「ウチ、きりちゃんと葵の間が良い!」
きりたん「私は端っこで。」
ウナ「じゃあパイセン二人が真ん中で、ウナときりちゃんが両端だね!」
葵「音街さん、アイドルなのにセンターじゃ無くて良いの?」
ウナ「ウナはみんなで撮れればヨシ!あ、でもポージングはみんなバラバラがいい!」
マキ「みんな決まったかな?じゃあ撮るよー。はい、チーズ。」
パシャリ。
【挿絵表示】
ゆかり「・・・・・・・・・マキさん、それ、白黒カメラじゃ」
マキ「えっと・・・新しい機械って難しいから・・・・・・」
ずん子「私がスマホで撮っておきますね。みんな~take2行きますよー」
ゆかり(どうせなら、桜の花でも舞っていれば良かったんですがね)
誰も気付いてない中、こっそりとカメラのシャッターを切ったゆかりは、フードのポケットに入れていたブレスレットを玩びながら、まだここにいない者達の顔を思い浮かべるのだった……。