成層破戒録カイジ   作:URIERU

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カイジ、決闘……!

クラス対抗戦当日……盛り上がりを見せるアリーナ……!

1学年すべてのクラスが集結……暇のある上級生……

各国家や代表候補生の先輩が……確認の場……その力量を……!

トーナメント発表の電光掲示板前……当然、人だかり……今か今かと待ちわびる学生たち……

そして、表示される……クラス対抗戦、第1戦目のカード……伊藤開司vs凰鈴音!

 

「いきなり、凰さんとは……優勝候補の一角……厳しいところが当たりましたわね」

 

「やっぱ、鈴って優勝候補になるのか。頑張れよ、カイジ!いや、鈴も……うーん、俺はどっちを応援すればいいんだ!」

 

心根は優しい一夏……幼馴染の鈴と唯一同じ境遇の男性操縦者……

どちらにも頑張ってもらいたい……仕方のないことである……!

 

「中国の代表候補生を一年で駆け上がり……専用機を持つというのは、並大抵のことではなくってよ……まぁ幼馴染ですものね、応援したくなるのは仕方ありませんわ」

 

「(さて、わたくしはピットの方にでもお邪魔させてもらいましょうか。山田先生に頼めばねじこめそうですわね。理由は、カイジさんの訓練に付き合ったのだから、その成長を見る義務があります、でいけますわね!)」

 

第1アリーナ、当然観客は満員……!

一部の生徒は……カイジの持つ力を期待……一部の生徒は……カイジが無残に敗北する姿を……

アリーナに渦巻く期待……実に対極的に分かれた評価……!

 

アリーナの中央で……睨みあう……カイジと鳳……!

 

「ふん、あんたみたいな臆病者が一夏を押しのけて代表になるなんてね」

 

凰の知るカイジは……自身が学園にやってきたその日……あの、情けなく……

みっともなく……自身から逃げて……女の背に隠れる男……!

情けない、臆病者……至極真っ当な評価……!

自分の恋慕する一夏が……代表になっていないことに、当然不満……!

 

「っへ、悪かったな……一夏君じゃなくて……!」

 

あえて、煽るように……普段は織斑と呼ぶが……あえて、君付け……!

 

「ふん、軽く叩きのめしてあげるわよ。ちょうど鬱憤もたまってるし、いい憂さ晴らしにもなるわ……!」

 

「想い人が鈍感ってのは辛いな……?それに無駄……憂さ晴らししてもすぐ溜まる……!」

 

情報は収集しているカイジ……片思いとその喧嘩……有効活用……煽る……!

 

「っ……!減らず口を!」

 

凰、突撃……!開幕から距離を詰めて……得意の接近戦……振るう、双天牙月……!

 

「(俺に、凰の接近戦を凌ぎ切る腕はねぇ……!だから、まずは距離を放す……!)っは、落ち着きなって……!」

 

接近して来る前から……ピンを抜いていた、グレネード……放り投げる……!

一撃目を受け止めた瞬間に……鳳へ向けて……!

気を取られる凰を置き去り……急上昇……直後爆発……!

 

「(爆発が早い……先に抜いてた……!?)っち!小細工を!」

 

諦めず追いすがる、凰……近接戦を仕掛けにいくが……

またも……カイジ、用意……繰り返す……爆破……!

 

「ちょっとは、頭が冷えたかい……?」

 

冷える訳がない……当然溜まるボルテージ……凰のストレス……!

凰のような天才肌には……掴ませない……自らのペース……作らせない……得意な状況……!

相手に対応するのではなく……自らの得意な戦法で……相手を叩きつぶす……!

相手の対応を上回り……潰してきたからこそ……戦術の引き出しは少ない……!

 

「(イラつかせるわね!だったら龍咆の餌食にしてやるわよ。せいぜいデータ取りの役に立ちなさい!)距離が取りたいなら取らせてあげるわ!」

 

「(来るか、龍咆……!悪いけどすでに……撒いてある、種……!)っは、落ち着いたってところか……?」

 

放たれる不可視の弾丸……衝撃砲……!しかし、避けるカイジ……事も無げに……!

