オリジナル設定、オリジナルキャラ、物語中盤から擬人化設定等、それらが苦手な方はブラウザバックを推奨します。
それでも良いという方は、どうぞお付き合いください。
「アローラ! 本日のお勧めは日替わりのマラサダ定食になります!」
「え~、何それ? 聞いた事ないんだけど」
「マラサダって、アローラ地方の名物ですよね?」
「そうですよ、ふわふわサクサクの食感と南国オリジナルの刺激的な味がやみつきの定食になります。食欲増進! 観光で慣れない土地での疲労も回復、名物で記念にも成って一石二鳥です♪」
二人の観光客が目を合わせる、太陽が真上に登り、日差しが肌を焼く、時間は正午といったところだろうか。
「アローラは初めてですか? それでは是非、サービスさせていただきます!」
「えっ、サービス?」
「勿論、折角の旅行ですから、アローラを満喫していただかないと!」
「そうね、これ以上迷うのも嫌だし、サービスしてくれるなら、ここにしましょうか」
「そうだね、そうしよう」
「御新規二名様ご案内―! 日替わり二つ!」
そうして観光客をテーブルに案内して、果実を浮かせている水差しで水を注ぐ。
「いい香り♪ この店雰囲気いいかも」
「少々お待ち下さいませ」
今日もコニコシティの定食屋は繁盛している。最近はウェイターをマオが手伝ってくれるようになり、対応出来る客の数も増えた。時間が空けば、コニコシティに来る観光客の呼び込みも行うようになり、口コミで『派手ではないが、お手頃価格でアローラの名物を食べられるお店、こだわりのモーモーミルクと店員の接客も好評価』と広がっている。
「アローラ」
二人の客が店に入ってきた。
「アローラ! 二名様ですね、お席に……ごあん……な」
「特盛Z定食」
「日替わり定食」
ライチとウスユキが不機嫌そうにテーブルにつく。
お昼を過ぎ、客足も途絶えた所でヒトミはライチとウスユキのテーブルへ向かう。
「……サービスのモーモーミルクです」
瓶のまま二つ、二人の前に置く。指を刺されて、向かいの席に座る。
「はぁ、トレーナー辞めたら(呆れ)」
「ウスユキキャプテン、その言葉は俺に効く……やめてくれ」
ウスユキがモーモーミルクに口を付ける。毎朝届けてもらっている新鮮なものを使っているので、なんだかんだ言って二人とも足繁く通っている。
「ちゃんとポケモンは育ててるみたいだけど、次の試練に行くつもりはないの?」
「いや、ありますよ。ただ、次の試練に行く前に準備したいものがあって、ちょっと手間取ってるだけですってば」
その為にまた一カ月費やしているのである。最近は日を追うごとにウスユキの視線が汚物を見るような眼になっていっている。
「ならよかった、これが無駄にならずに済んだみたい」
ライチが、ポケットから白い腕輪のようなものを取り出す。
「Zリング、遅くなって悪かったわ。これであなたもZ技を扱う事が出来るようになる」
「……ありがとうございます」
ヒトミは頭を下げ、慎重に受け取る。右腕にはめ、その感触を確かめる。持っているZクリスタルと反応し、持っている草Zが熱く光り輝く。
「なんだいなんだい、また試練の話かい?」
「そうなの、ママ聞いてくれる? 未だに次の試練に行ってないの、信じられる?」
「まぁ、店も忙しかったし、色々してくれてたもんねぇ」
オハナ牧場との契約、ウェイターから調理手伝い、観光客のターゲットにした呼び込み、それに伴う看板や店内のちょっとした模様替え、その他雑用諸々、バイトにしては業務範囲を超えているのではないだろうか。
「忙しいのは分かるんだけど、島クイーンとしては島めぐりの試練が遅れるのは……ちょっと」
毎年多くの少年少女が島めぐりを行い、試練を経験し成長していく。必ずしも全ての試練を達成できるわけではなく、何年も掛かるトレーナーも少なくない。ただ、その時に培った経験と人脈を通して、その後の人生を豊かに出来ると言うシステムでもある。けして遅いと言う訳ではないのだが、長い期間挑戦していないということが、問題なのだ。
「ヒトミのやる気次第、ってことだね」
「その情熱がバイトに向いてるようにしか見えないのよね~」
「サーセン、いや、トレーニングはしてるんで、やる気はあるんです」
