FAIRY TAIL ~魔導騎士と星の姫~   作:ジャージ王子

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第6話 という訳で俺も執事になってしまった

延々と続く草原を一台の馬車が進んでいく。

昨夜チームを組んだアルト、ナツ、ハッピー、そしてルーシィの4人は提案者ナツが勢いで決めてきた仕事を達成するため馬車に乗ってシロツメの街へ向かっていた。

 

「言ってみれば、随分簡単そうな仕事よね」

 

「あれ?嫌がってた割には結構乗り気?」

 

話題を振ったルーシィは、ハッピーの言う通り昨夜の態度が嘘だったかのような余裕を見せている。

 

「だってあたし達のチームの初仕事じゃない。ビシッと決めるわよ!」

 

「頼りにしてるぜ、ルーシィ」

 

「任せて!要は屋敷に潜入して本を一冊持ってくればいいだけのことでしょ?」

 

アルトの一言で更にテンションを上げるルーシィ。鰻上りとはまさにこのことだろう。

 

「スケベオヤジの屋敷だけどね」

 

「ま、こう見えて色気にはちょっと自信があるのよ」

 

「おいおい、相変わらずだな。ナツの乗り物酔いは」

 

アルトの方を見ながら誘うような口ぶりでルーシィが言うが、肝心のアルトは気付かずにナツの方を見ていた。

 

「ん?どうかしたか、ルーシィ?」

 

「な、何でもないのよ~」

 

「ルーシィも大変だね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

「着いた~」

 

シロツメの街はマグノリアに比べれば小さな街だが、緑豊かな落ち着いた雰囲気を感じさせる。

 

「とりあえず腹減ったし、メシにしようぜ。メシ!」

 

「乗り物に酔ってたヤツのセリフとは思えねーな…」

 

「あたしとアルトはちょっと寄るとこあるから2人でどーぞ」

 

「へ?」

 

そういってアルトの腕を組むルーシィ。突然のことにアルトも驚く。

 

「さ、行くわよアルト!」

 

「何ーっ!?」

 

「何だよ。皆で食った方が楽しいのにな」

 

「まあまあ、行かせてあげなよ、ナツ」

 

ナツとハッピーは既に姿が見えなくなってきている2人をただ見送っていった。

 

「で、なんで俺が連れてかれるんだ?」

 

「ふっふっふ、これをよく見なさい、アルト!」

 

「な、これは…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

─────食事処にて。

 

「うおっ、この肉すげぇ脂っぽいな!」

 

「脂っぽいのはルーシィにとっといてあげようよ」

 

「そうだな。アイツ脂っぽいの好きそうだしな」

 

空腹だと言っていた通りナツはとてつもない量の肉を食べていた。

 

「いつからあたしが脂っぽいものが好きになったのよ」

 

「おぉ、ルーシィ。遅かった…な…?」

 

「ふふっ、どう?似合ってるでしょ」

 

唖然としているナツの視線の先にはメイド姿のルーシィがいた。

そしてもう1人。

 

「後ろにいる執事はアルト?」

 

「残念ながら正解だ、ハッピー」

 

ルーシィの後ろには燕尾服を着たアルトが立っていた。その表情はかなり渋っている。

 

「なんでアルトも執事になったの?」

 

「・・・」

 

質問してくるハッピーに依頼書に書いてあるエバルーの説明を見せる。

 

“※注意:とにかく女好きでスケベで変態!ただいま金髪のメイドさん募集中!”

