とってもひさしぶりな鈴ちゃん、一夏への謝罪イベントの淡泊さ、ラウラとクラリッサの3幕
鈴の一幕……
カイジはラウラのために……次の友達を探す……
すでにあたりはつけてある……友達というより、謝罪すべき相手だが……
「カイジから呼び出すなんて珍しいっていうか、一体なんの用よ」
カイジに呼ばれた鳳……当然戸惑い……不明機事件から日にちは経ったが……
話すような機会もなく……苦手意識は払拭されていない凰であった……!
おまけになにやら一夏と喧嘩……カイジが殴ったとかなんだとか……
そして、カイジの後ろにはラウラ……!これまた、凰が一番に警戒する人物である……!
「用事があるのは俺じゃない……こっち、ラウラのほうだ……!」
「へ?どうしたっていうのよ。ていうか、雰囲気違くない?」
凰の知るラウラはまさに傍若無人……大胆不敵……!
それが借りてきた猫のようにおとなしい……最早不気味である……!
「それは気にするな。私はこの前の模擬戦の事を謝りに来たのだ」
「あんたから謝ってくるなんて、どういう心境の変化よ……ていうか、なにがあったのよ」
あの時ラウラが引いたのはあくまで……カイジに千冬の事を出されたからだ……!
それがなければ一夏が……無理やり入ってくるまで続いていただろう……!
「私は生き方を変えることに決めたのだ。師匠に教えてもらってな!」
「師匠ってそれもしかしなくてもカイジの事、だったりするわけ?」
「そうだ!師匠は俺の手を取れ、お前の未来を!と言ってくれたのだ。今は私の未来を私と共に探してくれているのだ!」
精神世界の中での出来事……カイジとしては差異のある部分を改めさせたいが……
そのたびにラウラの瞳が潤むため……最早諦めたカイジであった……!
「っぷ、はは、あははは。っはは、そ、それをカ、カイジが?そんなセリフを言ったわけ!?どんな状況よ。ていうか、キャラが、私の中のイメージが崩壊してるって」
ひとしきり笑いに笑う凰……カイジに対するイメージ……あの時救ってはもらったが……
どうしてもカイジの変化……行動……それに対する恐怖が先行していた……
また、ラウラも挑発され……ぼこぼこにされて……一夏とも不穏な様子だった……
故に当然苦手意識……むしろ親しみを感じれる面などなかったが……
それらが完全に崩壊……凰の中で音を立てて崩れていた……
「いやー、久しぶりに笑いすぎたわ。ごめん、ごめん。どうしてもあんたらに抱いているイメージと違いすぎて……もう、ほんと卑怯よ、こんなの。カイジが師匠って、ふふ、っあはは。そして、ラウラが弟子って」
「私にとっては大事なことだ、あまり笑われては気分が良くない!」
ラウラのことをカイジが精神世界で説得する図……!それは何も精神世界でなくとも……
意味不明な状況……凰が笑うことを誰が責められようか……!
「っん、んぅ。ごめんね、そう悪いわよね、人にとって大事なことをここまで笑っちゃ。まぁなにがあったかは聞かないわ。聞いても分かりそうにないし……で、この前のことだっけ。もういいわよ、私も2vs1で挑んで負けてはずいっちゃはずいしね。でも、もうあんな真似は絶対にしちゃだめだかんね!軽傷で済んだからよかったけど、場合によっては危なかったんだからね!」
「うむ、それは反省している。師匠にも怒られた。今後はもうしない」
「なら、もうかまわないわ。あとは、カイジ!あんたもあの時、不明機もラウラの時も助けてくれてありがとね、ほんと今更だけど。そして不明機の時のあんたがどうしても怖くってね……でも、今日のでそんな印象、全く無くなったわ!」
鈴の苦手意識は払拭された……カイジに対しても、ラウラに対しても……!
