オリジナルキャラ、オリジナル設定、擬人化等、苦手な方はブラウザバックを推奨します。
それでも良いという方は、お付き合いください。
今回はグズマ回です。
ヒトミはプルメリに誘われるままにスカル団のアジト、ポータウンまで足を運んだ。
「一応俺、まだ島めぐり中なんですけどねぇ……」
「来た時からずっと、島めぐりにやる気があるのかないのか分からない、って噂だけど?」
プルメリの返事に、二の句が返せないヒトミは悩んでいる。ライチとの会話以降、島を歩きまわってはいるが、特に試練に向けて準備することもしてないないのだ。
「……スカル団かぁ」
いかがわしき屋敷はすでにボロボロで、家具は破壊されていた。だが、まだ人が通れるような状態であり、グズマがいる部屋にはすぐにたどり着くことができた。
「グズマさん、入りますよ」
ノックをして、プルメリが声をかける。どうやらまだ、プルメリがグズマに対して呼び捨てが出来る間柄ではないようだ。
「……よう、久しぶりってほどでもないか」
そうグズマが話すと向かいの椅子にヒトミが座るように指示する。プルメリは壁に背を預け、話をする様子はない。
「スカル団ボスのグズマさんが、しがない俺になんの様ですか?」
「まぁ、そんなに自分を卑下にするなよ。少なくともお前の能力を、俺は買っているんだからな」
ヒトミが逃げ出したあの一件を、グズマはあの判断は正しいと話した。そして、スカル団に引き入れたい、と。
「ヒトミ、お前は島めぐりをして、キャプテンになりたいのか?」
その返事に、ヒトミは一瞬戸惑う。返す言葉を探し、少し間が空いて答える。
「島めぐりは……するつもりだ。どこまでやれるかは、わからないけど。キャプテンには、多分なれないだろうな」
アローラに来て以来、ヒトミは守り神と接触したことはない。彼らの加護があるわけでもなければ、順調に島めぐりが進んでいるということもない。それならばキャプテンになることもないだろう、とヒトミは結論づけているようだった。
「ははっ、なるほどな。だが、島めぐりなんて古いしきたり、必要ないとは思わないか?」
「それは……あんたがキャプテンになれなかったからか?」
プルメリが驚く、その話をするのはグズマに対してタブーとなっていたからだ。だが、グズマは怒り狂う様子はなく、至って冷静だ。
「そいつは、答えとしては半分だな、そいつを知ってるだけでも話が早い。それで、島めぐりについてどこまで知ってる?」
グズマの問いに、ヒトミが答える。
「……アローラ各地の試練を受けて、島キング、島クイーンの大試練をうけ、Zクリスタルを受け取る。それを終えて晴れて一人前になれるって儀式だろ?」
それに対して、グズマはうなずく。
「確かに、その通りだ。お前の言うとおり、試練は人によるものだ。場合によっちゃキャプテン不在の試練もあったりするが、それに対する合否の判断に関しては島キング、島クイーンに任されているから、人が執り行うものと言っていい。その裁量は島キング、島クイーンに一任されている」
「……まぁ、その通りだな」
グズマの話し方に、ヒトミは顔をしかめる。話したい内容がイマイチ理解できない、という風だ。
「人が執り行う時点で、多少の不公平はあるっていうのも試練としては欠陥だと思うが……それはまた別の話だ。偉い人に認めてもらう為に、島めぐりをしている奴も少なからずいるからな、そこは大した問題じゃない。そこで次のキャプテンの選別だが、これは守り神によって決められる」
「キャプテンも島キングも島クイーンも、守り神によって決められる、らしいな」
その瞬間に立ち会ったことがないヒトミは、それについては話でしか聞いたことがなく、実感がないのかあまり自信の無いように見える。
「ああ、お前は間違っていない、その通りだ。さっきも言った通り、試練に関しては島キング、島クイーンあるいはキャプテンに裁量がある。だが、キャプテン、島キングになるためには、守り神に気に入られなきゃならない、そういうことになる」
そこまではいいか、と確認するようにグズマが区切る。それに対し、ヒトミが返答をする。
「つまり、あんたがキャプテンになれなかったのは、人じゃなく守り神に選ばれなかったからだ、ってことか?」
