FAIRY TAIL ~魔導騎士と星の姫~   作:ジャージ王子

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お久しぶりです。
この先の展開に向けてタグをちょっとだけ変更しました。


第18話 何の罪だか言ってみやがれ!

「「……」」

 

柱の間から日の光が差し込む通路。

カエルの使者によって評議院フィオーレ支部に連れてこられたアルトとエルザは互いに無言のまま歩き続けていた。

お互い慣れているのか評議院の中であってもこれといって焦る事も悲観的になる事もなかった。

 

(……)

 

今まで連行してきた者とは違う様子に戸惑っていたカエルの使者は行く先にとある人物を見つけ深々と頭を下げた。

 

「ジークレイン…!」

 

同い年くらいであろう青髪の青年と目が合ったエルザは動揺する。といっても困惑よりも怯えているような表情だ。

 

「久しぶりだなエルザ…それに魔導騎士(エクィテス)

 

「……」

 

「どーも…」

 

エルザはただ睨み続け、アルトは素っ気ない返事を返した。

 

「今の俺は思念体。そう身構えなくてもいいだろ?」

 

大袈裟に両手を広げながら2人の方へと向かっていく。

 

「私達がここに連れてこられたのは貴様の仕業か、ジークレイン…!」

 

「おいおい俺は妖精の尻尾(フェアリーテイル)を弁護したんだぞ?」

 

「それで“いつものパターン”に落ち着いたわけか」

 

「そういう事だ魔導騎士(エクィテス)。話が早くて助かる」

 

そこでジークレインは「だが…」と一言置いて話を続けた。

 

「全てがいつも通りってわけじゃない。流石に今回はお前らのいつもの騒ぎと違って評議員にも責任問題が及ぶようでな。ついでに体のいいスケープゴートにもなってもらう事にしたのさ」

 

その話に呆れたのかため息をつくアルト。ジークレインはそんなアルトを見た後、未だに険しい視線を突きつけるエルザにあと数センチという所まで近づいて行く。

 

(何だ…?)

 

何やら話しているようだが、小声のためアルトには聞き取る事ができない。

魔導騎士(エクィテス)、お前には後日使者を向かわせる。“依頼”はそいつを通して聞け」

 

エルザに何かを告げ、アルトの方を向いて一通り伝え終えるとジークレインの思念体はじゃあな…と言い残しかすれるように消えていった。

 

「お、お前達、凄いお方と知り合いなんだな…」

 

ジークレインがいる間頭を下げ続けていたカエルの使者が震えるような声でそう言った。

 

「俺はまぁ、お得意さんみたいなもんかな。エルザはどうだが知らないが…」

 

そう言ってエルザの顔を見るとその表情は険しいままだった。

アルトはもう一度ため息をつくと「さ、行こうぜ」と促して再び歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

通路の先の巨大な扉を抜けると正に法廷といったような場所があった。

アルトとエルザが立つ証言台の前には思念体ではあるが評議員が顔を並べている。

 

(よくもまぁこれだけ盛大にしたもんだ…)

 

アルトが周りを見回しながらそう思っていると議長が口を開いた。

 

「被告人アルト・イミテイティヴ、エルザ・スカーレットの両名は先日の鉄の森(アイゼンヴァルト)によるテロ事件において、オシバナ駅損壊、リシュカ峡谷鉄橋破壊、クローバーの洋館の全壊…以上の破壊行為及び市民への不用意な注意喚起、鉄道の交通停止に荷担した容疑がかかっている。」

 

「「……」」

 

特に否定する事もなく耳を傾けるアルトとエルザだったが、

 

 

 

ドゴォォーン!!!

 

 

 

「「「!?」」」

 

突然扉が弾け飛んだことで、冷静を繕っていた表情が崩れた。アルトとエルザだけでなく、評議員達も驚きを隠せない。場にいる全員が扉があった方を向くとそこには2つの人影があった。

 

「オレが魔導騎士(エクィテス)だ!何の罪だか言ってみやがれ!」

 

「あ、あた…あたしがエルザよ!ほ、ほら!髪赤いし!」

 

そこには口から火を吹く自称魔導騎士(エクィテス)と、やけに髪が赤い事を強調する妖精女王(ティターニア)がいた。

 

「「「………」」」

 

2人の騒ぎに反比例するように会場全体の空気が凍りついていく。

何の抵抗もなくやってきた本人が既にいる状況では、2人の騒ぎなど全くもって無意味だった。

 

「そこの2人とまとめて被告人を牢へ連れていけ…」

 

議長をつとめていた老人がため息をつきながら実質的に裁判の終了を告げた。

 

「も、申し訳ありません…」

 

本物のエルザもまた偽物に呆れながら謝ることで今回の一件は終了したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

「まったく、なんで来たんだお前達…」

 

一連の騒動の後、アルトとエルザ、そして2人に扮したナツとルーシィは4人まとめて牢屋へと連れていかれた。

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「別にエルザ達はなんも悪い事してねーだろ!それなのに連れていかれたのは納得できねぇじゃねーか!」

 

頭を抱えながら言うエルザにルーシィは申し訳なさそうに頭を下げ、ナツは全く反省していない様子だ。

 

