君はルールを守る人?破る人?   作:3148

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晴れパ収穫オボンで耐久型って出来るんですかね? 色々やってみたい型はあるのですが、育成が間に合わずに妄想だけが積もっていく毎日なので初投稿です。

オリジナルキャラ、オリジナル設定、擬人化等苦手な方はブラウザバック推奨です。

それでも良いという方は、お付き合いください。


第二十九話

 ザオボーに資料を渡してから三日が経ち、メールが届く。どうやら、エーテルパラダイスの一階エントランスに来て欲しいとの連絡だった。スカル団の格好で堂々と入る訳にもいかないので、いつものアロハシャツを羽織り、タンクトップは隠す。いつも付けているカラーコンタクトは外して、サングラスもバッグに忍ばせる。とりあえずこれで、パッと見でヒトミだと判断出来る人間は少なくなるだろう。どちらかというと良く似てる観光客ぐらいな感じが一番良い。準備を整えたヒトミはエーテルパラダイス行きの定期便に乗り込む。

「え~、エーテルパラダイスに到着いたしました。水上の楽園をごゆっくりお楽しみくださいませ」

ガイドの方がそう放送すると客が船着き場から降り、一階の外部に向かい始める。

「……あれ、中に入るもんじゃないのか」

そう思いながらエントランスに入ると、改装中のカラーコーンが立てられていた。

「ヒトミ様ですね、どうぞ中へおはいりください」

スタッフの一人が、中に誘導する。

「あの、今日は何かあるんですか?」

「本日は水上でのポケモンショー、ライドギア体験と海上と外部でのイベントの日となっておりますので、観光客の方はそちらに向かわれております。改装中ですので、中には最低限のスタッフのみ、配置させております」

そこにヒトミが呼ばれる理由が全く説明されていないが。他の客がいないと言う事は、他に話してはならない内容ということだろう。ザオボーも、ここじゃないと話出来ない理由でもあったのか、そう呟きながら奥へと進む。

「ザオボーさん結構部下に対して上から命令するし、今進行中のプロジェクトもそこそこ無茶だしなぁ、研究室から追い出されたとかじゃなければいいけど」

そんな考えを巡らせながら、エーテルパラダイスの内部に足を踏み込む。内部には整えられた通行路。ゆったりと休んでいるポケモン達、それと清掃や、通路の整備をしているスタッフ達が点々としていた。

「初めて入ったけど、やっぱり綺麗だな」

空調もしっかりと聞いていて、少し涼しい。白い壁の体感効果もあるのだろうか、水が流れる音で清涼感を感じ、きっとポケモンにも、人間にも最適な環境を再現しているのだろう。

「……これは、凄い技術だな」

水上に大規模建築物を建てる時点で財団の技術力の高さが伺える、さらに内部環境も完璧だ。インフラも整えてあり、エーテルパラダイス自体が一大プロジェクトなんだと、改めていやでも理解させられる。あるいは、ポケモン達の協力の成せる技なのか、元の世界とは建築の考え方自体も違うのかもしれない。

「ん~、外ももうちょい見学していきたいなぁ。内部までは無理だろうけど、図面とか、ザオボーさんに言ったら見せてもらえないかなぁ」

公共物関連なら、図面や計画を公開してる可能性もあるが、内容次第では閲覧に手続きが必要な場合もある。もしかしたらマリエ図書館にも資料があるかもしれない。などと、無関係な独り言を呟いていると、一番奥に人影が見えた。そしてヒトミは勘違いをしていた事に気付き、背筋に冷たい汗が流れる。

「ルザミーネ……代表」

「ようこそ、ポケモンと人間の楽園エーテルパラダイスへ。歓迎しますわ、ホシノ ヒトミさん」

金色の髪を膝元まで伸ばし、抜群のプロポーションを余す事なく表現する服装で、まるで女神を想起させるような笑みで、迎え入れられる。

 

 ルザミーネと対面すると、改めてその美しさに驚愕する。スラリと伸びた足、モデル体型のそれは、同じ人間であるかどうかすら疑ってしまうほどに。

「あらあら、そんなに緊張されてしまっては、私も緊張してしまいますわ。折角お会いできたのですから、ゆっくりお話ししましょう」

緊張というよりも、警戒してるといった方が近いのだろうか。

「いやぁ……そう言われても、こんな美しい方とお会いするのは初めてで。緊張が解けるまではちょっと、時間が掛かるかも知れませんね」

そう言って、ヒトミは腰のモンスターボールに手をかける。あくまでルザミーネには見えない様に、そして周囲を確認する。スタッフ達が一様にこちらを警戒する動きを見せた。どうやら、かなり訓練されているようだ。

