FAIRY TAIL ~魔導騎士と星の姫~   作:ジャージ王子

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第14話 一緒にしない方がいいぞ

「お前ら、後は任せたぞ」

 

睨み合いが続く中、最初に動きを見せたのはエリゴールだった。

彼は風を纏うとそのまま戦線から離脱する。

実際、彼らは妖精の尻尾(フェアリーテイル)を倒すのではなく、呪歌(ララバイ)を吹く事が目的である為、笛を持ったエリゴールが直接戦闘を行う必要はない。

 

(この笛の音色を必ず“奴ら”に聴かせてやる。妖精(ハエ)共はそれまでここで存分に戦っていればいい…そう、檻の中でな)

 

心の中に、ある思惑を持ちながらエリゴールはホームを去って行った。

 

「ナツ!グレイ!エリゴールを追え!」

 

「は?」

 

「コイツと?」

 

「いいから行け!」

 

「「あいさー!」」

 

エルザに気圧され、2人はまるで逃げるように後を追い始めた。

 

「いいのか?あの2人に行かせて」

 

「問題ないだろう、私はあの2人が力を合わせればエリゴールにも負けはしないと思っている。それに…」

 

「それに?」

 

「いや、何でもない」

 

「?」

 

(アルトに追跡を任せるのは不安だった、とは言えんな…)

 

「ともかく、俺達の相手はこいつらって訳だ。ルーシィは今の内に下がって…」

 

「2人ともやっちゃえー!」

 

既に物陰に隠れているルーシィとハッピー。どうやらアルトの心配は無用だったらしい。

 

「早く片付けて私達も後を追うぞ」

 

そう言ってエルザが手を伸ばすと、何もなかった手元に剣が現れた。

 

「魔法剣!もしかしてアルトと同じ魔法!?」

 

「エルザの魔法は錬金魔法じゃないよ」

 

「えっ?」

 

ハッピーの言葉を証明するかのように、エルザは剣の他にも槍、斧と様々な武器を出していく。

 

「あれは換装って言って、星霊魔法みたいに別空間から武器を出現させる魔法なんだよ」

 

剣1本に様々な効果を足す錬金魔法と、用途に応じて武器を取り換える換装は一見似つつもその実は全く別物の魔法である。

 

「それにしても…」

 

ルーシィの視線の先には入れ替わり立ち代わりに動き続けるアルトとエルザの姿があった。

 

「凄い…」

 

「なんて奴らだ!」

 

「数ではこっちが圧倒してるんだ!とにかく押せ!」

 

相手はたった2人。にもかかわらず、全く歯が立たずむしろやられている状況に鉄の森(アイゼンヴァルト)側も不安の色が見え始める。

 

「ったく、きりがないな」

 

「あまり時間をかけるわけにもいかん。一気に片づけるぞアルト」

 

エルザの周りが光出したかと思えば次の瞬間、彼女の鎧が段々と剥がれていく。

 

否、エルザは今身に着けている鎧から別の鎧に“換装”したのだ。

 

「こっちもいくぜ、ウインド!」

 

続けてアルトも風の剣を錬成し、敵陣の中に突っ込んで行く。

 

「「「!!!」」」

 

アルトの突撃に対し男達が構えた瞬間、エルザもまた次の行動に移る。

 

「舞え、剣たち!」

 

エルザが手持ちの剣を指揮棒のように振りかざすと、彼女の周りに並んでいた多数の剣がそれに従うように放たれた。

 

「ぐあぁっ!」

 

予想外の遠距離攻撃に男達は防ぐ隙も与えられずに倒れていく。しかし、その一撃では全員をまとめて倒すには至らない。

 

「甘い、甘い!」

 

そのカバーにアルトが入る。ウインドの能力により自身のスピードを上げ、時には放たれたエルザの剣も使いながら、残っている敵を次々となぎ倒していく。

 

「くっ、女だけでもしとめてやる!」

 

「ビアード!」

 

アルトの隙を見て、ビアードと呼ばれた男がエルザに向かっていく。

 