「守り神に選ばれない、確かにそうだな。少し順を追って話していくか。キャプテンになる機会は何も一度きりじゃない。島キング、島クイーンにしてもそうだが、訓練を積んでから何度めかに認められるケースもある。そもそも、カプ・レヒレなんかは人間嫌いだから会うだけでもなんども遺跡に通う必要があるわけだしな」
「そうか、一度選ばれなかったからといって可能性がなくなるわけではないのか」
「そうだ。まぁ、キャプテンを目指すものは、島めぐりを終えただけでなれるわけじゃない。そのあとはキャプテンに師事したり、島キングに師事したり、或いは独自で守り神の加護を得るために試行錯誤したりと、様々ではあるな」
島めぐりを終える事は、キャプテンになれるということではない。それはあくまで前提の一つであって、キャプテンとなるにはさらなる試練が待ち構えている、ということだ。
「キャプテンの席が空白になるのは珍しい話じゃない、何せ守り神のお気に入りだからな。任期終了まで続くことの方が多い上、そう易々と後釜が見つかるわけでもない」
「確かに、今はドラゴンやヒコウのキャプテンはいない、だったよな」
グズマが頷く、そして話を続ける。
「メレメレ島にはノーマル、格闘、飛行のZクリスタル。アーカラ島には、水、草、炎、岩のZクリスタル。ウラウラ島には電気、氷、虫、ゴースト、エスパー、鋼のZクリスタル。そして最後のポニ島では、毒、地面、ドラゴン、フェアリーのZクリスタル、といったように、各島で生成されるクリスタルの性質は限定されている。他の島では同様の現象があるかどうかまでは分からないが、少なくともアローラの伝統では各地がそのクリスタルを製造するに良い環境になっている、と推測されている」
「……そこまで知ってるのか」
キャプテンを目指したものなら知ってて当たり前だ、とグズマは言う。確かに、自分がなるタイプがどの島に所属しているのかを知らなければ、どの守り神に仕えるかどうかすらわからないのだから、突如選ばれたというわけでもない限りは知っていて当然なのだろう。
「そして、俺の場合は虫タイプのキャプテンを目指していた、だからカプ・ブルルの実りの遺跡に行くわけだが、選ばれなかった。それはそういうものだからな、その後にどうやってキャプテンになれるのか、人によっちゃあ守り神から試練を伝えられる奴もいるらしいが、俺にそれはなかった」
「そして、キャプテンになる方法を調べた……のか?」
グズマが肉食獣のような笑みを浮かべる。
「そうだ、俺の願望は確かにあったが、まぁ守り神の事だ、どのタイプのキャプテンに指定されるかわからないし、もしかすれば、別タイプや違う守り神に選ばれる可能性だってある。調べるさ、なぜおれがキャプテンになれないのか、それを知るために、な」
ゴクリとヒトミが唾を飲み込む。
「守り神に、選ばれるために……?」
自分の育てているポケモンとは別のタイプのキャプテンを任される可能性がある、それは初めてヒトミが知った事実だったようで、驚きを隠せない。
「それじゃあ、次のステップだ。俺はハラに師事していたから、カプ・コケコに選ばれる可能性もあると思っていたし、虫タイプ中心に育てていたからカプ・ブルル選ばれるかもしれない、そう考えていた」
「そして、守り神について調べた、と」
幸いにも図書館もあれば、島めぐりを終えた人間には島全体が比較的協力的になる風習があるとグズマは言った。つまり、調べ、人に聞き、或いは自ら守り神に仕えるための努力を行った、ということだろう。
「カプ・コケコは気まぐれで、人を助ける時もあれば裁く時もある。力比べや速さ比べを好み、バトルを好む傾向がある。それに対して、カプ・ブルルは争い事は嫌う傾向にある。秩序を重んじ、破る物には罰を逆に秩序を守るものに対しては、人であれポケモンであれ、その恩恵を受けることが出来る」
そこでグズマが一区切りする。
「それじゃあ、後の守り神は?」
「カプ・テテフは保守的だ。そもそも、伝説クラスのポケモンなわけだから弱いわけではないが、守り神の中では耐久がある訳じゃない。基本的には気まぐれではあるが、アーカラ島に愛着があるのか、キャプテンはアーカラ島出身が多く採用されている。例外もなくはないが、それでもアーカラ島に長い間滞在し、カプ・テテフに気に入られる事が条件であることは間違いない。そして、カプ・レヒレだが、保守的どころか排他的だ。ポニ島の島キング、島クイーンに至っては長年従事し続けている血族しか選ばれる事はない。キャプテンを選ぶことすら稀で、毒、ドラゴン、に関しては近年キャプテンが選ばれた事はない。そもそも人前に姿を現すことすらほとんどないからな、余程の事がなければ、キャプテンにはなれないだろうな」
