成層破戒録カイジ   作:URIERU

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カイジ、望怠……!

ここは第1アリーナ……今日から始まる……実習訓練……!

膨大な勉強に耐え……待ちに待った……実習の日……!

 

「本日から実習を開始する……!まずは戦闘を実演してもらおう……凰、オルコット……!専用機持ちならすぐ始められるだろう……前に出ろ!」

 

「なんであたしが、めんどいなぁ」

 

「こういう見世物は気が進みませんわ」

 

「お前ら、もう少しやる気をだせ……いいところを見せられるチャンスだぞ……!」

 

そう二人に囁き……千冬は男子生徒の方へ視線を向ける……!

全くもってやる気を出さない二人……が、千冬はその手綱の握り方を知っていた……!

 

「(険しい顔をされておりますわね。やはり体調が優れないのかしら?それとも前に負った怪我が痛む……いずれにせよ、わたくしも代表候補の名に恥じないようにしないといけません……いい機会ですわ……)ここはわたくしにお任せですわ!」

 

「(まさかセシリアも一夏狙い?ここでボコっとかないといけないわね……!)実力の違いを見せてあげるわ!」

 

二人とも、当然早とちり……相手を間違える……!

 

「慌てるな、対戦相手は……」

 

「きゃあああああ、どいて、どいてくださああぁぁあい!」

 

「えっ?うわあああああ!」

 

頭上より……急降下……一夏目がけて……一直線……真耶……!

濛々と舞い上がる土煙……土煙が晴れた先には……真耶へ抱き着く一夏の姿……!

 

「一体、なにが起こったんだ……って、うわ……!」

 

「そ、その織斑君?困ります、こんな……でも、このままいけば、織斑先生が、お姉さんに……」

 

妄想……狂想……次々へ思考に花を咲かせる……真耶……!

 

「一夏ああぁぁぁ!」

 

猛り狂った凰……一夏目掛けて……投擲……双天牙月を……!

 

「う、うわああぁぁ」

 

迫りくる凶器に慄く一夏……しかしその凶刃が……届くことはない……

射撃音と共に弾かれる……発砲したのは……真耶……!

投擲される武器に……瞬時に命中させる腕前……生徒達唖然……!

 

「山田先生は元代表候補だ。いまくらいの射撃は造作もない」

 

「昔のことですよ。候補生止まりですし」

 

実力は十分……だが当時の競争相手は千冬……運がない、その一言である……!

 

「あ、あの2vs1ですの?」

 

「いやぁ、さすがにそれはぁ……」

 

「安心しろ。今のお前たちならすぐ負ける」

 

千冬より、そう言い切られ、思考を巡らすオルコット……

 

「(っと、いけませんわ。勝負に絶対はない、でしたわね。そもそも、織斑先生がこうして用意した舞台。わたくしたち二人掛かりでもまず倒せないという自信があってのこと。これは、胸を借りるつもりで戦わせてもらわなければ、なりませんわね……)セシリア・オルコット、全力で挑ませてもらいますわ!」

 

「(ふん、元代表候補止まり。私一人でもいい勝負してやるわよ。セシリアがいなくたって十分なんだから!)凰鈴音、行くわよ!」

 

カイジと触れ……オルコットは自尊心の殻を脱ぎ去り……思考能力が上がっていた……!

つまり、アホではなくなった……アホの子、脱却……!凰、まだアホの子……!

 

「(どうやら、オルコットは理解したようだな……これから成長するぞ、こいつは……!伊藤の影響か……私もまだまだ、というべきか……それにしても鳳はまだ、甘えが抜けきっていないようだな……どちらも、才能はあるんだ……あとは自身の殻を破れるかどうか、それが分かれ目……)それでは、始め……!」

 

三機のISが上空へ舞い上がり……戦闘、開始……!

