FAIRY TAIL ~魔導騎士と星の姫~   作:ジャージ王子

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最近、マガジンで最新話を随時チェックしています。ルーシィをヒロインにしているので今後のストーリーをどうしていくかが彼女の動向次第という感じです



第17話 カエルだ…

───評議院フィオーレ支部。

山の上にそびえ立つそれは魔法で作られた建造物であり、無骨な山岳部の中で一際優雅で雄大さをも放ちながらアルトとエルザを向かえていた。

 

「なぁ、エルザ」

 

「…何だ」

 

「何で俺達、こんな事になってんだろう」

 

「……」

 

しかしエルザからの返事はない。アルトは自分達が現在置かれている状況とその理由を知っており、エルザもアルトがそれを知っている事を知っているからだ。

短い会話を終え、手錠を掛けられたアルトは溜め息を、同じく手錠を付けているエルザは凛とした表情で評議院の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

事の始まりは数時間前まで遡る。

 

朝。マグノリアは本日も晴天で雲に遮られる事なく陽の光が街中に降り注いでいた。

 

「ん~、今日はどうしよっかな~」

 

こんな気持ちの良い日は眠気も吹き飛ぶという事で、久しぶりに早起きをしたルーシィは着替えをしながら本日の予定を立てている。

 

「最近忙しかったし久しぶりに買い物でもしようかな。あっ、アルトを誘ったら一緒に付き合ってくれるかしら…」

 

もしそうなったら、とあれやこれやと妄s…想像が始まる。一体どんな事を思い浮かべているのか、その端正な顔からはグフフ…という笑いが漏れ出ている。

 

コンコン

 

しかし、その妄想(断言)は扉をノックする音によってストップされた。

 

「…はっ!はいはーい」

 

正気に戻ったルーシィはドアをノックする客人など珍しいと思いながら玄関へ向かう。そう思っているあたり、彼女も大分ナツ達に慣れてしまったという所か。

 

「どちら様~?」

 

そう言いながらドアを開けると、先程まで頭の中であんな事やこんな事をしていたアルト本人が立っていた。

 

「よっ」

 

「ア、アルト!?」

 

アルトが訪れた事にも驚いたが、その次に自分の状態を考えるとしまったと焦る。服装は問題ない。が、途中でトリップしていたお陰で髪は寝癖がついたボサボサな状態なままだ。

 

「ちょっと待ってて!」

 

アルトが何かを言う前に素早くドアを閉め、急いでドレッサーの前へと向かう。

 

(あー、もう!何でこうなるの~!)

 

今日という日が自分の理想とは全く違う形で始まってしまった事に嘆きながらルーシィは髪のセットをしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

───魔法評議会会場ERA(エラ)

 

「今回は大きな事件になる前に収束したが、闇ギルドはまだ無数に存在する。またゼレフの魔法なんぞを持ち出されたら次こそ死人が出るやもしれんぞ」

 

頭にコウモリのようなものを乗せた評議員、オーグ老師が封印の施された呪歌(ララバイ)を持ち上げながら苦々しい表情でそう訴える。

 

鉄の森(アイゼンヴァルト)のメンバーはそのほとんどが軍に捕まる事となった。ほとんど、という事は全てではなく、駅に軍が突入する前に負傷した身体を引きずって逃げた者や駅にいなかったために捕まってない者もいるという事だ。

前者はギルドの中でも末端の者達なので、事実上ギルドが無くなった今は大きい騒動を起こす事はないと目されている。

後者の場合はカゲも駅にはいなかったが、治療を受けた後に軍に連行される事になった。彼の場合、軍が来なかったとしても自ら出頭しに行っていただろう。問題はエリゴールである。彼は架線上でナツに倒された後、消息を断ち未だに発見されていない。

 

(エリゴールならまたそこら辺のゴロツキ魔導士を集めて何かをやらかすかもな…)

 

円卓に座り会議に出席している評議員の青年ジークレインは、危惧するような物言いでありながらその表情には笑みを浮かべていた。

 

(それにしても…)

 

一旦エリゴールに関する思考を止め、再び会議に耳を向ける。その内容はララバイの管理問題がどうこうと言う話から、いつの間にか妖精の尻尾(フェアリーテイル)の無断行動を責める話題へすり変わっていた。

