ベルディアがアクセルの街に来て1週間経った。その日、ボーボボ、カズマたちはあるクエストのために湖に移動していた
「…私、今から売られてく捕まった希少モンスターの気分なんですけど…」
みんながそれぞれ歩く中、アクアだけ動く大きく頑丈なオリの中で体育座りしていた
今回のクエストは湖の浄化が目的であり、半日湖にいる必要があるアクアをモンスターから守るためのオリであった
ちなみに提案は鬼畜のカズマで、カズマはボーボボたちをあてにしなかった。カズマは絶対に自分たちを巻き添えにするという確信があったからだ
「………」キュルキュル
(…目的は?目的は何?)
ビュティはボーボボを見ながらそう思った
「………」ウィィィィーン…
「!!」
そしてアクアは気づく。ガンタ○クみたいなボーボボがアクアに攻撃の照準を合わせていた。今朝、アクアが勝手に食べたカレーパンの恨みがボーボボを突き動かす
「………」そ〜〜
首だけで後ろを振り返ると、戦車ボーボボのアフロの上に居座る小さなボーボボ軍曹が葉巻の煙を吐く
「ハチの巣」
それを聞いたアクアの行動は早かった
「この子だけは…!この子だけはーー!!!」
どこからか取り出した高級シャワシャワの瓶を庇うアクア。しかし我らの鬼畜リーダーがそれを許さない
「スティール」パシッ
「え"…」
「カレーパンの恨み!!!!」ダダダダダッ
「にぎゃあああああああああああ!!!!」
《窃盗》で瓶を奪ってからボーボボはオリの中にいるアクアに乱射した。ぐったりするアクアを見てビュティが止める
「やめなよ!カレーパンならまた買ってあげるから!!」
「あのカレーパンがよかったんだもん…」
「だからって戦車になることないじゃない!!!」
「そうだぞ!アクアを撃つなら私を撃て!いや、ぜひ撃ってくれ!!」
「ややこしくなるからダクネスさん静かにして!」
ダクネスは平常運転だった
「うう…」
「アクアさん、大丈夫?無理ならクエストやめたほうがいいよ」
ビュティは泣いて倒れるアクアに優しく声をかけ
「甘ったれんじゃないわよ!!!!!」カッ!
「ええっ!!!?」
アクアはキレた。毅然とした表情で体育座りをする
「クエストに失敗はないのよ」
「…………」
「確かにビュティは最近、甘えがまた目立つな」キュルキュル
「私!!!?」
反省するビュティであった
1時間後…
ボーボボたちは湖に着いた。湖に少し浸かったオリの中でアクアは湖の浄化をしていた
「…私、ダシを取られてる紅茶のティーバッグの気分なんですけど…」
「どれどれ。ズズッ…マズ!!!」
「当たり前だよ」
紅茶と聞いて汚染された水を飲んで吐き出す首領パッチに、ビュティは冷静に突っ込んだ
「すごく大きな湖だね」
「本当にこんな方法で湖を浄化できるのか?」
「腐っても女神なんだからこれくらいできなきゃダメだろ。もしダメだったらギルドでエリス教プリーストでも募集すればいいし」
「聞こえてるわよカズマ!!この私を差し置いてエリスんとこの子仲間にしようなんてどういう意味よ!」
地獄耳なアクアの文句に大人げなくカズマが返す
「お前が役に立たないどころか足引っ張ってばかりだからだろうが!戦闘でも真っ先に突っ走ってやられて、俺たちが尻拭いばっかしてんだからな!」
「なによなによ!ザラキばっか唱えるヘタレ僧侶よりはずっと役に立ってるじゃない!」
「うるせえこのクリ○ト以下!一生馬車の中で引きこもってろ!!」
「わああああ!!ビュティー!めぐみんー!ダクネスー!カズマが言っちゃいけないこと言ったぁ!」
カズマの口撃にアクアは泣きつくが、3人はあまり否定できなかった
「しかしブルータルアリゲーター、来ませんね」
「このまま何事もなく終わってくれればいいんだが」
「おいヘッポコ丸にめぐみん、それフラグってやつだからな」