「そうか……まぁ俺もきつい言い方だった……謝るよ……で、ラウラ……これで友達三人目だ……!よくやった……!」
「うむ!謝罪とは大切なものだな、こうして友達が増えていくとは!」
「っふふ、やっぱり卑怯よ、それ!カイジのその雰囲気で……師匠なんて」
どうしても笑いを堪えられず……ひとしきり笑う鈴……!
「って、忘れてたわ。なんか一夏とあったわけ?人伝に聞いただけだけど、カイジから殴りかかったって聞いたけど?」
「ん……?デュノアのことでちょっとあってな……問題が起こる前日……色々とあったのさ……」
語尾を敢えて濁すカイジ……
「(問題がそれかぁ。さすがにあんま突っ込むわけにはいかないっていうか……何かあったにしても厄介ごとよねぇ。カイジが理由もなく殴りかかるとも思えないし、これ以上は藪蛇かしら……)そう、シャルル、いや、シャルロットだったわね。その事だったら私も無理には聞かないわ」
凰とて中国の代表候補生……男なのにIS知識の造詣が深く……
腕前も十分なデュノアには不審を感じていたが……そこは他国の候補生……
気軽に不審を口にすることもできず……流している面はあったのだ……
一応は男子同士3人……そこでなにがあったのか……無理には聞けない……
「そうしてくれると助かる……」
「ま、私もやりにくいから一夏とも仲直りしてよね!」
鈴としては一夏を優先したい……そうなるとカイジ、ラウラが一夏と不仲……
それは当然やりにくい場面が出てくるということなのである……
「考えとくよ、それじゃあな……」
「ではな!鈴!」
ラウラ……仲直り……増えた友達……鈴……!
一夏の一幕……
「織斑……この前の事で話がある……」
意外にもカイジから一夏を呼び出す……実際謝る気などなかったが……
カイジも無駄にアウェーな環境が作りたいわけでもない……
そして、ラウラに言われてしまった……悪いことをしたら謝る……
それが人の大事な、常識なのだろう!と……あの場で悪いのは自分ではある……
「な、なんだよカイジ。いきなり改まって」
「急に手を出して悪かったな……そのことを謝っておこうと思ってな……」
「いや、俺も教室でみんなの前でいきなり悪かったよ。でも、なんでいきなりあんな殴りかかったんだ?」
「お前の態度を見て、デュノアの事……お祈りは通じなかったんだと思ってな……それで、あの場で俺がデュノアの事で……何か悪いことをしたってなったら……みんながどう思うか、お前も分かるだろ……?」
「うっ、それは……」
一夏はあの教室で自身の言った言葉……それがどのような事態を齎すか……
流石に想像がいったようである……デュノアが消えるとともに何か問題があった……
そして、それを教室の面前で糾弾……つまりそれはデュノアが消えたのはカイジのせい……
そういうことになるわけで……殴ってでも止める訳であった……!
「ごめん、俺のほうが悪かった。殴られて当然だよな……」
「まぁ俺も口で伝えられれば……良かったんだけどな……口より先に手が動いちまったよ……これでお互い様ってことで、水に流そうや……」
「あ、あぁ、ありがとなカイジ。俺の方から謝りに行くべきだったよ……って、もう水に流すかこれは」
カイジ、一夏……その不和の原因は取り除かれた……!
ここは全く日をまたいだ別の日……ラウラの一幕……
ここはドイツ軍、シュヴァルツェ・ハーゼ……通称黒兎隊の訓練施設……!
クラリッサ・ハルフォーフの専用機、シュヴァルツェア・ツヴァイクに緊急暗号通信……!
