ついに突入開始まで三分を切った。
キルアが何故王は自分を傷つけたのかを無性に気にする。王が怪我をしたのが分かったのはネフェルピトーの念や円が消えたことからの推察だ。ネフェルピトーの〝
自分で自分を傷つける、恐らく自分が許せない時だ。そう考えると王はプライドのある為政者、と考えられる。王がプライドを持って治めるなら、配下は王のプライドに沿うように行動するだろう。話し合いは持たれる事はないと思った方が良い。
それにしても、そんなプライドの高い王が自分を傷つけるなんて何があったのだろう。
これはキルアのいう通りイレギュラーがあったと思って行動した方が良いかもしれない。
深呼吸をする、いよいよ潜入だ。
自分に活を入れノヴさんの〝
大階段に辿り着いた私達を待っていたのは振動だった。
これはゼノさんの念かな。
轟音と共に念で作られた龍が宮殿に降りかかる。
階段の正面に回った私達を待ち構えていたのはモントゥトゥユピー。まさか此処で会うとは思わず一瞬歩を緩める。
その一瞬にゴンは前進し私とキルアはゴンの後を追った。きっとナックルさんも進んでいる。
モントゥトゥユピーを通り過ぎた所でモントゥトゥユピーに何処からか攻撃が入った。姿を消したナックルさんとメレオロンさんだと気付いた。
ゴンを追い更に階段を上がって行くとエレベーターのある部屋に辿り着いた。
ゴンは真っ直ぐエレベーターの先の階段を目指すが、キルアがエレベーター側に居たキメラ=アントを倒しに行った。おそらくエレベーターを使うイカルゴさんの為。
私はゴンの後を追い階段を上って行く。登った先にあったのは煙に包まれた王の間。煙に包まれているという事はシャウアプフが居るという事。王と引き離す作戦の為王は一緒にはいない。
ネフェルピトーは何処?
宮殿を見回してみるとネテロさんとゼノさんが見え、後ろを指された。おそらくその先にネフェルピトーがいる。
ネフェルピトーの右腕と右足は人間の腕と足を移植したのか、人間の様になっていた。
ネフェルピトーの元まで行くとネフェルピトーは一人の女性を治療していた。
「ピトー! 俺と戦え!」
「今は無理だ、この人を治療しないといけない」
「「「「!?」」」」
ネフェルピトーの言葉に私達全員が息を飲む。
ネフェルピトーは怪我した人間を治療する様な人間性は持ち合わせていない。
「その治療私も手伝いましょうか?」
「要らない。王に頼まれたのは僕だから」
怪我をした女性の治療に声を上げたがネフェルピトーに拒否された。
私が近づき、万が一その女性を傷つけない様に。
「戦いたければ治療が終わるまで待って欲しい」
「分かった。どれくらい待てば良い?」
治療が終わるまで待って欲しいというネフェルピトーにゴンは何時まで待てばいいか訊ねた。
「一時間あれば大丈夫、僕もマドカと戦いたかったからね」
「おいおい、この場には俺達も居るんだぜ。俺達の相手もしてくれるだろう」
「うん。君達も中々強そうだ」
私を名指ししたネフェルピトーにカイトは自分達も相手をしろという。そして頷くネフェルピトー。
ネフェルピトーの近くに最初に腰を下したのはゴンで、続いてカイトも腰を下ろした。それを見てキルアと私も腰を下ろす。
腰を下して数分、僅かな気配を感じて後ろを振り返ると〝
モントゥトゥユピー担当のメレオロンが何の用だろう? 何かイレギュラーが起きたのか。
「(俺が行って来る。皆はピトーを頼む)」
「「(了解)」」
小声でキルアが呟くとカイトと私が頷く。ゴンはネフェルピトーに集中している。
キルアとメレオロンが出て行くのを見送るとネフェルピトーに集中する。
これまでの会話で、あの女性は王にとっての重要人物だと分かった。王がこの女性をどう見たかは分からないが、ネフェルピトーに治療を頼む程には重要な人物なのだろう。
もしかすると王の自傷行為もこの女性が関わっているのかもしれない。
殺気を感じて〝
「プフ、マドカは僕の獲物だ」
「ピトー……。此処で何があったのですか?」
背後からやって来たのはシャウアプフだった。