 

「(っ……!?避けられた?でも表情の変化がない!どういうこと!?)あんた、どうやって!」

 

「……?なんのことだ……?」

 

すっとぼけ……カイジ、分からない……なんのことだか……?オロ……オロ……!

 

「(偶然?発射のタイミング前に急に進路をずらされたのは?それにしてもほんとイラつく顔するわね!)こんのぉ……喰らいなさい!」

 

連射……衝撃砲……!イラつきにより、落ち着きを無くしつつある凰……!

 

「(っは……イラついてる……イラついてる……!)急にどうしたんだよ……!怖いって……!」

 

カイジ、避ける……避ける……避ける……!

眉一つ動かさず……いや、困惑した表情で……人をイラつかせる、とぼけ顔……!

 

「どうして!なんでよっ!?」

 

龍咆に集中するために、出来る隙……見逃さず……カイジ、逆に仕掛ける……接近戦……!

 

「っな、あんたから来るなんて!」

 

だがまたも、グレネード……!自分で接近しておきながら……一合斬りあっただけで……接近戦を拒否……!

 

「うっがあああ、いい加減に……しろおおおお!」

 

爆炎を突き破り、突進……!

 

「……っ!やべ……!」

 

最早、グレネードも気にせず……突撃する、凰……!イライラ、達する……頂点に……!

 

「(やっぱ、ごり押しで来られちゃやべぇな……!怒らせすぎたか……沸点低いな、おい……グレネードの数も持たねぇし……技量差にものをいわせた力押しは……捌き切れねぇ……!移るしかない、もう少しSEを削りたかったが……第二段階……!次の種、撒くとするか……!)」

 

 

ピット内部……試合を観戦する教師二人にオルコット……!

 

「どうなっているんでしょう?龍咆はその不可視の弾丸、砲身。射角制限もないのが強み……回避は容易なことではないはずですが……」

 

本来、弾丸が実体を持たないことは……何ら意味も持たない……

弾速はそもそも人間の反応速度の外なのだから……!

しかし、砲身が見えない……射角無制限……これは非常に強力……!

人は砲身の動きから、その射線を予測する……!

光速であるエネルギー兵器……射撃時にすでに敵に命中している……!

避ける避けないではない……命中しないということは……撃った奴が外しただけ……!

そんな兵器を回避できるのは……砲身の動きによるところが大きい……!

衝撃砲は光速と比べるまでもないが……アリーナの大きさなら……着弾は一瞬である……!

当然射角も関係……相手の可動域外……射角外に避ける……!

それは人間の反応速度を超えた戦闘における……基本……!

龍咆はそれを許さない……射角無制限……凰が集中できる位置にいる……

その時点で……全く予測できず……命中が確定しているはずなのだ……!

 

「……人間の可視域では見れない。つまり、得ている……ISからサポート、なんらかの……!」

 

「龍咆の原理は空間圧縮による砲身の形成、っあ……!」

 

「そこだな、気体の流れや温度変化といったデータか……あのグレネードも接近戦拒否という名目はあるだろうが、龍咆潰しの布石……煙や、温度のムラを強くして砲身を観測するためのな……よもや初戦でそれをやってみせるとは……」

 

砲身を形成し……それから撃つ……実はそこに落とし穴……!

それは、空間を圧縮して形成した砲身……それが動かせないことにある……!

動かせば当然霧散……再形成をする羽目になる……!

すでに決まっている射線に入らない……それは、まだ操縦時間の短いカイジでも可能……!

そして、砲撃が可能になるのは……砲身が形成し終えてから……それを待たねばならない……!

故にラグ……僅かながら……それがカイジの誤差がある直感と観測してからの反応……!

運よく……その隙を無くしていた……!

 

「よくそのような攻略法を思いつきますわね……それにしても敵とはいえ鳳さんが少し気の毒に思えてきましたわ……」

 

「相当、イラついてるな。だが、イラつきすぎて猪武者のようになって、逆に小細工が通じなくなったな。地力は凰のほうが上な以上、追い詰められる。グレネードの数にも限りがあるし、あれではSEを削り切ることはできまい……!(次はどんな面白い手を用意したのだ……?)」

 

カイジの用意した策略……第二段階目……炸裂なるか……!?


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