仏情勢談義
「さて、今週のISが動いたのコーナーです。ではおなじみの政治面担当の七海さん、今日のテーマは?」
「はい、今週のテーマは最近動きがみられたEUの統合防衛計画についてになりますね」
「統合防衛計画も大詰めにはなりつつあるといった様相、ですかね?」
「いえ、抜本的な方針の見直しと言いますか、ここにきてフランスの見せた動きがちょっと注目できますね」
「フランスといえば先日シャルロット・デュノア氏の件でデュノア社が倒産しましたね。国内のISメーカー筆頭がつぶれたことにより、フランスの統合防衛計画への参画は絶望的と見られておりましたが?」
「まぁ注目といってもどんでん返しといった意味合いではなくて、単純に新たな試みの評価としてですね」
「シャルロット氏のISスーツのことですか?女性となってスリットのみn」
「いえ、スーツのことではなくてですね。ラファール・リヴァイブ、デュノア氏の使っている専用機ですね。あれはけっこうなチューンが施されていて性能的には3世代型には及ばず、2世代型よりも上、いうなれば2.5世代型といったところですね。そして、そこに用途別に分けられた専用パッケージ。これで0.5世代プラスして第3世代型といった感じですかね」
「しかし、第3世代型といえばマンインターフェイス搭載の特殊兵装が売りではありませんか?」
「それはもちろんです。ですが、考えてもみてください。現在のIS学園で第3世代型と言われる機体。あらかじめ言っておきますが、今日は冷静に話し合いましょうね」
「分かってますよ。今回ここで乱闘しちゃったら何も解説せずに終わっちゃいますからね」
「では、先ほど言った通りの第3世代型。白式、甲龍、紅椿、ティアーズ、レーゲン、シュヴァルツ・ヴァルト、ミステリアスレイディ、ヘルハウンド、コールドブラッド、合計9機。白式とヴァルトに関しては公開情報が少ないのであまり言及はできないことは先に断っておきますね」
「世界的に注目される男性操縦者の機体ですが、公開されている情報がすくないですよね?」
「軍事関係者や政府機関のトップなどは知っているんでしょうけどね。僕たち一政治記者が仕入れられる情報ではないですね」
「そうなりますよね。で、いま言われた専用機。どれもマンインターフェイスを搭載していますが、やはり操縦者の技量、集中力、素養にかなり左右されるとこはあると言えます」
「はい。北澤さんの推しであるティアーズ型もやはり素養の部分が大きく関わってきています」
「たしかに、セシリア・オルコット氏は適正Aランクですが、他にAランク適性が出てきたという情報も無し。乗り手の単純な技量にだけ左右されるわけではないというのは厳しいですね。現実においての実戦配備はやはり難しいですよね」
「はい。特に統合防衛計画という事を考えるとやはり難しいところがあるでしょうね。そしてこれは何もティアーズ型だけでなく、他のマンインターフェイス搭載型の第三世代機にも言えるわけです。現状適正というものを強く必要とするのはティアーズ型のみですが、他の機体も大なり小なり似たようなものを必要とするわけですから」
「なるほど。つまり、ラファールのように量産機でパーツの補充、メンテのノウハウもしっかり構築されていて、かつ個人の才能にも捕らわれない点に注目すべきところがある、と」
「良い補足をありがとうございます。いつもこんな調子で進めていけたらいいんですけどねぇ」
「いやぁ、それは難しいでしょ。視聴者が求めているものとやっぱり違いますから」
「そうなんでしょうかぁ……で、国防という普遍的にあまねく人材がつける必要のある任務。そこへラファールのような量産機、そして有事の際には適したパッケージへの換装をすることでの適応力の向上。基礎性能は各国の第三世代型に負けていようとも、適応力で勝負といった、一石を投じる形といってもいいでしょうかね」
「たしかに他の第三世代型にもパッケージはありますが、ティアーズ型にどのようなパッケージを積もうとも、屋内や閉所での任務では運用が相当に制限されますからねぇ。もちろんBT兵器をすべて取り外すこともできますが、それはティアーズ型なのか?っていう」
「それはもはや別物の機体。BT兵器を運用するためのシステムにストレージを喰われているせいで、量産機よりも局所では性能負けしてしまいますね」
『ちょっとティアーズ型落とされすぎなんで、他の機体にも言及してください』
