成層破戒録カイジ   作:URIERU

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3~4人程度で出来る賭け事で書きやすいものがないため自作しました。

雀ポーカーについて
一種の麻雀牌を用いて行うポーカーの亜種。テキサスホールデム型。
それぞれのプレイヤーに2牌配り、場に共用の5牌を伏せる。まずは場の2牌を表にして、各プレイヤーのアクションを決める。次に1牌を表にしてから再度各プレイヤーのアクションを決める。これを繰り返し最後の1牌を表にして、各プレイヤーの最終アクションを決める。手元の2牌と場の5牌の7牌の内5牌を使用して手役を作る。

ポーカーのアクションの説明
ベット(チップを賭ける)、フォールド(ゲームから降りる)、チェック(賭けも降りもせずにパス)、コール(直前にベットした人と同額のチップを賭ける)のことを総じてアクションと呼ぶ。フォールドをしたらベットしたものは場に供託されて帰って来ない。誰かがベットしたらもうその後にチェックは出来ない。

手役について
1.槓子(フォーカード)
2.十四不塔(ブタ)
3.対子・暗刻(フルハウス)
4.順子(ストレート)
5.暗刻(スリーカード)
6.対子ペア(ツーペア)
7.対子(ワンペア)

手役が同じだった場合は順位の合計が高い方が勝ち。合計が同じ場合は、高い方の対子や暗刻を持っている方が勝ち。暗刻は残った手牌の数字で勝負。被った場合はドローとなり、場に出ているチップを完全に山分けする。ブタは手牌の合計が高い方が勝ち。場に槓子が出来た場合は無効試合。

東南西北
東が親として最初のアクション、それから南、西、北と回っていく。東の人間は次に北、西、南と回って来る。




カイジ、雀賭……!

そして呑気にお月見をするカイジ、ラウラ……テーブルにはお団子と甘栗、お菓子……

皆が真面目に福音戦の会議をし……準備を整える中……暢気……悠長……圧倒的温度差……!

 

「どうやら、白式と紅椿のようだな。師匠の言った通り本当に二人で出ていくとは……教官がいながらどうしてこうなったのだ」

 

洋上に二機のISが発進していく姿が見える……ラウラはハイパーセンサーのみ起動……

その動きを追っていたが……その隣でカイジは気にすることもなく月を眺めていた……

 

「奴もどんな肩書があっても教員の1人……上には逆らえないってこと……仕方のない話さ……」

 

脳裏に思い浮かべるのは利根川……奴もまた地位ある、名を馳せたものであったはずだ……

だが、そのさらに上……会長の不快を買って簡単に葬られたのだ……

 

「まぁ軍隊でも、下士官は上官に逆らうべくもなかったがな……」

 

「この世はどこでもそれ、さ……(ともかく、これならうまくいく……計画通りに事が運んでるってこと……)」

 

こん……こん……!とドアを叩く音……来客である……

 

「セシリアですわ、カイジさん。中へ入ってもよろしいですか?」

 

「あぁ、どうぞ……好きに入りなよ……」

 

「失礼いたしますわ。って、何をしてらっしゃいますの?」

 

そこにはテーブルを囲んで椅子に座り……団子を食べるラウラとカイジの姿……

 

「お月見だ!日本の風習だそうだ」

 

「時季外れだけどな……まぁお前も適当に座れよ……」

 

「では、遠慮なく……作戦のほうは束博士が出てきてすべて決めていってしまいましたわ、っとこれはしゃべってもよろしかったかしら」

 

ついつい口をついて出てしまうセシリア……事情を知っている分躊躇いがなかった……

 

「やっぱりな……まぁ極秘事項ってほどのことじゃねぇだろ……全く事情を知らん生徒には話せないことだが……」

 

「本当にやれやれ、と言ったところですわ。正直あの場に留まっていても無意味と感じたので出てきたのですが……今やっぱり、と言われまして?」

 

