しかし、カイジもまた暗闇の中……一筋の光を見つける……!
それを救いの光……蜘蛛の糸……地獄に落ちたカイジに……釈迦が差し伸べた手……!
会長との戦い以来……神頼みはやめたカイジ……しかし、この時は感謝……!
だが、違った……蜘蛛の糸などではない……近づくにつれて……光の下……
黒い人の影のようなものが……うずくまっている姿が……はっきりとしてくる……!
「あれは、まさかとは思うが……ボーデヴィッヒ……?」
訝しみながらも……近づいていくカイジ……
「(黒い靄のようなものに包まれているが……確かにボーデヴィッヒのようだ……オカルトにもほどがあるが……これはあの黒い泥の中……そして、意識だけが存在している……)ボーデヴィッヒ……俺の事が分かるか……?」
「貴様……この中に入ってくるとは……命知らずだな……」
「迂闊だった……触ったら無理やり……引き込まれたんだ……」
「ふん……触れるほど近寄った……教官が認める度量ではあるな……」
ラウラ自身……外の状況がどうなっているかは分からないが……
少なくともただ事ではないことは……本能的に察していた……
「で、お前は……うずくまって何やってるわけ……?これからどうするんだ……?」
「成り行きではあるが、私は、私の望んだ力を手に入れた」
「で、どうするって……?こんな暗い殻に閉じこもって……引きこもるのか……?」
「……」
「出て来いよ……こんなとこいたって……何もならねぇぞ……何も出来ない……ただ、死ぬのを待つだけだ……」
「私の、お人形の役目は終わったそうだ。戦うために生きてきて、そして望む姿になって、ようやく終わりを迎える」
やはり……何者かの意図が絡んでいる……命を利用することしか知らない……
「つまらねぇな……」
「なんだと?」
「他人に生き方決められて……他人に終わりを告げられて……つまらない生き方だって……そう言ったのさ……」
「貴様に……貴様なんぞに!私の何が分かるというのだ!」
「お前の過去には……俺も空いた口が塞がらないさ……正直、何も分かりっこねぇ……だが、こんな生き方……終わり方を……認められるか……!」
悪魔どもに身勝手に作られて……別の悪党どもに利用されて……それで終わりなんて……
ボーデヴィッヒを救いたいのもあるが……命を屁とも思ってない連中に……
これ以上好き勝手にさせるか……企み……謀略……奸計……ぶっ潰してやる……!
「貴様に何ができる……私はドイツ軍の生体兵器で……今回の事を起こした首謀者でさえある……IS委員会も各国も……私を放っておくわけがない……私の未来は詰んでいる……!」
「それが……結局のところ……お前の引きこもる理由か……?」
「別に……貴様が私を救おうとするのが……可笑しく思えただけだ……」
「教官に……ラウラを頼むって……言われたもんでね……それにお前を救う手立てが……ないわけでもない……!」
カイジに策……ボーデヴィッヒを救うための……案……!
「教官が……私を……?それに、手立て……だと?」
「ま、お前の協力は……不可欠だけどな……色々と捨ててもらわなければ……ならない……」
「捨てる……だと?」
「戦い……力……生き方……!」
「馬鹿なことを……私は戦うために生まれてきた……戦うために作られた……!」
たしかに……お前の生まれはそうかもしれねぇ……でも、それがどうした……
「誰かの決めた……
「私は生まれた理由に沿って生きてきた!戦いが私の生き方だ!」
「そんなふざけた
生まれた理由は……もうどうにもならねぇ……!
でも、生きる理由は……お前が決めていいんだ……!
「私にとって戦いは、当たり前のことなんだ!雨の中で傘をさして歩くように!」
「雨の中、傘を差さずに……踊ったっていい……!自由な生き方ってのは……そういうもんだ……!」
自由に……自分のやりたいように……生きるんだ……!
「私は戦いで、自分を表現してきた、認められてきたんだ!私は戦う以外の生き方など知らない!」
「なら……これから、知っていけばいい……!人生はいつだって……やり直せる……!」
人生をやり直すのに……遅いなんてことはないんだ……!
「今更、私を、私の支えてきたものを……全て否定するというのか!?」
「戦いも武器も、お前に必要なものなんかじゃねぇ……!」
「力を捨てたら……私は誰にも、認められない!ようやく得たんだ、理想の力、教官の、織斑千冬の力を……!誰にも私を出来損ないなどと、罵らせはしない!」
戦いのために生きて……それが否定されて……また、力を得て……
そうしているうちに……すり替わっちまったんだ……承認欲求が……!
認められるのは……お前自身じゃないと……いけねぇんだ……!
戦う力しか認めれないから……歪んでしまった……!
「俺がお前を認めてやるよ……出来損ないじゃない……織斑千冬でもない……」
お前に必要なものは……お前自身を認めてくれる人間だ……!
「私、私はこの力を得て、教官に……」
「お前は……ラウラだ……!他の何者でもない……お前は織斑千冬じゃねぇ……ラウラなんだ……!」
お前の持った力と織斑千冬は……同義なんかじゃねぇ……その力は……
織斑千冬に内包されている……ただ一部分でしかないんだ……!
「私は、私……」
「そうだ……!だから、そんな力は捨てろ……ラウラ……!それはお前にとって……本当に必要なものなんかじゃねぇ……!」
人にとって大切なものは……そんな力なんかじゃねぇ……!
お前は、もっと……人の温かみを知るべきなんだ……!
「だけど、それでも、この力を捨てたら、私の生き方は、私の未来は!」
「そんなものに縋るな……!戦いの先に……お前の未来なんかねぇ……!」
「それじゃあ、私の未来は、どこに……戦いを捨てたら、私は……!」
「お前の未来は……その小さな手の中にあるんだ……その手は戦いのために……あるんじゃねぇ……!」
「私に戦い以外の……私の手の中に……未来があると……そう言うのか……」
お前の未来は……お前にしか作れないんだ……!その手が作っていくんだ……!
「俺の手を取れ……ラウラ!お前の未来を……!」
冷たい武器なんかじゃねぇ……温かい人の手を取れ……!
人の温かみを知れば……人はおのずと……温かく、生きることができるんだ……!
「私は……そんな生き方をできるのか……?」
「迷ったら希望だろ……!」
ラウラはカイジの手を取った……闇が晴れた