「あとはレーゲンや甲龍ですかねぇ。レーゲンはかなりまとまりの良い機体ではありますよね。リボルバーカノンによる長距離砲撃、ワイヤーブレードと手刀による近接格闘性能」
「ただ、カノンはあれだけ大型な以上初動の遅さ、リロード時間にはやはり難がありますね。はっきり言ってしまえば遠距離戦もできますよっていうだけで、遠距離戦がこなせるっていうのとはやっぱり違いますね」
「その点からいえばティアーズ型は優位取れますよね。AICによる慣性停止もEN兵器主体だから問題はないし、何より自身がAICで捕縛されても自分自身で解除が可能ですから」
「自分自身で解除ってことは、AICに捕まったってことですよね。その技量差の時点ですでに」
「それは言っちゃいけないお約束ですから」
「あ、はい。まぁティアーズはコンセプトからいえば1vs1をするものではありませんよね。甲龍のような前衛機と組んだりして、場の流れを作っていくタイプと言えます」
「そこから考えていくとですよ。統合防衛計画のトライアルに参加した機体で競い合うのって、正直無駄じゃないですか?全部が全部同じ機体にしたら柔軟性皆無っていうか」
「まぁすべての機体がレーゲンとかティアーズって偏るとぶっちゃけまずいですよね。適正云々以前に」
「はい、ですから今後の流れとしてはトライアルの参画も第三世代型が云々というよりは、コンセプト次第で柔軟に対応していったほうがいいんじゃないか、と思えますね」
「まぁそこは今後EUがどういった形に動いていくか見物ではありますね。さて、時間もやってきてしまいました。今回は特に騒ぎもなく、その時ISが動いたのコーナーが終わってしまいましたね」
「たまにはこういう真面目に話すのもいいですね。次はふっかけていきますけど」
「勘弁してくださぁい……さて、次のコーナーは図解ISスーツ、担当は当然北澤さん」
「はい。待ってました、この時を!そのためにね、さっきの回は真面目に話してたんですから」
「真面目に話したら充分な知識はあるんですから、いつもお願いしますよ。さて、今回はどのISスーツの解説にはいりますか?」
「そこ、聞いちゃう?当然、シャルロット氏のスーツですよ。デュノア社からパラダイム社へとスーツの変更がなされました」
「他の専用機持ちの学生が着ているものと比べて、結構布面積削ってますよね?」
「そうですね。以前は見た目にはカラーリングの違いだけ、だったんですけどね。ですが、先ほど七海さんも話されていたパッケージとの対応を考えて、新システムを導入しているみたいで、それによって布地面積にも余裕が出来てるんです」
「新システム、ですか?」
「七海さんもご存知の通りですが、ISスーツは筋肉から出る電気信号等を増幅してISに伝達しています。必ずしも着込む必要はありませんが、着ていた方が当然機体からのレスポンスが早くなります」
「しかし、同時にノイズのような信号まで増幅してしまい操作に支障が出る場合もある、と」
「安物や布地面積のやたら少ないものを使っていた場合はそうなりますね。で、今回パラダイム社の製作したスーツ、これはスーツに各パッケージに対応した個別のシグナルが用意されていて、伝達効率を高めています。また個人のパターンを解析、学習する機能も試験段階ではありますが、導入されているとか」
「なるほど。統合防衛計画をかなり意識したスーツとも言えますね。これはもうフランスは第三世代型の開発よりも、ラファールとそのパッケージによる参画を考えていますねぇ」
「そこのところは今後の動きに要注目ですね。いやいや、そしてね、スーツ。先ほどのシステム導入によって、新デザインが出来ました。先ほども七海さんが言った通り、ISスーツって全然個性がないんです。ヒロインズのスーツ見てもらったら分かるけど、色違いなだけ。どこにオリジナルとかオーダーメイドの要素があるのかってね。ほんと突っ込みたいですよ」
「あの、ちょっと興奮しすぎて何話してるのか分かんないんですけど。確かに没個性的ではありますよね」
「そこに来てデュノア氏のハイレグのスーツへの一新。これはポイント高いですよ」
「どこに対してのポイントなんでしょうか……?まぁ個性を出せて実用的なスーツっての人気出ますよね。基本的にデザイン性に走ったところは、必要な布地面積を削って伝達効率悪くして元も子もなくなったりしてますからね」
「そこら辺の問題諸々を解決したこのパラダイム社のスーツは、確実に人気が出ると踏んでますね。いやぁこれでもっときw」
「はい、お時間になりましたので図解、ISのコーナーを終わります。また来週ー!」
「っあ、ちょっ……」