ソードアート・オンライン -The Revenger-    作:こもれび

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表題を片仮名からアルファベットに変更いたしました。


黄昏の刻

 ――キリト……キリト……良かった。まだ生きてるんだね。

 

 いや、どうかな……身体は切り刻まれてボロボロだし、たった今胸の急所を撃ち抜かれたからね。もう死んでいるのかもしれない。

 

 ――そっか。でも、諦めてはいないんだね。

 

 ……そうだな……まだ……諦めたくはないな……死ぬまでは……いや、死んでも諦めたくないよ。俺はアスナを守りたいんだ。

 

 ――そうだね……キリトはそう……自分のことよりも人のことを優先しちゃうもんね……でも、そっか……好きなんだね、アスナさんのこと……

 

 ああ、愛しているんだ。この世界の誰よりも……

 

 ――ふふふ……そんなにはっきりと聞いちゃうともうわたしも何も言えないな。いいな、キリトは……好きな人が出来て……あーあ、わたしも恋のひとつもしてみたかったなー

 

 ……ごめん……気を使えなかった。悪い。

 

 ――別にいいですよーだ。わたしだっていつか生まれ変わってすっごい素敵な男性(ひと)と恋に落ちてみせるんだから。もうキリトやアスナさんが羨ましがっちゃうような大恋愛をしちゃうんだからね。

 

 …………

 

 ――ちょ、ちょっと黙らないでよぉ。なんかわたしがイタイ娘みたいになっちゃうでしょ。

 

 悪い。俺、まさか君とこんな風に話せるなんて思ってもみなかったから本当に嬉しくて。

 

 ――そう……だね。うん、そう。わたしも嬉しかった。また君に会えたのが本当に嬉しかった。でもね、キリト、ここは君の来ていい世界じゃないの。君は帰るの、自分の世界に。アスナさんと一緒にね。だから頑張って。まだ終わってない。君はこんなところで終わったらだめなの。だから君のことを……『みんな』で助けるの。

 

 それって、どういう……

 

 ――君はわたしたちの『生きた証』だから……だから生きてほしいの。

 

 ……

 

 ――そうだぜキリト、あんたにはもっと俺たちの分まで幸せになってもらわないとならないんだからな。

 

 さ、ササマル……か? それって……

 

 ――へへ……悪い、キリト。俺たちみんなでキリトのあの恥ずかしい台詞聞いちゃったんだよ。

 

 ダッカーなのか? あの時、あの部屋にいたのか?

 

 ――ああ、そうだよみんなで居た。それで……すごく嬉しかったんだ。あんな風に言ってもらえて、本当に。俺は……俺たちはあなたにもっと生きててもらいたい。

 

 ……テツオ……みんな……

 

 ――もう、キリトがぐずぐずしてるからみんな来ちゃったじゃない。もうちょっとだけ二人きりで居たかったのに……ぶつぶつ……ま、まあ、そういうこと。

 

 みんな……お、俺……俺は……俺はみんなに謝りたかった。嘘をついて……騙してて……ごめんって。俺……俺がみんなを殺したって……

 

 ――キリトのせいじゃないよ。キリトは頑張ってくれた、私たちのために戦ってくれた、守るために何度も何度も。でもね、私たちも甘えてたんだよ、強いキリトに。だからね、私たちが死んだのは私たちの責任。こんなこと言っても気持ちは楽にならないだろうけど、でも、キリトには謝ってほしくないの。

 

 なら、俺はどうすればいい? どうすればみんなに報いることが出来る? どうすれば俺は許されるんだ?

 

 ――誰も……キリトを責めてはいないよ。君は許される必要なんかない。だから言って欲しいのは謝罪なんかじゃなくて、あの言葉だよ。

 

 あの言葉?

 

 ――そう、あの言葉。私もキリトにきちんと伝えたかった言葉だよ。あのとき私の声はほとんど出なかったから……

 

 ……ああ……そうだよな……君がくれた言葉だ……俺……俺はみんなと一緒に居られて、居させてもらえて本当に嬉しかった。本当に……本当に……『ありがとう』。

 

 ――こちらこそ、『ありがとう』。ふふ、ようやく直接言えた。嬉しい。でも、今は『さようなら』は言わないからね。 

 

 なあ、また会えるのか? 俺達はこうやって……

 

 ――うん、会えるよ、きっと。君が私たちを忘れない限り、君がこの世界を大切に思ってくれる限り……だって私たちは、『ここに居る』から。

 

 俺は……忘れない。みんなのことを決して忘れない。また会いにくる。必ず……

 

 ――うん、待ってる。

 ――俺もだよ。

 ――また会おうぜ。

 ――アスナさんのこととか聞きたいこと山ほどあるしな。

 

 みんな……ありがとう……本当に……

 

 ――ほら、もういいかな? 白馬の王子様。お姫様を助けにいく時間ですよ。

 

 ああ……そう、だな。もうこんな『ゲーム』なんかで死んでなんかやるもんか。

 

 ――そうそう、その意気だよキリト。さあ、行こう! アスナさんを助けに。わたしたちはその為に来たんだから。

 

 ああ……でも、どうして俺を助けてくれるんだ?

 

 ――そんなこと今聞かないでよ、もう。

 

 

 

 

 ――君の事が……『大事』だからに決まってるでしょ。これ以上のことはアスナさんに悪いから言ってあげませんよーだ。ふふ……

 

 ありがとう……本当にありがとう……

 

 『サチ』。

 

 ーーー行こうキリト。『ゲーム』なんかに負けないで! 勝って!

 

 ああ……

 

 勝つよ……

 

 俺は……

 

 絶対に‼




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