 

(どいつもこいつも自分に責任が降りかからないよう必死か)

 

はぁ、と溜め息をついた後に今まで黙っていたジークレインが口を開く。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士が呪歌(ララバイ)からギルドマスター達を救ったのは事実だ」

 

「そうは言うが今回の件で破壊された施設の大半は妖精の尻尾(フェアリーテイル)によるものだぞ!」

 

「そんなのまた作れば良いだけの話だろ。アイツらはギルドマスター以外も救ったんだからな」

 

「どういう意味だ?」

 

1人の老人がジークレインの意味深な言葉を問いただす。

 

「1つは鉄の森(アイゼンヴァルト)のヤツらの命だ。最近は闇ギルドを粛正とか言って無差別に裁いてる集団も出てきてる。そんなのに殺されるより、こちらで捕まえたと言った方がアンタらにとっても都合が良いだろう?」

 

「「「……」」」

 

その言葉に老人達が押し黙る。ジークレインの言う通り、ここ最近になって連盟に属していない集団が正規に依頼を受けた魔導士より先にクエストをこなしたり、闇ギルドを壊滅させているという事案が発生している。この集団を義賊として支持している国民も現れているが、連盟に属していないという事は分類すればそれは闇ギルドと同じだ。その集団を正義の味方と呼び、魔導士のトップに立っている評議院など必要ないといった印象を国民に持たれるのは出来るだけ避けたい。否、君臨し続ける為に避けなければならないのだ。

 

「そしてもう1つは言わずもがな、アンタらの(クビ)だ。まぁ、これには俺も含まれる訳だが。もし、ギルドマスターが殺されてたら俺達だってこの世からオサラバしてただろうな」

 

「せ、責任問題をそこまで引き上げるつもりか!?」

 

「話にならん!」

 

自分達の保身に関わる事になると老人達が途端に焦り出す。ジークレインはその顔を見ながらしてやったりと満足気な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

所変わってマグノリアでは、ギルドの酒場の前に人だかりができていた。

今日はいよいよ約束していたナツとエルザの決闘の日だ。

 

「ホントにやるつもりなの!?」

 

アルトに連れられてやって来たルーシィは歓声が響く中で1人慌てていた。同じギルドの者同士が戦う事が彼女には理解できないが、他の面々からすればこれはギルドの伝統のようなものなので一様に盛り上がっている。

 

「ナツは一度言ったら聞かないし、エルザも意外と好戦的だからな」

 

隣にいるアルトの言葉を聞いて、ルーシィは観衆の真ん中に立つ2人の方を見た。

 

「エルザ!今日こそお前に勝つ!」

 

「確かにお前は1人でエリゴールを倒すほどに強くなった。私も本気でいかせてもらうぞ…!」

 

そう言い放ったエルザは、騎士というよりはモンスターを象ったような鎧を身に纏った。

 

「炎帝の鎧。火の耐性を持った装備だな」

 

「それじゃあナツが不利じゃない!」

 

「だからと言ってナツには炎以外の攻撃手段はない。さぁ、どうする…?」

 

アルトの言葉はルーシィと会話をしているように見えてその実はナツに問いかけるような印象だ。

そしてナツもその言葉が聞こえたのか、自然と笑みがこぼれていた。エルザもそんなナツを見据えて同じように笑ってみせる。2人の視線がぶつかり合い周りからの声も聞こえなくなった静寂の中…

 

「始めぃっ!」

 

マカロフの言葉が全て届かぬ内に2人は動き出した。

 

ワアァァァァァァ!!!

 

再び大歓声に包まれながら、先に攻撃に移ったのはナツだ。相手が耐火性の鎧を着ていながら拳に炎を込めて当てにいく。エルザはそれに動じる事なく避け、剣をナツの胴めがけて振るう。

 

「っ!」

 

全身を地に着け避けきったかと思いきや、正面からエルザの足が飛び込んでくる。

 

「ぐわっ!」

 

全身を伸ばしていた状態のナツはそのまま蹴りを貰って宙に浮いた。エルザもまた跳躍し容赦なく二撃目を狙いにいくが、ナツが身体を捻らせブレスを放った為回避を優先。お互いに攻撃を当てる事なく地面に着地した。

