成層破戒録カイジ   作:URIERU

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カイジ、黄泉……!

圧倒的蚊帳の外……!オルコット、布仏……!

沈黙を破ったのは……当事者……オルコット……!

 

「その……なぜ、そうまでして……わたくしのことを……」

 

「言ったろ、許せねぇって……今回の事、一方的に一人だけ、オルコット一人を処断して終わり……そんな結末は……!結局罰を受けるのは……お前だけだが……それに……俺は信じたい……人を……!裏切られても……それでも、信じたいんだ……!」

 

あずかり知らぬところで進んだ……借金……強制的……抗えずに……落ちていったカイジ……!

誰かの策謀に落とされる……理不尽な結末を……見たくなかった……!

そして、自身の行動に……誠意で答えたオルコットを……信じたい……救いたかった……!

 

「誰かに、裏切られまして……?それでも、人を信じたい……と?」

 

「……。ともかくだ、解決……まだ、わからねぇけど……ひとまずのところは……でも、これだけは言っておく……次はねぇ……!もう次はねぇんだ……!」

 

「……!」

 

「今後もお前が女尊男卑で……はなから男はクズだって決めつけて……罵ろうってんなら……その時は許さねぇ……!お前は一度、許された……!反省もしてみせた……!だから、同じこと……しようってんなら……容赦はしねぇ……!」

 

カイジ……宣言……!当然、仏の顔は一度まで……肩書を……責任ある者ならば……

許されない……三度も……例え仏様でも……許さない……!

 

「肝に銘じますわ……それにもう女尊男卑の思考は捨てましてよ……男も女も、人として、対等ですわ」

 

「そ、そうか……なら、いいんだ、それなら……」

 

「今日は本当にありがとうございました。カイジさんのかけてくれた温情、それに恥じぬように、裏切らぬよう努力いたしますわ……!」

 

そう言い、頭を深々と下げる、オルコット……!

 

「よかったねぇ、セッシー!」

 

「(なんで……!?突き放すように言ったじゃん、俺……場合によっては敵対宣言……容赦しねぇって……なんで、こうなんの……?)いや、別に、そこまで言われるほどのことじゃねぇって……大袈裟、一々……!やめてくれよ……!」

 

「ふふっ、ほんとうにお優しいお方ですのね。武器を持つべきでない、そんなお方……」

 

そして、ちょっぴり情けない……その分はわたくしが、しっかりすればいいのですわ……!

武器を持って、戦うだけが強さではないんですのね……優しさこそが、カイジさんの強さ……!

密かに、胸に思いを秘めた……オルコットであった……!

 

「それでは、カイジさん。明日の織斑さんとの昼食、ご一緒させてもらっても?」

 

「……。いや、あれ、嘘……ないって、織斑とわざわざ昼飯食べるとか、そんなん……」

 

「……」「……」

 

冷ややかに刺さる二人の視線……あの場で平然と法螺……吹いていた、この男……!

 

「そんな目でみんなよ……仕方ねーじゃん、あいつの、失言……誘導……情報を取り出すためには、必要だったんだって……!」

 

「では、改めて明日の昼食、ご一緒しませんこと?」

 

「いや、食事はひt……」

 

「いい加減にしろや……」

 

オルコットから見えない位置でフォークを突きつける布仏……!

 

「の、布仏さん……?ど、どうされまして……?」

 

「なに~?どうしたの~、セッシ~?」

 

小首をかしげる天使……笑顔、裏表のない綺麗な笑顔……圧倒的笑顔……!

 

「な、何でもありませんことよ……では、今日のお礼も兼ねて、明日はわたくしが腕によりをかけて、ランチを作って参りますわ!ぜひ、ご一緒していただけませんこと……?」

 

「わ、わかった……楽しみに待っとくよ……明日、昼食な……!」

 

「はい!では、ご機嫌よう……!」

 

ルン……ルン……!気分で足取り軽く、去っていくオルコット……!

残されたのはカイジと布仏……!

 

「なぁ、布仏……聞いていいか……?」

 

「なに~?」

 

「なんでも……ない……」

 

聞けない……聞けるわけがない……被ってるんですか、猫……なんて……!

聞けば……瞬間……気絶……冥土行き……決定……!カイジ、これを回避……!

だが、カイジ……冥土行きは回避ではなく……延期……逃げただけ……進行方向に……!

追いつかれる……!明日の昼……昼食には……冥土行き……!

 

そして来る……その時が……!昼食の時……!

 

「いい天気だな……昼寝してぇぜ……!」

 

中庭……カイジの見つけた静かなスポット……しかし今日は連れ……!

許せねぇ……カイジにこんな美少女の連れ……あってはならない……!