「今回の件は形式上だけの逮捕だったんだけどな」

 

「なんだそりゃ?」

 

そんなナツに苦笑しながらアルトが説明を始めた。

 

「結果的に俺達は鉄の森(アイゼンヴァルト)逮捕に協力した形にはなったが、オシバナ駅なんかで暴れ回ったりして損害も出してる。いくら捕まえる為だっていってもあそこまで滅茶苦茶にしちゃ住民から苦情の声も出る筈だ。そんな訳で評議院は俺達を形だけの逮捕をすることで面子を保とうとしたワケ」

 

「???結局どういうことだ?」

 

「つまり有罪にはされるが罰は受けない。お前達が暴れなければ今日中に帰れたんだ」

 

アルトの説明で要領を得なかったナツにエルザがイラつきながらまとめて話す。

 

「何ーっ!?」

 

「まったく…」

 

「す、すまん…」

 

「逆に迷惑かけちゃったみたいでゴメンねアルト…」

 

ショックなのか沈んだ調子でルーシィがアルトにも謝る。いつものルーシィが明るい性格な分、暗さがより一層増して見える。

 

「よかれと思ってやってくれたんだろ?だったら責めたりしないさ」

 

アルトもそのギャップに戸惑いながらも出来るだけ優しく話しかけ、それに…と言葉を続けた。

 

「ルーシィもナツも来てくれて嬉しかった、ありがとな」

 

「う、うん…」

 

調子が戻ってきたのか、俯きながらもルーシィは顔を赤くしながら返事をした。その表情は先程とは違い笑みを浮かべている。

 

そんなやり取りを見ながらエルザは少しだけ驚いていた。

 

「帰ってきた時から思っていたが、随分と色んな表情を見せるようになったな、アルト」

 

「そうか?」

 

「あぁ、性格が変わったという事ではなく、表情が柔らかくなったように見える。どうやらミラが言っていた事は本当らしいな」

 

「なんだそれ?」

 

エルザの話にナツも食いついてきた。

 

「ルーシィが来てからアルトが色々な表情を見せるようなになったとミラから聞いたんだ」

 

「んー…そう言われればそんなような…」

 

そう言いながら考え込むような素振りを見せるナツ。

そのまま待ってみるがいつになっても言葉が返ってこない。

 

「…Zzz」

 

「寝てるし!」

 

「自由すぎるだろ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

 

「で、どうなんだ?」

 

ナツが鼻ちょうちんを出しながら寝始めて数十分。いつの間にか途切れてしまっていた会話をエルザが再び提示した。

 

「どうって何が?」

 

「お前とルーシィの関係だ」

 

「いや、それをどうなんだって言われてもな…」

 

珍しく言葉を濁すアルトを見ながらルーシィはとある疑問を思い出した。

 

「えっと、その、アルトとエルザ…さんてどういう関係なの?つっ付き合ったりとかしてる…の?」

 

聞くのが怖いのか最後まで言葉が上手く出せない。

恐る恐るエルザの方を見てみると…

 

「な、何を馬鹿な!付き合うなど!そ、そんなことはない!」

 

「うえぇっ!?」

 

予想外の反応をしていた。

 

「なんだ、そんな事考えてたのか?ないない」

 

アルトは再び苦笑しながら手を振って否定してみせた。

 

「でもこの反応…エルザさんてアルトの事好きなんじゃ…?」

 

「エルザはウブだからなー。恋愛とかそういう話が出るとすぐこうなるんだ」

 

「あ、そう…」

 

何のことはない。今までモヤモヤしていた悩みは全て勘違いだったのだ。それを知ると疲れのようなものがドッと押し寄せてくるように感じる。

 

「まぁでも、S級になる前は妖精の尻尾(ウチ)の女性メンバーの中じゃエルザが一番クエストのパートナーが多かったな」

 

「確かに。ラクサスにはかなわなんが私もアルトとよく組んでいたな」

 

いつの間にか冷静になっていたエルザは当時を思い出しているのか目を伏せながら頷いている。

 

「ラクサス…雑誌で名前は見たことあるかも」

 

「あぁ多分そのラクサスで合ってると思う。エルザや俺と同じS級魔導士だ」

 

「へ~…。ねぇあたしが来る前のアルトやエルザさんの事もっと教えて?」

 

「それは構わんがルーシィ」

 

「な、何?」

 

「私達は同じギルドの仲間だ。呼び捨てで良い」

 

「そう、だよね…あたし変に考えすぎてたかもしれない」

 

そう言ってルーシィはエルザの方に手を差し出した。

 

「改めてよろしくね、エルザ」

 

エルザも微かに微笑むとルーシィの手を取った。

 

「あぁ、よろしく頼む。ルーシィ…」

 

 

その後3人は夜が明けるまでギルドでの昔の話を続けたのだった。




ジークレインの依頼だったりラクサスだったり、今回はフラグが多いですね。
次回からはオリジナルに突入していく予定です。

感想やご指摘、質問などお待ちしています。

以上、ジャージ王子でした。ではでは( ・_・)ノシ
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