だが奴は弾けた 作:宇宙飛行士
◆
「一体何だったんだ……あのDホイールは」
セキュリティの職員は一人、途方にくれていた。
その原因はある正体不明のDホイールだ。
このセキュリティの職員はパトロールの最中、目の前を銀色のDホイールが物凄いスピードで走っていくのを目にした。明らかに危険な速度。あのままあのDホイールを放置していいはずがない。セキュリティは自身のDホイールでその後を追う。
だが、そのDホイールに警告をするよりも早く、それは凄まじい速さで遠くにいってしまう。
━━くそ!このままでは逃がしてしまう!
そう思ったセキュリティは━━相手のDホイールと、ライディングデュエルをすることに決めた。
ライディングデュエルをする間、Dホイールの速度は制限される。警察組織であるセキュリティは犯人に逃げられる前に、その方法でデュエルによって相手を拘束することが出来るのだ。そのセキュリティの職員も同様のやり方をとることにした。しかし、
━━反応しない?
目の前から遠ざかっていくDホイール、あれはデュエルモードへ移行する信号に反応せず、そのまま速度を上げて去ってしまったのだ。
「何がどうなってるんだ……?」
彼は一人でその異常を嘆く。
職員は、これはまた牛尾先輩に叱られそうだ、と頭を悩ませるのであった。
◇
気付いたら屋敷にダイナミックカタパルト射出していた件について。
……ち、違う!わざとじゃないんだ!!
確かに屋敷の扉ぐらいはぶち破ってやるぜ☆って思ってはいたけど、こんな悲☆惨な崩壊を招くつもりはなかったんや!
ただ超スピードで突っ込む途中で何処かの木の根に躓いて、気付いたら大空にフライアウェイしていただけなんだ。滞空中に『もうどうにでもな~れ☆』と諦めて運命に身を任せるしかなかった。そうだ、これは神様のイタズラってやつなんだ。
だから、だからこの屋敷の持ち主の少年よ、そんな目で俺を見るな。お前マジかよ見たいな顔を向けるんじゃない。見るな!そんな目で俺を見るなァ!!
わざとじゃないから許して、と心の内で謝罪している俺。そんな元に「だ、大丈夫!?」と、この屋敷の中に閉じ込められていた龍可ちゃん先輩が俺の元に駆け寄ってくる。
そうだよ。よく考えればこの屋敷の主の少年は幼女監禁の罪に捕らわれているんだ。つまり、俺のこのダイナミック☆カタパルト射出は、正当防衛に似たサムシングの可能性が微粒子レベルで存在する……?
そうだ、きっとそうに違いない。俺のこの惨状は必要経費だったんだ。そう思おうじゃないか。ほら、ウルトラ○ンだって怪獣と戦う度に整備された道路とか踏み潰したりしてるけど、なんのお咎め無しでしょ?そういうことなんや、そういうことにさせてくれ。お願いします。
まぁでも、龍可ちゃん先輩の無事を確認出来てよかったぜ。メガネ君が遊星先輩に助けを求めていないことを知ったときはマジかと戦慄したけど、俺の取り越し苦労だったみたいだ。この神隠しの屋敷の話しは俺の記憶に鮮明に焼き付いてるんだ。なんとか間に合ってよかったぜ。
この話は必死になって阻止しなきゃいけないことがあったからね。まあ可能性の話になるんだけども、ないとは言い切れないし。
━━何故俺が此処まで必死にメカメカしたバイクを飛ばしてきたのか。それはある一つの理由があった。
この神隠しの屋敷はある兄弟の思念みたいなもんが残って、その兄弟の兄が悪霊になったのが始まりなのだ。確か病弱の妹を兄が熱心に世話してたんだけども、その苦労が報われず、どっちも同じ末路をたどってしまったということだったと思う。
でも、悪霊みたいなもんになった兄は残留思念からか、妹が居るこの屋敷に近づく奴はしまっちゃうおじさんという行動にでるのだ。遊戯王らしくカード化して神隠しする。デュエルで負けた結果そうなるのかは覚えてないが、確かそんな感じのはずだ。
だが俺が何故ここまで必死に、ダイナミック突撃してまで龍可ちゃん先輩の無事を確認したかったのかの理由は、それとは別だったりする。勿論それも少し心配ではあったが、それが理由ではないのだ。
俺がここまで必死になった理由━━それは龍可ちゃん先輩が、エ○同人みたいな目に遭わないようにするためだ。
は?何言ってんのコイツ?うわ!?犯罪者予備軍だ近寄んな黙れ変態。変態がうつる、しっしっ!と思ったかもしれない。だけど、先ずは俺の言い分を聞いてからそう判断してはくれないか?お願いだ、すみませんお願いします。