昼と夕方はバイト、朝は仕込みの手伝い、それから夜に努力値振りへシェードジャングルへ。正直ラランテスの努力値振りとレベル上げは恐らく充分行えただろう。進化した事によって、効率は格段に上がった。ラランテスも昼の間は店の屋上で日光浴をしてエネルギーを溜めている。毎日、充分な休息も取れているし、偶に道端に出て客寄せを手伝ってもらっている。アローラ独自のポケモンとその華やかさで観光客にも大人気だ。
「まぁ、新しいバイトもそこそこ仕事を覚えたし、マオもメニューを覚えたし、居なくてもいいちゃいいんだけどね」
「……マジッすか」
複雑な面持ちでヒトミはママを見つめる。だが、トレーナーの道を応援してくれてるのであれば、それに従うことを決心したようだ。
「びしっと試練こなして来な」
ママに背中を叩かれる。
ちなみに、マオは後にキャプテンになるマオちゃんです。まだ少女じゃなく幼女ですが。
「さて、と」
シェードジャングルからまっすぐ南に下り、五道路を超えるとせせらぎの丘に辿り着く。此処に辿り着くまでに、何人かのトレーナーとの対戦はあったが、ラランテスが充分に育っていた為、ほとんど苦労も無く辿り着いた。
「がっはっは、おんしがヒトミっちゅう島めぐりかのう!?」
「はい、ヒトミです!」
いきなり現れた上半身裸のおっさんに大声で呼びかけられ、驚きを隠せないまま硬直する。正面に立たれて、肩を叩かれる。
「水の試練にようこそ! わしがキャプテンのガジュマルじゃ、ウスユキから聞いておるぞ、早速挑戦するか!?」
「あ、はい、よろしくお願いします島キン……キャプテン!?」
見た目も腹の出っ張りも30代後半にしか見えないが、島クイーンがライチなのだから、キャプテンなのだろう。
「貫禄があり過ぎて困るなぁ! まだ19というのに、誰も信じてくれんわ」
がっはっは、と背中を力強く叩く。
「ちなみに、わしも、火の試練のところもそうじゃが、一筋縄ではいかんぞ。何せ、キャプテン全盛期の主じゃからな!」
自信満々に笑うその言葉に、嘘偽りは全くなかった。キャプテンは島めぐりを終えた人間から島の守り神が選ぶ、そして最短で11歳、そこから20歳までの期間となる。必ずしも主ポケモンが一新されるかどうかまでは分からないが、少なくとも島めぐりとキャプテンという莫大な経験は積もるほど強くなっていくだろう。つまり、ゲームではキャプテンの皆は一様に才気あふれるトレーナーではあるものの、発展途上であることは間違いない。5年前という時期に来たのは、何の因果か分からないが、恐らく全ての試練がゲームよりも凶悪になっているだろう。
「実際のところ、ゲーム準拠のLv24ラランテスなら、あそこまで苦労しなかっただろうしなぁ」
「それで、今から試練を行うか?」
ガジュマルがいまかいまかと待ちかまえている。
「いや、やってきたばかりですし、一度ポケモンを休ませてから挑戦させていただきたいです。それと、せせらぎの丘の中は一度入らせてもらっても大丈夫ですか?」
「おう、構わん! ワシの自慢のヨワシまではみせちゃれんが、クリスタルの台座に触れさえしなければ、試練の間に入っても構わんぞ」
「……まじっすか」
そんなんでいいのか、ザルすぎやしませんかねぇ。
「ライチさんとウスユキさんの話を聞く限りでは信用に値すると聞いておる。そしてなにより」
ガジュマルは背を向け、民家の方向へと向かって行く。何処かその背中には、哀愁を感じさせるものさえあった。
「良い勝負をしたいからな」
がっはっは、高らかに笑いながら去っていった。その背中を見送った後、とりあえずせせらぎの丘の近くのレンタルライド屋さんに手ごろなラプラスを借り、中へと足を踏み入れた。
右腕にはめたZリングを見ながら、ヒトミは木陰で休憩をとる。
「キャプテンに選ばれた……か」
恐らくは初めのころは才覚溢れる子供として、島めぐりをおこない、幾多の試練をポケモンと乗り越え、島の守り神からも実力を認められ、その席へとつく事になる。それから主ポケモンの育成となると、気合をいれて育てようとするだろう。最初の内こそ、上手くいかず、難儀したかもしれないが、試練を訪れるものの大半は格下だ。彼らと同じ様に才覚のあるものでさえ、さらに経験を積んだキャプテンと向かい合うことになる。他の地方のジムリーダー程強制力はないだろうが、全力で戦う機会は減っていくだろう。何せ、島めぐりの試練はあくまで、Zクリスタルを持つに足る実力を量る為の物なのだから。一定以上であれば、勝ったしても、クリスタルを渡したり、自分に枷をつけることで対等になろうとするものもいるかもしれない。
