八幡「またつまらぬものを斬った」   作:石川五エ門

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戸塚の依頼編

突然だが、俺は剣の名人だ。テレビでみたルパンに出てくる五ェ門に憧れて、剣道と居合を習ったら才能が開花してしまった。腐った目もあいまって、不気味な剣士として恐れられている。今ではその道では有名人である。さらに、道場の師匠たちをバタバタ倒してしまったので、学生の大会への出場を禁止されてしまい、近況がわからないこともあり、神格化されているようだ。

 

しかし、その道に詳しくない人から見たら、ただ不気味な高校生である。無論、奉仕部のふたりや葉山たちも知らない。

 

奉仕部に入り、由比ヶ浜の依頼をこなしてからしばらくたった。今日の体育はテニスだ。材木座はサッカーになってしまいペアが組めないので1人で壁打ちをする。後ろでは戸部とかいうチャラ男と葉山とかいう金髪と名も無きモブが騒いでいるのが気になるので精神統一をして音をシャットアウトして、壁打ちを続けた。

 

その中で一つ発見をした。

 

右手だけで棒状のものを持つと、無性に何かを斬りたくなってしまうということだ。無論、今も切断欲に駆られている。

 

うおおおーー、我慢できねー。何で音はシャットアウトできるのに、切断欲は消せねぇーんだ?やはり剣士としての血が騒ぐのか?なにそれ嬉しい。

 

まあ、ラケットじゃものは切れないし、ボールを斬る真似でもしてるか、と思い、ガットではなくフレームでボールを打ち始めた。

やっぱり難しいな。でも剣の才能のおかげか、だんだん上手くなってきた。

もうひとつ気がついたんだけど、切断欲に駆られてる時は、口調が五ェ門みたいになってる。頭の中で五ェ門が喋ってるみたいだ。

憧れの五ェ門になりきって授業を乗り切った。ある少年がそれを見ていたことも知らずに……

 

 

昼休み@ベストプレイス

優雅にランチタイム。由比ヶ浜が来た。

結衣「あれヒッキー、ここで何してるの?」

八幡「飯食ってんだよ」

結衣「教室で食べれば良くない?」

八幡「教室うるさいだろ。それにここ風が気持ちいいんだよ」

結衣「ふーん」

こいつ興味持たなさすぎだろ

八幡「で、お前何してるんだ?」

結衣「罰ゲームだよ」

八幡「俺と喋るのがか?」

結衣「違う違う。ゆきのんとジャンケンして、負けたから飲み物買いに行くの」

八幡「ほーん」

 

タッタッタッ

結衣「あっ、彩ちゃん。よっす」

戸塚「こんにちは由比ヶ浜さん、比企谷くん。」

結衣「彩ちゃん昼休みもテニス?」

戸塚「好きなことだからね」

結衣「すごいね!」

戸塚「ありがとう。そういえば比企谷くんテニスうまいね」

結衣「そうなの?」

戸塚「うん、見たことないような構えで、しかもラケット横にしてフレームで打ってたんだよ」

結衣「それって上手くなくない?」

戸塚「いやいや、あんなに細い所に当ててコントロールするなんてすごいよ」

八幡(うおおおーー、見られてたのかよ)

キーンコーンカーンコーン

戸塚「そろそろ戻るね」タッタッタッ

八幡「由比ヶ浜、飲み物買いに行かなくていいのか?」

結衣「あっ」

 

 

 

 

 

放課後@部室

部室には俺と雪ノ下しかいない。

結衣「やっはろー(=゜ω゜)ノ!」

雪乃「こんにちは」

八幡「おう」

結衣「今日は依頼人を連れてきたよ!」

戸塚「失礼致します…。あっ、比企谷くん。なんでここに?」

八幡「部活なんだよ」

雪乃「依頼はなんなのかしら?戸塚彩加くん?」

戸塚「あっ、僕テニス部なんだけど、テニス部弱いし、人も全然来ないから、まずは自分が強くなったらみんなも頑張ってくれるかなって思って…」

雪乃「わかったわ、依頼を受けましょう。」

八幡「せっかくなら、練習してるのが少し噂になるくらいの方がいいかもな」

雪乃「確かに、そうすれば最終的な目標に近づくわね」

八幡「由比ヶ浜、知り合いにできるできる奴いるか?」

結衣「あっ、優美子が中学の時テニス部だったッみたいだよ」

八幡「そうなのか。じゃあ三浦にも声かけてみてくれないか?」

結衣「いいけど、優美子やってくれるかな?」

八幡「それなら、三浦がいる前で、葉山にこう聞いてみろ「部活やってる女子ってどう思う?」って。葉山はきっと「頑張ってる人は好きだよ」とかただしイケメンに限ることを言ってくれるだろうからな」