シャウアプフの質問にネフェルピトーは今まであった事を話しだした。最後に締めくくりの様に扉、南を示して王は出て行ったと喋った。
しまった! 王のいる方向をシャウアプフに教えられてしまった。
「此処に居ろ」
踵を返そうとしたシャウアプフを止めたのはカイトだった。カイトも今のネフェルピトーの行動に王のいる方向を示しているのを気付いた様だった。
「何故私が貴方の言葉を聞かないといけないのです」
「プフ、お前が此処に居ないとあの女を殺す」
「プフ! 此処に居てくれ」
カイトの殺すという言葉に真っ先に反応したのはネフェルピトーだった。必死に女性を守ろうとしている。その様を見て眉間に皺を寄せるゴン。ゴンは人間の事を何とも思わないキメラ=アントが嫌いでこの討伐隊に志願した。自分が逃げないといけない状況に陥らせたネフェルピトーとの再戦も願っているが、大本はキメラ=アントへの嫌悪のはずだ。
それが今では女性を守り必至で治療しているネフェルピトーに何を感じているのだろう。
ネフェルピトーの王からの命令で女性、コムギさんを治療している。という話を聞いていた為かシャウアプフはその場に留まった。
それにしてもシャウアプフはモラウさんの管轄のはずだ。何かモラウさんにあったのだろうか。円をするべきか、……いや、今はモラウさんを信じる。
原作知識を覚えていれば今の状況も載っていたのだろうか、私がギリギリ憶えていれたのはハンター試験まで。その後は虫食いでドンドン色あせて行っている。
宮殿の中庭の方から何度も爆発音の様な音が聞こえて来た。皆は戦っているようだ。
出て行ったキルアも戻って来ずに戦っている。
そんな時、ついに痺れをきらしたシャウアプフが部屋から出て行った。
カイトが身じろぎするとネフェルピトーがピクリと反応した。
「プフの事はすまない。代わりに僕が謝る」
「謝罪は確かに受け取った。……治療の時間は縮められないのか」
「10分は縮まる」
ネフェルピトーの謝罪をカイトは受け取り、治療の時間を縮められないか聞いた。ネフェルピトーの答えはイエスだった。
ネフェルピトーの〝
丁度戻って来ていたキルアにコムギさんを託し私達は場所を移した。
キルアに預けるのを渋ったネフェルピトーだが、最終的には此方の意見を飲んでくれた。
少しでも王との距離をあけるため北に向かった。
開けた土地に着くとネフェルピトーは私達から距離を取った。
私はすぐさま〝
私の身体が強化され手には炎の刀、私にかかる重力は減りネフェルピトーの重力は増す。ゴンとカイトの重力も減らしたい所だけど、カイトは兎も角ゴンとは合わせた事がないので止めておく。
「その刀どうなっているのかニャ、さっきは凍っている様に見えたけど」
「さあ、どうかしら」
私の刀を見て疑問を上げるネフェルピトーに私は空とぼける。
一生懸命治療していた様にしか見えなかったけど、見ている所は見ているんだな。
「まあ、いいや。じゃあ
ネフェルピトーから禍々しいオーラが吹き出し私達に叩きつけられる。
ゴンとカイトが一歩下がるが、二度目の私は前に躍り出た。
ネフェルピトーの爪と私の炎の刀幾度となく交差する。
「あははは、君の弱点発見! 君の背中の心臓部分だけ絶になっているニャ」
「……」
これだけ使えば弱点もばれるか。でも弱点を突こうと攻撃すれば背後に回り込まねばならず、動きが単調で余計な行動をしなくてはならない。
弱点を突かれる行動は経験がある。その上でどうするかは私の行動にかかっている。
「マドカ俺達も戦う」
そう言って刀を振り下ろしたのはカイトだった。
刀の柄の部分は〝
カイトの後ろからはゴンが迫っており拳を振るう。
ネフェルピトーはゴンの拳を回避すると黒いバレリーナの様な念を発動させた。
「僕も本気にならないとね、これは〝
ネフェルピトーの言葉と同時に〝
は、速い。
今まで以上のスピードで攻撃をくり出して来る。
ギリギリ刀で捌きつつネフェルピトーの速度に目を慣らしていく。
本当にギリギリだけど反応できる!
