成層破戒録カイジ   作:URIERU

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さらにギャンブル描写しようとすると本編進まないので、ギャンブルはまた番外編というか日常編まで我慢してくれめんす。


カイジ、決断……!

雀ポーカーを始めていくらか時間が経った頃……一夏と箒が戻って来た姿を捉えるラウラ……

 

『(っむ?教官の弟は撃墜されたのか……?それにどうやら篠ノ之とやらが泣いているように見えるのだが)師匠、どうやら二人が戻ってきたようだ。しかし、織斑は撃墜、篠ノ之が泣いているようだな』

 

元々は宇宙用に開発されたハイパーセンサーー……まさに覗きに最適である……!

箒が一夏を抱きかかえ……泣きながら帰ってきている姿がラウラには見えていた……!

カイジとセシリアにプライベート・チャンネルを繋げるラウラ……自身の見た内容を報告……!

ここには今回の事態を知らない布仏がいる……おおっぴらに話すことは出来なかった……!

 

『……あ?それってもしかしなくても失敗したんじゃ……?』

 

ラウラの報告を聞いたカイジは疑問符を浮かべる……

 

『命からがらといいますか、どうにかぎりぎり成功させた、ということも考えられましてよ?』

 

『まぁ、成功してても織斑が撃墜されたんなら……泣いて帰ってくるのも仕方ない、か……』

 

が、どうにも胸騒ぎ……予感……予兆……まだ一波乱あるというような感覚……

 

『わたくしは作戦指令室の方へ行ってきますわ。さすがに織斑さんの容態も心配ですし、状況は把握しておきたいですから』

 

セシリアは一夏に対して超高感度センサーのレクチャーをしている……

何か失敗、ミスがあったのなら……自分も責任を感じるところである……!

彼らが出撃している間ギャンブルしていながら……何を言っているんだという話であるが……

とはいえ、自身が出来ることをしようとし……経験も十分、自ら進言したにも関わらず……

後から出てきた束に勝手に話を進められ……作戦から外されてしまった上に……

その場にいないカイジがそれを読んでいたということを聞けば……

最早やる気になっていたことが馬鹿馬鹿しくさえ思えたセシリアでもあった……!

 

『(奴ら二人が失敗していたとしたら……次に出れるのは凰、セシリア、デュノアの3人……腕は織斑、篠ノ之より上で数も勝るが……零落白夜のような切り札はなし……性能も軍用ISと比べたら……同じ第三世代機でも差はあるだろう……どう見ても厳しい……教員どもが出れるかどうかも分からんし、な……)俺も、着いていくぜ……ギャンブルはこれで切り上げだな』

 

『師匠が行くなら私もお供するぞ。一人では寂しいからな!』

 

ラウラぇ……

 

『(……?織斑さんのことが単純に心配、というわけでもなさそうですわね。何かがある、というより失敗していた時のことを考えての行動なのでしょうか?なんにせよ形容しがたい恐怖がありますわ)では、これを終えてから参ると致しましょうか』

 

今行っている一局を終えた後……作戦指令室へと向かう三人であった……!

四人の内だれが勝者であったかは……ご想像にお任せするとしよう……!

 

 

作戦指令室へと入る三人……カイジの姿が見えた千冬が問いかける……

 

「オルコットか……っむ、どうしたんだ伊藤?この件には関わらないのではなかったのか……?」

 

「状況が変わったみたいだからな……どうやら失敗したらしいな……?あの天才とやらがいてどうしてこうなったんだ……?」

 

作戦室内部の状況をみて作戦は失敗したと看過するカイジ……

天才という言葉が出てきて、千冬はセシリアのほうに目を向ける……

カイジは束が出てくる前に出て行った……この作戦を束が立てたことは知らないはずなのだ……!

 

「わたくしが喋る前からカイジさんは勘付いていたようですわ」

 

セシリアはその視線の意味を理解し、千冬へと返す……

たしかに喋ってしまってはいる……それの自己弁護、というわけでもない……

 

「……そうか」

 

「福音がいまどんな行動をしているのかは知らないが……次出るのは残りの3人なんだろ……?このままじゃバラバラに出ていってやられていき……無駄に戦力を潰して……最終的な防衛が出来ないことになっちまう……!なら、ここで俺もラウラも含めて出るしかない……」

 

苦渋の決断であるが仕方ない……三人が破られてさらに侵攻された場合……

ラウラ・カイジのペアだけで福音が落としきれるとは思えない……

ならば、まだ数を集められるうちに出ざるを得ないのであった……!

