ブラートとエスデスが対峙している頃、ナハシュ達の方に動きがあった。
「どうした!回避するばっかりかよ!こっちはガンガン行くぜ!」
ナハシュ達は回避メインで戦っておりウェイブは積極的に仕掛けている。ウェイヴはコルネリアに狙いを定めた。しかし突如ウェイヴの周りが土に覆われた。
「な、何だ!?」
「黒!」
「うん。やれデスタグール」
その瞬間ウェイヴを囲っていた土ごとデスタグールは握り遠くに投げ飛ばした。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」キラン
「遅いぞ雑魚共」
「あ?たった1人にてこずってたのに何を言う」
「チーフも鎧も落ち着いて」
「そうそう。早い所ここから離れよう」
喧嘩し始めそうなナハシュとガイをコルネリアが宥め、クロメが同意し離脱する事を提案した。
「一応大聖堂付近まで行こう」
タエコの言葉に頷き一同は大聖堂近くまで行くと4人の死体があり鎌型の帝具らしい物を回収し指定された場所に向かった。
(なんてザマだ。一瞬とはいえ気絶してしまうとは)
ナジェンダは気絶から目を覚ました。
「(温存してる場合ではなかった。もう迷わず使う!)〝
スサノオの奥の手禍魂顕現はコロと同じく狂化である。コロは内部エネルギーを使うが、スサノオは胸の禍魂からマスターの生命力を吸いその力を発現させる。三度使えば必ず主を死に至らしめる代わりに、得る力は絶大である。
その瞬間スサノオの胸の禍魂にナジェンダの生命力が吸収され、氷を割りエスデスに仕掛けた。
「俺も行くぜ!スサノオ!!」
同時にブラートもエスデスにノインテーターをもち正面からスサノオと攻めた。
「いいぞ!もっと私を楽しませろ!!」
エスデスはレイピアと体捌きで攻撃を躱し、隙が出来た所にスサノオにはレイピアで、ブラートには蹴りを繰り出し、少し離れると氷の刃を2人に射出した。
後退したスサノオは剣―
それを見たエスデスは目の前に何十層もの氷壁を出し続けてガードした。
「その威力は褒めてやる。だが私には届かんぞ」
「お前にはな、だが後ろの標的はどうかな?戦いに興じすぎたな」
「!!ボリック無事か?」
「ええ。無事ですよ隊長」
エスデスが振り向くとボリックを抱えたランがいてボリックの代わりに返事をした。
「ランかよくやった!・・・戦闘を楽しみきれんとは・・・護衛任務は今後やらんぞ」
そう言うエスデスの背後には先程とは違う氷の量があった。
「もう捕獲はせん。核ごとすり潰してくれる!」
「最大の攻撃力をその身で味わえ!!」
無数の氷のミサイルをスサノオは飛び道具による攻撃を完全反射する〝
(とった!!!)
「私の前では全てが凍る。〝
エスデスが奥の手を発動させ時空を凍結させた。
そのまま歩きスサノオを背後からレイピアで突き刺し、解除した所でスサノオの下半身を凍らせ蹴りでバラバラにし、スサノオのコアをヒールでコアを割った。
「クソッ!」
ブラートはエスデスに近づきノインテーターを振るうがレイピアで防がれ右脚で蹴りを放つが氷でガードしエスデスの左手に捕まった。
「砕けろ」
そう言いと膝下から氷に覆われそして砕けた。
「ぐっ・・・」
ブラートはエスデスに蹴られタツミの近くまで飛ばされた。
「兄貴!!」
インクルシオが解除されたブラートにタツミが声を掛けた。
「タツミ。お前にこれを託す」
ブラートは小声でそう言い、インクルシオの鍵を出した。
「それは兄貴のだろ!?」
「俺はこのザマだ。だがお前なら使える筈だ。お前の素養と今までの経験値・・・それをつける資格は十分にあるぜタツミ!」
「兄貴・・・へへっ・・・尊敬してる人が此処まで言ってくれたんだ・・・」
期待に答えなきゃ・・・男じゃねぇ!!
