成層破戒録カイジ   作:URIERU

34 / 91
推理パート2


カイジ、暗闘……!

零落白夜を発動させた雪片弐型を大上段に構え……必死の形相で切りかかる一夏……!

 

「おいおい……!ISもろともボーデヴィッヒを……真っ二つにする気か……!?」

 

カイジとて一夏の白式……それは研究済み……!

控えめに言っても零落白夜は……危険な単一仕様能力であった……!

分別もなく使えば……試合の域を超えて……対象を殺害しかねない……!

 

「っがは!」

 

が、カイジの心配は……杞憂に終わる……!

VTシステムに弾き飛ばされる一夏……!しかし、諦めない……!

 

「くそっ!まだだ……それがどうしたああああ!」

 

SEの尽きかけた白式……しかし、それでもなお零落白夜を発動……切りかかる……!

 

「いやいや……待てって……助かったかと思いきや……また殺しに行きやがって……!」

 

ボーデヴィッヒと一夏の間に……打鉄を割り込ませ……

シールドで無理やり……一夏の斬撃を受け止める……!

 

「な、なにするんだよカイジ!邪魔するな!」

 

「落ち着けって……そんなにボーデヴィッヒの事……真っ二つにしたいのかよ……」

 

「そうじゃねぇ!あれは、あれは千冬ねぇのなんだ!千冬ねぇだけのものなんだ!それをあいつ、あいつ許せねぇ……!」

 

一夏の目は怒りに染まり……今話しているカイジのほうを……見てすらいない……!

視線、一夏が目を向けるのは……ボーデヴィッヒの変化したISである……!

 

『非常事態宣言発令!トーナメントの全試合は中止!状況をレベルDと認定、鎮圧のため教師部隊を送り込む!来賓、生徒はすぐに避難すること!繰り返す』

 

「(ようやく非常事態宣言発令……物理防壁も降りたか……しかし、こいつはダメだ……なんか知らねぇけど……話が通じる状況にない……SEからしてもう……零落白夜の発動はできないだろうが……何かあっても面倒だ……)悪いが……どんな理由であれ……目の前で人が殺されるのを……黙って見ていることはできない……!」

 

盾を使い殴りつけ……SEを尽かせるカイジ……!当然一夏、憤慨……!

 

「な、何考えてんだよ!カイジ!?」

 

「それは、俺のセリフ……頭冷やして……自分が何をしようとしたか……考えとくんだな……」

 

反論は受け付けない……それを示すように一夏へと背を向ける……

 

「(やれやれ、分別のつかないガキに……持たせるもんじゃねぇだろ……ISごと操縦者を……なんだ……さっきも俺は奴に言った……ボーデヴィッヒの事を真っ二つに……つまり、ISに致命傷を与えられる……致命傷……ドイツ……IS……前後がバラバラだが……段々と糸がつながってきた……)デュノア……織斑を拘束しておけ……死なせたくなかったらな……!で、織斑先生……そのドイツの担当官は見つかったか……?」

 

「生徒のお前が、気にすることではない……!」

 

「逃げられたんだろ……?それと、恐らく本物は死んでる……」

 

「なんだと……?」

 

カイジから出てきた予想外の言葉……当然訝しむ千冬……!

 

「(とんだ推理だが……ドイツに、ここでVTシステムを発動させるメリットは零……見つからない……!つまり、発動したのはドイツが……意図するところじゃない……!つまり他者の介入……目的はドイツを失墜させるため……!どんな方法かは知らないが……ボーデヴィッヒのISに……VTシステムを積んだ……!恐らくは試合前に点検だとか……何だとかで……そしてこの衆人環視の中発動……!ドイツの第三世代機はVTシステムに取り込まれ……ISの凍結……解体もありうる……!こんなことをしでかしたドイツに……発言権が認められるわけもない……AICにおける技術アドバンテージとコアを失う……!織斑が落ちる前だったのも臭い……織斑が零落白夜で破壊すること……それをも視野に入れたか……?これは憶測にすぎるか……)さて、ね……とりあえずはボーデヴィッヒだ……さっきから攻撃したのは一度きり……攻撃されたら反応する……か?」

 

「おい、どういうことだ、説明を……!」

 

「自分で考えなよ……俺の言ったことが……正しいってわけでも……ないんだからよ……」

 

攻撃しなければ……何もしないってんなら……とりあえず近づいてみるか……?

まだSEは十分にある……それに持っている装備は……

盾はランチャーが付いている以上……念のために外しておくか……?盾は持っておきたいが……

 

「……ん?あいつら、何やってんだ……?IS同士、何かを繋げている……?」

 

ただ予感……碌でもないことをしている、そういう予感……

思考中に……デュノアと一夏が会話していたが……内容は把握していない……

 

「おい……何をしている……?」

 

「カイジは黙っててくれよ!あれは千冬ねぇのものなんだ。俺がやらなくちゃならないんだ!」

 

「デュノア……説明しろ……何をしているか……!でないと、これをぶち込むぞ……?」

 

そういい、シールドランチャーを向けるカイジ……

 

「あぁ、やっぱり言わなくてもいい……白式にエネルギーを渡そうとしている……そうだろ……?つまり、お前のSEが切れれば……エネルギーは渡せないな……?」

 

「試合は中断してるのにシャルに攻撃するなんて、そんなこと許されるわけないだろ!」

 

「……あ?そのお前はいま……ボーデヴィッヒを攻撃するために……エネルギーをもらおうとしてるんだろ……?それにさっきもお前から攻撃してた……そっちが先……だったら、これはもう予防……防止……俺にある、利は……奴が攻撃してこない限りはな……!」

 

そう言った後デュノアへ繋げる……プライベート回線……!