「ウスユキさんは……あのラランテスもメインパーティじゃないんだろうな」
あくまで主ポケモンで、島めぐりのトレーナーを量るものである。思いやり溢れる彼女であれば、自分の試練で挫折していくトレーナーがいる事すら、責任を感じていたのかもしれない。
「そんなんじゃねぇだろ……勝負っていうのは」
両手を合わし、しゃがみ、成長する植物をイメージしながら天に向かい伸びていく、最後はそれが花開くように足と両手を大きく広げる……それは草Z技の踊りになるのだが。
「……想像以上に厄介だぞ、これ」
ゲームだと一試合一回が限度なんてルールがあったが、スーパーマサラ人だからこそ、一試合に一回出来たと考えた方がいい。技ごとに持って行かれる体力も違えば、踊りを間違えたら暴発する。何より、踊りを見よう見まねで行えば、それで出来ると言うものではなかった。
「しゃらんらぁ……」
ラランテスもぐったりとうなだれ、良く日が当たる所で休憩している。
「発動はする、んだけどなぁ」
Zリングとクリスタルの反応は良い、ある程度の距離であれば、他人が持っている物ですら反応してしまいそうになるほどだ。ここからはあくまで憶測にすぎないが、Zストーンからエネルギーを送る際に、踊りとトレーナーを媒体にする事で、Zクリスタルに、具体的に言えばポケモンが利用出来るエネルギーに変換している、のではないだろうか。発信するトレーナーも一定のレベルで安定させて発動させなければ、ポケモンの技も安定しないし、ポケモンもZクリスタルからの反動に慣れなければ、技を打つ際に威力が半減してしまったり、最悪暴発して自傷ダメージになることもある。
「ついでに、このせせらぎの丘っつうのも厄介だな」
海につながる浅瀬の様な場所なのだが、波によってランダムに削られ、足首までの深さもあれば、そこの見えない深いところもある。その為、地上のポケモンも水中のポケモンも充分に闘える場所で試練としては確かにうってつけかもしれない。足元が水なのはラランテスにとって問題はない、太陽の光さえあれば、むしろエネルギー元に出来る環境なのだから。
「あとは、水中に潜られた時の対策だな」
正面切って殴りあえるなら、タイプ相性としては有利対面、だが生半可の威力の草技が水中にまで有効という訳にはいかない。何より、ヨワシの群れた姿は種族値の暴力みたいな奴だから、半減技でも十全のコンディションで放つ技は強い(確信)
「……ハイドロポンプとか、覚えてるんだろうなぁ」
半減で87・5の威力、140の種族値から吐き出されるそれは、間違いなく脅威でしかない。ラランテスも耐久は低くはないが高くも無い、確定1発にはならないだろうが、何発耐えられるか……ラランテスの時の様に、チャージ時間もないなら大量の回復薬を持ちこんで長期戦にする事も出来るが。
「……」
ヒトミは底の見えない試練の間を眺める。仮に水中に引きづり込まれる様な状態になれば? そうなった時点で勝ち目はない。ラランテスも水中で動きが劣るかと言えば、それ程落ちる事はないだろう。何かと器用なポケモンだから、どんな場所でもある程度こなしてくれるだろうが、格上のヨワシにさらに水中戦となると、メインウェポンさえ封じられて完敗するしかない。
「それじゃあ、まぁ……準備しますか」
下見は終え、敵のポケモン把握した、用は済んだヒトミはせせらぎの丘を後にする。
「後は仕上げをごろうじろ、ってことだ」
読了ありがとうございました。ここから先はポケモンのデータになりますので、飛ばしていただいても問題ありません。
ヒトミの手持ちポケモン
ラランテス
はなかまポケモン
草タイプ
Lv:47
努力値:H252 A252 S4
実数値:H165 A143 B105 C89 D96 S42
技:????
ソーラーブレード
リーフブレード
こうごうせい