違う、そうじゃない(ご飯と一緒に食べられない)
「ふぁ〜ああ〜〜〜……」
ボーボボたちが世界を渡ったその翌朝、馬小屋で寝ていたカズマは目を覚ました
「……あん?」
寝ぼけ眼で横を見ると、いつもそこで惰眠を貪っているはずの駄女神がいない。それを少し不審に思っていたカズマだが、昨日の衝撃な1日を思い出す
「ああ、そういやボーボボたちのところであいつ寝たんだっけ」
どう贔屓目に見ても珍しいモンスターにしか見えない首領パッチが巨大化して家になって、アクアはメゾトピアパッチに入って、俺が拒否したら急にリフォームを始めて、呆れて帰ったんだったな。ワケが分からない
昨夜のアホらしい出来事を思い返しながら、近くの川で顔を洗って、服を着替えるカズマ。そのままカズマは、首領パッチが家になったであろう場所に向かった
そして門を抜けた草原の先で、カズマは見た
ドゴーン!!!
砲撃の爆音が響き渡り、また1人兵士を吹き飛ばした。どれだけ数を揃えても、どれだけ時間をかけても、どれだけ弾丸を撃ち込んでも、その無敵要塞はビクともしなかった
ダダダダッ!
慰めにもならない抵抗をする老兵の目に、首領パッチな見た目の要塞にデカデカと主張された文字が映る
「こ…これが、これが無敵要塞ザイガスか…!」
(エライもんが建ってるー!!!)
モデルルームがリフォームされた末にできた無敵要塞の存在感に、カズマは心中吼えた
ガチャ
「ん〜、良い朝だわ〜」
「アクア!?」
要塞上部の窓をアクアが開けて、朝日を浴びながら伸びをした
「あ、カズマ。すごいわよこの家!クーラーもきいててIHキッチンもあって、薄型テレビもあるわよ!」
「お前それで良いのか!?色々残念でもここファンタジーの世界だぞ!?良いのかよそれで!!」
「別に良いじゃない、この世界、UNOだってあるわよ」
「マジで!?」
トランプとかじゃなくて!?カズマは心底そう思った
「あ、カズマくんおはよー」
そんな中、アクアの後ろからひょいとビュティとダクネスが顔を覗かせていた
「ビュティー、ボーボボたちはどこにいるんだ?」
「ボーボボなら、さっきへっくんと天の助くんと外に出かけたけど…」
「へ?どこだ?」
人1人ザイガスから出た感じがしなかったから、カズマはボーボボたちを探すべく辺りを見渡すと
「マッスルミレニアム!!!」
「ぐはぁ!!!」
草原の上に設置されたリングの上でヘッポコ丸がボーボボにマッスルミレニアムをかけられ、血ヘドを吐いていた
「朝っぱらから何やってんだお前ら!!?」
「立てー、ジェロニモー!!」
眼帯をつけた天の助が声をかけるもヘッポコ丸はもう動けず、仕方ねえと真っ白なタオルをリングに投げ、ヘッポコ丸をリングから降ろした
「隙あり!!!」
「ぎゃあ!!」
「世の中弱肉強食なり」
ーーーところを逃さず、石槍でボーボボは天の助を貫いた。ばたりと倒れる天の助
「おお、おはようカズマ!ヘッポコ丸との約束で特訓をしていたんだが、オマエも参加するか?」
「いや、遠慮しとく」
間違いなく死んでしまうと悟ったカズマはボーボボに背を向けた
「HEY、ボーイ。ストップだぜい」
「うわあああ!変なバケモノ!!!」
そしてその視線の先に、薄紫色の太くデッカい毛に手脚が生えた、ボーボボと同じサングラスをかけた変な生き物がいた
「
「『ティンダー』!」
鼻毛という単語を聞いたカズマは躊躇なくKING鼻毛を燃やした
「ぎゃあああああ!!燃えるーーー!!!!」
「脱出!!」
その隙をついて、カズマはザイガス内部へと逃げ込んだ
「機転ととっさの判断はなかなかだな」
難なく試練を突破したカズマをボーボボは褒めた
ギルドで朝食を食べながら、ボーボボ組とカズマパーティは今日の予定を話し合っていた
「昨日のキャベツ収穫で金はだいぶ増えたから装備を整えようと思うんだが、ボーボボたちも付き合ってくれるか?」
「装備か」
