Fate/Zero 雨生くんの聖杯戦争   作:筆折ルマンド

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多くの方にお気に入り登録していただいてありがとうございます
読んで楽しんで貰える作品にしなければならないと思いつつもなかなか話が進まなくて申し訳ありません
本編とあんまり関係無い所は自分でも読み飛ばしちゃうのに無いと薄っぺらく感じてしまうジレンマ

聖杯戦争<今夜から本気出す


5.始動

前回のあらすじ

百面ハサンのこれと言った特技の無い人格ザイードはアサシン脱落を装う計画の犠牲となった

だがそれに伴って出されたアサシン脱落の報はあまり信用されずに終わるのだった

 

 

空港に銀の妖精が降り立ち、舞弥がケーキバイキングに没頭している頃

ついに雨生達人の策も動きだす

 

 

 

イート・イン・泰山2

午後1時を少し過ぎたあたり、紅州宴歳館・泰山の最奥の席に今作の主人公はいた

彼が握るのはレンゲ

昨日とは違い一人で泰山麻婆を食している

フランケンシュタイン博士は今日はどうしても連れてこれないし、そもそも彼はアレ以来麻婆嫌いになってしまった

なんでも麻婆を想像するだけで怖気が走るらしい

化学調味料をジャンジャカ使った料理を食らう現代人と過去の人間では味覚が全く違うのは想像に難くない

そういうわけで雨生達人は今一人で泰山麻婆をはふはふと食しているわけだ

普通の泰山麻婆は昨日の泰山麻婆激辛に比べれば甘口と言えるレベルであり、達人もその辛味の奥底にある旨味を堪能していた

 

ガランガランと店の扉が開く

その瞬間さっと気配を薄めながら店に入ってきた人間をチェックする

達人がこの泰山にいるのは他でもない

衛宮切嗣の来訪を待っているためだ

雨生達人は聖杯の使用を考えていないため、聖杯の使用権を取り引きの材料とし衛宮切嗣と同盟を組もうと画策していた

そして、その上で重要なのは敵対した状態で顔を合わせないこと

一度でも敵対した後では寝首を掻かれかねない

安全かつ早期に衛宮切嗣と接触する必要がある。

そこで達人はFate/ZeroドラマCD『イート・イン・泰山』のタイミングを狙うことにした

もっとも明確かつ聖杯戦争初期に衛宮切嗣と邂逅できるタイミングは3つ

上策はイートイン泰山にて

中策は暴走ベンツアイリ経由

下策はハイアットホテル爆破時

このどこかで衛宮切嗣に接触し、アインツベルン陣営が敵対しない限り聖杯の使用権を譲渡する条件で協力関係になることを目標としている

 

自身の来店から通算9回目のベルが鳴り、ついにその男は現れた

服装も黒コートにウニ頭、ほぼ間違いなく衛宮切嗣だ

おまけに後ろの席にはタクシー運転手

タクシー運転手が午後の仕事もあるのに麻婆なんて食べてていいのかと言う疑問は一先ず置いておいて

第1段階、衛宮切嗣を捉えるのには成功した

次は接触し、どこかで待ち合わせその上で同盟を結ばなければならない

 

とはいえ、泰山麻婆を心待ちにしている衛宮切嗣に声をかけるのは無粋ではないか?そう達人は思いしばらくの間待つことにした

「あ、店員さんチャーハンを一つ」

達人がそう言うと店員は即座に応対した

 

これは余談であるが、泰山は麻婆が有名な店であり、さらに料理のその大半に麻婆のせが存在する、さらにあまりの麻婆率にいつの間にか麻婆のせがデフォルト化されてしまっているため、何も知らずに頼むと大抵麻婆がかかっている

プリヤ綺礼の麻婆ラーメンも元は泰山のものをアレンジしたものかもしれない

ただし、泰山と違い抜きと言っても抜いてくれない分、数段たちが悪い

 

 

 

古来より戦争において重要視されるのは情報である

こと聖杯戦争において相手となる魔術やそのサーヴァントの力量や宝具の効果を事前に知っておくことは重要だ

聖杯戦争に幻想をいだくケイネスやそのようなものを用意する余裕の無いウェイバー、それ以前の問題である龍之介を除けば皆何らかの情報収集の手段を持ち合わせていた

その点、達人もある程度は協力者を持ってはいたものの、そもそも雨生家そのものが遠坂家の協力者という位置付けであるため、達人個人にはほぼ協力者はいないと言っていい

しかし、そのままでは聖杯戦争を生き抜き聖杯の暴走を止めるという達人の目的に支障をきたす

そこで達人はキャスターを召喚しその穴を埋めようとしたわけだ

フランケンシュタインの宝具『生命合成の箱庭』は生死を問わず生物を合成、改造し、キメラにすると言うもの

これによって達人陣営は先日大量に仕入れた動物たちの身体の部位を交換したり改造したりして大量のキメラを生産していたのだ

その動物たちは今、冬木市のありとあらゆる場所に野良として隠れ住みフランケンシュタインに見たもの聞いたものを逐次届けている

その総索敵能力は冬木市内に限って言えば、百の貌のハサンを超えていた

ちなみに動物たちは皆消化器官を強化されているため、雑草でも食べていれば生きていられるため維持費は全くかからない

 

