教室での日常……その一幕……!
トーナメントが終わってすぐのこと……一時の平和が訪れていた……
「ボーデヴィッヒ……もうすこし距離……人には必要、パーソナルスペース……!」
「む、師匠は師匠としての勉強が足りん!この距離が師匠と弟子の正しい距離感だと教わったぞ!」
ラウラは除隊した……しかし、黒兎隊副官クラリッサ・ハルフォーフ……!
彼女との個人回線は捨てていなかった……!ゆえの、ラウラの間違った知識……!
クラリッサは重度のアニオタ……彼女の知識は非常に偏っていた……!
「いや、弟子なんて取った覚えはない……俺はお前の師匠じゃない……!」
「私に生き方を教え、導いてくれるのだろう!だから、師匠であっている!師匠じゃないなら先輩か、先生か!そのほうがいいのか?」
「その選択肢なら先輩がまし……そういう問題じゃない……そして、お前はもう自由に……生きていいんだ……俺が導くものでもない……」
カイジに導かれたら最後……純粋ゆえになんでも吸収……
数日後には馬券を買うラウラ……!想像したくもない……!まず買わせてもらえないが……
「自由などと言われても、どうすればいいか、見当もつかん!それに師匠は言ったぞ、俺の手を取れ!その手に未来があると!」
「ラウラ、お前の手の中に……お前の未来があるんだ……」
「その未来を、一緒に探してくれるのでは……なかったのか……?」
攻勢からの一転攻勢……攻め方を変えたラウラ……!
上目づかい……うるんだ瞳……!しかし、無自覚……!恐ろしい子……!
「分かった、分かったよ……そんな顔、するんじゃねぇよ……そうだな、どうしたもんか……」
誰かに教育などしたことのないカイジ……頭を唸らせる……
そして視界にセシリアが映る……それを見て思いつくカイジ……!
「ラウラ、お前はまず色々と……そうだな、人として大事な事……それを知っていく必要がある……!」
「大事な事とはなんだ?」
「まず、常識……!お前には、それが欠けている……!」
ラウラの常識は軍人として……軍属として……その世界で生きるには問題ない……
しかし、この学園……基本的には平和な土地では世間知らずである……
「この私が常識知らずだというのか!」
「そうだ……お前は立派な世間知らず……だが、仕方ない……今までの環境には……必要なかった……だが、今からここで生きていくには……重要、必要なこと……!」
「むぅ、確かに師匠の言う通り、このような場所での常識など分からん……」
「俺が言った通り……今から学んでいけばいい……人生はやり直せる……まずは、謝罪……!人付き合いをしていく上で……これを覚えておけば、大体うまくいく……!」
謝罪……人とのわだかまりを解決する最適な手段……人の基本……!
「謝罪か、とはいえ誰に謝罪をするというのだ」
「あそこにいる、金髪のクルクルしている奴にだ」
失礼にもほどがある……!
「あれは確かイギリスの代表候補生の」
「セシリア・オルコットだ……お前はオルコットと模擬戦をやったな……?」
「そうだな、あれは私の勝利だった」
「そう、勝利したことまではいい……しかし、その後お前は……やってはいけないことをした……覚えてるか……?」
「っむ、試合が終わった後も攻撃を加えたことか」
「俺も勝負をしたことについて……まぁそこも問題はあったんだが……とやかくは言わない……だが、決着がついたのに攻撃を加えた……これは規則違反……悪いことをしたら謝る……!」
勝負をしたことも違反……原因も憶測だがラウラの挑発……
セシリアの非が零とは言わないが……ラウラがどうみても悪かった……
ただ、それを全て責めても仕方のないこと……ひとまず分かりやすい……
傍目にみてどうあがいてもラウラの悪い部分……そこを謝らせることにしたカイジ……!
「そ、そう言われたら、そうだな。あれは教官の顔にも確かに泥を塗る行為だった。いまは反省している」
「そして、自分だけで……終わらせたら駄目……!相手がいることは、相手に謝って……許してもらって、終わりなんだ……!」
反省なら誰にでも出来る……その後謝ることができるか、これが大事……肝要……!
心の中で反省したから許してなど……最早悟られである……
「分かった、早速謝ってくる!」
「渋るかと思ったが……やっぱり素直だな……」
オルコットの下へ向かうラウラ……その姿を眺めるカイジ……しかし問題、謝罪の仕方……!