「ふふっ、お世辞でも嬉しいですわ」

穏和な笑みを崩さない。なによりも、余裕がありすぎる。敵陣真っただ中に飛びこんでしまったということに気付くとヒトミは潔く諦めて、ボールから手を離し、両手をあげる。

「はぁ、随分優秀なスタッフ達みたいですね。本当に周囲に目が行きとどいてる」

「ええ、自慢のスタッフ達ですわ。彼らがいてこそ、このエーテルパラダイスがあると言っても過言ではありません」

そう言って、自慢げにスタッフ達を見つめる。話していると落ち着くような温和な印象を受ける。ヒステリックな感じを予測していたヒトミは、また別の意味で驚くことになっていた。

「ごめんなさいね、手前味噌な話をしてしまって、今回お呼びした件についてお話しないと。まずは、協力して頂いたお礼から」

そういって優雅にルザミーネが頭を下げる。

「そ、そんな! 俺は何も……」

「ビッケからお話は聞いていますわ。研究の結果についてはザオボーを評価してほしい、勿論お約束は守らせて頂きます。ですので、一個人として貴方にお礼を言わせて頂きたかったのです」

「参ったな、代表に頭を下げられると、恐縮してしまいますよ」

フフっ、と微笑み、ルザミーネが話す。

「ここではルザミーネと、お呼び下さい。私も代表と言う立場でお話するには、少し面倒事が多いので」

確かに、ヒトミはスカル団の一員だ。一応、見た目はばれないようには配慮してあったとしても、周囲に知られて良い情報でもない。

「はぁ、分かりました。ルザミーネさん、それで、話の内容とは?」

「貴方のおかげで、劇的に研究が進みました。何年先になるか分からない実験も、仮にですが実を結びつつあります。なにより、ウルトラボールという発想、私たちにはなかったものですわ」

恐らくヒトミがいなくても自力で辿り着いたはずなのだが、この世界ではヒトミの協力があってこそ、ということになっている。

「別次元から来るポケモン達にも、安らぎの空間を。元の世界と行き来出来る方法が確立すれば、それが一番良いのですが、今はまだそれも難しいのです。せめて、突然の来訪者にも、この世界を好きになってもらえれば、良いのですが」

「その一つが、ウルトラボールだと?」

「ええ、ウルトラホールに付随する特殊な現象には概ね良好な反応を示しています。全てがそうだとは限りませんが、それでも、安らぎの場所があるのとないのでは、違いますもの」

本気でUBのこと考えてるということが、その話の熱からも伝わってくる。そう語るルザミーネには慈愛の感情が見える。

「それに、リーリエもグラジオも、コスモッグと良く遊ぶようになって……あまり研究室には近づかない様にと言ってあるのに、子供ですから仕方ありませんね」

何故か、とても嬉しそうに語っている。この時点ではまだ、グラジオもリーリエも脱走していないのだ。ということはタイプ:ヌルに関しての研究も進んでいる最中ということだろう。

「二人とも私に似て、本当にポケモンが大好きで、エーテルパラダイスを計画している時に私だけで管理をしようと話をしていたのですが、二人とも一緒に行くと聞かなくて……毎日、ポケモンと触れ合って笑顔でいるのを見ていると、エーテルパラダイスの計画に参加して、本当に良かったと思いますわ」

多少偏執的な思考はあるが、ポケモンや家族に向ける愛情は本物だ。下手したらウツロイドの毒がまだ入ってない可能性すらある。しかし、まだ二人に裏切られてないから愛情の対象なのか、むしろ親馬鹿と行って差し支えない様子だ。

「あらいけない、子供の事になるとつい夢中になってしまって……貴方にお話しても、詰まらなかったでしょう?」

「いいえ、本当に子供思いなんですね。厳しい方だと思っていたのですが、少し印象が変わりました」

「ふふふ、自分で言うのもなんですが、教育に関しては厳しいんですのよ。勉学については手を抜くつもりはありませんわ……ただ、ポケモンに対しても愛情を持って、育ってほしいと言うのもあって、やはり子育ては難しいものですね。何より、甘えられると中々強く言葉を言えなくて」