「受諾。クラリッサ・ハルフォーフ大尉です」
「クラリッサか、私だ」
「ラウラ・ボーデヴィッヒ隊長、どうされたのですか?」
突如としてかかって来た元隊長からの緊急通信……自然と緊張するクラリッサ……
ついつい癖が抜けきらず……前まで通りの呼び名になってしまう……
「む、うむ……とても重大な事態が発生していてな……」
「……まさか隊長の身になにかございましたか?」
表情は完全に戦闘状態のそれになる……訓練中の隊員にハンドサイン(緊急事態発生)……
それを見て当然ハーゼ隊員は集合……どのような指令にも対応できるよう待機……
「だから、もう隊長では……ラウラ、と気軽に呼び捨てにしてくれ。そもそも年下ではないか。そして、わが身に危険が迫っているわけではない」
「え、えぇ、しかし、元上官を呼び捨てにするのはどうにも難しいのです。ラウラ、殿。しかし、どうされたのですか?重大事とは」
危険が迫っているわけでもない……しかし、重大事、とは一体何事か……
「クラリッサ。その、来週臨海学校とやらがあるのだがそこで着ていく水着なのだが」
「水着、つまりラウラ殿を導いた『森のようなお方』に見せるための水着のことですね?」
森のような……そう言われて色々諸氏の考えはあるだろう……
私の中で言えば、泰然自若として構え……器量の広い……受け入れてくれるような人……!
そんな感じである……カイジに対してこのような表現を使った人間を……
小一時間問い詰めてやりたいところである……!
「そうだ。私にとって新しい道を示してくれた、師匠だ」
クラリッサとしては隊長であるラウラが除隊したことは……
それは寂しい気もするし……惜しい人をなくしたと思っている……
だが、ラウラのような少女が……軍事から離れ平和に過ごせるということ……
それは軍人として尊ぶべきことであること……それを分かっていた……!
そして、ラウラほどの……ドイツにとってはいわば危険人物に自由国籍権……
どのような取引があったのか……それは極秘事項になっていて知れないが……
取引の首謀者であろう『師匠』とは……最早畏敬の念を覚える相手ですらあった……
当然、シュヴァルツェ・ハーゼ内部でも……今持ちきりの話題、噂の種……
あの、冷徹、ドイツの冷水とまで言われたラウラが気に掛けている……
いや、どうみても好意を寄せている……当然気になるに決まっている……!
加えてヴァルト(森)という、レーゲン(雨)ツヴァイク(枝)を受け入れ……
そしてハーゼ(兎)の住処たりうる専用機名……!出来すぎている……!
最早興味を抱くなという方が……無理なものであった……!
カイジの株は知らぬところで……十数名の乙女たちから爆上げされていた……
「それで、水着でしたね。いまはどこにおられるのですか?」
「今、その水着売り場にいるのだが」
周囲の女生徒の会話……夏の海、それは女子にとって勝負……
ダサい水着なんて来たら一発でアウツ……致命傷……
それを聞いたラウラの足は自然と買い物へ……
しかし、店の前に辿り着き困る……こんな買い物はしたことがない……
「それは都合がいい!して、隊長はどのような水着を?」
「今私が持っているのは学校指定の水着だけだが」
「駄目です、それでは色物の域を出ません。マニア心はくすぐれますが、それだけで終わってしまう」
「そ、それでは、どうすれば」
ラウラとしても、流石に学校指定の水着……これではまずい、そう思いここへ来ていた……
だが、だからといって自分に合う水着……それが選べるわけでもない……
「私に秘策があります!」
読者諸氏には悪いが、この水着が出てくることはない……なぜかって……?
この小説に……挿絵、無し……!言葉で表す能力もなし……
よって、サービスシーン……カット……!
原作小説3巻かってラウラの挿絵見て悶えててくれ
これで準膳臨海編は終了、次は楯無お姉さんの過去編3~4話構成。その後に臨海編となります。うーん、どこに打ち上げ回いれようかなぁ……
楯無過去編を制作するにあたり、亡国企業は吐き気を催す邪悪みたいな存在になってしまいました。原作では正直亡国企業は目的やらなにやらさっぱり分からんやつらですが……そこのところはご了承ください。またこれに伴い、原作と繋がるようにですが独自展開が入ります(というか楯無の過去が描かれてないんだから独自以外ありえないんですが……)
そしてこの話を読む前に設定資料は読んでおいた方がいいかな、とは思います。この世界での更識家の立ち位置として、という意味合いで重要になりますので。