成層破戒録カイジ   作:URIERU

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カイジ、死闘……!

死神の構える大鎌……それが自らの首を刈り取るその瞬間……避ける……!

直前に軌道を斜めにずらし……自身のいた少し前の場所へ……グレネードを投げて……!

直後、ビーム通過……当然、グレネード……爆散……!

 

『よっしゃ、ビンゴぉ!ISごと跡形もなく消えたっぽいけど、コアの自作できる束さんにはなんの問題でもないしぃ~』

 

両手を上げて、歓喜……!くるくると椅子の上で……回転……!

 

『さてさて、もう一人の邪魔者をっ……うぇっ!?』

 

束の眼前……巨大スクリーンに写し出されていたのは……

カイジの打鉄に……頭部を鷲掴みにされ……パイルバンカーを突き付けられたゴーレムの姿……!

 

『お前は死んだんだぞ?ダメじゃないか!死んだ奴が出てきちゃあ!死んでなきゃあああ!!』

 

ISの絶対防御すら……ものともせず……貫通……熔解……驚異的威力……!

直撃すれば……当然ISもろとも熔解……束でも……流石に致命……即死……!

だが、死んでいない……カイジは……!額から血を流しても……生きている……!

 

「悪いけど、容赦しねぇ……殺しにかかってきた相手には……慈悲、かけられねぇ……!安心しろ、殺しはしねーよ……脳震盪……!ちょっと、眠ってもらうぜ……!」

 

カイジ、狙うは脳震盪……!SEが削り切れなくても……内部の人間さえ……

気絶させてしまえば終わり……だが、カイジ……痛恨のミス……!

無人……人間ではないため、当然起こさない……例え六発喰らっても……!

 

『誰も中にいませんでしたからねぇ、誰か中にいれば良かったんですけどねー!脳震盪なんておこさな、あれっ、動かない……!?』

 

だが、無人機でも、脳はある……!AI、人工知能……!束も人の子……!

積んだ場所は、頭部……人間と同じ場所……脳みそ……そこにAIを……!

 

『うっがぁああああああ、人工知能回路に致命的なダメージだとおおおお!まだSE残ってるのにいいぃぃい!』

 

内部には激しい衝撃……精密機械故……衝撃ダメージは甚大……!

当然壊れる……人工知能の中枢……その回路が……!

カイジの運が勝った……!カイジの思惑通りではないが……目的、無力化成功……!

敗北……天才……オーバースペックゆえに……敵などいなかった……束が……!

 

『負けちゃった……この天才束さんが……有象無象に……?ていうか、どうやった……なんでゴーレムが簡単に捕まった……?とりあえず、急いでデータ吸出しとクラッキング……!何があったか調べなくちゃ……!』

 

自分自身はモニター越し……カイジが爆散……死んだことに疑念を抱かず……信じた……

しかし、AIの……撃墜したという判断は……ISの反応が消えることで行う……

ISの反応が残っているなら……当然、戦闘は継続……無様に捕まるなどあり得ない……!

人間とは、判断が……根本から違う仕組み……誤解など、あり得ない……!

どこか薄気味悪いものを見るように……まだ残っているカメラで……カイジを観察……!

 

「どうにか、紙一重……死神も、消えてやがる……なんだったんだ、ありゃ……」

 

観察されていることなど露知らず……カイジ呟く……鉄骨渡りで見た死神のことを……

 

『死神……?何言ってやがんだ、やっぱいかれてんのか?いや、自分でも訝しんでる。つまり、こいつ……正常?っと、データは取り出せたね、直前の映像を再生させてっと』

 

そこに映るのは、ビームを紙一重で躱した後……自らISを解除するカイジの姿……!

そして、慣性に身を預け……ゴーレムの懐に潜り込み……再度ISを展開……!

ゴーレムも……急に出現した……ISに反応し切れず……捕まる……!

狂気……正しく狂気の沙汰……自ら投げ出す……絶対防御という殻……!

普段感じることのできぬセーフティという名の悦楽……

安全であることの愉悦……それが、ISの……絶対防御の齎すもの……!

故に、正気では到底無理……!あの場面、脱がねば騙せぬ……脱がねば勝てぬ……

そんな状況でも、自ら命を危険にさらすことなど……!