 

「普通にメイドさん募集って書いてあるよ?」

 

「下の方をよく見ろ」

 

そこには小さく“ついでに執事も募集中”とも書かれていた。

 

「字ちっさ!?」

 

「という訳で俺も執事になってしまった」

 

「あたし達2人で行けば成功間違いナシよ!」

 

(どうしよ~、ナツ。冗談で言ったのに本気にしてるよ、メイド作戦)

 

(今更冗談とは言えないしこれでいくか…)

 

ナツ達にとってメイドの件は元々冗談のつもりだったのだが、ルーシィが予想以上に乗り気になってしまった為、今になって真実を言いにくくなってしまった。

 

「おい、聞こえてるぞ」

 

「「ア、アルト!」」

 

しかし、2人の密会は後ろに立っていた鬼…もとい魔導騎士に聞かれてしまっていた。

 

「何か言い残すことはあるか?」

 

「「ヒイィィィ!」」

 

その眼はまさに修羅のごとし、いつ剣を錬成してもおかしくない状態だった。

 

「まあふざけるのはこれくらいにして、ここまできちまったらこれでやるしかないな」

 

「「アルト~!!」」

 

「あれ、皆どうしたの?」

 

「いや、大したことじゃない。ほら、行くぞ2人とも」

 

「「あいさー!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

アルト達一行はシロツメの街の丘の上にある大きな屋敷にやって来た。

 

「立派な屋敷ね~、ここがエバルー公爵の…」

 

「いや、依頼主の屋敷だ」

 

「あ~、本一冊に20万J出す人だもんね。お金持ちなんだ」

 

アルトとルーシィが話していると、ナツが屋敷の扉を叩いた。

しばらくすると、中から返事が返ってきた。

 

「…どちら様ですか?」

 

「魔導士ギルドの妖精の(フェアリー)…「!!しっ!静かに!」?」

 

声の主は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名を聞いた瞬間、ナツの言葉を遮った。

 

「すみません…裏口から入っていただけますか?」

 

その言葉に従い裏口から入っていくと1人の男性が現れ、屋敷の一室に招かれた。

 

「先程はとんだ失礼を…私が依頼主のカービィ・メロンです。こっちが私の妻」

 

依頼主、カービィが挨拶をしアルト達もそれに応える。

 

「どうも」

 

「うまそうな名前だな、メロンって」

 

「ちょっと!失礼でしょ」

 

「あははは!よく言われるんですよ」

 

ナツの一言にも怒ることはせず、笑って返すカービィ。どうやら温和そうな顔の通り性格も穏やかなようだ。

 

「では、仕事の話をしましょう」

 

「おう」

 

「私の依頼はただ一つ。エバルー公爵の持つこの世に一冊しかない本、日の出(デイ・ブレイク)の破棄又は焼失です」

 

「えっ、あたしはてっきり奪われたりした本を取り返してほしいみたいな話かと思ってた…」

 

「・・・」

 

ルーシィが素直な感想を言う。実際アルトもそう思っていたようでカービィからの説明を待った。

 

「一体何なんですか?その本は」

 

「こまけーことはいいじゃねえか、報酬20万だぞ20万!!」

 

「その件ですが、成功報酬には200万Jをお払いします」

 

「は?」

 

「に?」

 

「ひゃ?」

 

「く?」

 

「「「「万J---っ!?」」」」

 

カービィが軽い口調で放った一言に一同が唖然とする。

 

「に、に、200万つーと4人で分けるといくらだ?」

 

「か、簡単です。おいらに100万、ナツに100万。残りがアルト達の分です」

 

「おい、全然計算できてねーぞ」

(たかが一冊の本に200万?それほどの価値があるもの…だったら破棄はおかしい。他の要因ってのもイマイチ考えにくいな)

 

アルトが思考にふけっているとカービィが独り言のように呟く。

 

「あの本だけは必ず消さなければならない。そう、必ず…」

 

その言葉は誰の耳にも届かないまま消えたいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

†††††

 

────エバルー公爵邸。

近くの茂みにナツとハッピーを待機させアルトとルーシィは門を叩いた。

実際、あの字の小ささからして執事を雇う可能性は低いが、ルーシィならば確実にメイドとして雇ってもらえるだろうとアルトは考える。

 

「すいませーん。金髪のメイドと執事の募集を見て来たんですけどー!」

 

ルーシィが屋敷に向かって言うと、彼女の横の地面が盛り上がった。

 

「え?何!?」

 

すると轟音とともにゴリラのようなメイドが地面から現れた。

 

「メイド募集?」

 

「は、はい。あと執事も…」

 

(おいおい、コイツ本当に人間かよ…)

 

ルーシィが怯み、アルトが怪しむ中、ゴリラメイドが穴に向かって話しかける。

 

「御主人様!募集広告を見てやって来たそうですが」

 

「うむぅ」

 

そしてもう1人が穴から飛び出してきた。

 

「ボヨヨヨーン!我輩をよんだかね」

 

((出たーーー!))

