「貴方は?」
「儂か、儂はゼノ=ゾルディックじゃ。お嬢さんこそ誰じゃ」
「私はマドカ=モロウと言います」
私とゼノさんの自己紹介にマーティスは次第にイライラしだした。
「ガキと爺が俺様に何の用だ!」
「お前さんを殺しに来たんじゃよ」
「ヒョロヒョロの爺が何言ってんだ! 俺様が殺してやるぜ!」
ゼノさんの言葉にマーティスは激昂し、ナイフを取り出した。
「ベンズナイフ!?」
曲線を描くナイフからは僅かにオーラが漂っている。
ベンズナイフは過去の殺人鬼が作ったオーラを纏ったナイフの事だ。
「マドカ、こやつ譲ってもらえんか?」
「……」
ゼノさんが来たという事はゾルディック家に暗殺依頼があったという事。
ヒソカもゾルディック家との争いは避ける……はず。自信がない。
私はゼノさんを見て頷いた。
「助かったわい」
「なめるなー!」
マーティスはベンズナイフを振るが、それより早くゼノさんが動きマーティスの心臓を抜き去った。
ゼノさんの手にある心臓が数度脈動すると、その心臓は鼓動を止めた。
「お、俺の心臓……」
そう言うとマーティスは息を引き取った。
「獲物を取ってしまって悪かったのう。お詫びと言っては何じゃがお茶でもせんか?」
『念が使えるんじゃろう』
ゼノさんは申し訳なさそうにお茶に誘ってくれた。
同時に念で文字を書いて来た。
「はい」
私は二つの意味を持たして頷いた。
喫茶店でゼノさんと二人席に着いた。
ゼノさんの背後には身体の大きな女性、ツボネさんが控えている。
「それにしてもその年で能力者とはのう、大した才能じゃ」
「そんなことないです。ゼノさんの事全然気付きませんでした」
「お前さん程度に気付かれるようでは暗殺者のなおれじゃ」
ゼノさんは愉快そうに笑いながら答えた。
「そうじゃ、ワシの家に遊びにこんか?」
「え、ゾルディック家に?」
暗殺一家に遊びに来いと? 怖いんだけど。あ、でもキルアに会えるかな。
「孫を一人外に修行に出しておるんで最近静かでのう」
あ、そうか。キルアは天空闘技場か。
「兄に聞いてみます」
その後私は携帯でヒソカに連絡した。
ターゲットをゼノさんに譲った事、ゾルディック家にお呼ばれしていることなど。
何故かヒソカは終始楽しそうにしていた。
話が終わりゼノさんに向き直り、一緒について行く事を言うとゼノさんの飛行船に乗せられゾルディック家にたどり着いた。
ゾルディック家の飛行船で直接ゾルディック家本邸に着いたので、試しの門は素通りだ。
「親父帰ったか、客がいると聞いてやって来たぞ」
「シルバか、紹介しようマドカじゃ。マドカこやつは息子のシルバじゃ」
「シルバだ。よく来たな」
「マドカです。宜しくお願いします」
ゾルディック家の飛行船置き場に銀髪の巨漢シルバさんがやって来ていた。
私はゼノさんの紹介でシルバさんと自己紹介をした。
ゾルディック家の屋敷の中に入ると黒髪の美人さんとそれに良く似た十代後半の少年、黒髪の恰幅の良い十代中頃の少年と私と同じ年位の少年が立っていた。
自己紹介をし、黒髪美人さんがキキョウさん、キキョウさんに良く似た少年がイルミさん、ポッチャリ型がミルキさん、おかっぱ頭の少年がカルトだった。
皆原作登場時より若い。
食事の席では皆キルアの事を話して来る。
私は今のキルアを知らないが、過去のキルアの事を思って終始相槌を打っていた。
キキョウさんは高い声で良く話しイルミは淡々と、ミルキはボソボソと話す。カルトはキャッキャとキルアについて喋る。シルバさんは時々相槌を打ち、ゼノさんは朗らかに笑う。これを見て暗殺一家と思う者は少ないだろう。
私は二泊三日ゾルディック家に滞在した。
途中キキョウさんに着せ替え人形にされたり、イルミさんに念の修行にかこつけて針で刺されそうになったりした。
シルバさんからはゾルディック家に嫁に来ないかと言われた。まさか冗談だよね。
こうして私の初めてのお宅訪問が終わった。