「悪いが…」

 

「っ!」

 

真正面からやってきた相手に対し、エルザもまた真正面から迎え撃つ。

彼女から発せられる闘気とでもいうべきものを感じ取ったビアードは一瞬、攻撃に移るその一瞬だけタイミングが遅れた。

エルザはその一瞬のズレの中に挟み込むように一太刀を当て入れる。

 

「ごはっ!」

 

「私をどこにでもいる女と一緒にしない方がいいぞ」

 

「……」

 

と、言っても気絶しているビアードにエルザの言葉が届く事はなかった。

 

(ま、間違いねぇ…!あの2人、魔導騎士(エクィテス)のアルトに、妖精女王(ティターニア)のエルザ!そんなバケモンみたいな奴らに勝てる訳がねぇよ!)

 

鉄の森(アイゼンヴァルト)のメンバーの1人、カラッカは相手が妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強候補の一角であった事を知り戦慄する。ただでさえ、こちら側の戦力は自分1人になってしまっているこの状況は不利だと判断し、目の前の壁などまるで無かったかのようにすり抜けて逃げて行った。

 

「1人逃がしたか!」

 

アルトもまたその後を追う。

 

「待て、アルト!くっ、ルーシィとハッピーはアルトと一緒に奴を追ってくれ!」

 

「りょ、了解!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

✝✝✝✝✝

 

「どこ行ったんだ、あいつ」

 

延々と続く通路を走ってはみたものの、逃走した男の姿は見当たらない。そこで闇雲に走るのを止め、辺りを見回してみる。

 

「アルトー!」

 

「ん、ルーシィにハッピーか」

 

「はぁはぁ、やっと追いついた…」

 

「逃げてった奴は見つかった?」

 

「いや、全くだ」

 

おどけてみせたアルトはふと、ある事に気付く。

 

「どしたの?」

 

「風だ」

 

「えっ?」

 

「風が流れ込んできてる」

 

アルトの言う通り、彼らのいる通路に弱いながらも風が吹き込んできている。

風、と言うとまず思い当たるのがエリゴールだ。1つの可能性としては仲間の誰かがエリゴールと戦闘をしている場合がある。

 

「こっちだ、行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

✝✝✝✝✝

 

「何だ、これ…?」

 

風が吹いてきている方向へと向かい着いた先はエントランスだった。しかしその場にはエリゴールはおらず、ナツやグレイも見当たらない。

ただ一つ異様な事は、エントランスならば普段は町の様子が見えるが今は見えないという事である。何故なら駅一帯が風に包まれ、目の前は吹き荒れる嵐によってチリや砂が巻き込まれ、その先を見通す事が出来ないのだ。

 

「はぁっ!」

 

試しに剣を使って風の流れを切ってみるが、予想以上に流れが強く逆に弾かれてしまう。

 

「ちぃっ」

 

アルトの剣は魔力が流れ込んでいるため、ある程度の魔法による現象は相殺する事が出来る。しかし、恐らくエリゴールが作り上げたであろう風の壁はその枠に収まるレベルの魔法ではなかった。

 

「と、取りあえず皆と合流しない?」

 

「あぁ、そうだな。このままじゃ埒が明かない」

 

(どういう事だ…?なんでわざわざ駅と町を隔絶した?一般人を狙ってたのはブラフだったのか?)

 

アルトの頭の中にどんどんと疑問が積み上がっていく。

 

ドゴォン!

 

すると突然、構内から爆音が鳴り響いてくる。

 

「これって…」

 

「あい、多分ナツだよ」

 

「多分、エルザとグレイも向かう筈だ。皆とはそこで合流しよう。」

 

3人は再び駅の内部に戻るべく走り出した。




アルトは風向きとか太陽を目印にすれば迷わないと思います。あとシリアスな時も。

ララバイ編も次回でまとめられるかな、多分←

感想やご指摘、疑問などお待ちしております。
以上、ジャージ王子でした!ではでは( ・_・)ノシ
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