 

『こいつ、やっぱり狂ってやがる。それに分析をかけてみれば、どう考えてもおかしい!こいつの独り言、死ぬことを分かっていた……?だからぎりぎりでずらせたし、グレネードを残せたってことになる』

 

しかし疑問……違和感……思い返してみるが、少なくとも……

狂っている人間の戦い方ではなかった……!

全てにおいて……思考、何かを考えて戦っているのは明白……!

最後も……手段は狂っていても……有効……機械すら、騙した……!

そして、死神……正体不明……空想の産物……脳内が作り出す妄想……!

だが、しかし……現実に作用……死の直感……単一仕様能力……未発現……!

 

『むぅ~、これはこいつ、なんて言ったっけ、伊藤開司か……いっくん、はいっくんと被るから、かーくんで!』

 

偶然にも、被る……布仏と、ネーミングセンス……ある種のシンパシー……!

 

『なにがあったかを調べる必要があるなぁ~。この日本でこんなやつが生まれてくるかっての!うぅ~ん、この束さんに興味を抱かせるとは!罪な奴だねぇ!』

 

まさかの興味……破綻者として知られ……極一部のものしか認識しない……

そう言われる束が……持った、興味を……カイジに……!

今回の事件を起こしたのは……カイジの排除が主目的であった……!

自らの妹である箒……その妹の恋する一夏……本来男性操縦者など一人でいい……

一夏ただ一人がIS操縦者となり……ヒーローのように活躍する……

そして……そのヒーローたる一夏と結ばれる……最愛の妹である箒……!

それが束のプラン……ある種、箒と一夏の間を裂いてしまった……自らの贖罪……!

カイジはいわばその邪魔をする者……異物……イレギュラー……!

ただの抹殺対象であったはずのカイジ……!

だが、カイジは……自身を初めて負かした……有象無象……

いや、自身ですら理解しきれない……不明な事象を抱えている……!

もはや束にとって……カイジは有象無象ではなくなったのだ……!

 

ピット内部では……

 

「……!」「伊藤君!?」「カイジさん!?」

 

ビームへと突っ込み……反応消失するカイジの打鉄……!

当然誰もが最悪の事態……死亡……それを予想した……!

 

「そんな、嘘ですわ……!そんな、こと……」

 

絶望に打ちひしがれるオルコット……しかし次の瞬間……

 

「IS反応出現!伊藤君のもの……?」

 

真耶も俄かには信じがたく……疑うも……煙が晴れた先……

スクリーンには……打鉄を纏うカイジの姿……!

 

「い、生きていらっしゃった、のですね……」

 

その姿を見たオルコットは安堵……多大なストレスにより……精神の糸が切れる……!

ふっと、意識を無くし……崩れ落ちるオルコット……それを千冬が咄嗟に支える……!

 

「オルコットにはショックが強かったろうな……(だが、これが普通だ……身近な者の死……当然そのショックは大きいものだ……自分の恋慕するものなら尚更……!そして、自らの死は……それはショックだとか……そういったものとはまた……別次元に位置するものだ……!伊藤は、あの瞬間……自らの死を受け入れた……そう言ってもいい行為……あの戦闘の場で……ISを自ら解除するなど……!一体どういうことだ……今までは……まだ勝負事に勘の働く……疑り深い……慎重な奴……!それくらいのイメージだったが……これはさすがに……異常だ……!)」

 

 




最後にカイジの取った戦法のイメージが付きにくい場合
ガンダムUCよりバナージvsフル・フロンタルの初戦が分かりやすい。
ユニコーンのビームマグナムの驚異的な威力に対し、無闇に接近できないシナンジュ。近づくために取った方法は、回避と同時に追加ブースターを切り離し、敵のビームマグナムで爆破させるというもの。その爆破を撃墜したと誤認させて、ユニコーンの懐に入り込むシナンジュ!

まぁあの爆発規模だとカイジ死んじゃうじゃんってのはあるけど、グレネードはそんな大きな爆発は起こさないから……!

あのシーンは回避も併せてとてもカッコいい。見たことがない人はぜひ見てみよう。アニメなら6話の中盤くらいにあります。

一応参考GIF
https://i.gyazo.com/3d124d9c9cf7081c5d44d50fc6981b28.gif

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