だが奴は弾けた 作:宇宙飛行士
◇
だだだ大丈夫。ま、まままだ慌てるような時間じゃな、ないわけないだルォォ!!!
これは俺が千本ナイフを引いた後の心境である。
……絶対に許さねえ!ドンサウザンド!!(言葉遊び)
ファ~どういうことなんですかねえ。マジで(白目)
実際問題、これは大変なことやと思うよ?(確信)
ライディングデュエル中、必死にDホイールを操作しつつ、俺は一人頷く。
おかしいね、しっかり魔法は全部抜いたはずなのに。ま、まあ?俺が抜き忘れたってことも無きにしもあらずだし。でぇじょうぶ。次はなんとかなる。クリアマインドは少しでも乱れると成立しないんだ。下手すると遊星さんのヤケクソシンクロォオオオオ!!!になるからな。落ちつけ、落ち着け、よし!
俺は自身に安定を促し、次の自分のターンを待つ。
そう、まだ希望はある。まだ堪えられる……まだ堪えられる。よし!また俺のターン!!いくぞォォォ!!!
俺はいつもよりも気合いを込めて次のカードをドローする。運命なんて!ぶち抜いてやる!!!
━━ドロォオオオオ!!!
・死者蘇生←引いたカード
ししゃしょしぇい(マリク感)
……もうやめましょう。未来に希望などないのです。あるのは絶望だけ……(予定調和)
なんでだ……どうしてこうなっちまうんだ……死者蘇生は確かに強いよ?みんな「どのデッキでも採用するぞ」って言うくらいだし。いやーほならね、ライディングデュエルで使ってみろって話でしょ?こっち、こっちはデュエルで勝つために千本ナイフとかを抜いたわけでして……だったら自分で使ってみろって私は言いたい。うん!
現実逃避にほならね理論をあげている俺。
だってこのままじゃあまりにもあんまりでしょう?いや、もう日本語おかしいわ。ちょっとショックでかい。つまり俺のデッキは魔法類とか抜いたとしても超☆転☆移するということだぞ?……助けてくれええ遊星えええ!!!
そう嘆いても俺の心の中の遊星さんは「ふふっ……死者蘇生なんてどうだ?(ドヤァ)」としか言わない。ちくしょう。
ミゾグチ(謙虚)さんとのライディングデュエル、珍しく俺の優勢で進んでいるのだけど、中々勝負が決まらない。
うーむ、やっぱりミゾグチ(むきむき)さん強いなぁ。こっちはミラフォとマジックシリンダー使ったのにコレだぜ。やはり本物の執事は格が違った。
そしてミゾグチ(神)さんのフィールドにはエースカード『不退の荒武者』がいる。
このモンスターは攻撃力2400、守備力2100で、『このカードの攻撃力よりも高い攻撃力を持つモンスターから攻撃を受けた場合、このカードはその戦闘では破壊されず、 戦闘を行った相手モンスターをダメージ計算後に破壊する』、っていう中々強かな効果を持ってるんだよなぁ。
今俺のフィールドには『デーモンの召喚を召喚するぜ!』さんがいるけど、まともにいったら勝負を決められないぜ。むしろこの状態のままだと負ける可能性が高まってくる。
あとミゾグチ(お茶目)さんのライフが1000も残ってないから、もう一撃入れば勝てるのだけれども……まぁ引いてから考えるか(絶望)
そうしてまたしてもビビりながら、ドロー!
……お、このカードは。
ドローしたカードを見て脳裏にこの状態を突破する術を見出す。
よし、このカードを使うには準備が必要。ということは俺恒例のあの時間がやってきたな!
俺は内心でウキウキとしながらセットされていたトラップカードを発動する。
俺がさっき引いたカードはモンスターカード。しかも召喚するには生け贄が一体必要だ。
フィールドにはデーモンの召喚しかいないので、彼を生け贄にするのは敗北へとまっしぐらである。デーモンの召喚はエースだからね。
ブラック・マジシャン?裏エースなんじゃね?(すっとぼけ)
まあつまり、新たな生け贄要員が必要なのだ。あ、いまはリリース要員と言った方が正しいのか。
そうして俺が発動したカードは『強欲な瓶』、カードを一枚ドローする効果。
この遊戯デッキにおいて唯一のリリースのためだけに使われる、あのモンスターを引き当てることは難しい。一枚しか入っていないし、限定的だし。
しかしそんなものは関係ない。━━今の俺には、まるでソシャゲのガチャを回すかのような高揚感だけが、心の内を支配していた。
ヒャッハァ!これだからガチャはやめられねェ!
俺はこれを、SSRワタポンガチャと呼んでいる。
◆
勢いよく、目の前の少年はデッキからカードをドローする。
そして引いたカードを自分の手元で確認し、そのまま自分のDホイールに設置してあるディスクへ叩きつけた。
──よし!俺が引いたカードは『ワタポン』!このモンスターはカード効果によって自分のデッキから手札に加わった場合に特殊召喚することが出来る!