 

「ラウラを出す、というのか……?」

 

「……わざわざ全部説明することか……?」

 

千冬とてそんなことは百も承知のはず……わざわざ説明する無駄な時間を取らせたいのか……

若干のイラつきを含んだ声色で返すカイジ……!

 

「いや、分かった……すまん……現在福音はここから200km先の洋上で停滞している……いつ動き出すかも分からんが、超音速飛行なら……ここまで10分とかからん……」

 

時速2000kmを超えている福音が動き出せば……200kmすらあっという間である……

 

「そうか……で教員用のISは……?この後に及んでまだ教員は出れない、なんて言わないだろうな……?場合によっては結局俺たちが出る必要もないが……」

 

束の思惑、計画が破綻した以上……教員を出し渋る理由はないはずである……

ラウラも出ざるを得ないと判断したカイジ……しかし、千冬や真耶が出れる前提ならば……

先の3人と合わせて5人で出れば……まず十分ではないかと思い至ったカイジ……!

 

「いま教員用のISはここから離れた地点の海域の警備についている……今から戻しても30分はかかる位置にいる……すまんが伊藤、こっちへ」

 

千冬がカイジに手招きをする……なにやら内緒話というのだろうか……

 

「お前はすでに勘付いているだろうから言っておくが……これは束の仕業とみて十中八九間違いない……そして、その束の立てた作戦が失敗した……つまり、福音のこれからの動きが予想できない……いま山田・エドワースの両先生がいるのはいわば進路予測地点……奴が不測の動きをした場合に……内陸部に行かせないための限界の距離に展開しているのだ……!」

 

最早教員用の二機のISも状況が変わった……下手に動けば福音の行動に追いつけない……

内陸部に行かせないための限界の位置に展開……その動きを待たざるを得ないのである……!

 

「こっちに戻して奴が変に動き出したら間に合わないってか……分かったよ、情報を開示してもらおう……当然さっきの機密事項の取り扱いってやつには了承する……!(時間はないが出来る限りの手を打つ必要がある、か……?俺の読み通り福音がやつの制御下を離れたのだとしたら……そのスペックが想像以上にいじれなかった……あるいはいじれなくなったかのどちらかだ……)」

 

「分かった、紅椿から取り出した情報により……おおよその格闘性能も出ている……射撃性能はこちらに公開されたものよりどうやら低かったようだが……」

 

先ほどの戦闘で得られたデータ……それを付け加えた福音のスペックが表示される……

 

「(少なくとも奴は性能をいじれたっていうことか……?いや、これだけじゃ判断はできねぇ……)ん……?そういや、あんたがこの中の誰かの……専用機を使えばいいんじゃないのか……?」

 

「それができればそうしている……が、私自身の操縦の経験値をためたり……教員が他国の専用機を使うのは……それはそれで外交問題が起きるのだ……!フィッティングの問題もある……!」

 

千冬、初代ブリュンヒルデの操縦の経験値……それをコアに溜められるなどまずない機会である……

どこかの国だけがそれを入手するなど許しはしない……どのような取引がなされることか……

ならば初期化するかといって……そんなことをすれば学園に専用機持ちを入学させ……

他の国に情報を晒してでも情報入手と……コアに経験を蓄積させている意味が無くなるのだ……!

 

「VTシステムがまたどこぞで……開発される足掛かりのようなものに……なるかもしれないか……」

 

「……!そういうことも……あるかもしれんな……(ぐぬぬ、なぜこうも一歩先に行かれるのだ……!)」

 

「まぁ話は理解したよ……俺だって流石にこの旅館を攻撃されたり……日本の上空であんな機体に……暴れられてもたまったもんじゃないからな……」

 

戦闘のデータを見る限りこのまま都市部へ福音が進出した場合……

まず市民の避難は間に合わず……都市部上空で戦えば光弾が雨あられと市民へ降り注ぐ……!

最早死傷者の数は数千の単位……被害額も億単位で行くことは間違いない……!