 

「静かなところですわね……いつもここで昼食を取られているんですの?」

 

「あぁ……落ち着けるからな……教室とか食堂とか騒々しくってな……」

 

「わたくし、やっぱりお邪魔でして……?」

 

カイジ、突如として視界が変わり……誰かが自分を見ているような……

誰かの目を通して、自分を見ているような……一瞬だけ……!

 

「っ……!?い、いや、別に……そんなつもりじゃ……ねーんだって……!オルコットは、呼んでもいいかなって……思ったから、呼んだんだって……」

 

意外……カイジから気の利いた言葉……言わなければ……言うことを強いられた、カイジ……!

 

「ま、まぁ……わたくしだからいいだなんて……そんなこと……!」

 

「時間は限られてるんだ……早く、たべよーぜ、飯……!」

 

「そうですわね!腕によりをかけて作ったんですのよ」

 

バスケットには色とりどりのサンドウィッチ……!色、とり、どり……?

 

「へぇ~、綺麗にできてるじゃんか……!美味そうじゃねぇか……!」

 

「ブリティッシュサンドといいまして、サンドウィッチはイギリスが発祥の地ですのよ?」

 

「ふーん、そうなの。早速いただくとするかな、まずはハムサンドを……!」

 

しかし、カイジに電流走る……!予感……予知……感じる……迫っている危機……!

外さないこの感覚は……でも、なんで……なんで、いま……?

 

「(鈍ったかな、平和ボケしたっていうか、この空気に当てられて……いけねぇな、こんなぬるま湯につかってちゃ……)いただきます……!」

 

しかし、カイジに電撃走る……!辛味……甘味……感じる……迫っている危機……!

外さないこの感覚は……!明らかに……飯不味……!体からの警告……!

 

「ど、どうでしょうか……?初めて作ったのですけれど……」

 

「(そうだよな……味見、してないんだろうな……!)お、美味しいな。ほら、オルコットも食ってみろよ……」

 

「ですから、セシリアとお呼びくださいまし。これはすべてカイジさんのために作ってきたものでしてよ。気に入ってもらえたのなら嬉しいですわ」

 

「セシリア……!」

 

唐突、一転して真面目……名前で呼ぶカイジ……!

 

「は、はい!」

 

「いいから、食べろ……御託はいらねぇ……!食べるんだ……話はそれからだ……!」

 

「ま、まぁ。カイジさんのたべかけだなんて……恥ずかしいですわ……!」

 

無理やり口元へと近づける……!逃さない……食うべきなんだ、これはお前が……!

 

「っん、むぐ。っぅ……!っんぅ……!?」

 

赤から青へ……信号機のように変わるセシリアの顔色……!悶絶……七転八倒……!

 

「ほ、本の通りに作りましたのに……な、なぜこのような事に……!」

 

「味見、しなかったのか……?」

 

「え、えぇ。見た目も本の通りになるように完璧に作りましたから……」

 

本の通り……?見た目……?こいつ、まさか……

 

「まさかとは思うが、何かした……?最後、本の通りに作り終えた後……本の通りになるように……?」

 

「……」

 

「したんだな……」

 

「も、申し訳ありませんわ……これはわたくしが責任をもって処理をいt!」

 

バスケットを持ち、立ち去ろうとするセシリア……!

しかし、カイジ、これを止める……!

 

「……待て、とりあえず……座れ……食えないとは、言ってねぇ……!」

 

「で、ですが……!」

 

「座れ……!」

 

普段はない迫力……雰囲気……有無を言わせない……!

 

「は、はい……」

 

「次からは、しろ……味見……!どんなにきれいにできても……!自分が、美味しいと……そう思えたものを出せ……!それが、人に食べてもらう人間の……忘れちゃならない、礼儀だ……!」

 

「はい……」

 

「お前が味見して、美味しいと思ったものなら、文句は言わねぇ……食う、俺の口に合わなかろうが……でも、お前が食べられねぇものは、俺も流石に食べられねぇ……!」

 

「分かりましたわ、次からは味見を忘れませんわ……」

 

「(織斑が言った、イギリスの飯が不味いってのも、なんつーか、否定できねぇなぁこれじゃ。でも本の通りに作ることまでが出来るんなら……その後のエッセンス、なければ食べられるはず……)そして、出されたものをすべて食べるのが、食べさせてもらう側の、礼儀だ……!だからこそ、どっちも忘れちゃいけねぇんだ、礼儀を……!」

 

カイジ……挑む……!命がけ……六発の弾を込めたロシアンルーレット……!

つまり、渡らなければならない、都合六回……三途の川を……!

全てを食べ終わり、気絶……カイジ……夢を見る、今朝の事……!

 

 

 




特有の表現はSIRENより、敵に見つかった際に自分の視界に敵の視界が一瞬被るというシステムから。相手がだれかは、お分かりですね……

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