高速で景色を変え続けるライディングデュエルのフィールドに一体のモンスターが出現する。攻撃力200、守備力300の弱小モンスター。二本の触覚のようなものをつけた綿毛のそれは、この場に似つかわしくないゆったりとした印象を見る者全てに与えるモンスターだった。
だが直ぐにそのモンスターは風に包まれてフィールドから消え去る。
──そして俺は『ワタポン』をリリース!このモンスターをアドバンス召喚する!
まるで自分のデッキを手足のように、意のままに操っているとミゾグチは相手の少年を見て思った。
『強欲な瓶』でドローしたカードの効果をすぐさま発揮し、自分の描いた戦術へと繋げる。なによりもそれを実行に移している少年は自信に満ちていた。必ず自分の思い通りのカードが来てくれると、少しも不安な様子を見せることもなくただデュエルを楽しんでいた。
──『カタパルト・タートル』を召喚!このモンスターは1ターンに1度自分のモンスターをリリースし、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える!俺は『デーモンの召喚』をリリースする!
深緑色をした甲羅とその名のとおり射出機構(カタパルト)をもったモンスターに、『デーモンの召喚』が乗り上げる。カタパルトはミゾグチのDホイールに標準を合わせ、自分の主の命令を静かに待つ。
──いくぜ!『デーモンの召喚』を砲撃!!
その命令の後、カタパルトに設置されている魔弾を射出した。
少年は笑っていた。ただただ楽しそうに。その子供のような笑みを見て、ミゾグチは思った。自分が仕えていたルブラン家、そしてその事件があってから連れ出した、今の主であるシェリー・ルブラン。その彼女は事件が起こる前のような、こんな子供らしい笑みを浮かべることはなくなったな、と。ただそんな感想を胸の内から湧き上がった。
それは目の前の少年と、シェリーが同じような年頃だったからかもしれない。
『デーモンの召喚』の攻撃力にカタパルト射出速度による攻撃力が加算される!こいつは強力だぜ☆──なんてことはなく、ミゾグチは効果通りのダメージを受け、このライディングデュエルは終わりを迎えた。
◇
カタパルトタートルで射出!してミゾグチ(苦戦)さんに勝利した俺。
自分のモンスターを生贄にして勝つなんて…真のデュエリストがすることじゃねえ!という感じではなく、ミゾグチ(最強)さんは、今日も素晴らしきエンタメデュエルを見せてもらったぞ!というテンションで俺を褒めてくれた。
俺はカタパルトタートルは戦術としては悪いことではないと思っているし、別に抵抗はない。ただ喜々として次々と自分のモンスターを射出するのが、絵面として問題があるだけで…。しょうがないだろ(ヤケクソ)!
勝ちたい…勝ちたいよな誰だって…どんな手を使っても!というラフェールの言葉が胸に突き刺さる俺。申し訳ないが、魔法カードを引いてしまう事実から勝負を急ぐしかないと判断したんだ。
だからこれは正しいやろ?な?俺は手札の千本ナイフに問いかける。……「お前のデュエルは独り善がりに過ぎない」と言い返された気がする(言いがかり)うっせえ投げるぞ。
そんな感じで一人八つ当たりしている俺にミゾグチ(忠誠心)さんはしかし…と言葉を濁しつつ俺に問いかけてきた。
──手札にスピードスペルは無かったのか?そうすればもっと早く勝負をつけられただろう、と。
ここで説明しておく。
ライディングデュエルではスピードカウンターというものが存在する。スピードカウンターは先行を除くお互いのスタンバイフェイズに一つずつ増え、そのカウンターを一定の数除くことで様々な効果を発揮する。
まずカウンターを四つ除くことで『手札の「Sp(スピードスペル)」の数×800ポイントのダメージ』を与える効果、次にカウンターを七つ除くことで『デッキから一枚ドロー』する効果、そして十個除くことで『フィールド上のカードを1枚破壊』する効果がある。
作中では殆どがカードを1枚ドローする効果を選択していて、バーンダメージはあまり活用されていなかった印象がある。いかんせん地味だからね、それで勝負が決まってしまうと。というか×800バーンって厳しくね?ライフ4000の世界では脅威過ぎる気がする。
まあつまり、ミゾグチ(フィール)さんはこのスピードスペルの数によって決まるバーンダメージを活用すれば射出!する必要がなかったんじゃないか?と言いたいわけだと思う。
多分俺を見て、ライディングデュエルに慣れていないことを察したのではないか。千本ナイフを引いたとき硬直したままだったし。全く、千本ナイフがせめてスピードスペル扱いで使えたら。