結衣「わかった、やってみる」

 

 

 

翌日、昼休み@テニスコート

奉仕部及び、材木座、そして三浦が戸塚のサポートをしている。三浦は思った通りの行動だな。

三浦と戸塚がラリーなんかをして、雪ノ下が戸塚に指導をする。なかなか効率が良さそうだ。俺と由比ヶ浜と材木座は球拾いをしている。この練習を1週間くらい続ければ多少変化は現れるだろう。

 

 

 

1週間後、練習最終日

八幡「最終日だし、試合でもしないか?」

雪乃「そうね。ではダブルスにしましょう。私と戸塚くんがペアになって、比企谷くんと三浦さんがペアを組みましょう。強い人とやった方がいいでしょう」

 

そこに葉山御一行が到着した

葉山「優美子、こんなところにいたのか。ここ1週間くらい昼休みどっかに行っちゃうから気になってたんだよ」

三浦「あーし中学の時テニスやってたから、戸塚の練習手伝ってるの。今から試合するから見てってよ」

葉山「そうだったのか。頑張ってね」

 

三浦がテニスをしているという噂は少しずつ拡大していたし、手伝いをしているということで三浦の評判も良くなっている。さらには葉山からも応援され...。あれ?三浦得し過ぎじゃね?まあ、手伝ってもらってるからいいか。

 

日に日に増えてた観客の中にはテニス部の人もいるだろうし、当初の目的は達成できただろう。

 

さて、試合だ。

三浦とペアということで下手なプレーはできないと、気を引き締める。勝負事ということもあり、雪ノ下も本気モードだ。3セットマッチでの試合、1セット目は戸塚と雪ノ下のペアが取ったが、雪ノ下は息が上がって足も動かなくなってきている。

2セット目の途中、雪ノ下は転んで足を怪我してしまった。

 

結衣「ゆきのん大丈夫?」

雪乃「少し捻ってしまったようね」

結衣「救急箱持ってくるから待ってて」タッタッタッ

葉山「雪ノ下さん大丈夫かい?」

雪乃「ええ、戸塚くんごめんなさい」

戸塚「ううん、気にしないで。僕のために頑張ってくれたんだから」

葉山「それなら、俺が雪ノ下さんの代わりにやろうか?」

三浦「それいいじゃん。あーしも隼人とテニスしたいし」

戸塚「じゃあ、葉山くんよろしくね」ニコッ

八幡「可憐だ」ボソッ

おっと、五ェ門モードに入ってたみたいだ

 

試合再開

「「隼人!隼人!隼人!」」

すごい歓声だ。うるさいので精神統一してシャットアウトする。よしOK。

 

葉山はサッカー部ということもあって、かなり運動神経がいいみたいだ。しかし三浦は経験者。女子であっても経験者には勝てないようだ。

2セット目は俺と三浦のペアが取った。

 

3セット目、これだけラケットを握っていると、切断欲がふつふつと湧いてくる。いよいよ例の構えに入り、フレーム打ちを開始する。壁打ちでは気が付かなかったが、フレームで打つと回転がかからず、不規則な動きをするようで相手は苦労している。しかし三浦はそろそろ体力の限界が近いようだ。相手は現役のサッカー部とテニス部。しかも2人とも部長だ。体力はこちらよりはあるし、まだまだ球の勢いは強い。

 

いよいよ相手のマッチポイントだ。

そんな時、葉山の打った球が三浦の顔を目がけて飛んでいく。このままだと三浦に当たってしまう。三浦も、体が固まってしまう。周りも目をつぶる。しかし、練習に付き合ってもらって、怪我をさせるわけには行かない。気がつくと体が動いていた。剣士の血が騒ぐ。目の前で女が傷つくのを黙って見ているわけにはいかないのだ。三浦の代わりにボールを返そうとラケットを振り抜く。

 

「ザクッ」

 

あれ?確かにラケットはボールに当たったのに音がおかしい。しかも相手の2人も止まっている。どうしたものかと思い後ろを見ると真っ二つになったらボールがフェンスの前に転がっていた。三浦は割れたボールとボールの間にいて無事だったようだ。こうなったらあれを言うしかない。まさかあのセリフを言える時が来るなんて。

 

「またつまらぬものを斬った」

 

その瞬間コートを囲んでいた観客から盛大な拍手と歓声が上がった。

最後は戸塚チームの得点となり、戸塚チームの勝利で試合は終わった。

 

数日後、戸塚が部室に来た。試合を見ていた何人かがテニス部に入ってくれて、元々テニス部だった人たちもやる気を出してくれたそうだ。これにて戸塚の依頼は達成された。

 

あの試合のあとから、三浦が俺にべったりになり、由比ヶ浜と目線でバチバチ戦ってるのはまた別の話




ありがとうございました
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