成層破戒録カイジ   作:URIERU

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46話「困闘」の前日譚となる45.5話になります。
ぽま亀様より作風のことまで考えて下さった素晴らしいイラストを頂きました。その絵を見て思いついた話を、簡単にではありますが書きましたので投稿致します。
時期としてはVTシステム事件後、ラウラがカイジのことを師匠と呼ぶ前の話。



カイジ、惑闘……!

カイジの周囲をうろつくラウラ……暇があればまとわりつかれているカイジであった……

 

「パパは今度の休日は暇か?クラリッサにこの人形を買って欲しいと頼まれていたのだが、正直私にはよく分からん。ぜひ連れて行って欲しいのだが」

 

買い物、クラリッサに頼まれたフィギュアだが……ラウラはその方面の事は全く明るくない……

そしてクラリッサからは日本の男児ならば……このアニメのことを知らぬものはいない……

そう断言されたため、自分の頼れる男児……カイジへと声をかけたのであるが……

 

「いや、俺もそういうのは特に詳しくない……そもそもテレビを見る暇もあんまりねーからな……元々アニメもほとんど見ねぇし……」

 

入学してからというもの、大忙しのカイジ……当然アニメを見る暇などない……

セシリアとの決闘……鈴とのクラス対抗戦……学年別トーナメントにラウラの救出……

入学する前も地下暮らしからの沼での大勝まで……波乱に満ちた日々を送っていた……

 

「むぅ、そうなのか。とはいえ、休日にパパと娘がショッピングをするのは普通のことなのであろう?この人形のことは調べてどうにかしよう」

 

「先に聞いておきたいんだが……そのパパってのは一体なんなんだ……?なんで、ラウラが娘になって……俺がパパなんだ……?」

 

カイジの疑問も当然……パパになるような年齢でもなければ柄でもない……

パパ呼びはクラリッサがラウラに入れ知恵したもの……それは皆さん周知のことであろう……

 

「いいではありませんかカイジさん、パパと呼ばれるのも。可愛くなつかれているのですから」

 

 

【挿絵表示】

 

 

近くで様子を見ていたセシリアが会話に混ざる……ラウラとカイジの距離が近い……

しかし、不思議と焦りは見せない……その胸中にあるものといえば……

 

「(ボーデヴィッヒさんがカイジさんをパパと呼び、あとはわたくしのことをママと呼ばせることができれば……そうすれば名実ともにわたくしが正妻ですわ!)ボーデヴィッヒさん、わたくしのことはママと呼んでも構いませんことよ?」

 

名実ともに……名だけであり、全く実は伴っていない……

その言葉を受けたラウラ……カイジの背に隠れつつ、胡散臭そうな視線を向ける……

 

「ふん、クラリッサから聞いたぞ。そういう女はパパを取る悪い女狐だとな!」

 

クラリッサは当然ラウラの味方……ライバルとなりうる相手を蹴落とすため……

その偏った知識を思う存分ラウラに吹き込んでいたのであった……

 

「っな!このわたくしを女狐呼ばわりですって!?若奥様と訂正なさいまし!」

 

簡単に激昂したセシリア……可笑しな方向へヒートアップ……

 

「(一体ラウラに何があったんだ……いや、VTシステム事件が契機なことは分かってる……でも、こうはならないだろうが、普通に考えて……そして、セシリアはなんでラウラにママと呼ばせようとしてんだ……意味がわからねぇ……クラスメイトからの視線は流石に辛いものがあるし……)」

 

敵対的な視線には慣れたものである……しかし、今の視線はラウラにパパと呼ばせている……

そんな変質者を見るような目で見られている……こればかりは耐え難い……

 

先日は、同室者でもありクラスメイトの布仏から……

 

「いやぁ~さすがにパパはどうかと思うよぉ~。許されておにいちゃんまでだよねぇ~。それともかーくんは~、ラウラウみたいな銀髪ロリの義父になるのが夢だったり~?私は個々人の趣味、嗜好には理解を示すことにしてるけどぉ、同室になるのを遠慮したいくらいだねぇ~」

 

と、いたずらっ子な笑みを浮かべつつ……最早何の情け容赦もない言葉をかけられている……

カイジが呼ばせているわけではないことは理解している布仏……しかし、普段から反応の薄い……

というよりは、からかうところが見つからないカイジ……弱みを見つけたとばかりに弄るのであった……

とはいえ、クラスメイトのいないところで……であるため、細かい配慮は忘れていない布仏であるが……

 

「で、どうなのだ。もちろん行ってくれる、よな?」

 

ラウラ必殺の上目遣い……そこからのおねだりのコンボ……!

知ってか知らずか……ラウラは自らの容姿を武器とすることに成功している……

無自覚ゆえの質の悪さか……これを布仏がやってもカイジには効かないが……

 

「あ、あぁ、分かった、いつかの休日にな……」

 

いつかは言及しない……これがカイジが大人から学んだ汚いところの一つ……!

 

「約束だからな、忘れてもらっては困るぞパパ!」

 

「(な、なぜですの!わたくしが休日にお誘いしてものらりくらりと躱しますのに!これはわたくしも攻め方を変えなくてはなりませんわね。愚直に誘い続けても効果はなさそうですし。ですがわたくしにはラウラさんのような攻めはできませんわね)」

 

セシリアにもラウラのような……あざとさを使った攻めは勿論可能……

やれば大抵の男を落とせる性能はあるのだが……性格的に肌に合わないやり方であった……

ラウラも性格的には取らない手法だが……そこは無自覚ゆえである……

 

「よかったねぇ~。今度の休日には私が部屋から閉め出しといてあげるから、拾いに来てよ~。かーくんも女の子との約束をやぶるなんて、誠意を忘れた行動をしちゃあだめだよぉ~」

 

最早カイジのお目付け役か……カイジの考えはお見通しの布仏……

 

「(次の休日にはお馬さんも走ってねぇからやることもないか……そしてそれを機にどうにか呼び方を変えさせないとな……いくらなんでもパパはまずいからな……)あぁ、分かったよ……今週末は用事がねぇからな、空けとくよ……」

 

カイジの周囲のパパと言える男性……それは坂崎と石田くらいのものだが……

坂崎はリストラからの賭博三昧……その末に離婚をされているし……

石田も多額の負債を抱えた多重債務者……妻も息子も借金取りに追われている……

息子は自らの借金のせいだが……どちらもパパと呼んでいいものか、どうか……

最後に家族を案じることが出来た石田は……人の親と呼んでいいものかもしれないが……

 

「(誠意……これですわ!カイジさんがわたくしを助けて下さったのは、わたくしがカイジさんの行動に誠意をもって答えたから。ここから何か糸口がみえるはずですわ!)では、授業が始まるので失礼いたしますわ」

 

布仏の言葉より知恵を得たセシリア……なにがしかカイジの弱みを掴まなければならないが……

果たして、セシリア……!

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