ネフェルピトーが攻撃して来た瞬間に刀を反して薙ぐ。私の攻撃は空を切ったがカイトの刀がネフェルピトーの腹を薄く切り裂く。それに続いたゴンだが、ゴンの攻撃も空を切った。
何度もカイトと私の刀とネフェルピトーの爪がせめぎ合う。ゴンも必死に攻撃をするが決定打は与えられない。
カイトと私がネフェルピトーを両側から刀で攻撃する。そこにゴンが突っ込み拳を振るう。虚を突かれたネフェルピトーはカイトに傷つけられた傷の上からゴンの拳を受ける事になった。
「ぐふっ、君達も中々やるニャ」
ネフェルピトーが嬉しそうに笑うとオーラが益々増す。
「行くニャ!」
ネフェルピトーは言葉と同時に疾風の様に駆けだし、私の背後に詰め寄る。
私の炎の刀とネフェルピトーの爪がせめぎ合い、刀の間合いにネフェルピトーの右手が突っ込んで来る。そこを背後に回っていたカイトの刀が斬り裂いた。空を舞うネフェルピトーの右腕、その陰からゴンが拳を振るう。ゴンの拳はネフェルピトーの右脇腹に打ち込まれた。
ネフェルピトーは躊躇うことなく攻めて来る。
此処までの攻防でネフェルピトーの右腕と右足が他の部分より幾分反応が遅い事に気付いた。そこを突こう、次は右足!
私の気持ちに呼応するように炎の刀は燃え上がった。
相変わらずネフェルピトーは凄い。片腕が無くなっているのに動きのキレは増している。
ネフェルピトーの動きは増すが、私達の動きも良くなっているのが分かる。カイトの攻撃も当たり出し、ネフェルピトーの身体に傷を刻んでいく。ゴンも〝ジャジャンケン〟を当てる事は出来ていないが、流をした拳は何発か当たっている。
「最初はグー、じゃんけんパー! あいこでグー!」
ゴンがオーラを高めネフェルピトーに攻撃を繰り出した。そのオーラは今までにないほどの巨大さでネフェルピトーもゴンに注目している。
カイトと私はそんなネフェルピトーに攻撃を繰り出した。
ゴンの〝ジャジャンケン〟のパーがネフェルピトーにかすったがネフェルピトーは気にせずゴンに迫って行く。
「ぐはっ、痛いでも捕まえた! カイト! マドカ! 今だ!」
カイトと私はゴンの言葉を聞く前から駆けだしていた。
ネフェルピトーの攻撃を避けず、ゴンの腹部にはネフェルピトーの左腕が刺さっていた。ネフェルピトーの腕の先を握りしめゴンはカイトと私に攻撃をするように促した。
〝
炎の刀を受けたネフェルピトーの傷口はすぐさま白い炎が噴き出し燃やして行く。
「あははは、僕の負けだ。でも君たちでは王には勝てない。それでも僕は君たちを排除しよう〝黒子舞想《テレプシコーラ》〟僕の死体を操作してマドカ達を殺せ」
しかし、〝黒子舞想《テレプシコーラ》〟に炎が燃え移り燃やして行く。
「私の炎は念も燃やす。貴女の念は消えるわ」
「そっか、僕の完敗か……」
ネフェルピトーは最後の言葉を残し燃えて行った。燃え尽きた灰は風に乗り舞い散って行った。
「ゴンの治療をしないと! 〝
私は既に意識のないゴンに駆けより〝
「ゴン! マドカ! カイト!」
「「キルア!」」
王宮のあった南の地からキルアが猛スピードで駆けて来る。
カイトと私が声をかけた時には隣にまで来ていた。
「ゴン! 血は止めたのか、速く医者に連れて行こう」
「NGLの時に来てくれたお医者さん達が待機していてくれているはず。急ぎましょう〝
こうして私達の戦いは終わり、お医者さんの居る地にまで転移した。
転移した所には既にシュートさんとモラウさんが運び込まれていた。先生にゴンを渡し、治療をしてもらう。
その間にキルアから王宮であった事を聞いた。
パームさんがキメラ=アントにされていた事、ネテロさんが死に王が帰って来た事など。しかし、王に特殊な爆弾を爆発させており、王の命は時間の問題という事だ。
キルアから話を聞いていると続々とキメラ=アントの討伐隊のメンバーが帰って来た。
パームさんが王の最後は自分が見ると右目を隠していた。
私達は後をパームさんに任せる事にした。
そしてキメラ=アントの王は死んだ。
結局ネテロさんは亡くなりました。
王とマドカが戦えるとは思えなかったのでこうなりました。
結局原作をなぞるようになってしまいました。