FAIRY TAIL ~魔導騎士と星の姫~   作:ジャージ王子

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第4話 コイツでいかせてもらうぜ

ジーーーーーーーーーー

揺れる列車の中、アルトは見ていた。

 

「ど、どうしたの?あたしの顔に何か付いてる?」

 

「へ?あ、いや!何でもないんだ。うん、何でもない」

 

(やっぱりそっくりなんだよな~“彼女”と。でもルーシィは俺と面識ないって言ってたし、やっぱり別人なのか?)

 

「?」

 

時々アルトの夢の中に出てくる女性。アルトはその女性こそ自分の記憶の手掛かりなのではないかと考えていた。それは知識や勘といったものではなく、強いて言えば“心がそれを知っている”感覚。我ながら不確定な考えだとアルトは思う。

一方、ルーシィもまたアルトに見つめられていて気が気でなかった。ハルジオンでの一件以来ルーシィは彼に惹かれており、今や恋する乙女状態である。

 

「お、着いたな。降りるか」

 

お互いに考え事をしている内に目的地に着いたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

駅を出ると眼鏡を掛けた男性がこちらにやって来た。

 

「もしかして妖精の尻尾(フェアリーテイル)の方達ですか?」

 

「あ、はい」

 

「やっぱりそうでしたか!いや~、一目見た瞬間にわかりましたよ。あっ私、今回依頼をさせてもらいました、タナカと申します」

 

「はぁ・・・」

 

タナカと名乗った男の勢いにルーシィも押され気味である。

 

「で、今回の依頼をもう一度確認したいんだが」

 

呆れ顔で言うアルトにタナカが反応する。しかしタナカが反応したのはアルトの言葉ではなく、アルト本人にだった。

 

「灰色の髪に剣のペンダント・・・まさか魔導騎士(エクィテス)!?」

 

「へ?」

 

「ほ、本物だ!私の依頼に魔導騎士(エクィテス)が来てくれるなんて・・・!」

 

そう言ってタナカはアルトの手を握って激しくシェイクしてきた。その反動でアルトも小刻みに揺れている。

 

「ル~シィ~、ヘルプ、ヘルプミ~」

 

「タナカさん!依頼の話を!」

 

「はっ…!そうでした。すいません私妖精の尻尾(フェアリーテイル)のファンなものでして・・・ついつい熱くなってしまいました」

 

んんっ!と咳払いしてからタナカが今回の依頼について話し始めた。

 

「事前に確認してもらったと思いますが、今回の依頼は私をあの山の山頂まで連れて行ってほしいというものです」

 

タナカの言葉でアルトとルーシィは自身の背後にある山を見る。

 

「あの山、ラコウ山には魔力の磁場が形成されています。その調査を行いたかったのですが、私一人では不安だったので依頼をさせていただきました」

 

「調査・・・?タナカさんって何者なんですか?」

 

「魔法関係について研究しているしがない学者ですよ」

 

「へ~、そんな人がいるんだ」

 

「まぁ、マイナーですけどね」

 

会話が切りあがった所でアルトが口を開いた。

 

「話はわかった。ルーシィもいいか?」

 

「勿論OKよ!」

 

「そういうことだ。行こうぜタナカさん」

 

「あ、ありがとうございます!アルトさん、ルーシィさん」

 

こうして一行はラコウ山へと向かった。

 

 

 

 

 

†††††

 

───ラコウ山の麓。

 

「確かに只の山にしては魔力が濃すぎる。これは何かあるな」

 

「魔力が最も強く発生しているのは山頂のようです。とりあえず上を目指しましょう」

 

アルトの呟きにタナカが返事をする。

 

「なんか・・・植物の形がおかしくない?」

 

ルーシィの言う通り山の中の木々や草花は色は濁り、形は不気味に変形していた。

 

「おそらく魔力の影響でしょう。短い期間ではここまでの影響はでない筈です」

 

「ということは原因はかなり以前から発生していたってことか」

 

「そう考えるのが妥当ですね」

 

そう言いながらさらに上へと登っていく。

 

ガサガサ

 

不意に林の方から音が聞こえてくる。

 

「えっ、何?」

 

暗がりなので姿は見えないが明らかにこちらへの視線を感じる。

 

「ギィヤァァァア!」

 

林から異形の猿達が襲いかかってきた。

 

「くっ!やっぱり動物にも影響が!」

 

「2人は隠れてろ!」

 

そう言ってアルトが剣を錬成させる。

 

(錬金魔法!)

 

「タナカさんこっちに!」

 

ルーシィがタナカを避難させる。

 

「さあ、ショータイムだ!」

 

決め台詞とともにアルトが猿の群れに突っ込む。

 

「はぁっ!」

 

一体、また一体と、鋼の一閃が猿達を倒していく。

 

「ぐぁっ!」

 

しかしあまりの数の多さに一体に集中していると他の猿達から攻撃を受けてしまう。

 

「アルト!」

 

「ったく、数多すぎだろ。こういう時はコイツでいかせてもらうぜ」

 

アルトが刀身に手をかざすと剣が薄緑色に光り出しその姿を変えていく。

 

「剣が光ってる・・・?」

 

「・・・第一形態として魔法石を武器に錬成し、第二形態として武器に魔力を込めることで魔法の力を付加させる。それこそ錬金魔法の最大の特徴・・・!」

 

ルーシィの問いにタナカが独白のように答える。

 