「インクルシオオオオオオ」
その瞬間タツミはインクルシオの鎧に包まれたがブラートとは違い進化した鎧を纏っていた。
「ほう、新たなインクルシオの適合者か。その力を見せてみろ!」
エスデスがタツミに向かって歩いていると窓からアカメ、マイン、シェーレが飛び込んできた。
「このタイミングで新手か!」パチっ
「パンプキン!!」
エスデスが巨大な氷の塊を出したが、マインがパンプキンで天井ごと氷を撃ち抜いた。
アカメは標的であるボリックに狙いを定めボリックのもとえ駆け出した。
「行かせるか!」
エスデスがアカメを追いかけようとしたらタツミが背後から回し蹴りをしてきたが、エスデスは屈んで避け左腕で殴るがタツミはガードした。更にシェーレも参戦しエスデスはボリックとは反対の方に避けた。
一方ボリック側ではマインの狙撃でランを地上に縛り付けレオーネがランの気を引くために立ちまわっていた。
そしてアカメが村雨でボリックを斬った。
「―――っ任務失敗か・・・」
エスデスはタツミ達から距離を取ってそう言った。
ドンッ
音がしてエスデスが振り向くと完全再生したスサノオがいた。
「二度目の・・・禍魂顕現!!!」
重ねがけなんて使い方は本来不可能であろうが・・・これを強引にやらなければ全員死ぬであろう。
「ナジェンダ貴様!!」
エスデスはナジェンダの元へ行こうとするが、スサノオが攻撃して来た為氷でガードするがパワーが上がっているせいか飛ばされてしまう。
「スーさん俺も加勢を・・・」
「いや任務は終わった。全員撤退だ」
タツミが加勢すると言うとナジェンダは撤退しろと言った。
そして一か所に集まるとスサノオが飛ばされてきた。
「ここは俺が引き受ける。スサノオはボス達を逃がせ」
そう言いブラートはタツミの剣を持って左足でバランスを取っていた。
スサノオは返事することなくナジェンダ達をマインがあけた天井へと投げた。
―帝具として生まれて千年いい奴等と巡り会えた。悔いはない。
「さらばだ!!」
「兄貴っ!!!スーーーサンっ!!!」
スサノオは天井に向かって拳を突き出した。
「逃がさん!!」
「やらせるか!!」
エスデスは氷を飛ばすが、スサノオは八咫鏡を穴に張り氷を反射させた。
「お前の奥の手はやはり一回きりで打ち止めのようだな。奴等を追撃はさせん」
「同感だ」
スサノオは天叢雲剣を持ち、ブラートも剣を構えた。
「ふ、良いだろう。スサノオお前の事は帝具ではなく戦士としてブラート共に覚えておいてやろう。命の散り際その最後のあがきで―――楽しませてみせろ!!!」
エスデスは氷と共に駆け出しスサノオも迎え撃つために構えた。
「まだだ。その命一時俺が預かろう」
その言葉と同時にエスデスの前方に壁が現れた。
「これはっ!?」
エスデスは壁をレイピアで斬りその人物を見た。
「来ていたが骸!!」
エスデスは無数の氷の剣をスザクに向かって射出させた。
「奥の手第一段階、灼熱地獄発動」
スザクはボソッと言い、氷を炎の大熊でガードした。
「お前に構っている程俺は暇ではない」
炎を炎上網の様にしてエスデスとランを閉じ込めたスザクは炎の羽を生やし、天井の穴から脱出した。
スザクが離れた事により灼熱地獄は解除された。
・・・インクルシオ・・・あの叫び声・・・中身はまさか・・・な・・・
朝タツミとマインはキョロクの町が一望できる高台にいた。
「ここともお別れね」
「ああ(兄貴・・・スーさん)」
タツミとマインは沈んだ気持ちになるが、マインが着地の時助かったのは自分だと言いタツミに言い沈んだ気持ちを吹き飛ばした。
口論になるタツミとマインを、タツミ達の更に上から教主がみて微笑んでいた。