 

『おい、いますぐやめろ……そのふざけた行為……!でないと、お前の正体も……フランスがしていることもばらまく……そうなればお前は各国も認める犯罪者だ……!まさか学園にいられるなんて……そこまでお花畑じゃないだろ……?俺も織斑先生に止められた以上……取りたくない手だが……勘違いするな……?奴の頼みを……聞いてやってるだけ……反故にするのは簡単だ……そもそも犯罪を告発するだけ……むしろ正しいこと……!言っておくが奴の頼みを聞いたのは……それはお前のためじゃない……!起きるかもしれない、戦争のため……!そして、人の努力や誠意を……無駄にするってんなら……本当に容赦しないぞ……?』

 

『先生が動いて……くれているの?一夏は織斑先生には何も言ってないって』

 

『織斑も知っていたか……そこで何があったかは知らないが……どこまでおめでたいんだよ……とにかく、自主的に止めろ……そろそろ、撃つぞ……?』

 

『分かったよ、止める。止めるから……』

 

「シャル!?どうしたんだよ?まだエネルギーが来てないぞ!?」

 

「やっぱり、コアバイパスをつなぐのは一筋縄じゃいかないみたい。本来準備された状況からやるものだから、急には無理みたいだ」

 

「カイジが何か、何かしたのか!?」

 

「(それにしても織斑の奴……そこまでして執着することか……?相手の命も自分の命も省みない行為だ……お前の命はまぁいい……するべきこと……そう決めたことに……命を賭けられる……それはすごいことだが……が、それも目的次第……今お前は自分だけが納得できる理由で……人を殺しかねないんだぞ……?死ぬ可能性がある側は納得できるわけがない……)俺は、なにもしてないだろ……撃ってもいないのに、言いがかりはよせ……!」

 

無駄に時間を喰ったな……悠長にしている時間はあるのか……?

俺の推理が当たっているなら……時間が経てば経つほど……

ボーデヴィッヒは取り込まれ……ISとVTシステムの分離も……難しくなる可能性がある……

教員部隊の仕事を奪う気はない……だが所属不明機の時は突入が遅かった……!

無理はしない……待つ間にひとまず調査……情報だ……!

 

「攻撃しないでくれよ……攻撃する気はないから……よ……?」

 

盾を消してまるで警戒する猫に近づくように……ゆっくり……ゆっくりと近寄る……

 

「っふぅ……どうやら懐までは行かせてくれたか……それにしても……」

 

外観そのものは……形成し終わっているように見える……

しかし、未だに泥のようなものが……表面をのたうっている……!

 

「触れてみる……か?」

 

ゆっくり、恐る恐る手を近づけるカイジ……未だに何の反応も見られない……

しかし、手を触れた瞬間……カイジの意識は……暗転した……

 

 

カイジの意識……ボーデヴィッヒの精神世界へ……!

 

なんだ……俺はどうしちまったんだ……?確か、ボーデヴィッヒのISに触れて……

で、気付いたらここにいて……あれ……?なんだ……ここ……?

どこ向いても真っ暗闇……地面の感覚すらない……浮いてる感じもない……

だが歩ける……そして感覚も妙にリアル……まさか……これって……

 

「もしかして、俺死んだ……?」

 

まじ……?ちょっと、洒落になってねぇって……迂闊……迂闊だった……!

もっと慎重にいけばよかった……!何も危機感感じないからって……無策……

なにも考えずに……触れるなんて……!馬鹿、俺の馬鹿……!

なに、これからどうなんの……?もしかして……このまま彷徨い続ける……?

天国も地獄も……生まれ変わりもなし……延々ここに居続けるの……!?

そんな……いや、もしかしたら、これが地獄……永久に彷徨い続けろっていう……

もう俺、裁かれちゃった……閻魔様に……?なんてこと、弁明の余地くらい……

それくらい残しといてくれよ……!いくら俺がクズだからって……

話も聞かず……一方的に処断……そしてこの罰……あんまりだろ……!

 

泣きに泣きながら……暗黒の空間を彷徨うカイジ……!

現実派のカイジに……ここがラウラの意識と交わった空間などという……

そんなオカルト発想はなかった……!考えても、死後の世界である……!

人の意識の中を土足で……!しかも、少女の意識の中……不審な男が泣きながら歩き回る……!

 




知略パートにおいてはISバトルでチートが使えない分、神インテルはいっちゃいますね。

感想のコメにも書いたが……
特攻ミス→IS具現維持限界解除→素手で殴りに行く→止められる→問答→鎮圧のため部隊送り込むよ~→関係ねぇ!俺がやるんだ→聞いただろ、先生が収拾するって→危ない状況に飛びこまなくていいってか?→そうだ→違うぜ箒、俺がやらなきゃいけないじゃなくて、やりたいからやるんだ!他の誰かがどうかとかじゃない!
やっぱちょっと一夏君やばい……

零落白夜の性能については色々な意見があるかな?
俺もこれを機に再度調べたけど、その上であれは危険な代物と認定しました。賛否両論あるとは思うけど、当作品は特に設定を変えるつもりはないです。特に今回は一夏が切れてて、普通の精神状態じゃないということを重視。普通に試合で分別持って使うには危険だけど問題はなし、そんな感じ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。