フラグとしか思えないセリフをカズマが突っ込み
「カ、カズマー!なんか来た!ねえ、なんかいっぱい来たわ!」
見事そのフラグを回収した
「ああ!オリがブルータルアリゲーターに囲まれた!!」
「ボーボボ!」
「任せろ!!!」ガシッ
カズマから指示を受けたボーボボはアクアを助けるべく、首領パッチを掴み
「首領パッチ!キミに決めた!!」
「わああーーー!!!」
勢いよく投げつけた。首領パッチはオリを大きく飛び越え、湖の中心でブルータルアリゲーターたちに囲まれた
「よし。ワニどもを倒すか」
「今の一連の流れはなんだったの!!!?」
無意味な犠牲を振り返る気などなかった
そんな中、湖の浄化を早めるためにアクアは浄化魔法を連発していた
「『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』ッッ!オ、オリが!オリが変な音立ててるんですけど!!」
「へっくん!早くワニを倒さないとアクアさんヤバいよ!」
「く!オレのオナラ真拳じゃアクアも巻き込んでしまう!でもボーボボさんなら!」
「そういえばボーボボと天の助はどこだ?」
ダクネスのその言葉に一同が周囲を見渡すが、どこにもボーボボと天の助の姿が見えなかった。そしてカズマがアクアの方を見ていると
「キレイな川にして!!キレイな川にして!!」ガジガジ
「自然は大事にーー!!!」ガジガジ
「分かりましたー!キレイにしますからー!『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』ッッ!」
「ブルータルアリゲーターに混ざっとるーー!!!!」
ワニの着ぐるみを着たボーボボと天の助がブルータルアリゲーターに混ざってオリを噛んでいた。わあわあ泣き叫びながらアクアは浄化魔法を絶えず唱える
「オレの仲間を怖がらせたなワニども!!!許さん!鼻毛真拳奥義……」
アクアを怯えさせたワニに対して怒りに震えるボーボボが、鼻毛真拳を炸裂させる
「「裁きのワニワニパニック」!!!!」
「ぎゃあああ!!!」
「「「グガアアア!!?」」」
「デカッ!!!!」
巨大化したボーボボがオリと天の助ごとワニをピコピコハンマーで叩き潰した
オリの周りにいたワニは全滅したが、ボーボボは依然ハンマーをアクアのいるオリに振り下ろす
「とっとと浄化せんかいオラー!!!」ガン!ガン!
「イヤアアア!!『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』ーー!!!」
「なにやってんの!!!?」
浄化が続く中、首領パッチは未だワニに囲まれていた
7時間後…
想像よりも早く湖の浄化作業が終わった。膝を抱えて泣いているアクアの近くでは血塗れの首領パッチとドロっと溶けた天の助が湖の上に浮いていた
「……ぐす……ひっく……えっく……」
「ほら、浄化が終わったなら帰るぞ。みんなで話し合ったんだが、俺たちは今回報酬はいらないから。報酬の30万、お前が全部持っていけ」
優しく声をかけるカズマの後ろではボーボボがビュティに怒られていた
「いくらなんでもやり過ぎだから!!!」
「えー」
「えーじゃない!!」
「ほら、ボーボボも怒られて反省してるし、許してやってくれよ。な?」
「……まま連れてって……」
一向にオリから出てこようとしないアクアにカズマがしびれを切らしそうなその時、蚊の鳴き声みたいにアクアが小さく言う
「なんだって?」
「……オリの外の世界は怖いから、このまま街まで連れてって」
アクアのトラウマに、ワニとハンマーが追加された
ギャグのインスピレーションが働かないので、皆さんから募集をかけたいと思います。詳しくは活動報告を確認してください