そう思いまた目を千本ナイフに向ける。「だからお前は独り善がりだと言っているんだ!」と強く言い返された気がする。うっせえスマイルワールドと同じ末路を辿らせるぞ。
俺は自分がスピードスペルなんてデッキに入れてないぜ!どうだ参ったか(震え声)!と言い千本ナイフをミゾグチ(社交性○)さんにシュウゥゥ!!するとミゾグチ(反射神経◎)さんはそれを人差し指と中指で余裕でキャッチ。強い(確信)
俺が、なめたマネしてすいませんでしたと言うよりも前に、ミゾグチ(気遣い)さんは、何故デッキにスピードスペルを入れないのか?と聞いてくる。
俺は、持ってないのでと答えを返す。ふええ、カードは拾えなかったよぉ…。
次に千本ナイフを見て、何故通常の魔法カードを入れているのか?と聞いてくる。
俺は何故でしょうねえ(哲学)と咄嗟に言いそうになるが、そんなことを言うとデュエル(物理)されるかもしれないと思い口を閉じる。そして数秒ほど悩んだ後ミゾグチ(最強)さんに、俺の友達…いや、家族だからな!と答えを返した。
だってカードが超☆移☆動してくるとか言えないでしょそんなの。超下手すると不正を疑われるよ?自分が望んでないカードを引いて不正になるってどういうことなの…?一人戦慄する俺。
じゃあ馬鹿正直に「知らん、そんな事は俺の管轄外だ」と言う?多分血祭(ガチ)になる。
俺の言葉を聞きミゾグチさんは一瞬驚いた表情を浮かべる。だがすぐにそれを直し、デュエルの実力は確かだが自分達のチームではそれは認めることが出来ない、と真面目に正論を言われた。ふざけた事言ってたら真面目に受け取られたでござる。それはそれで苦しいわ、心が。
俺がぐうの音もでねえと思っていた時、後から来たシェリー氏がどうかしたのか?と聞いてくる。
俺は、スピードスペルデッキにないから通常魔法入れてライディングデュエルしてたんだけどどう思う?と彼女に尋ねた。
頭を叩かれた。
◇
シェリー氏→お?舐めプしてんじゃねえぞ?(激おこぷんぷん丸)
俺→スピードスペルはない。だったらそれ(通常魔法)で満足するしかないじゃないか(不満足感)
そんな会話をシェリー氏とした後、彼女はこちらにWRGPの件について話を始める。
とりあえずミゾグチさんに勝ったので実力があること認められた。それで戸籍云々はこっちでなんとかするから出場してくれ、と言われる。
俺はそれを聞き、うっすうっすと返事をした。
まあ多分なんとか出来ないんじゃないかなあというのが、この俺の軽い返事の理由だ。
ミゾグチ(とにかく強い)さんに、俺の戸籍がないとはどういうことか聞かれたのだけど、普通に何の手がかりも記憶もなく、存在が不明という事を伝えた。するとそれを聞き目を閉じ考えた後、その状態だと戸籍などを偽造することは難しいと言われたのだ。本来偽造するにしても何か関連性があるものがないと造れず、誤魔化しにくいのだとか。だったら最初からセキュリティに相談する方が良いとも。それでも困難らしいけれど。
あまり期待しないでほしいことを俺に伝え、ミゾグチ(誠実)さんはDホイールで去っていく。やはり執事ともなると一挙手一投足がさまになってると思う。背筋まっすぐ張ってるし。俺も普段の態度からしっかりしないと駄目だということを思い知らされるぜ。
そう自身の認識を改める必要を覚えた俺の前から、続いてシェリー氏が自身のDホイールで去っていく。
その前に、
──このカードを渡すわ。次に会う時は、ライディングデュエルが本気で出来るようにしておきなさい。
そう言って、一枚のカードを俺に投げ渡す。
俺はそれをスタイリッシュ人差し指と中指間キャッチしようとし、失敗して地面に落とす。
やべ、恥ずかしい。見られなかったかな。いや、しっかりミラーで確認してるわ。ちくしょう!
地面から落としたカードを拾い上げ、俺はそれを確認する。一体シェリー氏は何のカードを……
『Sp-スピード・フュージョン』
……イヤッタアアアア!!!!!!!
これで融合召喚出来るううう!!!!!!!!
ありがとうシェリー氏いいいい!!!ラーの翼神竜より貴女の方がよっぽど神だぜええええ!!!
主人公についにスピードスペルが。うかれてはしゃぐ彼だったが、そもそもの問題に気づいてしまう。
━━新しいカードをデッキに入れて、引けるのか?と。
迫る死者蘇生。
立ちふさがる融合解除。
気づいたときには千本ナイフ。
超☆転☆移するマジックカードに、スピードスペルは勝利の光明を見いだせるのか……?
次回予告(予定)
Q6.ぶっ倒しても!ぶっ倒しても!!ぶっ倒しても!!!
今回のガチャで思い出した関係ない話だけど、fgoのガチャでパッションリップの胸を見ながら回したらメルトリリスが出たんで、次に機会があったら真似して見てください。それでは。