FAIRY TAIL ~魔導騎士と星の姫~ 作:ジャージ王子
「ほい、ロールキャベツお待ち」
「ありがと」
ガヤガヤと賑やかな酒場のカウンターに座るルーシィの下にロールキャベツが運ばれる。作ったのは勿論、運んできたアルトだ。
「で、次はどんな仕事に行くんだ?」
「んー、まだ考え中」
ルーシィが
「まぁゆっくり決めればいいさ。な、ナブ」
「お、俺に振るなよ!」
クエストボードの前に立っていたナブが焦る。彼は“自分にしかできない仕事”を探しているらしいが、それが見つからず常にクエストボードをウロウロしている。そんな彼をからかい笑みを浮かべるアルトを見て隣にいたミラがある事に気付いた。
「最近のアルト変わったね。昔に比べてよく笑うようになった」
「そうか?」
「うん、昔は本当に笑ってる感じがしなかったけど、今は心から笑ってるように見えるもん」
「確かに、言われてみればそんな気もするな」
途中から話を聞いたグレイも賛同する。
「でしょ!これもルーシィが
「あたしですか?」
「だって、アルトが変わってきたのってルーシィがウチに来た頃からだもの」
そう言われてアルトと初めて会った日の事を思い出すルーシィ。
─俺のことを知ってるか!?─
当時は驚いて気付かなかったが、あの時のアルトの顔は息がかかる程に近かった。
(お、思い出したら顔熱くなってきた・・・)
「うーん、確かにルーシィのお陰かもな」
「へ?」
そう言って厨房に戻っていくアルト。軽口のようにも聞こえたが、アルト本人としてはルーシィと出会って変わったという自覚はある。ルーシィがキッカケとなり“あの夢”で色々なシーンを見るようになったからだ。しかし、それはルーシィに似た女性と自分の視点となっている誰かしか現れず、アルトの記憶に関わる情報を得ることは出来ていない。
「何の話をしているんだい?」
次にこの話に参加してきたのはロキだ。彼氏にしたい魔導士上位ランカーにしては珍しく女性を連れていない。
「ルーシィの愛の力でアルトが笑うようになったって話よ」
「ちょっ!愛とかそんなんじゃ・・・ゴニョゴニョ」
「ははっ、素敵じゃないか。ルーシィ、僕とも愛の力を育まないかい?」
「却下で」
「即答!?」
先程までの恥ずかしがりぶりが嘘のように冷めた態度になる。
ルーシィは別にロキのことは嫌いではないが、ハルジオンでの偽
「そんなつれないキミも素敵だけどね」
それでも諦めず口説き続けるロキだが、ルーシィが“ある物”を身に付けていることに気付き戦慄する。
「き、君!星霊魔導士だったのかい!?」
「そうだけど?」
「なんたる運命のイタズラ・・・!ゴメン!僕達の関係はここまでにしよう!」
そう言い残して走り去っていくロキ。
「いや、始まってすらなかったけど・・・」
「ロキは星霊魔導士が苦手なの。どうせ昔に女の子絡みで何かあったのよ」
「そうなんですか・・・って、アンタらいつの間に喧嘩してんのよ!」
今までロキと話しながら騒がしいと思っていたが、その原因はナツとグレイの喧嘩だった。
「大体、何でテメェはパンツ一丁なんだよ!」
「テメェが暑苦しいからだろうが、このクソ炎!」
「んだと、コラァ!」
「やんのか、コラァ!」
暴言フェイズが終了し、再び戦闘フェイズに突入するナツとグレイ。周りもいつもの事なので放置をしている。
すると、走り去っていった筈のロキが慌てながら戻ってきた。
「ナツ!グレイ!マズいぞ!」
「「あ?」」
「エルザが帰ってきた!」
「「なぁ!?」」
“エルザ”という名前を聞いた瞬間焦りだす2人。いや、2人だけでなく
ズシィン!
