FAIRY TAIL ~魔導騎士と星の姫~   作:ジャージ王子

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第8話 氷炎双竜激!!!

ボヨヨヨヨヨ…と不気味な笑いながら、声の主が話し出す。

 

「全く、躍起になって何を探しているかと思えば、そんなくだらん本とはな」

 

(くだらない?依頼主が200万も報酬を出すと言ったこの本が?)

 

エバルーの何気ない一言にアルトの不信感が高まる。ふと本を持っているルーシィを見ると、どうやら彼女も疑問に思っているらしく怪訝そうな顔をしているように見える。

 

(依頼主も破棄したがってて、持ち主もくだらないって言ってる・・・)

 

「も、もしかしてこの本貰ってもいいのかな」

 

「いや、そういう事じゃないだろ」

 

しかし、ルーシィが導き出した結論はアルトの予想の遥かに斜め上をいくものだった。

 

「ふん、どんなにくだらん本でも、我輩の物は我輩の物。やるわけがないだろう」

 

「ケチ」

 

「うるさいブス」

 

「おいおい、やり取りが段々幼稚になってきてないか?」

 

このままだと話が進まないと思い、アルトが本題を切り出す。

 

「色々と分からない事はあるが、俺達の受けた依頼は日の出(デイ・ブレイク)の処分。今手元に持ってるこの本を燃やしちまえばそれで終わりだ」

 

「えっ!それは駄目!」

 

「ルーシィ。これは仕事だ。頼むから割り切ってくれ」

 

アルトの説得によりルーシィが出した答えは…

 

「じゃあせめて読ませて」

 

「「「ここで!?」」」

 

またしても斜め上をいっていた。

 

「それにしても残念だよアルト君。君には我輩の跡を継いでもらおうとも考えていたのに」

 

「悪いけど、そんな座には興味ない。それに俺の探してるもんは金じゃ買えないからな」

 

「ぐぬぬ、ええい!気にくわん!」

 

自分の本を奪われただけでなく、自分がコケにされた事にも我慢出来なくなったエバルーは声を荒げる。

 

「来い!“バニッシュブラザーズ”!」

 

エバルーが叫ぶと、本棚の一角が扉のように開きだした。

 

「やれやれ、やっと仕事の時間か・・・」

 

「仕事もしねぇで金だけ貰ってたらママに叱られちまうぜ」

 

「「「!!!」」」

 

本棚の奥の暗闇から2人の男が現れる。

 

「あの紋章!確か傭兵ギルド“南の狼”だよ」

 

「エバルーに雇われた奴らか。道理で地面から現れない訳だ」

 

「そういう問題なの?」

 

「こんなふざけたガキ共が妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士とはな」

 

「油断するな。あの銀髪の男、噂通りならおそらく魔導騎士(エクィテス)

 

「マジかよ!まさか執事だったなんて・・・」

 

「あ、これは別に普段から着てる訳じゃないんだけど」

 

「「「・・・・・・」」」

 

アルトの一言でなんとなく空気が気まずくなってしまう。

 

(あれ?これって俺のせいなのか?)

 

「あっ!」

 

そんな空気をルーシィの声がものの見事に一変させた。

 

「どうしたルーシィ!?」

 

「というかホントに読んでたのかよ!」

 

もはやこの混沌とした状況に、ナツですらツッコまずにはいられなかった。

 

「多分、多分だけど、この本には秘密があると思うの!」

 

そう言いながら走り去っていくルーシィ。

 

「どこ行くんだよ!」

 

「どっかでちゃんと読ませて!」

 

「お、おい!」

 

「ナツ。ここはルーシィに任せよう」

 

「ったく、しゃあねぇな」

 

アルトの言葉で渋々納得するナツ。一方、エバルーはルーシィの言う秘密について考えていた。

 

(秘密だと?我輩が読んだ時は気付かなかった。まさか、財宝の地図でも隠しておいたのか!?)

 

「こうしてはおれん!作戦変更じゃ、バニッシュブラザーズ!我輩は小娘を追う!お前達はそいつらを消しておけ!」

 

またしても地面を掘り進めながら移動するエバルー。今日だけでこの屋敷に一体どれ程の穴が空いたのだろうか。

 

「あー、めんどくせぇ事になってきたな」

 

「ハッピーはルーシィを追ってくれ。ここはナツと俺でなんとかする」

 

「あい!気を付けてね!」

 

ハッピーもまた翼を出してルーシィの後を追って行った。

 

「さてと、じゃあ始めようか」

 

「どうやら妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士は自分達こそが最強だと勘違いしているらしいな。だが所詮は魔導士、戦いのプロである傭兵には敵わん」

 

「だったら早くかかって来いよ」

 

ナツが指から出した炎で“come on”の文字を作り相手を挑発する。

 

「ナメられたものだな!」

 

瞬時に一方の男が背中に背負っていた巨大なフライパンを振り抜く。

その衝撃を避けるためアルトとナツが左右に散る。

 

「おっと」

 

「・・・!ナツ!上だ!」

 

アルトが叫ぶが既に遅く、上に跳んでいたもう一方の男にナツが掴まれる。

 

「うおっ」

 

「はっ、飛んでけ!」

 

そのまま勢いを付けて投げられたナツは扉にぶつかりながら廊下まで吹っ飛んでいった。

 

「ったく、油断すんなよ」

 

「おぉ、ワリィワリィ」

 

駆けつけたアルトは、心配している風になど微塵も感じさせないトーンで倒れているナツに話かける。そしてナツも何事もなかったかのように起き上がった。

 

「君達は魔導士の弱点を知っているかね?」

 

突然フライパンを持った方の男が話かけてきた。

 

「乗り物に弱いことか!?」

 

「それはお前限定だろ」

 

「んだよ、アルトだってよく道間違えたりするじゃねーか」

 

「ばっ・・・、あれは偶々だ!偶々!」

 

「・・・よ、よく分からなんが、それは個人的な問題では?」

 

「に、兄ちゃん、相手のペースに乗せられてるぜ!」

 

「はっ!ん、んん!」

 

もう一方の男に諭され、フライパンの男が話の流れを元に戻す。

 

「答えは肉体だ」

 

「肉?」

 

「体?」

 

「魔法とは知力と精神力を鍛えねば身に付かない」

 

そう続けながらバニッシュブラザーズが攻撃を仕掛けてくる。

 

「その結果、魔法を得るには肉体の鍛錬が不足する」

 

ドゴォン!