「この前はすまなかったな!模擬戦とはいえぼこぼこにした挙句、更に攻撃してしまうなど、許されないことだった!」
「な、な、なんてことおっしゃいますの!謝罪なさる気あるんですの!?」
謝罪をしたはずが相手は激昂……訳も分からず首をかしげるラウラ……!
「……駄目だこいつ……謝罪に見せかけて挑発……煽りやがった……!」
手で戻ってこいと合図するカイジ……おとなしく戻ってくるラウラ……!
「(一体なんなんですの!まったくもう、カイジさんに近いですわ!それにカイジさんったら、私との会話はいっつも切ろうとしますのに!ラウラさんだけ優しくされててずるいですわ!)」
基本的にカイジに邪険に扱われていたセシリア……しかし、セシリアは諦めなかった……!
「師匠の言った通り謝罪したが、相手は怒っているぞ!」
「当たり前だ……!ぼこぼこにしたとかいらねぇんだよ……!軍にいたときはどうしてたんだ……!」
「部隊の対外的なことは基本的にクラリッサがやってくれていたからな!優秀な副官だった!」
「(遠ざけてやがったのか……相手が敵か味方……軍人の行動原理故か……中立の相手に対しての対応……それが分からない……)そうか……とりあえず、なんで相手が怒っているのか分かるか……?」
「師匠の言っていたぼこぼこにしたというのがいらなかったのか?」
「そうだ……!謝罪するときは……自分の非を認めるだけ……それでいい……!」
「それでは相手につけこまれてしまうではないか」
「ここでは、敵か味方か……そんな二元論で考えるな……!というか基本的には敵っていう考え……それがそもそも駄目……!つけこまれるとか……そういう考えはいらない……!(自分で言ってて耳が痛い……しかし……ラウラには、必要ないことだ……!)」
「敵だと思っているわけではないぞ、模擬戦の決着もついている」
あの時のラウラの行動原理……それは親の注意を引くための子供の悪戯……
悪戯にしては度が過ぎているが……故に敵意など微塵もないのである……!
「……そうか、とりあえず……おい、オルコット……!」
最早、自分の手に負えない……早々に悟るカイジ……!
「……一体何の御用ですの?伊藤さん」
さも怒っていますと言わんばかりの態度……ぷん……ぷん……!
「(完全に怒ってやがる……なんで俺が子供のお守りを……でも、俺の責任か……)セシリア、そう怒るな……ラウラも、こういった環境での生活に……慣れてないんだ……!許してやってくれ……寛容な精神で……!」
「今週末、買い物に付き合ってくださるのでしたら、許して差し上げますわ。それで手打ちということにいたしましょう」
「……いや、これはラウラとセシリアの問題であって……別に俺のせいじゃ……」
ラウラのことを許してもらうため……なぜか責任を負わされるカイジ……
当然反発するが……駄目……セシリアは学んでいた……!
「あら、カイジさんの教えが悪かったのではなくて?それの責任を取らないとおっしゃるんですの?誠意というものを見せて下さらないのかしら?」
怒涛……交渉術……圧倒的言葉攻め……セシリアは知的に攻めた……!
「……うぅ、分かった……が、協力してくれ……ラウラの事、俺じゃ限界……」
「(遺恨の一切ない相手……というわけではありませんが、あれはわたくしも悪かったこと。カイジさんがわたくしを許したように、わたくしもボーデヴィッヒさんを許さなければなりませんわね……)ボーデヴィッヒさん、あなたの謝罪は受け取りましたわ。ですが、謝罪のときは言葉に気をつけなくてはなりませんことよ。そして、わたくしもあの時あのような模擬戦をしたことを謝ります。申し訳ございませんでしたわ」
そう言い、ラウラへと頭を下げるセシリア……当然ラウラ、困惑……!
「な、なぜオルコットが謝るのだ。私が挑発したのがそもそもの原因だぞ!」
「挑発に乗ってしまったのはわたくしの未熟故ですわ。それとセシリアで構いませんことよ。わたくしもラウラさんとお呼びしてもよろしいかしら?」
「わ、わかった、セシリア。ありがとう、許してくれて」
「こちらこそ、どういたしまして。よろしくお願いしますわ、ラウラさん」
「う、うむ、よろしく頼む」
その様子にカイジご満悦……席を立とうとするが……しかし、回り込まれてしまった……!