ここで何故、やっぱりという言葉が出るのか……不審に思うセシリア……

 

「師匠の想像通り、であったということか……?」

「……」

 

カイジ、無言……しかし、それはこの場で肯定を意味している……

 

「ま、まさかカイジさんはラウラさんを連れて行った時からこうなる、と……?」

「いや、それはねぇって……後々この部屋で気付いたことさ……」

 

出てきたときは各国が……学園上層部に圧力をかけたことかと思ったが……

軍用ISの暴走など極秘も極秘……いずれ知ることだとしても……

各国がここまで早い動きが出来るとも思えない……

そう考えなおしたカイジが行きついたのが……束の存在であった……!

 

「だとしても、そこに考えが行きつくのが恐ろしいことですわ……」

「ま、団子でも食いなって……あと、お前の作って来たお菓子……食べようぜ……」

目聡く、セシリアの手に持っている袋の中身を見極めるカイジ……

「本当に敵いませんわね。冷めてもおいしい紅茶もありますから、ご一緒にどうぞ」

そう言い取り出したのはバスで食べたスコーン……最早お月見とも言えないような……

 

和洋とりどりの食事が並ぶ……にぎやかなお月見となったのであった……

 

 

お月見を始めてからいくらか時間が経った頃、雑談の話題もなくなってきたころ。

 

「何かゲームでもいたしませんこと?」

 

流石に手持無沙汰となったのか、何かすることはないか提案をするセシリア。

 

「それはよいな。月を見ているだけなのも少々飽きてきたところだ!」

 

「カイジさん、何かいいゲームを知りませんこと?」

 

振られたカイジは今まで行ってきたゲームを思い出す。チンチロリン・Eカード・限定じゃんけん。チンチロリンは描写しても面白くかけると思えない。Eカード・限定じゃんけんはこの人数で出来るものでもない。

 

「そうだな……雀ポーカーでもするか……!」

 

前書き通りルール説明中

 

「基本的なルールはポーカーと同じですのね」

 

「トランプよりも数が少ないから役はできやすいのだな。スーツがない以上フラッシュはなしか」

 

「それにしてもブタが強い役というのは不思議ですわね」

 

「やってみたら分かるが……なんの役も作れない、ということはめったにない……!場だけでも簡単にペアができる……場にペアがなかったら手役と合わせれば順子が出来るか……自分の手牌と合わせてペアができる……」

 

場の牌が被らず、順子もできないことは珍しい。筆者が実際に麻雀牌を用意してやったところ、ブタは中々出来ることはなかった。

 

「なるほど、ルールは理解したぞ師匠!」

 

「ですが、ポーカーとなると賭けるものがなくては話になりませんわね。相手のアクションに対してどう行動にでるかが問題になりますし」

 

「なら~、このお菓子を賭けるといいのだよ~!」

 

「……!な、なんで布仏がここにいるんだよ……!」

 

「いや~、なんだか楽しそうな気配がしたから差し入れね~!(異次元の存在に呼ばれたと思ったら、この部屋にいたんだよね~。どうなってるんだか~)」

 

この場限り、許していただきたい。

 

「さすがに金を賭ける訳にもいかないからな……俺もさっき買ってきたこのお菓子を出すとしよう……セシリアはスコーンを食べさせてくれてるから供託はなしでいいだろう……」

 

「みなさんがそれでよろしければ……用意できるものがなかったので助かりますわ」

 

「私も先ほど売店で買ったものを出すとしよう」

 

場には色とりどりのお菓子が供託物資として出され、それを四人で分け合う。

 

「さて、始めるとするか……布仏、ルールは……」

 

「大丈夫だよ、ちゃんと把握してるからね~」

 

「そうか……じゃあとっとと始めるとするか……!」

 

ここに、雀ポーカーの開始である……!