 

「さて、デュノア。山田先生が使っているISについて解説しろ」

 

「……デュノア説明中……」

 

とても流暢に……スラスラと解説する様を見て訝しむカイジ……

しかし、途中で出てきたデュノア社という言葉……

 

「(デュノア社……こいつもデュノアでフランス……流石に無関係な訳がねぇ……!それにしても強いな、山田先生は……正しく360度……目がついてる……!オルコットの癖は……知ってるとして……凰の龍咆に対しても……十分に対応している……!ラファールが豊富に……武装を詰めることは知っているが……使いこなすのは容易ではないはずだ……流石は教員……これで候補とは……昔より、質が落ちてんじゃねーのか……?)」

 

「きゃああぁぁあああ」

 

決着……凰とオルコット……二人まとめて地面へ激突……勝者、山田真耶……!

 

「これで諸君にも教員の実力は理解できただろう。以降は敬意をもって接するように。次にグループに分かれて、実習を行う。リーダーは専用機持ち、それと伊藤がやること」

 

「なんで、俺を巻き込むんだよ……IS持ってねーぞ……」

 

「クラス代表だろうが!それにこの中で訓練機でちゃんと放課後も訓練をして、動かしたことがあるのはお前だけだ。では、別れろ!(こういう時のやる気は、まるで感じられないのだから困ったものだ……)」

 

あえて、生徒達に気付かせるように言うも……目を向けているのはグループの事……

目当ては、織斑……デュノア……ライオンの檻に葬りこまれた生肉、二つ……!

 

「(俺のとこに来る奴とかいんのかよ……正気の沙汰じゃねぇ……旨そうな生肉と、腐肉くらいの差があんぞ……)」

 

クラスの信者からは当然嫌われている……それにしても……卑屈なカイジ……

だが、カイジのところへ並ぶ布仏……加えて名前も覚えてない二人の女生徒……!

 

「(まじかよ……普通に織斑のところ行けよ……さぼれねーだろうが……!)なんで俺のとこ来るんだよ……どうみても当たりくじはあっちだろうが……さぼらせてくれよ……!」

 

暴言……自らのところに並んでくれたというのに……まさかのシャットアウト……!

さぼる気満々……カイジ……!が、駄目!予想に反して、やってきた……三人も……!

 

「織斑先生が言ってたじゃん、真面目に訓練してるのはかーくんだって!それに、友達だしね~!」

 

「……あ?友達……?誰が……誰と……」

 

「ふ~ん、そういうこと、言うんだ~……」

 

「……っ!分かった、分かったよ……で、後ろの二人は……誰……?」

 

布仏の近くによくいる……その程度の認識のカイジである……!

クラスメイトの事など……当然微塵も興味はなかった……!

 

「ひっどーい!クラスメイトの事も覚えてないの!?」

 

「(興味ないって……言ったら……やばいな……)悪いな……物覚えが悪くて……」

 

「まぁ自己紹介流れたし仕方ないよ~(もう1週間、経ってるけどね!)」

 

「じゃあじゃあ、私からね!出席番号1番、相川清香だよ。ハンドボール部、趣味はスポーツ観戦とジョギングだよ!よろしく、って私、1番だから自己紹介やってるよ!伊藤君の前に!」

 

「(お馬さんと船が走るスポーツの観戦は……俺も大好きだぜ……っは!そういえばオルコットのイギリスって競馬の聖地じゃねぇか……いつか、行きたいな……!)なんとなく、覚えてるよ。なんとなく……」

 

競馬は……スポーツ観戦だが……カイジのそれは……ただのギャンブル……!

 

「((絶対何一つ覚えてない……何か違うこと考えてるし……それに目逸らすなよ……!))」

 

「えと、それでさ。ごめんね、代表決定戦の時。面白がって、つい調子に乗っちゃってさ」

 

「……いや、まぁいいって……もう過ぎたこと……気にすんなよ、今更……」

 

「伊藤君が、そういうなら……でも、気になることは謝っておかないとね!これからよろしく!」

 

「(中立の奴が増えたと考えれば……悪いことでもないか……)あぁ、よろしく……」

 

「(ここで、全然嬉しそうな顔、しないんだもんな~。むしろ企んでるような顔だし~)」

 

カイジ、徐々に和解……クラスメイトとも……!布仏……静観!

 


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