カプ・レヒレの話になるとプルメリが目をそらす。どうやら毒タイプのキャプテンに選ばれなかったのは、プルメリも同様らしい。
「そこで無類のバトル好きな俺はどうやらアーカラ島とポニ島は不可能だろうと考えた。どう考えてもこの守り神に気に入られる要素がねぇ、あるとすれば、戦う事に関して良しとするカプ・コケコか、あるいはルールに基づくものであれば認めるカプ・ブルルになる訳だ」
「なら、カプ・コケコなら、可能性はあるんじゃないか?」
グズマは首を横に振る。
「カプ・コケコが好むのは競争であって、闘いじゃない。実力のあるものに対しては関心をもつが、破壊や略奪といった行為は好まない。カプ・ブルルならばなおさら、だ」
「……だけど、そのころお前が、破壊や略奪を行っていた訳じゃないだろ?」
島めぐりをしている時から、そういった行為をしていたのであれば、他の島キングや島クイーンがグズマを一目おく理由がない。
「そうだな。そこで俺には二つの選択肢があったわけだ。一つは、これまで積み上げてきた信条をへし折り、頭を垂れて守り神に降るか」
そこで一度区切り、続きを口に出す。まるでそれが禁忌であるかのように。
「秩序を否定し、破壊するか、だ」
そして、苦悩し、グズマは選んだのだろう。これまでポケモンとともに歩んできた道を振り返り、それを否定する別の道か、或いはポケモンと共にある事を望むか。
「俺は、俺が積み上げてきたことを否定しない。俺は俺が正しいと思う道を行く。キャプテンだろうが、島キングだろうが、守り神であっても、だ」
力強く握りしめられた拳は、玉座に叩きつけられ、無残な形に変形する。グズマの拳からも血が流れ出ていた。
「ヒトミ、お前が信じるものはなんだ? キャプテンか? 島クイーンか? それとも守り神か?」
それは、神に反逆しても己を信じられるか、という問いだった。
――お前らは結局、ポケモンをバトルの道具としか見てないんだろ――
「……上手くはいかねぇもんだな」
自分で黒のタンクトップに白の糸で模様を描く。それは、白いドクロでスカル団のものだ。次からはペイントにするか、と呟きそれに袖を通す。バンダナを頭に巻き、カラーコンタクトを入れ、口元を隠す。この衣装をまとっている限りは、ヒトミではなく、他の人間はスカル団と認識するだろう。
「なんだい、様になってるじゃないか。小物臭がプンプンするよ」
プルメリが茶化す。それも悪くない、とヒトミは笑う。
「さて、スカル団の下っ端として、いっちょやりますか!」
己と己が信じるポケモンたちは、守り神とは相いれないのかもしれない。もしかすれば、アローラからも、違法ものと呼ばれる存在なのかもしれない。だがそれで構わない。自分が信じるものは、自分と共に歩むポケモンたちでいい。
読了ありがとうございました。
いかがだったでしょうか?
今回はヒトミがスカル団に入ったきっかけの回になります。
キャプテンとか島キング、島クイーンのシステムについては、やはり伝統ではあるものの、否定的な意見が出てしかるべきものではあると思います。過去の偉人達が積み上げてきたものであり、無下に出来るものではないけれど、それと自分が生きる道筋が合うかどうかについては、やはり誰もが葛藤するところではないでしょうか。
オリジナル設定としては、グズマがキャプテンになれなかったのは、自分の信条に従う為に、生き方を変える事を拒んだ為になれなかった。破壊の道を選んだ、という設定になっております。
ちなみにプルメリはそこまで行ってません、島めぐりは終えたものの、レヒレに選ばれず、迷っていたところグズマに勧誘された、という設定です。
こういう、表の輝かしいところもあれば、暗い部分もあるポケモンというゲームは個人的にすごく好みになります。大きく分かれるところではあると思いますが、ここまで書いておいてなんですが、サンムーンのメインストーリーに触れない限りグズマ絡まないのが残念でならないですorz
格好いい悪役ってやっぱりいいですよね、サカキ様とか、フラダリ(笑)とか。
良ければ、ヒトミの物語の続きをまた見て頂ければ幸いです。