ソードアート・オンライン Black&Violet 作:ueshin
正直本当にユウキが見たくて書いているだけです。
ALO、アルヴヘイム・オンラインと呼ばれるフルダイブ型オンラインゲーム(VRMMO)に「絶剣」と呼ばれるプレイヤーがいた。
そのプレイヤーは圧倒的なまでの反射速度を誇り、かつて行われたデスゲーム<SAO>において最速とまで呼ばれた「黒の剣士」をも上回る速度を見せていた。
しかし、彼女は不幸にも患っていた持病により15歳という若さでこの世を去ってしまった…
のだが。
「あれぇ?ボク、生きてる?」
目覚めてからの第一声がそれだった。
じゃあ留守番お願いね、と言われ聞き返すまもなく自分以外の家族は出かけてしまったために確認も取れない。
…よくわからないのでとりあえず部屋に戻ろう、と決意したタイミングで気づく。多少ではあるが配置に差異があることに。そして、やけに部屋がきれいであることに。
もしかして、とつぶやきながらベッドの隅に置いてあったアミュスフィアを手にし、なれない手つきで装着していく。
そして夢の世界へと誘う魔法の言葉を口にした。
「リンク・スタート!」
体の感覚が遠のき、意識が別次元へと飛ばされる。
目を開けるとそこはすでに見慣れた世界<ALO>の中だった。
ALOに入ったことを確認すると同時に全力ダッシュを開始、そのまま羽根を広げ、記憶にある新アインクラッド22層に存在するログハウスへと飛び立つ。
家の近くまで飛行し、そのままの速度で転がり込むように入り
「アスナー!キリトー!いるのー?」
「ユウキ?突然どうしたの?」
「おぉ!ユウキじゃないか!久しぶりだなぁ!」
…久しぶり?
この世界の「ユウキ」はあまりこの二人に会わなかったのだろうか、などと思わず考えこんでしまっていると
「それにしても本当に久しぶりだよねー…だって何も言わずにいきなりログインしなくなっちゃうんだもん!」
「そうだなぁ。なんで急にログインしなくなったんだ?あんなに楽しそうにしていたのに」
「キリト君。後でお話があります。」
別にボクは気にしてないんだけどなぁ…と考えていた最中にひらめき、その疑問を二人にぶつけた。
「ねぇ、ボクはログインしなくなる前に何か言ってた?」
「あー…ボクはもうすぐ違う”ボク”になるんだ、とか言っていた気がするな…」
「確かに言ってた!でもそれってどういう意味だったんだろう…」
ここで全てがつながった。驚くべきことに、この世界の「ユウキ」はこのことを知っていたのだ。
それならば今までの行動に納得もできる。ALOにログインしなかったのは人格の違和感を軽減するため、部屋がきれいだったのは入れ替わったユウキを迎えるため。そしてアミュスフィアの存在に気づかせ、ALOへログインさせるためであったと。
…見事なまでに自分の誘導に引っかかってしまった。なんだか悔しい。
「おーい?ユウキー?大丈夫かー?」
気づかないうちにまた考え込んでしまっていたようだ。この考えこむ癖はどうにかしないとな…
と、さらに考えこみ始めてしまったが、それはアスナの一言で中断させられた。
「もしかしてユウキ…何かあった?」
それは自分でもこの状況をよく理解していないユウキにとっては鋭すぎる質問になってしまった。
「んーん!なんでもないよ!ただ、なんとなく聞いてみただけ!」
まだ気づかれるわけにはいかない。事態が余計にめんどくさくなってしまう。
しかしこのときユウキはアスナを誤魔化すのに必死になっていたせいか、キリトの訝しげな表情に気づくことはできなかった。
とにかく面倒になる前にこの場を離れなければ。
「じゃ、じゃあね二人とも!」
「あ、ちょ、ちょっとユウキ!?」
ユウキは風のようにログハウスを去っていった。
「ユウキ…どうしたんだろうね?」
「…」
「おーいキリトくーん?」
「……」
「キリト君?どうしちゃったの?」
「アスナ。俺、少し出かけてくるよ」
「え?ちょっと!?」
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(はぁ…これからどうしよう…)
そんなことを思っているときだった。
《"Kirito"からメッセージが届きました》
「キリト?さっきあったばっかりなのにどうしたんだろう?」
