カイジ、決起……!
そして時は三時限目……!来るクラス代表決定の時……!
「さて、授業の途中であるが、これより再来週に行われるクラス対抗戦に出るための代表者を決める。クラス代表とは、対抗戦だけではなく生徒会の会議や委員会の出席など……まぁクラス委員長のようなものだな。自薦他薦推薦は問わない、誰かやりたい者はいるか?」
「はい、織斑君がいいと思います!」
「はい、私もそう思います!」
「そうよね。せっかく男子が居るんだから活用しないと!」
次々と上がる推薦の声……!織斑、困惑……!
この流れ、止められない……!
「待ってくれ、俺はクラス代表なんかしたくないぞ!」
「黙れ……!辞退は認められん!」
「(んな横暴な……どうみてもただの興味本位じゃねーか……!)」
「な、なら俺はカイジを推薦するぜ!」
「おい!てめぇ、なにしやがる……!」
「俺だけなんてやってられるか!」
やられた……当然、するよな……!自分だけじゃ納得いかないってんなら……!
巻き込む……他人でも容赦なく……賛否両論……カイジに対する不安……!
女子達……騒ぎ出す……ざわ……ざわ……!
「他には居ないのか?居なければ織斑と伊藤の2人のどちらかで決めるが?」
他に居ないか確認……推薦、他薦は問わないといった……!
ならば自ら……立ち上がることも可能……ということ……!
そこへ立ち上がる、オルコット……!
「そんな選出は認められませんわ!男がクラス代表になるなんていい恥晒しです!このセシリア・オルコットにその様な屈辱を1年間味わえと仰るのですか!?実力から言えばわたくしがクラス代表になるのは必然!それを、ただ物珍しいからというだけで代表になられては困ります!大体、文化としても後進的な国に暮らさないといけない事自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で……!」
「(大人しく自薦しときゃいいのに、なんで波風立てるんだよ……)」
「イギリスだって大したお国自慢ないだろ!?世界一まずい飯ランキングで何年間覇者だよ!」
「なっ!あなた、わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
「先に侮辱したのはそっちだろ!?」
繰り広げられる……小中学生のような……みっともない口喧嘩……!
エスカレート……ヒートアップしていく……言い争い……!
「決闘ですわっ!!!」
「おう、いいぜ!四の五の言うより分かりやすいぜ」
まさかの決闘……!不毛な口論の末行きついたのは……決闘……!
「言っておきますけど、わざと負けたりしたら私の小間使い、いえ、奴隷にしますわよ!」
「勝負事に手を抜く程、腐っちゃいない」
「ふふふ、第三世代の専用機を持つわたくしとでは結果が目に見えていて面白くも何ともありませんが、わたくしセシリア・オルコットの実力を示すにはもってこいの舞台ですわ!」
「では、来週クラス代表決定戦を行う。織斑、オルコット、伊藤は準備しておくように」
「……は?いやいや、待てよ……おかしいだろ、そんなん……なんで俺が出ることになってんだよ……!二人の決闘に無関係の俺を巻き込むなよ……!」
「言っただろう、クラス代表決定戦だと……!お前も推薦されているんだから、当然参加する義務がある……!」
暴論……だが満更理がないわけではない……!筋は通っている……!
「(なんで……なんで俺の身にばっかり起こる……!こんな理不尽……不幸が……!)そんな理屈……通っていいのかよ……!」
「伊藤君往生際が悪いよー」
「そーそー、男ならうだうだ言わずにやりなよー!」
「やっぱ男って臆病よねー!勝てないからって情けなーい」
五里霧中……四面楚歌……孤城落日……油断大敵……孤立無援……!
我、今、生涯に於ける絶対的危地……!
そう、ここには味方なんていねぇ……!何を勘違いしてんだ……!
俺自身が言ったじゃねぇか……!同性の織斑ですら、命をかけた競争相手だって……!
なら、やるしかねぇ……!俺自身で道を切り開くしかねぇ……!