 

「「「……」」」

 

先程まで声を出して盛り上がっていた観衆は、いつの間にか一進一退の攻防に釘付けになり見る事に徹していた。

 

「案外いい勝負してるな」

 

「どこがだよ」

 

エルフマンの言葉にすかさずグレイが否定をする。

 

「実際の所はどうなの?」

 

2人の会話を聞いていたルーシィは戦いに目を向けているアルトに尋ねた。

 

「ん~、そうだな…」

 

彼女に応えたアルトは少し考える素振りを見せる。

 

「今もさ、お互いに攻撃を繰り出して拮抗しているように見えるだろ?」

 

アルトの言葉を確かめるようにナツとエルザの方を見ると、確かに2人とも同じペースで攻撃を続けている。

 

「ホントだ」

 

「でも…」

 

アルトが言葉をこぼした直後、エルザの拳がナツに当たった。反撃とばかりにナツも拳を振るうがエルザはそれを簡単に避けてみせる。

 

「確かに攻撃を同じ位出しても、当たるのと当たらないとじゃ話は別だ」

 

実際に、ナツの攻撃は今まで一度も当たっていない。一方エルザはと言うと小さな攻撃を積み重ねていく事でナツの体力や集中力を削っている。

 

「じゃあ、アルトはエルザが勝つと思ってる?」

 

「それはどうかな?」

 

アルトの返答にルーシィは首を傾げる。先程までの言い方だとナツが勝つと思われる要素が無いように思える。それでもアルトはまだ、エルザの勝利を確定だとは断言しなかった。

 

「…どういうこと?」

 

「ナツの攻撃はまだ一回も当たってない。けど一回でも当たったとしたら番狂わせが起きるかも…って事さ」

 

つまりアルトはナツの一撃の破壊力が流れを左右すると思っているのだ。

そして、戦いの中でもそのチャンスがやってきた。バランスを崩したエルザにナツが右手を振りかぶっているのだ。

 

「「「!!!」」」

 

──当たる!

エルザはまだ立て直しが出来ていない。あのエルザにナツが一撃を当てる。全員がそう思った。

 

 

 

 

パァン!

 

 

 

 

 

「「「!?」」」

 

興奮が入り混じる空気を遮る音が鳴り響いた。

パンチの衝撃音とは異なる音に全員が何事かと音の鳴った方へ振り向く。

ナツもまた拳をエルザに当てるギリギリで止めている。否、止められている。というのも、エルザがナツの拳の真横に顔を持ってきて、ナツの腕を顔と挟み込むように腕を伸ばしていた。つまり、クロスカウンターの直前で2人は止まっていた。このまま続けていれば吹き飛んでいたのはナツだったかもしれない。

アルトはそれを確認してから音の鳴った方へ目を向けた。

そしてそこに立っていたのは

 

「そこまでだ」

 

(カエルだ…)

 

(カエルが二足歩行してるわ…)

 

(カエルが二足歩行して喋ってるぞ…)

 

黒い法衣を着たカエルだった。

 

「全員動くな。私は評議院の使者である」

 

「「「評議院!?」」」

 

「いやでもカエルよ?え?ていうかホントにカエル?」

 

周りが評議院という言葉に驚く中、ルーシィは1人、自分の中の常識やその他諸々と戦っている。

ざわめきの声が収まらない状況でカエルの使者は言葉を続けた。

 

「先日の鉄の森(アイゼンヴァルト)によるテロの件だ」

 

それを聞いた瞬間、アルトとエルザが身体を強ばらせた。

 

「民間人への不用意な注意喚起、施設の破壊…その他含めて11件の行為により、エルザ・スカーレット、アルト・イミテイティヴの2名を連行する」

 

「「……」」

 

「「何ーっ!?」」

 

ある程度予想はしていたのか、アルトとエルザはあまり驚かず、逆にナツとルーシィは彼らの代わりという位に大声をあげたのだった。




というわけでお待たせしました、17話です。

意外とアルトのフルネームは初出しですね。
実はこの名前が伏線だったりしたり、しなかったり…

引き続き、感想やご指摘、質問などお待ちしております。
以上、ジャージ王子でした。ではでは( ・_・)ノシ
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