この素晴らしい世界にハジケリストを!   作:ジャギィ

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感想で指摘を受けて、前話の冬将軍の賞金に関しては修正しておきました


奥義30 ダンジョンの奥へ

冬将軍を倒して借金を見事返済しきったのであったが、そこはビビリのカズマ、また借金を作るんじゃないかという恐れゆえに返済や必要経費以外に懸賞金には手を出さなかった

 

「明日はダンジョンにいきます」

「いやです」

「いきます」

 

夜、めぐみんの反対を押しのけながら、ギルドで晩ごはんを食べるみんなの前でカズマは言った

 

「ボーボボとめぐみんが冬将軍を倒したおかげで借金は返済できました。しかし、いつそこの駄女神とかバカが問題を起こして借金を作るか分からないので残りの金は貯めることにします」

「ちょっと!麗しき水の女神に向かってなんてこと口走ってんのよ!!借金作ったのはめぐみんじゃない!」

「ソーダソーダ!!オレをそこのチビガキと一緒にしてんじゃねえ!」

「言うに事欠いてチビガキとは言ってくれますねこのコンペー糖!!」

 

ぶーぶー文句を垂れるアクア、ソーダをガブ飲みする首領パッチに殴りかかりそうなめぐみんを机をダンと叩いて黙らせる

 

「この中で1番問題起こしてんのお前らなんだよ!アクア!お前この間手伝いで運んだギルドの酒樽の中身ぜんぶ水に変えただろうが!!」

「だ、だってタダ同然でやったのよ!少しくらい飲んだって別にバレないじゃない!」

「結果ぜんぶ弁償だろうが!首領パッチは武器屋の店主から苦情来てたぞ!変な内装に変えられてから客が寄り付かなくなったって!!一体何やったんだよ!?」

「インド象置いた」ほじほじ

「なんで!!?」

 

ガンッ!と机に突っ伏すカズマの肩をヘッポコ丸が叩く

 

「苦労してんなカズマ…」

「そう思うなら代わりにお前がやれよ」

「無理だ」

 

少し前にカズマは、ダストという冒険者に嫉妬されてパーティを1日交換したことがあった

 

ボーボボたちに指示できるほどの発想と決断は、交換先のパーティで最弱職の冒険者とは思えないほどの大活躍をもたらした。ちなみにダストは大暴れするボーボボたちについていけない上、唯一まともなビュティに手を出そうとした結果……まあ、お察しである

 

「それでダンジョンにいくって話だけど、具体的には何するの?」

 

ビュティがサラダを食べながらカズマに聞く

 

「今回いくところはすでに踏破されてる初期のダンジョンだ。目的はこれからのダンジョン探索に慣れるためとスキルの効果確認…メンバーは俺とヘッポコ丸と天の助の3人な」

「え、オレ?」

「へっくんとカズマくんは…盗賊スキルを使えるからだからだよね?じゃあ天の助くんは?」

「盾と囮」

「オレの扱い雑っ!!!」

 

バカの盾と囮役はどうあっても切り離されない事実だった

 

翌日…

 

「これがダンジョンか」

「地下に続いてるんだな」

 

地下に進む入口の階段を覗き込みながらヘッポコ丸が言う

 

「『クリエイト・ウォーター』。ハイめぐみんちゃん、水」

「ありがとうございますビュティ。…ホント、なんでスキルの無駄振りって言われてる初級魔法をカズマやビュティはそんなに使いこなせるのですかね」

 

入口近くでは焚き火に前で体育座りするビュティとめぐみん

 

「必殺!『ファイアトルネード』ーー!!!」

「アチャアアア!!!」

「ぐはぁ!!…ああ、この遠慮も手加減も一切ないこの感じ、いい……!」

 

必殺シュートの練習をするボーボボとボールの首領パッチを全身で受け止めるドMキーパーダクネス

 

「さあ、サクッとこのダンジョンをクリアしちゃいましょ!」

 