「男のサーヴァントが一人きり、白い髪の女性とスーツを着た女のサーヴァントに、アレは戦車か?宙に浮かぶ乗り物に乗った男が二人、時々アサシン」

空を飛ぶ鳥キメラや、路地などに潜む猫キメラたちから得た情報をフランケンが整理し、ふむと顎に手を当てる

「やはり昨日のアサシン脱落の報からいくつかの陣営は大胆な行動に出始めている」

フランケンが背もたれによりかかりイスがギシリと音を立てる

「マスターの言う通り、今日明日から聖杯戦争は本格的に始まりそうだ」

そう言うとフランケンはコートのポケットから小さな瓶を取り出して眺めた

瓶の中には錠剤が詰まっている

「そうなれば、いずれこれを使う時も来るのだろうな」

錠剤よつまった瓶を眺めるフランケンはどこか哀しみを感じさせる表情を浮かべていた

 

 

「ふぅ、食った食った」

あれからそれなりに時間も経ち、二杯目の麻婆豆腐を食べきった衛宮切嗣はお勘定のために席を立とうとする

そこへ達人が寄り話しかける

「衛宮切嗣さんですね」

瞬間

切嗣の意識が戦闘時のそれに切り替わる

何故気付けなかったのかを考えるのは後にして、今、起源弾も無く魔術師に後ろを完全に取られたこの状況を打開すべく脳がフル回転する

その変化を察した達人

「落ち着いてくれ、俺は貴方と敵対したいわけじゃない。その証拠に貴方は今の今まで俺が魔術師だということに気がつかなかった。だろう?」

僅かに浮いた腰は浮かせたまま切嗣が答える

「ああ、そうだな。だが、だからと言って警戒を解くというのは無理な相談だ」

魔術師を多く相手にしてきた衛宮切嗣が相手取ってきた人々の中には、本人に殺意は無くても上の人間から命ぜられたからという理由で襲って来るものや魔術師に操られて襲って来るものもいた

そのため達人の言葉を衛宮切嗣はそれほど信用していなかった

「そう言われるのは想定範囲内。だからコレを貴方に渡そうと思ったんだけど」

達人が懐から丸めた紙を取り出そうとする

「いやいい、何を渡されるか分かったもんじゃないからな」

切嗣は用心深く断った

「そうか、なら仕方がない。ハイアットホテルの後あたりにまた訪ねるよう」

「ッ⁉︎」

衛宮切嗣にまたもや緊張が走る

自分たちの計画がバレているのか。

「どこで知ったんだ」

「冬木市に来た時、妙に野良の動物が多いとは感じなかったか?」

その質問に切嗣は答えられない

切嗣は冬木市など始めてであるし、10年近くアインツベルン城という閉鎖空間に身を置いていたため、冬木市の異常な野良の数に気付くことはなかった

「今、冬木市にいる野良の動物の半分はうちの使い魔だと思ってくれていい。それだけの数の眼が有れば、野外や密閉度の低い場所での会話ならだいたい傍受できる」

コレはハッタリだ

野生動物の行ける場所、聞けるものなど言うほど広くも多くもない。

一般人に不審がられないようにある程度ばらけさせているし、数も総数は1000にも届かない。

町全体を完全に筒抜けにするには多少性能の良い使い魔では到底足りないのだ

 

それでも衛宮切嗣は騙されてしまう

過程に嘘が有っても、雨生達人が衛宮切嗣の計画を知っていることは事実だからだ

「…チッ」

思わず舌打ちする

「で、君の目的は」

「貴方との同盟」

切嗣が固まる

そのような言葉が出て来るとは想定していなかったからだ

「何故だ、今なら僕を殺すこともできるだろう?」

衛宮切嗣が挑発的に聞く

「貴方に死なれると困るんだ。うちのサーヴァントは直接の戦闘能力は低い。遠坂師のサーヴァントに真っ向から対抗できるのはアインツベルンのサーヴァントぐらいだ、戦力は残しておきたい。…何より…俺はあんたを殺したくない」

衛宮切嗣が驚き再度固まる

「時間は明日の2時、ハイアットホテルから北東に袋小路になった路地裏があるそこで待ち合わせたい」

それだけを言うと達人はすっと側を離れ切嗣のレシートを取り自分のと合わせてカウンターに千円札を数枚を置いて去った

 

数瞬後ハッと正気に戻って店の外に出るが達人の姿は既に影も形もなかった

切嗣は頭をかいて髪をかきあげる

「アレでまだ16歳か、末恐ろしいな。いや、僕も同じようなものだったか」

明日の2時

自身の予定していたハイアットホテルの爆破時刻すら予測しているとはな

感心すると同時に恐ろしさを感じる

「もし彼が味方になるというのなら心強いんだけどな」

そう自分で言っておいて切嗣はハッと鼻で笑った

 

 

 

 

それから6時間後

倉庫街にて二騎の英霊が顔を合わせる

「その立ち居振る舞い、セイバーとお見受けしたが?」

ニ槍を携え、魅了の魔力を持った泣き黒子を持ったフィアナの騎士

「輝く薫」のディルムッド

「そちらこそ、その槍、貴公ランサーであろう」

セイバーも黒のスーツから青を基調とした鎧を纏った戦装束へと変じる

「いかにも」

 

ニ騎の間には互いの緊張感と共に闘いへの高揚が見てとれた

 

「いざ」

ディルムッドが二槍を構え

「参る!」

セイバーが飛び出す

 

まさしく刹那の一合の後に遅れて音が響く

 

二人の激突が聖杯戦争の開始を告げた

 

 




フランケンシュタイン
宝具『生命合成の箱庭』ランクB++
一定以上の大きさの部屋を作り変え、生物の合成改造を行う実験兼施術室を創り出す
程度の低いキメラなら半自動生成可能
キメラの強さは材料の質にもよるが神秘が無いものであってもランクE+前後のキメラを作ることができる
また、作ったキメラには身体能力の強化や特殊な能力を付与することができる

次回 ついに原作3話に突入します
やっとこさバトルです
やっとオリジナル展開がやってきます
それではまた
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