━━龍可ちゃん先輩がこの屋敷に捕らえられるまでの経緯を説明しよう。龍可ちゃんは始め、なんか突然目のハイライトが消えて、ふらふらと人形のように森の中を歩いていく。その結果、この神隠しの森で迷子になってしまうのだ。龍可ちゃんが洗脳された感じで迷子になったのは、神隠しの少年の犯行と見た方が自然だと思われる。だが、証拠はない。しかし十中八九そうだろう。奴はショタにしてロリコンを患っていると俺は考えているからだ。
まあそれはいい。よくないけど、いい。その後が問題なのだ。
龍可ちゃんは森の中で迷子になった後、少したって襲われるのだ━━触手に似た植物のツルに囲まれて。
当時、それを食卓で兄弟一緒に見ていた俺の気持ちを考えてみてほしい。
━━超気まずかった(真顔)。俺の下の兄弟はまだ幼なかったから気にしてなかったけど。俺と上の兄はどっちがチャンネルを変えるかで、視線で死線のやりとりをしてた。いや?俺は何のことだかわからんし?と両者共にすっとぼけていたが。
すまない、話を戻す。
まあ触手に似たツルに襲われた龍可ちゃん先輩なんだが、その後、悪霊の少年にその場面を助けられて、その結果として屋敷の中に案内されて閉じ込められることになる。
ここまで話せば何となく察しはつくだろう。そう、こう推理することが出来るのだ。
龍可ちゃん先輩が突然レ○プ目になって迷子になる→恐らく悪霊となった少年のせい
龍可ちゃん先輩がエ○同人的な目に遇いそうになる→恐らくショタにしてシスコンでロリコンな少年のせい
龍可ちゃん先輩を助けて屋敷の中へ誘導する→ロリコンな少年なら当然の流れ
つまり、すべては自作自演。龍可ちゃん先輩を少年が助けたのも、自分は何の関係もないということを印象操作したにすぎない!
このことから導き出される結論は……龍可ちゃん先輩が、またエ○同人的な目にあう可能性がかなり高い確率で存在するということだ!(迫真)
な、なんだってー!(なに言ってだコイツと思うだろう。だが可能性はなきにしもあらずなのだ。というか八割以上あると俺は踏んでいる。あれ?そう思うと屋敷☆崩壊させたことも別に悪い気がしなくなってきたぞ。へっ、龍可ちゃん先輩監禁しやがってこのヤロウ。やったぜ。
俺は完全に開き直った。そして駆け寄ってきた龍可ちゃん先輩に「大丈夫。龍可ちゃんも無事でよかったぜ」と安堵の溜め息を一つ。
何はともあれ、俺の危惧していた事態には陥ってなかったのだ。一件落着である。そうお互いの安否を喜びあっている内に、助けにきた遊星先輩が合流。
後は二人と龍亞君に任せておけば万事滞りなく済む、そう思った俺は極力隅っこで気配を圧し殺しているのでした。
いけー!るあくーん!がんばえー!
◇
本当に万事滞りなく済んだ(歓喜)
最終的に、亡霊となった兄弟は一緒に旅立たっていき、神隠しの被害にあっていた人達は無事に解放された。
もう日が落ちてきて辺りは夕暮れに染まっている。あ、いっけね。料理の仕込みやってないでござる。これは早いところ帰らんと。
そう思い倒れてたメカメカしたバイク、もとい『
その前に、龍可ちゃん先輩が再度感謝の言葉を伝えてくるので、「いや、俺は当然のこと(エ○同人な目にあうのを阻止する的な意味で)をしたまでさ」と一言。
今日も一人、幼女の敵がいなくなったと社会の清掃を終えなんだか清々しい気持ち。こんな仕事ないかな?と現実を思い出して一瞬でどす黒い気持ち。明日も頑張らないと。カットビングだぜ!俺!
今日の夕御飯は唐揚げだからね!と最後に龍亞君に伝えようとした俺だが、その龍亞君は遊星先輩に「この人、デュエル超強いんだぜ!」と俺を指差しながら言う。
こらこら人を指差しちゃいけないでしょ、と俺が保護者の様に龍亞君を咎めるより先に、それを聞いた遊星先輩が「……そうか」と少しニヤリとしながら一言。
そうして続けて「その丈夫なDホイールからして、ただのデュエリストではないと思ってはいたが……そうか、やはり強いのか」となんか戦闘態勢に入りながら言う。
いや、少し待ってほしい(懇願)
貴方はそんな血の気が多い人ではなかったはずだ。なに?ゴーストと戦ってから考えてた、シンクロ召喚以外の戦術を試したい?ハッハッハ━━勘弁してくださいお願いします!無理やって!例え遊星先輩がシンクロ召喚使わなくても無理やって!
