千冬よりボーデヴィッヒの事を頼まれたカイジ……早速行動を起こしていた……!
「ボーデヴィッヒ、話がある……!」
「む、なんだ?」
「来月の学年別トーナメントが……タッグマッチになったことは……知ってるな……?」
「当然だ」
「で、本題はここから……俺と組まないか……?」
「別にタッグを組まなくても抽選で決められるのだろう?いずれにせよ、私一人で勝てる。誰かとわざわざ組む理由もない」
にべもなく断られるカイジ……しかし、予想済み……!
「だろうな……だが、俺と組めば……織斑・デュノアのペアと試合になったとき……心置きなく……お前に織斑と1vs1をさせてやるぞ……?」
「なんだと?」
「折角の織斑との勝負に……水を差されるのは嫌だろ……?」
説くのは利……相手が乗ってきやすい利……用意する……!
「それもそうだな。まぁ抽選で組むのも、いまここでお前と組むのもなんら変わりはないな。教官の認めた腕、敵として戦うのも悪くはないがな。では、組むとするか」
「(織斑と1vs1をさせて、何かが変わるか……それは分からないが……試してみる価値は……あるだろう……それに俺に理がないわけではない……現実問題、ボーデヴィッヒと組めば、まず優勝……!AICの弱点さえ補えば……勝てないほどの相手はいないだろうしな……)」
ボーデヴィッヒにだけでなく……自らにも利……当然あるカイジ……!
専用機のペア相手に一人で勝てる……その時点で1年生では……抜きんでた実力……
もし負けるとしたら……AICの弱点をつかれた時だけである……!
AICの弱点を理解したカイジは……当然相手の取る対策を読める……!
対策をしていなければ……蹂躙……一方的な展開となる……!
そして日は過ぎていく……!千冬より直接……模擬戦の禁止を言い渡された……
それからのボーデヴィッヒは……実におとなしいものであった……!
そんなボーデヴィッヒが目指すのは当然……学年別トーナメント……!
そこで、織斑一夏を倒す……それのみであった……!
そして、来る……学年別トーナメント……!
今回の一学年の初戦……皆の気にする一回戦目のカード……
織斑一夏&シャルル・デュノアvs伊藤開司&ラウラ・ボーデヴィッヒ……!
当然、仕組まれたかの如く……それ以外のカードが切られるわけがなかった……!
そして、当然生徒達も気にする……試合の行方……!
他学年も大勢入場……熱気に包まれる第一アリーナ……満員御礼……!
そして今、勝負の幕が切って落とされる……!
開幕、それと同時に一夏……ボーデヴィッヒへ突撃……!
「開幕直後の先制攻撃か、分かりやすいな」
当然ボーデヴィッヒはAICで対応……!止められる、一夏……その動き、白式ごと……!
「そりゃどうも、以心伝心でなによりだ」
「ならば、私が次にどうするかも、分かるだろう」
そういい、レールカノンの砲口を一夏へと向ける……
しかし、一夏……この時、慌てない……平常……それもそのはず……
「させな……っ!」
一夏の背後よりデュノア……飛び出すと同時にボーデヴィッヒへ狙いをつける……
……が、駄目……!当然、読んでいた……カイジ……!
ボーデヴィッヒの弱点を……相手が知っているなら……行動も読みやすい……!
知っていることを前提……AICを破るなら……行動は限られる……!
飛び出したデュノアへ……レーザーライフル直撃……!
「そう来るのは読めてたぜ……単純、単純……!」
武装も、ボーデヴィッヒの……AICに干渉しないものを選択……!
当然の如く……抜かりはなかった……!
「一応、礼は言っておこう。で、どうした?さっきまでの表情は……ずいぶん慌てているな?」
それもそのはず……試合前の打ち合わせ……どちらかがAICに捕まったら即座に解除……!
しかし執拗にデュノアへ……射撃を加えるカイジ……AICを解除させない……!
お互いが助け合うことを決めていた……だからこその安心……それが破られた……!
「では、一撃持っていけ!」
至近距離……一夏へとレールカノンを容赦なく発射……!
吹き飛ばされる一夏……絶対防御も発動……大幅にSEを削れられる……!
「なんでワイヤーブレードで……捕まえておかない……?」
ワイヤーブレードで捕まえておけば……ぶっ飛ばされているところを……
無理やり引き寄せて……またカノンをぶち込める……!情け容赦、なし……!
「貴様……鬼畜だな。あの男の友達ではないのか?」
「どうにもそりが……合わないから苦手でね……」
「そうか、貴様に遠慮して容赦する必要もないようだな。とはいえ、情け容赦なくやれば1vs1を楽しめないではないか」
「それも、そうだな……ていうか俺に、遠慮するつもり……なんてあったのか……?」
「貴様のお陰で、奴と気兼ねなく1vs1ができるからな。元々一人でも勝ちは決まっているが、ちょろちょろと飛び回られるのも面倒だ」
「そうかい、じゃ俺は下がるぜ……!奴らは俺の考えた通り動くだろう……それ以外なら……ストレートに奴らが負けるだけ……手筈通りに……せいぜい楽しみな……」
「私に抜かりはない……そちらも、せいぜい引きつけておけ……!」
カイジ主導で考案された作戦……始動……!