 

「理解が早くて、本当に助かる……」

 

内緒話は終えて、千冬と距離を離したカイジ……そこへふくれっ面のラウラが話しかける……

 

「むぅ、何を話していたのだ、師匠!」

 

「内緒話は感心致しませんわね、致し方のない内容かもしれませんけど今から肩を並べて戦うんでしてよ」

 

どうにも置いてけぼりにされたラウラとセシリア……

 

「すまねぇな、ちょっとしたことさ……ラウラ、悪いがお前にも出てもらうぜ……」

 

「師匠の許可があるなら万々歳だ!それに状況が変わって市民に被害が出かねないのなら、私も何と言われようと出るがな!」

 

ラウラも流石にカイジとの関係を保つため……それだけのために市民を見捨てるような人間ではない……

 

「そうか……で、それにしてもなんで失敗したんだ……?その時の記録映像はあるんだろ……?出せよ、福音の実際の戦闘と……なんで失敗したのか状況を知っておきたい……」

 

スペックを見るのと実際の戦闘映像を見るのはまるで違う……百聞は一見に如かずである……!

そして、あの天才が何を読み損なったのか……それを見定めておきたいところであった……!

 

「っむ、うむ……分かった、流すとしよう……!」

 

千冬は若干ゃ歯切れが悪く答えて機器を操作し始める……

スクリーンには福音に接触してから一夏たちが撃墜されるまで……その一連の映像が流れる……

 

「……織斑の性格上、船をかばうのは理解できる……あそこで即座に、立場がどんなものであれ……目の前の命を見捨てることはしないだろう……だが、なぜあそこで篠ノ之を責め立てたんだ……?別に篠ノ之も間違ったことは言ってない……言い方には多少問題があったかもしれんが……」

 

カイジは一夏の行動を非難するつもりはない……人としては間違った選択ではない……

しかし、問題はその後である……その場から福音を引き離すなりやり様はあったはずだ……!

 

「どちらの決断も、初めの瞬間においては間違っていない……織斑の視界の端に映った船を……咄嗟に守りに行ったというのは責められることではない……篠ノ之の発言も密漁船云々問わず……福音が市街地に進めば……被害がどのようになるとも知れない以上……その決断も正しいものだ……正しく、問題はその後の行動だな……」

 

千冬とて考えは同じ……これがある暗部の楯無のような立場の人間であれば……

上司からの叱責は免れないところであるが……

 

「(密漁船があそこにいたことが……天才にとっても予想外……不測の出来事だったのか……?それとも敵の目の前で説教して……篠ノ之のやつを呆然とさせて……それをかばうとかいう意味不明な行動を……流石に予測できなかったのか……?最早これは考えても無駄だな……)少なくとも篠ノ之は作戦を遂行することに……可能な限り徹底はしているように見える……専用機をもらって浮かれて地に足がついてない……そんな状態だったことを考えると……これは快挙と言えることなんじゃないのか……?」

 

少なくとも映像を見た限り……箒は一夏が零落白夜が使えるように……

終始徹底して一夏の援護に回っていた……映像の最初の方の得意そうな表情……

昨日専用機を得てからの嬉しそうにしている姿……それを考えれば驚きである……

 

「……私は最初に通信で一夏に……篠ノ之が浮ついているから気をつけろと言ったが……」

 

「注意が必要だったのはどうやら……あんたの弟のほうだったな……」

 

「……」

 

流石の千冬もこれには閉口……無言で顔を逸らす……もののあわれ、千冬……!

 

「まぁ、状況は理解した……福音が変な気を起こす前に向かうとするか……鳳のやつは織斑のところか……?」

 

教員もISを展開して予測地点で待っている……とはいえ打鉄のスペックでは福音に追いつけない……

もし無視して飛び回られたらどうにもならないのである……

 

「篠ノ之と凰は一夏のところにいる……!私は流石にここを離れる訳にもいかんのでな……」

 

「あんたも辛い所だな……じゃ、凰のやつを呼びに行くとするか……」

 

家族愛、姉弟愛を忘れた人間ではない……当然見舞いにも行きたいが責任ある立場……

迂闊にここを離れる訳にも行かなければ……一夏の容態を見て動揺したくもないのである……

 

「わたくしたちは作戦でも立てておきますわ。無策でつっこむものではないですしね」

 

「そうだね、バラバラの5人で戦う以上作戦がないと烏合の衆になっちゃうし」

 

「私もここに残って作戦を立てておくぞ、師匠!」

 

「あぁ、まかせたぜ……」

 

今までの代表決定戦やトーナメントと違い多対一……決められたルールがある模擬戦でもない……

ここは知識も豊富な人間が作戦を立てるほうがいい……そう考えたカイジであった……!

 




無茶がある部分は許せ。カイジたちが関わって、千冬たちが福音を落とさず、自衛隊も出撃させない案としては私の中ではこれが限界だ。

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