 

1回戦(全体の流れを書くためのチュートリアルにして、終わりかもしれない)

 

「まずは2牌ずつ配って、場の2牌を表にしてと」

 

場 {②⑦} 場に出すチップはうんまい棒1本ずつで4本

 

東 カイジ{②⑨} 南 ラウラ{②⑤} 西 布仏{④⑦} 北 セシリア{④⑥}

 

「(とりあえず対子はあるが、順子の構成は厳しいな……{⑨}が手持ちの時点で伸びがない……親の特権としてはチェックで見に回れること……チェックは弱気だが、次のめくり次第だな……)チェックだ……!」

 

親は見にも回れるしあえて攻めに出ることもできる。カイジの手でベット(攻め)することはスレート(はったり)に近いものであるが、場合によっては有効な手である。

 

「(対子はあるが低めだな。{⑤があるが残りに③④⑥}が来る可能性は低いと見てもいいだろう。師匠も似たような手牌か?)私も同じくチェックだ!」

 

「(二人ともチェックか~。順子今の時点では厳しいから恐らく{②の対子があるかどうか。⑦}が対子なら少しは強気に出てもいいはず。私は高めの対子だし、ここはベットで次の牌がまくられた時はチェックできなくしとくか~)ベット、このうんまい棒を1本だよ!」

 

この時点で使えるのは4牌のみ。めくられた牌が離れていて順子が構成し辛く、高めの対子を持っているならベットして相手をフォールドへ持ち込むのは良いアクションである。この雀ポーカーは対子のペアくらいなら簡単にできる。高めの対子でも相手にペアを作られると負けてしまう。故に場の牌がめくられてない内に降ろすのも勝負である。

 

「(わたくしは{③と⑤あるいは⑤と⑧}が出れば順子が出来ますわね。みなさんが残ったということは対子くらいはあるかしら。高めに賭けれる状況でもないですが、一人フォールドも悔しいですわ!)コールですわ!」

 

セシリアの無駄なプライドである。だが、スレートとして考えれば悪くはないとも言える。

 

新しくめくられた場の牌 {⑨}! 

 

場 {②⑦⑨} うんまい棒6本

 

「(対子ペアが出来たのは悪くない……布仏がチェックに回れたのにベット……俺の行動が対子はあるが低めと取られたか、親だから安全に見に回っただけと取られたか……が、いずれにしても関係ねぇ……!これは強気の手牌だ……)レイズ、うんまい棒2本だ……!」

 

「(むぅ、{⑥と⑧}が来れば負けはない順子だが、それが来る可能性は限りなく低いな。一回目にチェックに回れた立場、師匠がベットしてきたのも厳しい)私はフォールドだ」

 

ラウラがこの時点で出したのは場につくために必要なチップのみ。勝ちの目が限りなく薄い以上降りるのが賢明である。

 

「(かーくんはベットでラウラウは降り。かーくんの顔が強気になった以上{⑨}が対子になったと見るべきかな~。手配が{⑥⑧}の可能性も出てきたけど、高めの順子は強い代わりに、{⑤のペンチャン待ちや簪チャン待ちになる以上この手の可能性は薄い。しかし、低めの②対子なら、手配に④}がある私の方がちょっとは有利!)わたしはコールだよ!」

 

「(くぅ、{④からは順子の構成できない⑨とは最も嫌な牌ですわ!⑤と⑧}なら負けない順子ですがどう見ても厳しいですわね。いえ、逆に考えればブタを作れる可能性は残っていますわね。ブタ狙いは外れてもこの場合高めの順子。最悪なのは場で対子を作られて、カイジさんと本音さんの対子ペアや場合によっては対子・暗刻。ですが、彼女たちの手にある以上、絶対数は減っていますわね)わたくしもベットですわ!」

 

新しくめくられた場の牌 {④}!

