オリジナル設定、オリジナルキャラ、物語中盤から擬人化などなど、苦手な方はブラウザバック推奨になります。
それでも良いという方はどうぞお付き合いください。
※追記 挿絵追加しました。ウスユキさんの絵です、色鉛筆であまり綺麗ではありませんが。
「アローラ! お待たせ致しました、日替わり定食二つになります!」
昼のピークの時間になると店が慌ただしくなる。行列が出来る訳じゃないが、今まで料理から運ぶ所まで一人でやっていたというので、ままならないなんてものじゃない。
「ヒトミ! 定食三つ出来たよ!」
「喜んで!」
お客様に迷惑をかけない程度に早足で、キッチンから定食を運ぶ。
「アローラ、お待たせいたしました!」
「おっ、やっぱりヒトミが来てから料理が来るのが早くなったな」
「冷たい水とお手拭きが最初に出るなんて、ママ一人の時は考えられなかったからなぁ」
「ありがとうございます、今後とも御贔屓に」
ヒトミは素直に礼を言う。バイトを始めてから三カ月経ったが、この店の評判もあがり、客層も増えるようになった。元々家庭的な料理で見栄えはしないが、味よし、バランス良し、値段良しの三拍子がそろっていたのだ。サービスを少し改善するだけで充分人を引き寄せられる力があったのだろう。
「ヒトミ、次出来たよ! 早くしな!」
「喜んで!」
「ママはやっぱり厳しいな」
「頑張れ、若いの!」
やっぱりアローラの土地柄か、大らかな人が集まるようだ。部外者のヒトミもこれだけの間で受け入れてくれている。
「ふぅ、ようやく客足も落ち着いたね」
「そうっすね、休憩ですか?」
お昼も過ぎて、客足は途絶えた。お昼を食べに来た連中はもう仕事に向かっているころだろう。また、夕食時には忙しくなるだろうが。
「……あんたのおかげで、店も賑わうようになったよ、ありがとう」
「き、急になんすか? そんな大したことしてないっすよ」
ママが優しい笑みを浮かべる。仕事の時の厳しい表情ではなく、仕事が終わった後の柔らかい笑顔だ。
「そこそこ儲かる様になったんだ、少し給料もあげようかと思ってね」
「本当ですか!? 俺、もっとがんばります!」
「まぁ、ちょっとだけだけどね」
珍しく景気の良い話だ。客の数が単純に増加しているので、儲けも増えているのだろう。バイトで入っているとはいえ、ヒトミも純粋に期待にこたえようと返事をする。
バァン!
勢いよく店の扉が開かれる、現れたのはキャプテンのウスユキだ。
「あろー……ら?」
彼女も良くこのお店で食事をしている。とはいえ、こんな時間帯にくるのは珍しい。それも扉を叩きつけるように開くほど、普段は礼儀の悪い事はしないが。
「ヒトミ!」
「……御指名だよ」
「俺、なんかしましたっけ?」
ずんずんとウスユキが近づいてくる、歩き方も表情も放つオーラも何もかもが怒りに満ちている。何をしたのか身に覚えがないのか、ヒトミはただうろたえているだけだ。
ウスユキがテーブルにバンと両手を叩きつける。
「なんで試練に来ないのよ!」
体力を持て余す肉体を手に入れ、生活費も稼がなければならない中で、俺が悩んだ結果
俺が辿り着いた結果は
感謝だった……
前の世界からずっと俺を支え続けてくれたポケモンに対しての限りなく大きな恩
自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが、
一日 十回 カリキリとアマカジとの勝負
バイトを終え
ママに挨拶をし
シェードジャングルの大きな木の下に
モンスターボールを構える
カリキリが現れる!!!!
一体倒す事に最初は十~三十分
常に勝利すると言う訳にはいかず、初日に倒せた数は僅か三匹だった。
カリキリが倒れれば、ポケモンセンターへと走る。
数時間の休憩の後、またバイトが始まる日々
三ヵ月が過ぎた頃、異変に気付く
カリキリとアマカジを十体倒しても、
日が暮れていない
カリキリのレベルは三十を超えて完全に羽化する
感謝のカリキリとアマカジとの勝負十回
一時間を切る!!