「疾風の剣“ウインド”!」

 

アルトの周りに風が巻き起こる。その手には先ほどまでの鋼の剣とは違い、薄い緑の光沢が輝く細身の剣が握られていた。

 

「行くぜ!」

 

そう言うとアルトがルーシィ達の視界から消えた。

 

「ギィヤァァァア!」

 

「えっ」

 

鳴き声の方に目をやると猿達が凄まじいスピードで倒されていた。

 

「は、早っ!!」

 

驚いている間にまたしてもアルトが高速で移動する。

いつの間にか猿達は半分以下に減っていた。

 

「これで終わりだ」

 

アルトが構えると剣の周りに風が纏われていく。

 

風切羽(ウインドディレクション)!」

 

剣を振り抜くとその軌道から竜巻が生まれ、残っていた猿達が次々に吹き飛ばされていった。

 

「ふぃ~」

 

「あ、相変わらず滅茶苦茶ね・・・」

 

凶暴化した猿を倒したのはいいがその戦闘の余波でアルト達の周りは木々が消え、山が一部丸裸になってしまった。

 

「うし、早く山頂に行くか」

 

周りの惨状を気にもせずアルトが歩いていく。

 

が、

 

「アルトさん、そっちは逆です」

 

「マジでか」

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

────ラコウ山、山頂。

 

途中何度かアルトがはぐれそうになったが、一行は無事山頂まで到着した。

 

(アルトって意外と方向音痴なのね・・・)

 

それがルーシィの結論であり、揺るぎない事実だったりする。

少し進んで行くとそこには禍々しい気を放つ巨大樹が立っていた。

 

「どう見てもこれが原因らしいな」

 

「でしょうね。この樹の活動を止めればもう魔力が発生することはないでしょう」

 

「でも、どうやって?あたしの星霊じゃ多分無理・・・」

 

「俺に任せてくれ」

 

「アルト?」

 

アルトが再度剣を錬成する。そして先程の戦闘のように剣に手をかざす。すると今度は剣が赤い光を放つ。

 

「火炎の剣“フレイム”!」

 

「炎の剣!?」

 

新たな剣の登場にルーシィが驚く。

 

「なるほど、炎ならばこの樹を焼くことができる・・・」

 

「そういうことだ」

 

アルトが樹の近くまで進む。

 

「はぁっ!」

 

炎を纏った剣の一閃によって樹に火がつき、見る見るうちに燃え広がっていく。

 

「これにて一件落着だな」

 

2人の方に振り向いてアルトがそう言いながら戻ってくる。

 

「・・・!アルト!あれ見て!」

 

「ん?」

 

ルーシィが指差した方を見る。すると燃え尽きた樹の灰が光ながら山に降り注いでいた。

 

「山が元に戻ってる・・・?」

 

降り注いだ灰は次第に山を元の緑溢れる自然の姿に戻していく。

 

「おそらく、あの樹は山の生命力を吸収してそれを魔力に変換していたんでしょう。つまりあの樹はこの山の生命力の塊になっていた・・・ということですね」

 

「これにて一件落着だね」

 

ルーシィがアルトを真似るようにして言うと、アルトも笑顔で返した。

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

†††††

 

「いや~、本当に助かりました。アルトさん、ルーシィさんもありがとうございます」

 

「タナカさんはこれからどうするんだ?」

 

「もう少しラコウ山を研究したいと思います。あの山頂の樹がなぜ発生したのかはまだ不明ですからね」

 

「また、何かあったら妖精の尻尾(フェアリーテイル)に依頼してくれ」

 

「機会があれば是非お願いしますよ。あ、列車が来たようですね」

 

「じゃあタナカさん、お元気で」

 

ルーシィが手を振りながら挨拶をするとタナカが何かに気づいたようにルーシィのもとに走ってきた。

 

「ルーシィさんはたしか星霊魔導士でしたよね」

 

「そうですけど?」

 

「学者仲間から貰ったのですが、これを・・・」

 

そう言ってタナカはルーシィに銀色の鍵を渡す。

 

白い小犬(ホワイトドギー)の鍵!貰っていいんですか!?」

 

「はい、その方が星霊も喜ぶでしょうし」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「そろそろ出発だな」

 

「2人ともお元気で。あ、ルーシィさん(アルトさんと上手くいくことを願ってますよ)」

 

最後にタナカは小言でルーシィに言った。

 

「な、ななななんでそれを!?」

 

「あなたの視線を追っていればわかりますよ」

 

「?」

 

慌てるルーシィに、紳士的な笑みを浮かべるタナカ、そしてよくわかっていないアルト。

汽笛を鳴らし列車が動き出す。

 

「本当にありがとうございましたー!」

 

タナカは列車が見えなくなるまで手を降り続けていた。




どうも、ジャージ王子です!
まずは、更新が遅れてしまってすいませんでしたm(_ _)m
結構予定を詰め込んでしまったので小説を書く時間がない状況が続いておりました。
と、言い訳はこの位にして(おい)今回のお話を。え~今回は完全オリジナルにさせていただきました。アルトの魔法について触れてみたのですが如何だったでしょうか?どこか一部分でもおもしろいと感じていただければ幸いです。
引き続き感想やご指摘があれば是非コメントして下さいm(_ _)m
以上、ジャージ王子でした。ではでは( ・_・)ノシ
(2013年6/30 内容を一部編集しました)
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