「ははは、いいじゃないですか。俺にはまだ分からない話ですけど、きっと子供たちも貴方の事を誇りに思ってますよ」

きっとこの姿が、彼女の本来の姿なのだ。ウツロイドに寄生され、悲しい事件が重ならなければ、優しくて、時に厳しくて、愛情に溢れた人間だったのだ。それ以上に企業家としても抜け目ない人だが。

「ありがとう、そう言われると何だが照れてしまいますね。それと、お礼と合わせて一つ提案がありますの」

「提案……ですか?」

穏和な笑みを崩さず、言葉を続ける。

「エーテル財団の代表としてではなく、一人の人間として、ただのルザミーネ個人として、お互い協力をお願いしたいのです。貴方はきっと、他に代わりの無い、特別なお方ですわ」

その笑みに、ぞくりとする。甘い甘い誘惑。個人としてと言う事は、それに預かる恩恵は多大なものになる。ましては財が溢れかえるほどもつエーテル財団の代表と個人的な繋がりを持つと言う事は、今後何をしようとしても、有効に働く事は間違いない。社会の掃きだめの様なスカル団の人間にとっては、とても魅力的な相談だ。

「勿論、協力させてもらいますよ。うちの団長が貴方と協力してるんですから。スカル団として、ね」

だが、断る。ルザミーネの様な格上の人間に対して、要求を二つ返事で受ける事のリスクが高過ぎる。ザオボー経由で呼び出されて何の用心もなく此処に来た時点で、彼女の掌の上ということになる。二つ返事で受けるには、危険すぎるだろう。

「あら残念、振られちゃったわ」

うふふ、と穏和な表情を崩さない。

「魅力的なお話だったんですけどね、俺が信じたのはグズマのカリスマ性です。そうひょいひょい移り気になってしまっては、男の価値が下がってしまう。いやいや、本当に勿体無い話ですけど、義理は通さないと」

「なるほど、義理ですか。ますます好きになってしまいそうですわ。良ければ、またお茶会にでも誘わせて下さいな。貴方のポケモンも、子供たちに見せて貰えれば喜ぶと思いますし」

「ははっ、うちの団長の機嫌が悪くなければ考えときますよ」

そう話が一段落つくと、スタッフの一人がルザミーネに耳打ちをする。

「呼び出しておいて申し訳ありません。少し用事が出来てしまいまして……またお会いしましょう?」

「ええ、お呼びして頂きありがとうございました。ルザミーネさんのお誘いであれば、地球の裏側でも駆けつけますよ」

そう言って、ルザミーネは移動用エレベーターに乗って姿を消す。

「……つっかれたぁ」

手すりにもたれかかり、脱力する。

「誰だ、あんなキャラ作った人。青少年には悪い影響すぎるぞ。性的な意味で。ついでに、頭良過ぎるし、どこまで読まれただろうか、多分俺の事も大分探りいれられてるんだろうなぁ。ただでさえ国籍不明の不審者なのに、その気になれば一瞬で牢屋か研究所行きだぜ」

慣れない緊張感からか、早口に愚痴をこぼす。

「まぁ、いいか。良くも悪くも、まだ異常は起こってないみたいだし、何より、良い人みたいだしな」

UB関連さえなければ良い人なのだろう。

(もしかしてロリーリエちゃんと会える可能性ワンチャン!? まじで!? 深く考えてなかったけど、それって最高じゃね!?)

「俺のトランセルが固くなっちまうぜ」

冗談はこれくらいにしておいて、通報されないうちにアーカラ島のモーテルへ戻る船に乗る。

 

 定期的に訪れる頭痛と断片的な記憶がヒトミを悩ませる。見知らぬ光景、ラキアナマウンテンの頂上、チャンピオンの椅子、集まる10匹の10%フォルムのジカルデ。自分が何を忘れてしまっているのか、その焦燥感だけが積もっていく。

 




読了ありがとうございました。今回はポケモンのデータなどはありません。

ルザミーネさんはゲーム内ではヒステリックな感じでしたが、愛情余って憎さ倍増って感じだったらいいなぁ、と思ってそんな設定にしてます。
ただまぁ、教育熱心なところもあり、締めるところは締める、ただ甘えられると弱いお母さん、だったらいいなぁと妄想してたらこんな感じになりました。
今のところはイベントが起こる前なので、ウツロイドの毒が表面的になることはすくなかった、といったところでしょうか。

今回はここまで、次回もお付き合い頂ければ幸いです。
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