かわりにポケリフレの時間が増えた
シェードジャングルから戻ってきたヒトミとカリキリは
試練を
置き去りにした。
「いや、置き去りにしてんじゃねぇよ」
ウスユキの鋭い眼光に、ヒトミはただただひれ伏すしかなかった。
「忘れてた訳じゃないんですけど、まだ努力値振りが……」
HA極振りにするためには、252回の戦闘が必要だ。パワー系のアイテムや呼び出しによるボーナスができる環境でもないため、時間を割いて行う必要が出てくる。
「努力値って何よ……ったく、訓練はしてるって聞いてたからずっと待ってたのに、何? 放置? 放置プレイなの? 普通はもっと早く来る訳よ。それで現実を知るの、主ポケモンの強さを知って、そこからスタートするの、それが島めぐりの試練なの!」
「あっはい、サーセンした」
さっきからウスユキパイセンの前でずっと土下座である。
「まぁ、忘れてた訳ではないってことで大目に見てあげるけど……」
「うぃっす、今日準備するんで、明日には向かわせて頂きます!」
「……まぁ、バイトもあるだろうし仕方ないか。明日、必ずよ!」
そう言ってウスユキさんが去っていった。努力値が狂わないようにトレーナーの目を避けるようにして、トレーニングを続けていたのだが、時間を使いすぎたらしい。
「要するに、なんで私のところに来ないのよ、ってことさね。ちゃんと約束は守るのが男だよ」
「……アイマイマム」
夕方の忙しい時間帯を終え、ヒトミはいつもお世話になっているオハナ牧場へと向かう。
「アローラ! お姉さんいます?」
「アローラ、あっいつもの定食屋さんね。ちょっと待ってね~」
ここのモーモーミルクは評判で、店で販売の許可をもらおうとしたらあっさりと承承諾が下りたため、定食屋さんで販売するに至ったのだが、評判は良い。毎日必ず売り切れになるので、数を増やすかどうかをママが悩んでいるようだ。
「それと、ちょっと相談、いいですか?」
ヒトミがこっそりと頼みごとを伝える。
「あぁ、おやすい御用よ。少し金額は上がるけど、大丈夫?」
「……どのくらいっすか」
「2割増し」
「大丈夫っす、5つください」
「毎度あり!」
自分の考えが上手くいって上機嫌になったヒトミは、レンタルライドのバンバドロに店用のモーモーミルクを積んで戻る。
完全に日が暮れて、ポケモンセンターにも人の出入りが多くなる。二階の宿泊施設を利用する者、夜にしか出ないポケモンを捕まえに出発する者、闘いを終えて傷を癒す者、様々である。
「グランブルマウンテン、貰える?」
「あいよ」
ポケモンセンターの端にある、こじんまりとした喫茶店。有料の施設なので、人はまばらだが、サービスは良い。おっさんの腕は確かなものだ。少し待つと頼んだコーヒーが出てくる。
「遠方から良い知らせが来てね、最近はコーヒーの豆が良作らしい。今日のグランブルマウンテンは苦みもコクも、一味違うかもしれんな」
そう言って、サービスのもりのようかんとポケ豆がついてくる。カリキリには緑色のポケ豆を二粒渡す。
「きゅきゅ~♪」
コーヒーに口を付ける、おっさんの言葉通りいつもより苦みが強い、だが風味とコクが一段と良くなっている。ブレイクタイムには贅沢なくらいだ。
「話は聞いたぜ、ようやく重い腰をあげたってな」
「まぁ、カリキリも充分強くなったと思うしね。というか、噂になるの早いね」
「アローラは狭いからな。特にこういう仕事をしてると、色んな奴の愚痴も良く聞くのさ。ライチさんのもね」
「……ライチさんも?」
「試練について、驚かせすぎたか、説明が足りなかったのか……バイトで忙しそうにしてるけど、島めぐりを諦めたりしてないだろうか、ってね」
「……耳が痛いね。試練をクリアしたら真っ先に挨拶行かなきゃいけないな」
ヒトミが苦い顔をしているのは、コーヒーが苦いからか、周りへの影響を今更自覚したからか。
「あれでも心配症で頑張りやだから、色んな人に頼られるんだが……良い人を超えないのよなぁ」
コップを磨きながらおっさんが一人愚痴る。この時からすでにライチさん周囲から心配されていたらしい。
「もしかして、ウスユキさんも来てたりする?」
「トレーナーなら、誰でも来るだろう?」
おっさんのうんざりするような様子を見ると、二人の愚痴を聞いてるのは一回や二回ということはなさそうだ。
「ちなみに、試練の事って知ってる?」
「そいつはキャプテンに聞く事だな。知らない事はないが、順番が違う」
「そいつはそうだ……気合入れなきゃな」
ポケ豆を食べて満足したのか、ねむそうにしているカリキリを撫でる。ヒトミはそこそこ懐いていることを実感していた。
読了ありがとうございました。
今回はレベルアップ後のカリキリのデータを載せておこう思います。
興味のない方は飛ばしていただいて問題ありません。
ヒトミの手持ちポケモン
カリキリ
Lv:33
努力値 H140 A140
実数値 H90 A60 B36 C44 D33 S25
進化寸前ですね。ちなみに、140体ずつカリキリとアマカジを倒した時、ざっとの計算ですが約三万五千程になるので、多分これくらいのLvになると思います。
もちろん、出てくるポケモンのLvとレベル差の経験値減で変わると思います。というわけで多分これくらいだろう、という数値にしてあります。