成層破戒録カイジ   作:URIERU

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カイジ、辟易……!

千冬の策略……見事に成功……!カイジへボーデヴィッヒの押し付け……!

翌日の放課後……カイジへ詰問する、ボーデヴィッヒの姿……!

 

「なぜ、貴様は教官に認められているのだ!観察していてもお前から覇気も意気も感じられん!」

 

「だから……お前のその見立て……正しいんだって……お前は間違ってない……!」

 

「では、教官の見る目がないと、貴様はそう言うのか!」

 

「(堂々巡りだ……!どうにもならねぇ……会話になってない……!なにこれ……結局俺がこいつの……核心……事情を知らないといけない訳……?)そうじゃないんだって……そうだ、俺も質問していいか……?一方的に聞かれてばっかりじゃ……フェアじゃないだろ……?」

 

ボーデヴィッヒの話の通じなさ……しつこさ……カイジですら……根をあげる……!

なまじ悪意も害意も持っていないせいで……邪険にすることもできない……!

いや、むしろ通じない……!カイジのシャットアウト……!

 

「貴様の言うことも一理ある!しかし、私の何が聞きたいんだ?」

 

可愛い……素直……根はいい子……!アホなだけか……?

 

「そうだな……なんだ、その軍人ってことでいいんだよな……?お前は……」

 

「そうだ、私はドイツ軍IS配備特殊部隊シュヴァルツェア・ハーゼの隊長、ラウラボーデヴィッヒ少佐だ!」

 

「こりゃまたご丁寧に……ていうか少佐って……もっと歳いったやつが……なるもんじゃないの……?詳しくないけど……(あれ、これ、俺聞いていいのかな……)」

 

「それは私の生まれが特殊なことに関係している」

 

不穏なワード……生まれそのものが特殊……育ちが特殊なら分かる……生まれ……?

 

「あ、いや、いい……言い辛いことなら言わなくて……」

 

「別に言い辛いことはなにも……だが、極秘事項だ!」

 

だが、ボーデヴィッヒは……自身の生まれ……試験管ベイビーを……

そこまで忌避しているわけではなかった……!ただ、当然……極秘事項……!

 

「そうか、なら詳しくは聞かない……で、何でそこまで織斑を敵視するんだ……?言っちゃなんだが、家族……持って生まれたものだ……どうしようもないだろ……?」

 

カイジ……話の流れを変える……そもそもの問題の種……!

核心とも言えるそんな部分……一体、何があったのか……!

 

「よく聞け!織斑一夏は教官の、モンドグロッソ二連覇という栄光に、泥を塗ったからだ!奴のせいで教官は第二回モンドグロッソを棄権する羽目になったのだ!どうだ、貴様も奴のしたことの重大さが分かるだろう!」

 

モンドグロッソ自体は現在……最も有名な大会……!

当然その試合での優勝……それは正に……栄誉……名誉……栄冠……!

 

「(織斑の奴が風邪でも引いたか……?いや、さすがにそれはないよな……)その、理由は……?こう、織斑が出ないでくれって渋ったとかなら……擁護できないけど……何にせよ、その、理由次第……」

 

やむを得ない……怪我……事故……手術……いくらでもある……!

カイジとしても……千冬の気質は理解……厳しさ、容赦の無さはあるが……

人として持つ当然の優しさ……気遣い……それを忘れた人間ではない……!

ならば、当然……家族の身に何かあれば……大会棄権もやむなし……

むしろ……モンドグロッソほどの大会を蹴ったのは……人として褒め称えられること……!

 

「それは織斑一夏が誘拐されて、教官が脅迫を受けたからだ!そのせいで教官は大会を辞退する羽目になったのだ!」

 

予想外……まさかの犯罪……巻き込まれていた……!

 

「(……?織斑、悪いか……?)いや、その……明らかに悪いのって、その誘拐して脅迫した……奴らじゃないか……?」

 

「織斑一夏が誘拐されるなどというへまをしなければ、そんなことにはならなかったのだ!」

 

「その時、織斑も小学生くらい……?誘拐されても仕方ないっていうか……じゃあ、仕事で……10代の誘拐された子を……お前が助けたとする……その子に、お前が悪いって……お前は言うのか……?」

 

「そんなこという訳がないだろう!私を何だと思っている!」

 

あえて言おう……根はいい子なのだ……!

 

「(ダメだ、こいつ……問題が近しいせいで……色々見えてない……理屈……正論は通らない……気付かない……)そ、そうだよな。まぁつまり、お前は教官の弟ともあろうものが……誘拐されたなんてへまをしたのが……その、許せないってこと……?」

 

「そういうことだ。よく分かっているではないか!」

 

「(分かりたくもねぇ……そんな理屈……通るか、そんなもん……!筋違い……逆恨みもいいとこじゃねぇか……!だけど、こいつ……絶対育ちも生まれもまともじゃない……少佐、IS部隊隊長……15のガキがやることじゃねぇ……完全にアウツ……聞いちゃいけないタイプ……俺がいた世界も大概だったが……こいつも、恐らく……)」

 

カイジやその仲間たちとはまた違った……ろくでもない育ち……!

しかし、前者は自業自得……後者は……運命……宿命……生まれたときから……!

この世界に広がる闇……暗黒の世界……魑魅魍魎……亡者巣食う地……!

ラウラもまた……その犠牲者……!

 


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