……わかった、わかったよ!!じゃあちょっと待って、千本ナイフ(笑)デッキから抜くから!それまで待って!!あとライディングデュエルは無しな!この条件だったらデュエルしましょうぜ!こうなったら自棄さ!
唐突に始まりつつある遊星先輩とのデュエル。俺はデッキケースの中に千本ナイフだけ残しつつ、これは荒れるぜ、と冷や汗を流しているのだった。
遊星先輩の
◆
「このモンスターは……」
不動遊星は目の前のモンスターを見て、自分のライバルの言葉を思い出した。
━━カオス・ソルジャー
相手が発動した魔法カード『カオスの儀式』により降臨した儀式モンスター。
攻撃力3000、守備力2500のバランスがとれた戦士。鋭利な曲剣と紋章のようなものが描かれた青色の盾を手に持ち、此方を静かに見据えている。
遊星はこれがあのジャックが考え込むに至ったカードかと納得しつつも━━だがあのジャックが、このカードで?と反面信じきれない気持ちがあった。
確かにこのモンスターは普通とは違う。纏う力というべきか、実際目にして圧倒される強さがあった。
しかし━━不動遊星、そしてジャック・アトラスは、それに近い脅威というものは何度も目にしてきた。サイコデュエリストが扱うモンスターや、ダークシグナーの地縛神。それに近い、特別なカードではあるとこれを目にして思うが、だが逆をいえば、ジャックが塞ぎ込むほどの脅威はないと同時に思った。
━━いくぜ。こんな事は、滅多にない。
遊星の相手━━青年は楽しそうに笑って、そう言葉を紡ぐ。遊星は「なに?」と一つ疑問の声をあげるが、相手の青年はそれを気にすることはなく優麗にカードに手を添え、それをデュエルディスクに━━置いた。
━━来い!その戦士のもう一つの姿━━カオス・ソルジャー━開闢の使者━!
━━空に闇と光が降り注いだ。そしてそれは一つの渦となり、そして交わる。その奔流の中、同じ形、同じ姿をした一人の戦士が現れる。
遊星はそれを目にした瞬間━━これか、と完全に理解できた。
光と闇の化身、開闢の使者。これはただのモンスターではない。
自身の所持するスターダスト、ジャックのレッドデーモンズのような『意思』を感じるようなカードとは違う。
このカードからは確固とする、恐怖するほどの、凛然たる『使命』があると感じる━━!!
━━やれ!『カオス・ブレード』!『開闢双刃斬』!!
◇
遊星先輩の
まあ遊星先輩のソリティアはシンクロ召喚から始まる節があるからね。対ゴースト用のシンクロ召喚使わない戦術じゃあ、どうしても回転率は落ちちゃうからなぁ。今回デュエルには勝てたけど、本来ならモンスター召喚→蘇生→シンクロ→蘇生→シンクロ(二体目)→蘇生→シンクロ(三体目)→(以下省略)
なんてこと普通にあるからね?今回は勝ちを譲ってくれたものとして考えましょうぜ。
しかし今回はカオス戦士二体揃えられてテンション最高潮だぜ。やはり攻撃力3000が二体もフィールドにいると安心感がある。師匠?師匠がいるときはやられても蘇生するまでが本番だから逆に安心できるぜ。やはり主人公のエースは格が違った。
デュエルを終えた後、遊星先輩が「お前は……いや、なんでもない」ってちょっと意味深なこと言ってたけど、超気になる。よくある途中で言葉を区切る中二リズムは俺の黒歴史に効く。勘弁だぜ。
遊星先輩が真っ赤なDホイールで帰宅していくのを尻目に、じゃあ俺も帰るかとDホイールのエンジンをかける。
そこで気がついた━━龍亞君と龍可ちゃん先輩いるじゃん。さすがに子供をこのまま放置は駄目だぜと、俺氏メカメカしたバイクを押して一緒に帰ることにするでござる。
帰宅途中、龍亞君は「あのカード、迫力すごかった!!」と興奮ぎみに俺に語ってきて、微笑ましい気持ちでそれに受け答えしていたのだけど、対して龍可ちゃん先輩は俯きぎみ。なんか元気ないでござる。
一体どうしたのかと考えるが、思いあたる節はない。まあしかし今日は龍可ちゃん先輩は身の危険を感じたりしたからね。その影響なのだと思ってみたり。うん。きっとそうでしょ。
いやーそれにしても、身の危険で思ったのだけど、
━━俺とバイクの強度、上がってね?
この小説をお気に入り登録してくれた人が1000人を突破しました。ありがとうございます。
ということはマジシャンガールを使うフレンズが1000人をこえたということですね(超思考)
作者は二番目にレモンマジシャンガールが好きです。
これからも誤字が多い作者ですが、見つけたら教えてくれると嬉しいです。ありがとうございました。