この素晴らしい世界にハジケリストを!   作:ジャギィ

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ようやく初スティール回です。書いてみたかったネタが1つ書ける


奥義11 ドロドロー

ボーボボたちははれて冒険者となった

 

「あれ、カズマくんは?」

「さっき、クリスと…あと誰かと一緒にギルドの外に出て行ってたぞ」

「クリスさんと誰か?」

 

何があったんだろうと残ってためぐみんの横でビュティは思考する。アクアは他の冒険者たちに宴会芸のスキルを披露している

 

「ボーボボさん。これからオレたちは何をすればいいのですか」

「ヘッポコ丸、オレたちの最終目標は魔王を討伐することだ。だが、魔王が従える魔王軍は一筋縄ではいかない」

 

首領パッチボールでリフティングしながら、真剣な声でボーボボは言う

 

「人類を脅かす魔王軍は、各地にあるA〜Zの基地から、あらゆる魔物と悪魔を引き連れて拠点に襲撃を仕掛けてくる」

「まるで毛狩り隊みたいだな」

 

ヘッポコ丸が口にした毛狩り隊というのは、ボーボボたちの世界を支配していたマルハーゲ帝国の兵士といえる存在であり、全国民は毛狩り隊が行う毛狩り(頭に生えた新鮮な毛を直にぶち抜く行為)で苦しめられていたのだ

 

ちなみに先日、毛狩り隊総合本部の大岩さんが別居の末に離婚したらしい。原因は妻の浮気と借金で

 

「そんなドロドロした家庭環境の説明しなくていいから!!!」

 

とにかく、毛狩り隊と魔王軍の、各地に基地を置くというやり方は似通っていた

 

「へっ!わかったぜボーボボ!!毛狩り隊の時みてーに魔王軍の基地をぶっ潰していけばいいわけだな!!!」

「なるほど!ならやることは今までと変わらねーぜ!!!」パチン

 

納得したとぷるぷるの体で指を鳴らす天の助。指がないのにどうやってきれいに鳴らしたか、それは永遠の謎である

 

「だが、今までの毛狩り隊と比べれば魔王軍には違うところがいくつかある。その中で特に大きいのは、魔王軍幹部の存在だ」

「幹部?」

「そうだ。幹部それぞれがマルハーゲ四天王と同格の実力の持ち主であり、その数8人!」

「8人もいるの!?」

「く!OVERやハレクラニに匹敵するやつらが8人も!」

 

マルハーゲ四天王の倍と言える戦力は、流石とボーボボといえど苦戦は免れぬ力である。せめてお兄ちゃんや魚雷さんがいればとビュティが考える中

 

「大丈夫だビュティ」ポン

「ボーボボ」

 

ビュティの頭に手を乗せてボーボボは言う

 

「オレたちにはこの世界で見つけた新しい仲間がいる!カズマたちと力を合わせれば、どんなヤツだろうと敵ではない!!!」

「そうですよ。あなたたちには最強魔法使いであるこの私がいるのです!魔王なんて、我が爆裂魔法で蒸発させてくれますよ!!」

「めぐみんちゃん…」

 

定食を頬張りながらサムズアップするめぐみんが、ビュティにはとても頼もしく見えた

 

「……うん!そうだよね!!」

 

そう、かつて毛の平和を守ることができた僕らのヒーロー、ボーボボならば!

 

(そうだ…)

(オレたちならば…)

(どんなヤツでも…)

 

ボーボボは、首領パッチと天の助とカズマを椅子にしながらアクアと一緒に大金を成金顔で数える姿を思い浮かべる

 

首領パッチは、ビュティとめぐみんを押し退けてヒロインに、ボーボボとカズマをぶっ殺して主人公になる自分を想像する

 

天の助は、ボーボボ組とカズマパーティを操ってアクセルの街から世界中にところてんを広める夢を幻視する

 

今、3人の思いは1つとなった!