「まぁわたくしも鬼ではありませんから。ハンデのひとつやふたつ、付けて差し上げても構いませんことよ?」
「ハンデなんかいらねぇぜ!お前こそ、真剣勝負で手を抜くんじゃねぇぞ!」
「俺はハンデをもらう……!」
「あらあら、もう一人は身の程はわきまえておられるようですわね」
「はぁ?何言ってんだよ、男として恥ずかしくないのかよ!」
「お前はすこし黙ってろ、元凶が……!」
「っな!?」
「元はといえばてめぇが俺を巻き込んで……それはまぁいい。俺だって状況が逆ならそうしてた……俺が言いたいのはてめぇの下らない口喧嘩が原因でこうなったってこと……!それに、てめぇの考えを俺に押し付けんな、はっきり言って迷惑だ……!」
「っぐ……!」
「それに俺がいまから言うのは、ハンデってわけでもない……!この勝負を成立させるためのいわば条件だ……!」
「条件、ですの?」
「さっき言ったよな、第三世代の専用機持ちって……当然だけどそれの使用は禁止……!学園の用意する訓練機で戦ってもらう……!」
「な、わたくしに愛機であるブルー・ティアーズを使うな……と?」
「当たり前だろうが……!さっきの授業理解できてねーのかよ、てめぇは……!」
「な、わたくしを馬鹿にしていますの!?この学園に入る前から参考書の勉強程度は終わってましてよ!」
「なら……わかるだろ……!俺が言いたいこと……!第三世代機で素人の第二世代機に勝負を挑むなんて正気の沙汰じゃねぇだろ……!」
「うぐっ、それは……!」
「改めて言っておくがこれは条件であって、ハンデじゃねぇ……!つぅか俺が言い出さなければ専用機持ちだすつもりだったのかよ……!いくらなんでもねーだろ、それ……!自分の方が優秀で強いってんなら……!自分は訓練機で、俺に専用機を使わせてやるくらいの言葉はでてこねーのかよ……!」
「あなたのような男にわたくしのブルー・ティアーズを使わせるなど、ありえませんわ!」
論点をずらすんじゃねぇ……俺が言いたいのはそういうことじゃねぇ……!
「物のたとえだっつぅの……!それくらいの気概を見せてみろよってだけの話……!で、やるのか、やらないのか……?」
「そ、それは……」
「悪いが、学園側で用意できる機体も限りがある。わざわざすでに専用機を持っているものに訓練機を貸し出すことはない」
「はぁ?当日は俺と織斑とオルコットの三人いるわけだろ…?専用機持ちのオルコットを除いて最低二機はISを用意する必要があるんだ…それを三人で使いまわすだけじゃねーか……!」
「言い忘れていたが、織斑には専用機の用意がある。納入は来週、試合ぎりぎりになるだろうがな」
「え、織斑君もう専用機がもらえるの?」
「やっぱり千冬様の弟だから!?」
「伊藤君にはないんですかー?」
「伊藤は見つかったのがつい最近だからな。言った通りISコアには限りがある。そうおいそれと専用機は持てるものではない」
……このクソアマ、完全にマッチポンプじゃねーか……!そもそも可笑しかったんだ……
自薦他薦推薦は問わない……なのに、やりたいやつはいないかって……!
このアマ、この時点で分かってる……まず自分の弟が推薦されること……!
そして俺もオマケで推薦……あるいは、弟が巻き込むってこと……!
予想の範疇……!強いて言うならオルコット……その行動は難しいが……
オルコットが出しゃばらないなら……弟の一人勝ち……!
俺が推薦されたとしても専用機を持たせて、俺に訓練機を使わせてぼこらせる……!
自分の弟には専用機があるってんなら、この勝負を成立させたのも理解できる……!
言い忘れっていうか隠す気満々……!汚ねぇぞ……ならこっちも容赦はしねぇ……!
「あーぁ、あー。そういうこと。同じ素人でも世代違いを混ぜとけば、少なくとも一勝はさせられもんな……!専用機があっても、代表候補のオルコットにはまず勝てない、でも俺には勝たせられる……そうすれば評価が落ちるのはぼこぼこにされた俺一人に集中させられるもんな……!よく考えてある、全く手段を選ばないっていうか、外道っていうか……!」
「こうなったのは成り行きにすぎん。意図して行ったわけではない……!」
「それでも、辞退はさせられないっていうんだろ?なら同じことじゃねーか……!否定しても無駄……!変わんねーよ、てめえに対する印象……!」
どの口で弟と仲良くしてやってほしいだなんて言ってやがる……!
俺の事を踏み台にする気満々じゃねーか……!