一夏、デュノアサイドは……当然慌てていた……
カイジの行動を見る限り……自分たちの手は完全に読まれていた……!
自分たちの今からの作戦……それはどちらにせよ変わらないが……
一夏のSEが初めから削られること……それは考えていなかった……!
「一夏、早く伊藤君を落とさないとまずい!こちらの戦術に対して最も有効な手を打たれてる」
だが、実はこの時カイジ手加減……AICに干渉しないエネルギー兵器なら……
AICで止めた相手に……いくらでも打ち込めるということ……!
先ほども即座に一夏に……容赦なく叩き込んでいれば……一夏のSEは正しくギリギリ……
しかし、ボーデヴィッヒの機嫌を損ねないように……撃たなかった……!
「分かった!予定通り、俺がラウラを引きつけてその間にシャルがカイジを落とす、でいいんだな?」
「(伊藤君は完全に僕たちの手を読んでいた。AICに干渉しないエネルギー兵器を使っている以上、AICについては彼も把握してる。それなのに僕たちが次にどう来るのかを考えていない、そんな甘い相手かな?でも、これ以外僕たちに打てるまともな手がないのも事実。僕が、頑張るしかない!)うん、一夏も無理しないでね。最初の一撃でだいぶSE持ってかれてるから」
「あぁ、じゃあ行こうぜ!シャル!」
シャルロット主導で考案された作戦……始動……!
時を前後させる……これは学年別トーナメントが始まる前……
カイジとボーデヴィッヒの会話……!
「一応は、作戦……必要だ……!」
「ふん、そんなものなくても勝てる!と言いたいところだが、重要なのは織斑一夏とサシで戦うことだ。そのためには作戦も必要になるだろう。何かいい作戦でも考えてきたのか?」
ボーデヴィッヒも期待する……教官の認めたという……カイジの作戦……!
「そりゃあな……まず、デュノアと織斑は……AICの弱点を知っている……」
アリーナでボーデヴィッヒが起こした事件は……二人とも見ている……
アレを見ていて……なんら対策を練らない……そんなアホではないだろう……
その弱点を攻めてくるのは……確実……当然……じゃないと負けるからな……
「AICに弱点など……と言いたいところだがある。奴らがそれを突いてくる、と?」
「当然だ……AICを破らない限り勝ち目はない……奴らは確実にAICを解除するため……連携を取ってくる……どちらかが捕まれば……注意をそらして、集中を途切れさせる……そして、捕まるのは基本的に織斑になるだろう……」
デュノアはオールラウンダータイプだが……どちらかと言えば射撃寄りだ……
わざわざAICで捕まる範囲に……入ってくることはないだろう……
「奴の専用機には近接武装しかないそうだからな。捕まった奴を助けるために、デュノアが射撃をしてくるのが基本、と」
「その通りだ……まずは出鼻をくじく……織斑が、AICに捕まり……それを解除するために……出てきたデュノアを俺が叩く……立ち上がりは恐らく……こうなるだろう……」
「そうしてこない場合は?」
「俺は盾とレーザーライフルで……後衛に回る……前衛がお前だ……当初からお前が考えていた通り……普通に2vs1で戦ってもらう……俺はAICの解除をさせないように……立ち回る……!ただ、お前がデュノアをAICで捕まえた場合は……容赦なくレーザーをぶち込む……お前も容赦はするな……!さっさと落とせるなら……落としてしまう……!そうすれば後は……俺は傍観しておくだけ……で、当然織斑のSEは……お前が削りたいんだろう……?だから、織斑が捕まった場合は……デュノアに解除をさせない……どうだ……?」
「お前の射撃の腕には期待してもいいんだろうな?では、織斑一夏とデュノアが同時にお前を落としに行ったとしたら?」
「射撃は、いいコーチがついてくれてたんでね……動きが読める相手になら……まず当てれるさ……!で、二人が同時に……お前を無視して俺に来る……か?ワイヤーブレードとレールカノンに背を向けて……無事で済むとは……奴らも思っていないだろう……俺も当然お前の近くに逃げるしな……それとも、お前は俺が落ちるまで……傍観しとくつもりか……?」
「それこそ、私の腕を舐めてもらっては困る。そんな真似はさせんさ」
「なら……いいんだ……で、デュノアはこちらの策略に気付く……そうしたらデュノアが……俺の方に来るだろう……そしたら、お前は……織斑と1vs1を楽しめばいい……」
「楽しめるだけの時間を稼げるというのだろうな?」
時間を稼ぐには必要……前提、デュノアを引きつけておける腕……!
「そこは心配するな……とっておきの策がある……!」
カイジの策……果たして……!