 

まるで卵から手足が生えているかのような体型をしたこの人物こそ、女好きでスケベで変態なエバルー公爵その人である。

 

「ふむふむ、どれどれ」

 

現れて早々にルーシィを品定めのように眺めるエバルー。

 

(う~、鳥肌が)

 

(耐えろ、耐えるんだルーシィ!)

 

「ふぅ…」

 

一息つくエバルー。どうやら結果が出たようだ。

 

「いらん!帰れブス」

 

「ブ…!?」

 

「我輩のような偉~~~~~~~~~~~~~い男には…」

 

またしても地面が盛り上がり女性が何人か現れる。その姿は通常の美的センスならば、美しいとは到底思えないモンスター級の女性達。

 

「彼女達のような美しい娘しか似合わんのだよ」

 

「えーーーーーーっ!?」

 

(マジか…)

 

どうやらエバルーの女性の趣味は常人とは異なるようだ。

この作戦は失敗した、とアルトが思っているとエバルーが話しかけてきた。

 

「むっ、君が執事希望の男かね」

 

「そうですけど」

 

「君は採用だ」

 

「「はい?」」

 

「執事として採用する、と言ったんだ」

 

「な、何故?」

 

自分も切られると思っていたアルトが理由を聞くと、エバルーが遠い目をしながら語りだした。

 

「一目見た時から思った。君は若い頃の我輩によく似ている…」

 

((嘘つけー!!))

 

アルトとルーシィが心の中で全力否定する。

 

「そういう訳だ。お前達、彼を屋敷に案内しろ」

 

「「「かしこまりました」」」

 

「えっ、ちょっ、え?」

 

エバルーの命によりメイド達がアルトを捕まえる。

 

「見れば見るほどイイ男ね。これから私達がたっぷり可愛がってあげる♡」

 

「あ、あははは~。できれば遠慮したいな~」

 

「「「無理ね」」」

 

その言葉とともにメイド達はアルトを連れて穴の中へ潜って行った。

 

「アルトー!」

 

「いつまでここにいる気だ。とっとと帰れ!」

 

そう言い残しエバルーとゴリラメイドも穴の中に消える。

その場にはルーシィだけが取り残されてしまった。

 

「おーい、ルーシィ!アルトは屋敷に潜入できたのか?」

 

様子を見ていたナツ達がやってくる。

 

「2人では無理だったけど、アルトなら1人でも大丈夫だね」

 

「そうだな。んじゃ、アルトが戻ってくるまでここで待ってるか」

 

ナツとハッピーが話を進めていると突然ルーシィが何か呟いた。

 

「・・・わよ」

 

「「?」」

 

「アルトを取り戻すわよっ!」

 

「どうした、いきなり」

 

「どうしたじゃないわよ!このままじゃアルトが色んな意味で危ないの!」

 

ルーシィの頭の中では、アルトがあのモンスター級メイド達の毒牙にかかるという悲劇のシナリオが思い描かれている。

 

「こうなったら強行突破よ!必ずアルトを助けるんだから!」

 

乙女の復讐劇が今始まる・・・!




どうも、ジャージ王子です!
という訳でアルトが執事になりました。そこらへんのネタは前々から考えていたのですがいかがだったでしょうか。毎度のことながら1つでも面白いと感じていただけたら幸いです。
引き続き、感想やご指摘などのコメントお待ちしていますm(_ _)m
以上、ジャージ王子でした。ではでは( ・_・)ノシ
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