《前に辻デュエルをした小島に来てくれないか?聞きたいことがあるんだ》
勘の鋭いキリトのことだ、恐らく気づかれたのだろう。
前の世界のデュエル中に感づかれたように。
ユウキは取り繕うことを諦め、再び飛び立っていった。
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「お、来たかユウキ」
「どうしたのキリト?さっきあったばっかりなのに」
「…いきなりなんだが」
「うん?」
「俺とデュエルをしてくれないか?」
本当に唐突だった。しかもいきなりデュエルって、えぇ…
「ま、いいよ!せっかくだし地上戦でいいかな?」
「あぁ。本気で俺と戦ってくれ」
突然どうしたのだろうか。そんなこと考えているうちにも準備は進んでいく。
《Kirito is challenging you》
キリトからデュエルの申請が来た。そのまま当然のように〔全損決着モード〕を選択する。
アスナの話だとSAO時代は全損決着モードが使用されることはなかったらしい。
視界に"Kirito"の文字が刻まれた。そして10秒のカウントダウンが開始される…
緩んでいた気分は抜け、剣と自分がひとつになっていくのを感じた。
が、その途中に迷いや困惑という名のノイズが邪魔をする。
迷いを振り切れぬままデュエルがスタートした…
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デュエルはキリトの先制でスタートした。お互いの攻撃範囲まで最速で踏み込み、最速の一振りを繰り出してくる。
当然その攻撃はパリィするが、キリトはまるでそのパリィを見透かしていたような反射でカウンターを出してくる。
攻防一体の剣技を繰り広げていったようにも思えたが、圧倒的にキリトがユウキを追い詰めていく。
ユウキのHPはじわり、じわりと削られていき、デュエル開始から10分が経過するころには6割を切り、イエローゾーンにまで到達していた。
このままではまずい。そう判断し、後方空中回転をしながら距離をとった。
しかしこの回転が仇となってしまった。最後の回転でキリトが視界から消えた瞬間にソードスキル「ヴォーパル・ストライク」のモーションを開始していることに気がつけなかったのだ。
そのことに気づいたときには既に爆音を鳴らしユウキの目前にまで迫っていた。
「…っっ!!」
ユウキの尋常ならざる反射速度をもってしてもパリィできない速度の突進技。かろうじて直撃は避けたものの、HPは既に2割を残すのみとなっていた。
再びキリトが迫る。モーションから判断されるソードスキルは「ホリゾンタル・スクエア」。
ユウキのHPは残りわずか。この状況で頼れるものはユウキのOSS「マザーズ・ロザリオ」のみとなった。
瞬間を正確に見切り、キリトの「ホリゾンタル・スクエア」のタイミングにかぶせて「マザーズ・ロザリオ」を放つ。
キリトの放つ4連撃SSをぴったりの軌道で迎え撃つ。残り7連撃。
残りすべてを叩き込む。そう思った瞬間にユウキは見た。
キリトの構えるもう一本の剣が光り始める瞬間を。
次なるSSは「バーチカル・スクエア」。これもまた4連撃である。
またもや同じ軌道を描き剣を交える。残り3連撃。
今度も反対側の剣が光る。3連撃「シャープネイル」。残り…0
渾身のOSS「マザーズ・ロザリオ」はすべてSSによってはじかれた。
(しまった!硬直時間が…っ!)
本来ならマザーズ・ロザリオを放った時点で決着がつくことが多いので普段は意識しないことだったが、OSSにも硬直時間が存在する。
そして---もう一度キリトの剣が輝き始めた。
単発斜め切りSS「スラント」。単発で威力も物足りないSSではあるが今のユウキのHPを削りきるには十分な威力だろう。
(ボク…こんなに弱かったのかな…)
目をつぶり最後の一撃を待った。しかし、HPを削り取る一撃はいつまでたっても襲ってこなかった。
攻撃の代わりに
「…なぁユウキ。もしかして、何か悩んだりしていないか?」
それは短く、素朴な質問だった。しかし今のユウキにとっては救いの光ともいえる言葉だった。
本当に申し訳ありませんでしたっ!!
不定期に書いていきます。
(ここで書く内容が見つかりませんでした)