っち……これ以上は周囲の雰囲気がまずいな……圧倒的アウェー……!
地下チンチロのときのように……俺に流れがあるわけではない……!
むしろ逆風……!周囲の信者からの射殺さんばかりの視線……!
「じゃあ最低限、この一週間訓練機の貸し出しを優先的にさせてもらう……!対等な勝負すら成り立ってねーんだ……!これは譲れない……!」
「言っただろう、数には限りがあると。この一週間では、訓練機の貸し出しはまず埋まっている」
「はぁ?あれも駄目、これも駄目……!話になんねーな、まじで……!つぅか、ブリュンヒルデが一言いえばどうとでもなるだろ……!信者に声をかければ一発……!予約の取り消しくらい……!何もこの学園にいる間中優先しろってんじゃねぇ……!てめえとその弟のせいで巻き込まれた代表決定戦までの一週間だろうが……!」
「私をブリュンヒルデと、信者などと呼ぶな。それに先ほどからの口の利き方はなんだ?到底容認できるものではないぞ……!そしてたかだか一週間借りた程度でどうにかできるというのか」
「先生って言われたいなら、それ相応のことをしてみせろってだけだ……!この口の利き方で十分だと思ったからそうしてるにすぎねぇ……!一週間でもぶっつけ本番でやらされるよりはましだ……俺はまだ指一本も折れない時間しかISに乗っていないんだ……!それでいて、指三本、百時間単位の相手をしようってんだ……必要だろ、経験……!すこしでも全く違う……!勝機の糸口だって見えてくるかもしれねぇ……!」
「勝機ですって?あなた、本気でおっしゃていますの?」
小馬鹿にしたように笑うオルコット……!
「勝負に絶対はねぇ……!勝利を確信した勝負でさえ、逆転されて手痛い損失を払った……!だが、それでも……どんな絶望的な状況になろうと……逆境であろうとも這い上がってきた……!だから今、俺はここにいる……!」
カイジの脳裏によぎる、数々の勝負……!
騙し、騙され、血を流し、体を失ってすら、戦ってきた……!
利根川との勝負で耳を自ら落とした……!指は会長によって落とされた……!
だがどの試合にも言えることがある……!
勝つべくして勝った……!負けるべくして負けた……!
初めから決まっていた勝負などなかった……!
どの勝負も思惑が上回ったほうが勝ったのだ……!
「この提案が受け入られねぇってんなら……俺はこのクラスの女ども、全員を推薦する……!あんた、言ったよな……推薦されたものは、辞退することはできねぇって……!推薦の枠についても、あんたは言及してねぇ……!ってことは、できるってこと……!いくらでも、推薦……!たとえクラス全員でも……!まぁ、前言撤回するならそれはそれでいいぜ……!言ったことも守れねぇってんならな……!」
屁理屈……暴論……しかし、筋は通す……かろうじて、糸のような……!
「……分かった。決定戦までの間の訓練機貸し出しの融通はどうにかしよう。しかし、その後に関しては当然だが所定の手続きを取れ。それと、私にそうまでさせるからには、無様な試合は許さんからな」
折れる……千冬……!承諾…カイジの提案を……!
よし、これでどうにか最初の条件は取り付けらた……!
出来れば奴らにも訓練機を使わせたかったが……!
いや、そうじゃない……逆に考えるんだ……!使わせちゃってもいいやって……!
オルコットは専用機の情報さえ集められれば……そこから糸口が見えてくるかもしれねぇ……!
訓練機なんてある種オーソドックス…基本に忠実に来られたほうが勝機は薄いかもしれねぇ……!
カイジ……決意……!戦う……こうなったらとことん……!抗ってみせる……!
果たして、どうなる……カイジ……!
自薦・推薦・他薦
自洗……主がぽんこつでも勝手に流してくれる優秀な奴
水洗……水ですべてを過去に流してくれる優秀な奴
他洗……だれかが汲み上げてくれるまで待ってる臭い奴
アニメ版確認したら推薦って言葉は使ってないのな……まぁ推薦と他薦の違いって何だよってほぼ同義だし、そりゃそうか……
それよりも英語吹き替え版ちょろこっとさんの声優可愛くない……?
のほほんさんはのほほん具合足りない感じ……千冬さんは凛々しさがなぁ……