 

場 {②⑦⑨④} うんまい棒12本(120円)

 

「(セシリアは一瞬悔しそうな表情をした……場のばらけ具合からしてブタや順子を狙っていたが、対子が出来たってところか……?あの表情をセシリアがスレートでやっていたとしたらかなり驚きだが……その可能性はないと見てもいいだろう……ブタはそもそも狙って作れるようなもんでもねぇ……!そしてこのばらけ方で対子が出来たらもう順子は無理……!布仏は相変わらずニコニコしやがって表情は全く読めない……ニコニコポーカーフェイスとはなんて奴だ……!が、フォールドはねぇ……!)レイズだ、うんまい棒3本追加……!」

 

「(ぬ、強気で来るねぇ~!私の対子ペアは合計11、かーくんが{②⑨}で対子を出来ているとしたら合計が同じなのに、高い対子を持たれてるかーくんに負ける!次の牌が{④⑦}ならまず私の勝ち、逆にかーくんは{④⑦}以外なら勝てる公算。セッシーは私の行動には追従してきているけども、もし{⑦⑨}で対子だとしたらきついところ。だけど{④⑦}は2枚、{⑨}がかーくんのところにあれば2枚でセッシーのところに{④⑦⑨}がある可能性は少ない。まぁつまるところ、あの伏せ牌が{④⑦}である可能性も低いわけだけど……だけど!折角の一回戦目、行きつくところまでいっちゃうよ!)コールだよ、このうんまい棒3本を賭けるよ!」

 

「(これは{⑥}がでても合計10で低い、{④}が出て暗刻でも他の方の強気を見る限り、対子暗刻のフルハウスを作られる……傷を広げないうちに撤退ですわ!)わたくしはフォールドですわ」

 

新しくめくられた場の牌 {①}!

 

場 {②⑦⑨④①} うんまい棒18本(180円)

 

「(奴の手が{⑦⑨}でない限りは俺の勝ち……しかし、奴の顔はニコニコとしていて一つも揺らぎがねぇ……!この場での{①}が手牌に絡むなら、{③⑤}で順子……だが{②⑦⑨}の序盤でまず強気には出てこれないはず……ブタ狙いは出来るが、それなら序盤はチェックでもいいはず……)コールだ、うんまい棒3本」

 

「(くぅ、ここでスレートにも使えない{①}とは私もついてないなぁ~。ここで{③や⑤}なら、私の手牌を{⑥や⑧}で迷彩、序盤を高めの順子、対子狙いで見せかけることも出来たんだけど……だけど、ここは手を見に行くよ!)私もコールで!勝負だよかーくん!」

 

カイジ {②②⑨⑨}の対子ペア 高め{⑨}

布仏  {④④⑦⑦}の対子ペア 高め{⑦}

 

合計11のため高め{⑨}を持つカイジの勝ち!カイジにうんまい棒24本(240円)

 

「(むむぅ、読み通りとはねぇ~。しかし、やはりこのゲームは普通のポーカーよりは相手の手を読みやすいとも言えるね~。次は負けないんだから!)っくぅ~、勝てると思ったんだけどな~。場に対子がない以上それなりに高い手だし~」

 

「(このたぬきめ、何言ってやがる……どうみても俺の手をのぞきに来たくせして……!)っへ、残念だったな……!まだまだ見通しが甘いぜ……!」

 

これは勝負後のトラッシュトークである。お互い本音は隠して喋るのであった。

 

 

そのころ、一夏が密漁船をかばい箒へ説教をかまし、それに呆然とした箒をかばって一夏が墜落していた。原作通りである。

 




ちなみにこれは一人で先も知らずにプレイして、それぞれの視点に立って考えてみた結果です。いやぁ、中々に難しいです。これ、面白いですかね……?

そして牌画像変換ツール動いてない、かな?タグに入れて{}は使っているんだが、どうしたものか……まぁなくても分かるんですが……

次回の日常の活動記録 まだ募集中
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=146292&uid=156312

やっぱギャンブルして欲しいという意見が多いのでこの話を急遽追加して書いてみたが、うーん。

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