FAIRY TAIL ~魔導騎士と星の姫~ 作:ジャージ王子
柱と柱の間から陽の光が射す石造りの廊下を歩いていると、後ろから元気の良い声が聞こえてきた。
「ねぇ!聞いて聞いて!遂にあたしも魔法を使えるようになったの!」
金色の長い髪をなびかせながら少女が言う。
「へぇ、どんな魔法なんだ?」
「それは見てのお楽しみ」
その言葉を待っていたというような嬉しそうな表情を浮かべ、少女は銀色の鍵を取り出した。
「開け!小犬座の扉・・・ニコラ!」
ボフッ!
「プーン!」
「・・・・・・」
「どう、凄いでしょ!?」
「まず聞きたい」
「何?」
「コイツは何だ!?」
ビシィッという擬音が聞こえてきそうな勢いでニコラを指さす。
「何って、小犬座の星霊のニコラ」
「プーン」
「犬なのか!?」
「それよりこの子に名前つけてあげなきゃ」
「スルーかよ・・・。というかニコラが名前だろ?」
「ニコラは総称。例えば猫に“猫”って名前はつけないでしょ」
「それはまぁ・・・確かに」
「そうだ!あなたも一緒に考えてよ!」
「へ、俺も?」
「うん!」
彼女の輝かんばかりの笑顔に断りきれず彼は協力することにした。
「・・・・・・」
「プーン」
とりあえずニコラを見つめてみるが、見れば見るほど思考の海に呑まれてしまいそうになる。
そんな彼の隣で少女は「んー、ドリルもいいけど、逆転の発想で虫ってのも捨てがたいわね・・・」などと呟いており、なんとかして自分が名前をつけなければという使命感に駆られる。
「プルー・・・ってのはどうだ?」
なんとなくイメージで考えてみた名前なので控えめに提案してみる。
「それいい!今あたしが考えてたしゃぶ太郎よりいいかも!」
前言撤回、是非プルーにしてほしいと彼は思った。
「じゃあ、今日からあなたの名前はプルー!」
「ププーン!」
心なしかプルーが喜んでいるように見える。プルーとじゃれついている彼女も嬉しそうにはしゃぐ。そんな状景を見て彼もまた安らぎを感じる。
彼は彼女の太陽のような笑顔が好きだった。
そしていつからだろう、彼が笑顔だけでなく彼女に心惹かれていたのは・・・。
†††††
目覚めてみればカーテンの隙間から陽の光が差し込んでいる。
「・・・相変わらずリアルな“夢”だな」
それが本日のアルトの第一声だった。
とりあえず時間も時間なので身支度を済まして家を出る。
「あら、アルト君おはよう」
「おはよう、おばさん」
アルトの住むアパートの1階は大家である老夫婦が切り盛りする青果店になっている。
「どうせ朝ごはんは食べてないんだろ?これ持ってきな」
そう言ってアルトに林檎を投げる。
「おっと、ありがと」
それを屈んでキャッチするアルト。普段アルトは朝食はとらないのだが、こうしておばさんに見つかった時は別である。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
このアパートの住人の習慣ともなっている挨拶を終えアルトは駅に向かった。
†††††
林檎をかじりながら駅に到着すると、何やら騒ぎが起きていた。間違いなく身内だろうと思い騒ぎの方へと進む。
(ほらな)
予想通り騒ぎの中心はナツとグレイだった。
「「よぉ、アルト」」
「そこは息ピッタリなのかよ」
適当に腕を挙げて挨拶を返すと、再び彼らの喧嘩が始まった。
「真似してんじゃねーよ!」
「それはテメーだろ!」
そんな2人は放置してアルトはもう一つの悩みの種の方を向く。
「おはようアルトっ」
ルーシィである。
(まさか本当に来るとは・・・)
昨日、3人がエルザからの頼みを渋々引き受けた後、ルーシィが突然自分も行くと言い出した。その瞬間全員が耳を疑った。正気か、と。
当然、全員が止めようと説得した。しかしルーシィにはアルトとエルザの関係を調べるという重大な使命があった。
「おいおい、よしといた方がいいぞ・・・」
「そ、そうだ。“あの”エルザと行く仕事だぞ?」
その時、エルザは既に自宅に戻っていたのでギルドのメンバーの何人かがちょいちょい本音を漏らしていたのは言うまでもない。
「俺もあまりオススメはできないな」
アルトも説得したのだが、ルーシィが折れることはなく今日という日を迎えてしまった。
そして話は戻り駅の構内。
「ルーシィ、昨日も言ったが今回は化け物も倒すエルザ1人でも無理な仕事だぞ。それでも行くのか?」
まだどんな内容かは分からないが、それだけははっきりと言える。
「行くわ。あたしだってアルトの、皆の役に立ちたいの」
はっきりとアルトを見据えて言い切るルーシィ。その真っ直ぐな瞳を見てアルトもこれ以上止める気にはならなかった。勿論、ルーシィには別の理由があるのだが、それをアルトが知る由もない。
「・・・分かった。ただし危険なのは変わりないからな。俺の側を離れるなよ?」
「う、うん」
俺の側を離れるな、という言葉に頬を赤らめるルーシィ。そのしおらしい反応にアルトも顔が熱くなるのを感じる。
「・・・っ!」
ここ最近、“あの夢”を見た日はルーシィを夢に出てくる女性と重ねてしまい、その結果、ルーシィを意識することが多くなった。
そうこうしていると彼らの方へ巨大な“何か”が迫ってきた。
「待たせたな・・・少々荷造りに手間取った」
「荷物多っ!」
エルザの後ろにある馬車一台分程の大きさの荷物を見てルーシィが突っ込む。
「む?君は昨日
「あ、ルーシィと言います」
今の所、ルーシィにとってエルザは恋のライバル(仮)なので気が抜けない。
「おい、エルザ」
グレイとの喧嘩を切り上げ、ナツがエルザを名指しする。
「なんだ?」
「何するか知らねぇが今回はついてってやる。条件付きでな」
「条件?言ってみろ」
「帰ってきたら俺と勝負しろ!」
「お、おい!死にてぇのかお前!」
グレイもエルザの強さを知ってかナツを止める。
「そうだな、私はいささか自信がないのだが・・・受けて立とう」
「おっしゃあ!燃えてきたぁっ!」
「アルトは・・・「いや、俺はパス」・・・フッ、そうだな。グレイ、お前も勝負が望みか?」
グレイが慌てながら首を横に振る。
「お、俺はエルザの為なら無償で働くぜっ」
「それはそれでどうなの・・・?」
「ともかくだ。急ぎなんだろ?とっとと済ましちまおうぜ」
アルトの言葉に一同が頷く。
こうして、
どうも、ジャージ王子です!
今回からはアルトの使う“錬金魔法”について説明したいと思います。
錬金魔法とは特殊な魔法石に魔力を込めることで武器に変換(錬成)し、第二段階として武器に魔力を込めることで武器に魔法の力を付加させる魔法。発現する武器や能力は個人ごとに違い、そのバリエーションは無数に存在する。
今回はこんな感じです。次回からも少しずつ錬金魔法に触れていきたいと思っています。
引き続き、感想やご指摘などありましたらコメン トお願いしますm(_ _)m
以上、ジャージ王子でした。ではでは( ・_・)ノシ