「カズマくん、昨日からずっとジャージだもんね」
ビュティに言われてカズマは己の貧相な見た目に文句を言いたくなった。ここいらで新しい防具…できれば武器も新調しておきたいところだ
「カズマ!新しい武器ならドンパッチソードと!」
「大根ブレードを使ってみたらどうだ!」
「ただのネギと大根だろが」
検討する余地もなく却下した
「どうせだ。ビュティとヘッポコ丸の分の装備も買ってみるか」
「え?ホントに!」
「オレもですか?」
「最悪ビュティの分だけでも買えればいいだろ」
「じゃ、決まりだな」
朝ご飯を食べ終えたカズマが席を立つと、ボーボボ、首領パッチ、アクアの3人も立ち上がった
「私たちも後でそっちに向かうから」
ビュティはそう言う
「オマエまだ食うのか。
「私の爆裂魔法は燃費が凄まじいので…モグモグ…食べれる時に食べておくべきなのです。ですので天の助、このいかにもカロリーが低そうなところてんをさりげなく机の上に置いても絶対食べませんからね」ムシャムシャ
「オレカエルの唐揚げに負けた!!!」
明らかな拒絶にショックを受ける天の助であった。ヘッポコ丸にダクネスもいることだし、ビュティは大丈夫だろうとボーボボは安心した
「ヘッポコ丸、ダクネス、ビュティは任せた」
「ハイ!ボーボボさん」
「任せてくれ、彼女は必ず守る」
それだけ言って、ボーボボたち4人は武具屋に出かけた
10分後…
ボーボボたちは武具屋で武器を見ていた
「ねえねえカズマさんカズマさん、この小振りのナイフとか良いんじゃないかしら?」
「おお、アクアにしてはまともな武器だな。で、選んだ理由は?」
「姑息でビビリなカズマには不意打ちとかにピッタリだと思って」
「却下、次いくぞ」
即座に切り捨てた
「なんでよおおお!!?」
「姑息でビビリって理由で選ばれた
泣き叫ぶ駄女神を無視してカズマは品物を見定める。そんな時、ボーボボと首領パッチが話しかけてきた
「おーいカズマ!」
「オマエにピッタリの靴を見つけたぞー!!」
「靴?」
ズズズズズッ
カズマが振り向くと、ボーボボと首領パッチは巨大なマグロを2匹引きずってきた
一応言っておくがマグロなだけである。当然靴ではない
「ただのマグロじゃねーーーーか!!!!」
この言葉に首領パッチが地団駄を踏む
「うるせー、マグロの何がワリーんだ!スシ屋に言いつけるぞ!!」
「うるせーよバーカ!そもそもどっから持ってきたんだンなバカデケーマグロ!飛んでたか!」
カズマも結構支離滅裂なことを言い始めた。空飛ぶキャベツを見た影響かもしれない
若干知能指数が下がったカズマと知能指数の低さが天元突破している首領パッチの低レベルの口論が続き、ボーボボは近くにあった商品の槍を手に持つ
「オヤジ、この槍1つ」
「毎度」
ボーボボが2500エリス支払って槍を購入し、そのまま太い丸太を2人に叩きつけた
「鼻毛真拳奥義「禁断の槍アタック」!!!」
「「どーみても槍じゃねーー!!!」」
カズマと首領パッチは血ヘドを吐いて地面に転がった。アクアはプークスクスと笑いながら木の棒でカズマを突っつく
「良い槍だ」
「おお、分かるかダンナ」
だから槍じゃない
「ボーボボたちここかな?おじゃましま〜す…」
直後、遅れたビュティたちも店に入ってきた
「って、一体何があったのー!!?」
そしてカズマと首領パッチと巨大マグロを見てすぐ声をあげた。今日も良いツッコミである
「さて、ちょうどこの店に良さげな杖があったはずですから買っておきましょうか」
「私も昨日モンスターに壊された剣を新調しないとな」
「盗賊っていうくらいだから、ナイフとかを買っといたほうがいいのか?」
「え、カズマくんたち無視!?」
そのまま合流したボーボボ組とカズマパーティは、昼まで買い物を楽しんだ
今回は昔読んだギャグ漫画のネタをうろ覚えながら使いました。今後こういうことがありますのでよろしく
…ところでなんの漫画だったかな?