 

「「「勝てる!!!!」」」

「全然1つになってないよ!!!!ていうか仲間に対する行動がこれ!!!?」

「あ、カズマが帰ってきた」

 

ヘッポコ丸の視線の先には、確かに残念そうな目でアクアを見るカズマと涙目で落ち込んでいるクリスと誰かことダクネスがいた。長い金髪を後ろで束ねて硬そうな鎧を着込んだ、いかにも騎士って風体の人であった

 

「あっ!ちょっとカズマ、やっと戻ってきたわね、あんたのおかげでえらい事に……って、その人どうしたの?」

「うむ。クリスはカズマにぱんつを剥がれた上に有り金毟られて落ち込んでいるだけだ」

「おいあんた何口走ってんだ!待てよ、おい待て。間違ってないけど、ほんと待て」

「「「うわぁ………」」」

 

カズマの否定しない答えにボーボボ一同は冷たい視線をカズマに浴びせた

 

「公の場でいきなりぱんつ脱がされたからって、いつまでもめそめそしててもしょうがないね!よし、ダクネス。あたし、悪いけど臨時で稼ぎのいいダンジョン探索に参加してくるよ!下着を人質にされて有り金失っちゃったしね!」

「おい、待てよ。なんかすでに、アクアとめぐみん以外の女性冒険者たちの目まで冷たいものになってるからほんとに待って」

 

さらに復活したクリスの追い打ちで全ての女冒険者が絶対零度の眼差しをカズマに向ける。視線に怯えたカズマはダクネスと一緒にボーボボたちのそばに逃げてきた

 

「カズマくん、この人は?」

「ん?あぁ、クルセイダーのダクネスって奴で、なんか俺らのパーティに入りたいらしい…俺は嫌だけど」

「くっ……うぅ……!カズマ、お前はなんて的確に私の心を…!」

 

この隠れたやりとりをビュティたちは気づけなかった

 

「?つまり、オレたちの仲間になるってことだよな?」

「よろしくね、ダクネスさん」

「ふぅ……!…あぁ、こちらこそよろしく頼む」

 

カズマが離れたのをいいことに、ダクネスのカズマパーティ加入は決定してしまった

 

「いくぜ!『スティール』ッ!!!」

 

そして当のカズマは新しいスキル《窃盗》によって、めぐみんからぱんつを剥ぎ取っていた。それを見たビュティがかなり嫌そうな顔をしながらボーボボの後ろに隠れていった

 

めぐみんにぱんつを返しながらカズマは弁解する

 

「お、おいビュティ!!別にそういうつもりで《窃盗》使ったわけじゃねえから!!!…そ、そうだ!ぱんつなんて持ちようのない首領パッチからならなんか別の物が奪えるはずだ!!!」

「あ!!!カズマテメェ!」

「『スティール』ーーッ!!!!」

 

スキルが発動し、カズマは掌を広げた

 

首領パッチお気に入りの勝負下着がスティールされていた

 

「何ィィィーーッ!!!?」

 

パシャリ!そしてどこにあったのか、茂みから顔を出した首領パッチがカメラで決定的瞬間を捉えて

 

「キャアアアアア!!!下着ドロボーよー!みんなやっちゃってー!」

 

首領パッチの悲鳴を聞きつけて、お祭り装備のボーボボたちに加えて、アクアとめぐみんも茂みから一斉にカズマに飛びかかる

 

「「「OK!!!!」」」

「うわあああ!!!一体なんだ!!!?」

「カズマ!オマエには新たな時代のお仕置きをしてやろう!!鼻毛真拳奥義「PROTO SHITAGI DORO」!!!!」

「「「ぎゃああああああ!!!!」」」

 

レトロゲームチックな見た目に変わって、カズマに攻撃が集中する

 

太い鼻毛で張り倒され、天の助に体当たりされ(ノーダメージ)、めぐみんからフォークとナイフを投げつけられ、ボーボボに天の助を投擲され、アクアの魔法で浄化され、最後にヘッポコ丸の奥義「如月」でトドメを刺された。首領パッチと天の助も巻き添えでやられているがいつものことだった

 

「見なさいボーボボ!!!最高得点の23800よ!」ピコピコ

「ちえ、こっちは19960か」ピコピコ

「オレは15300でした」ピコピコ

「なかなか楽しいですね。しかし負けっぱなしは嫌ですよ!」ピコピコ

「…………」

 

カズマたちの安否など無視して、ボーボボたちは首領パッチゲームに没頭していた。それを見てビュティはもはや何も言えなかった

 

「くう……ッ!!カズマたちの仲間になったら、私も毎日あんな間に合うのか…!!?なんて素晴ら…コホン、恐ろしいパーティなんだ……!!!」

 

黒焦げ悪臭のカズマたちのなれ果てを見て、ドMクルセイダーの変態発言が小さく呟かれた




「PROTO SHITAGI DORO」が参加していった結果、新説7巻の「SHITAGI DORO2」にパワーアップするわけです

ちなみにボーボボのゲームは「ハジケ大戦」くらいしかしたことがありません。クソゲーだけど最強のキャラゲーだったわ

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