そしてなぜかついて来る気マンマンなアクアだった

 

「なあアクア、人の話聞いてたか?今回は《潜伏》と《暗視》を使ってダンジョンに潜るんだぞ。基本的にモンスターと戦う気はないし、万が一バレてもいいようにエサ()の天の助を連れていくんだぞ。できればボーボボ、首領パッチと筆頭に上がるくらい騒がしいお前は連れていきたくないんだが」

「何よ、私だって静かにできるわよ。それに私はあなたたち3人の安全を考えてついてくつもりなんだから」

「安全?」

 

天の助の問いに答えるアクア

 

「2人が使う《潜伏》ってスキルはアンデッドには通用しないの。アンデッドは生者の生命力を印にやって来るからよ。そしてダンジョンには大抵アンデッドがうじゃうじゃ住みついているわ…つまりアンデッドを浄化できる私がついていくべきなのよ!それに女神の目は真っ暗闇でも昼間のように明るく見えるわよ」

 

自信満々に答えるアクアにカズマはどうすべきか迷った。隣のヘッポコ丸を見るカズマ

 

「どうする?俺としては置いていきたいんだが」

「いいんじゃないか?アクアの言う通りならこれ以上ない味方だし回復もできるだろ」

「でしょ!?でしょ!?たまにはいいこと言うじゃないヘッポコ丸!」バンバン

 

ヘッポコ丸の背中を叩くアクア。機嫌をよくしたアクアはそのまま最初にダンジョンに入り、カズマたちも続けてダンジョンに足を踏み入れた

 

コッ…コッ…

 

《潜伏》スキルを使って静かに歩くカズマとヘッポコ丸、結局後ろからついてく形で歩くアクア。階段を下る中、アクアが気づく

 

「あれ?そういえば天の助は?」

「え、いないのか?」

 

コツンッ

 

少し後ろを向いたせいで足元の何かにぶつかるカズマ。《暗視》を使った目に映ったのは

 

「ふわーっ!!」

 

長い年月が経った冒険者の死体だった。驚きのあまりカズマは1歩引く

 

プルンッ

 

ヘッポコ丸の足にも何かが引っかかった。非常に柔らかそうな音の正体は

 

「プルプル…ぼく、悪いところてんじゃないよ」

「オオッ…もがもが…!!」

 

懐中電灯で急に自分の顔を照らした天の助だった。思わず大声を出しかけたヘッポコ丸だったが、とっさにアクアに口を塞がれたことでダンジョンに響きそうな大声は止まった

 

(しー!ダンジョンで大声なんか出したら通路を埋め尽くすほどのモンスターがやって来ちゃうわよ!)

(あ、あぁ、悪い…)

 

全面的に悪いのは天の助だったため、ヘッポコ丸は軽く踏んづけた。横ではアクアがアンデッドになりかけていた死体の迷える魂を導いてアンデッド化を防いでいた。普段からこうすれば女神らしいのに

 

そんな時、カズマは何か飛んで来るものを感知した

 

「うわ!?」

「おぶっ!!!」

 

とっさに天の助でガードするカズマ。《暗視》で見えた白い影がバタバタもがいていた

 

「うわっキモ!!」グサッ

「ぎゃあ!!!」

 

勢いよく天の助越しに飛んで来た何かに剣を突き刺すと、キィキィ悲鳴をあげながら落ちた

 

「なんだったんだこいつ」

「グレムリンっていう下級の悪魔ね。ダンジョンは地上よりも魔力が濃いから弱い悪魔がたまに湧くのよ」

「悪魔か…でもカズマが倒せたなら、不意をつかれないようにすればやられることはないだろ」

「そうだな。んじゃ、ダンジョン探索を再開するか」

 

カズマはそう言いながら倒れてる天の助から剣を引き抜いてところてんを落として、引きずりながら暗闇の奥へ進んでいった




そろそろボーボボ、カズマ抜きのクエストを書きたいですね

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