しかし、時既に遅く巨大な角を軽々と持ち上げながら、鎧を着た女性が現れた。
「今戻った。マスターはおられるか?」
「お帰りエルザ!マスターは定例会よ」
「む、そうか」
(あの人がエルザ、さん?綺麗な人だなぁ)
それがルーシィの緋色の髪をした女性、エルザに対する第一印象だった。
そんな中、メンバーの1人がエルザの担いできたものについて尋ねた。
「エルザさん、そのバカデカいの何ですかい?」
「討伐した魔物の角だ。地元の者が記念にと飾りをほどこしてくれてな。綺麗だったので土産として持って帰ってきたんだが・・・迷惑だったか?」
「い、いえ!滅相もない!」
このやりとりだけでエルザが
「それよりお前達、また問題ばかり起こしているようだな。マスターが許しても私は許さんぞ」
「「「・・・・・・」」」
その言葉に全員が押し黙る。この状況で笑顔でいるのはミラくらいだろう。
「まずはカナ、なんという格好で呑んでいる。ナブ、相変わらず依頼板の前でウロウロしているのか?仕事をしろ。それから・・・」
カナで始まり、ナブに続き、他のメンバーにも出るわ出るわ小言の数々。その姿にルーシィもエルザの第一印象を改めるべきか考えそうになる。
「今日のところはこれくらいにしておこう。まったく、世話が焼けるな・・・」
やり切った表情をしているエルザだが、周りの精神的疲れは“これくらい”では済んでいない。
「・・・そういえば。ナツとグレイはいるか?」
((ガタッ!!!))
先程までの喧嘩のやかましさが嘘かのように息を殺していた2人だが、エルザに名指しされた瞬間、逃走を計った。
「あい、こちらに」
しかし、ハッピーの手際の良い裏切りにより呆気なくエルザに見つかってしまった。
「なんだお前達、そんな所にいたのか」
「あい」
「お、おうエルザ、俺達今日も仲良くやってるぜ・・・」
「あい」
「ナツがハッピーみたいになってる!?」
見つかった瞬間にあたかも仲が良さそうに肩を組むナツとグレイ。
「あの2人一体どうしちゃったの・・・」
「ナツもグレイもエルザが怖いのよ。ナツは昔エルザにケンカを挑んでボコボコにされちゃったの」
「あのナツが!?」
「グレイは裸で歩いている所を見つかってボコボコに」
「またボコボコ!?」
「ついでにロキは口説こうとして半殺し」
「そこまで!?」
ミラがエルザの武勇伝を教えていると、厨房からアルトがやって来た。
「やけに騒がしいと思ったら・・・帰ってきてたのか、エルザ」
「あぁ、今しがた戻ってきたところだ」
「長期間の仕事で疲れただろ、何か作ろうか?」
「そうだな、甘いものでも貰おうか」
「相変わらずの甘党だな。リクエストはあるか?」
「いや、任せる。アルトの作るスイーツはどれも好きだからな」
「了解」
微かな笑みを残し再び厨房に戻るアルト。周りのメンバー達はその状況をただ見ているだけたった。
「あ、相変わらずアルトはすげぇな・・・」
誰かが呟く。しかし、今のルーシィはその言葉も耳に入らない程焦っていた。
(な、何なのあの2人!凄いイイ雰囲気だったんだけど!ど、どどどどういう関係なの!?)
確かに、今までもアルトが女性メンバーと仲良くしているところは見かけた。しかし、今のエルザとの会話は明らかにそれまでとは違う雰囲気だった。と、ルーシィの“自称”良く当たる女の勘が告げていた。
エルザが現れてからまだ1時間も経っていないが、ルーシィの彼女に対する印象は目まぐるしく変わっていく。
「お待たせエルザ、出来たぞ」
「む、パンケーキか」
「あぁ、疲れがとれるよう蜂蜜は多めにしておいた」
「いつもすまないな」
そう言ってパンケーキを口に運ぶエルザ。その横でルーシィはすっかり冷めてしまったロールキャベツを見つめていた。
「で、話ってなんだよ、エルザ」
待たされていたグレイが問いかける。
「む、そうだったな。実はアルトにも聞いて欲しい事だ」
「俺もか?」
「あぁ、3人に頼みたいことがある」
「「「頼み?」」」
「仕事先で少々やっかいな話を耳にした。マスターの判断をあおぐつもりだったのだが、早期の解決が望ましいと判断してな」
「あー!じれってぇな!頼みってなんだよ!」
痺れを切らしたナツが本題に入るように急かす。
「単刀直入に言おう。3人の力を貸して欲しい、ついてきてくれるな?」
「へ?」
「な!?」
「はいぃ!?」
想像もしていなかった言葉にアルト、ナツ、グレイと三者三様の反応をする。
当然、話を聞いていた周りのメンバー達もざわつく。
「エルザにアルト、ナツとグレイ・・・今まで考えた事もなかったけど、これって
「「「!!!」」」
ミラの言葉が
どうも、ジャージ王子です!
遂にエルザが登場しました!果たしてアルトとはどういう関係なのか?それはもう少し後で明らかになります。
引き続き、感想やご指摘などありましたらコメントお願いしますm(_ _)m
以上、ジャージ王子でした。ではでは( ・_・)ノシ