 

ナツの避けたフライパンが床を砕く。

 

「つまり、日々体を鍛えている我々には力もスピードも遠く及ばないという事だ」

 

「そういう割には、さっきから攻撃が当たってねぇぞ」

 

ナツの言う通り、2人は全ての攻撃を避けきっていた。

 

「・・・確かに。スピードは大したものだ」

 

「兄ちゃん、アレなら避けられねぇ」

 

「うむ」

 

「「合体技だ!!」」

 

そう言って弟の方が兄のフライパンの上に乗る。

 

「俺達が何故“バニッシュブラザーズ”と呼ばれているか教えてやる!」

 

「“消える”。そして“消す”からだ」

 

「「天地消滅殺法!!!」」

 

兄がフライパンを高く振り上げる。勿論、乗っていた弟もそのまま天高く跳ぶ。

 

(何だ?何を狙っている?)

 

アルトが警戒しながら弟の跳んだ方向を見上げる。

 

(うえ)を向いたら・・・」

 

「何!?」

 

アルトが上を見ている隙を狙って、兄がフライパンを突き出す。

 

(した)にいる!」

 

「ぐあぁっ!」

 

反応が遅れたアルトはガードが出来ずそのまま吹き飛ぶ。

 

「アルト!」

 

(した)を向いたら」

 

「!?」

 

(うえ)にいる!」

 

「ふぼっ!」

 

ナツがアルトの方に視線を向けた瞬間、今度は弟が上から拳を放った。

その衝撃でナツが地面に埋もれてしまった。

 

「これぞバニッシュブラザーズの合体技、天地消滅殺法!!!」

 

「これをくらって生きてた奴はいな・・・」

 

ガラガラガラ・・・

 

バニッシュブラザーズの言葉を遮るようにアルトの飛んでいった方向の瓦礫が音を立てて崩れる。

 

「ってて・・・。綺麗にくらっちまったぜ」

 

「「!?」」

 

「視線の誘導を利用したって訳か。中々良い技だ」

 

2人が驚く中、アルトが何食わぬ顔で立ち上がった。

 

「生きてた奴は、何だって?」

 

そしていつの間にか、ナツも地面から抜け出していた。

 

「馬鹿な!コイツら本当に魔導士か!?」

 

「これでもくらっとけ!火竜の・・・」

 

ナツが口から炎を吐き出す構えに入る。

 

「!」

 

それを察知したフライパンの男も受ける構えに入る。

 

「咆哮!」

 

「来た!火の魔法だ!」

 

「ふっ、終わったな」

 

次の瞬間、ナツが吹き出した炎を男のフライパンが吸収し始めた。

 

「対火の魔導士専用、火の玉料理(フレイムクッキング)!」

 

「!?」

 

「私の平鍋は全ての炎を吸収し、威力を倍にして吹き出す。自分の炎で焼かれろ!」

 

フライパンから放たれた炎がナツに向かっていく。

 

「おいおい、俺のこと忘れてないか?」

 

「「何!?」」

 

アルトがナツと炎の間に割り込むと、炎が水蒸気とともにかき消された。

 

「貴様!一体何をした!」

 

「別にその鍋だけが炎に強い訳じゃないだろ?」

 

そう言いながら手に持っている剣をくるりと回す。しかしその剣は先程までの鋼の剣とは形も色も変わっていた。

 

「水流の剣“アクア”!」

 

「水属性の剣だと!?」

 

「そ、この剣で炎を消火させてもらったぜ」

 

パシッ、と剣を回すのを止めてアルトが剣を相手の方へ突きつける。

 

「お、お前達は一体何なんだ!」

 

その問いにアルトとナツが不敵に笑う。

 

「「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だ、覚えておけ!」」

 

「さてと、今度は俺達の合体技を見せてやる」

 

「「!!!」」

 

「いくぜ、ナツ」

 

「おう!」

 

アルトが水流の剣に魔力を凝縮させていく。すると、その魔力は次第に冷気を帯びたものに変わっていく。

一方のナツも先程の火竜の咆哮以上の炎を口に溜め込む。

 

「これが俺とナツの力・・・」

 

「「氷炎双竜激(ブルー=クリムソン)!!!」」

 

放たれた氷の竜と炎の竜。2つの相反する力が単独では生み出せない程の力を発揮する。

 

「「ぐわぁぁぁぁぁ!」」

 

2体の竜に飲み込まれバニッシュブラザーズは地に落ちた。

 

「ふい~」

 

「さてと、ルーシィを探しに行こうぜ」

 

(あれほどの大技を出してあの余裕。実力は本物だったということか。無念・・・)

 

アルト&ナツ、バニッシュブラザーズに勝利。




引き続き、感想やご指摘などありましたらコメントお願いしますm(_ _)m
以上、ジャージ王子でした。ではでは( ・_・)ノシ
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