「そして、カイジさん。どこに行こうとされていますの?」
「……いや、その、トイレ……」
「そうですの、この場で逃げるのがカイジさんの誠意ですのね」
「その言葉は卑怯……もう、大団円……仲良し……解決……俺の出番終わり……」
「まだ、ラウラさんが知るべきこと、学ぶべきことは多いですわ。ラウラさんとの間に何があったのかは分かりませんが、責任は持たれてくださいまし」
「分かってる……投げ出すつもりはないって……ちょっと疲れたのさ……」
「このラウラさんの顔を見てもそんなことが言えますの?」
まるで邪険にされたような子……迷子の子……!
「……よし、ラウラ……ひとまず友達が一人できた……!これは一歩……大きな一歩だ……!」
「そうか、そうなのか!」
「よし……今週末に、セシ」
「かーくん、楽しそうだね~。クラスに馴染んで安心したよ~」
突如現れる布仏……カイジの女性対応……その不手際を許さない……殺れる子……!
「……どうしたんだ、布仏……?」
カイジはどうにか顔が恐怖で引き攣ることを抑えた……
どこにいたのかは知らないが……こちらの話の内容を把握しているのは明白……!
「なんでもないよ~、私もラウラウとお話ししたいな~って」
その言葉を聞き、チャンスと捉えるカイジ……今ラウラに必要なもの……
それは友達……友達付き合いの中で常識を覚えていく……大事な事である……
特に女性に疎いことを分かっているカイジ……自身の常識は世間の……
いや、女性の非常識でもあるのだ……!
「ともかく、友達……!ここにいる布仏とも……!話をしてみるんだ……!」
最早自分の予定変更は不可能と悟るカイジ……!
「そうは言われても何を話せばよいのだ」
「ラウラウは~、好きなお菓子とかないの~?ドイツのお菓子!」
空気を読みすかさず会話を振る布仏……出来る子……!
「ふむ、Schwarzwälder Kirschtorte、黒い森のサクランボケーキだな。サクランボの酸味が甘いチョコと生クリームにマッチしていてな。これがおいしいのだ」
「おいしそうだねぇ、食べてみたいな~!海外のお菓子は中々手に入らないからねぇ、話を聞くだけでも楽しいよ~!」
「今度クラリッサに送ってもらうとしよう。日本で買って送って欲しいと頼まれた玩具がある。そのお返しにな」
女性がドイツ戦車タイガーに乗っているミニチュアの玩具……
女尊男卑のこのIS世界において……女性があえて通常兵器を操る……
それが人気を博したらしい……ラウラにはよく分からないことであった……!
「おぉ~、私も食べていい?私は日本のおすすめのお菓子を用意するよぉ!」
「あぁ、楽しみにしている。ん?どうした、師匠よ」
「いや……黒い森、か……ラウラは行ったことがあるのか……?」
「当然だ。鬱蒼とした不気味な森で嫌う者もいるが、私はあの静かなどこか恐ろしい雰囲気が嫌いではない。不思議な落ち着きを感じる森だった……そういえば、師匠の専用機もシュヴァルツ・ヴァルトだったな」
筆者も一度ドイツ……黒い森には是非とも行ってみたい……!
「あぁ……だからちょっと気になってな……」
「そういえばかーくんも専用機持ちになったんだよね~。これでクラスに5人かぁ、大安売りだね~!」
「わたくしのアイデンティティーがこうも大暴落するなんて思いもしませんでしたわ……」
現在学園にいる専用機持ち……
一年生7人、一夏、カイジ、セシリア、ラウラ、シャル、鈴、簪(未完成)
二年生2人、楯無、フォルテ・サファイア
三年生1人、ダリル・ケイシー
セシリアが入学した当時……彼女の言っていたこと……
専用機持ちがいること……それは本当に幸運……!
簪(未完成)を除けば、一年生ではただ1人……!
学園全体合わせても4人の内の……その1人……!
正しく幸運……僥倖……!専用機持ちとは本来……そういうもの……!
それが一挙に……大暴落……追加6人……!一年生に……!有り得ない偏り……!
「かーくんの専用機ってまだみたことないんだよね~、どんなのなの~?」
「それは……秘密だ……!」
まだ、明かされない、黒い森……シュヴァルツ・ヴァルト……!
その第三世代型特殊兵装AFC……武装……果たして……!
文字は結構多くなりますね。普段からこのくらいかければもう少し読み応えがあるのでしょうが……今日の4時44分にゲリラ投稿がある、かも